2024年10月27日(日)大阪・豊中市の176BOXにて2部開催の内第2部『DEEP☆KICK ZERO 17』が行われた。
アマチュアファイトではTOP☆RUN関西一般王座戦が行われ山中如楽・赤嶺拓也・山中楽斗の3名がベルトを腰に巻くと、プロ本戦では第1部「DEEP☆KICK ZERO 16」に引き続ぎこちらも6試合中3試合がKO決着、特にセミファイナルではKING弥百希・メインイベントでは吉岡龍輝が威力抜群のパンチでド派手なKO劇の連続を披露、確かなレベルの高さを見せつけた。今回の勝利を機にランキング入りを果たすニューカマーも多いだろう、
年内開催は残すところ12月8日にテクスピア大阪で行われる「DEEP☆KICK 72」の1つのみ、2025年に向けてランキング変動にも注目だ。
▼メインイベント DEEP☆KICK-63kg王座決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R×竹内皇貴(チームドラゴン)TKO 1R 2分25秒 ※レフェリーストップ〇吉岡龍輝(及川道場)※吉岡龍輝がトーナメント決勝に進出
第1部「DEEP☆KICK ZERO 16」に続きメインイベントを飾るのは、DEEP☆KICK-63kg第6代王者を決める王座決定トーナメントの準決勝。同級4位の竹内とRISEライト級6位の吉岡が激突、竹内は過去に2度DEEP☆KICKトーナメントに出場し自慢の膝を武器に2度共に王座戦に辿り着いているがあと1歩が届かない、3度目の正直となるか。吉岡はプロ戦績5勝3敗2KOで空手をバックボーンにStand Up King of Rookie 2022 -63kg級優勝のタイトルを持つ実力者、DEEP☆KICKには今回が初参戦、同門の先輩である滉大(及川道場)同様にDEEP☆KICKのベルトを腰に巻けるか。
メインイベントへの期待が高まっていく中、試合は1R早々から急展開を迎える。1R、前手を触りながらじっくりとした構えでローにハイと静かに機を伺う竹内に吉岡はサウスポーに構えジャブにロー、ワンツーとキレのある動きを見せる。そして早くも転機が訪れる、竹内が膝で踏み込んだところに吉岡の左ストレートがクリーンヒット、ダメージは明らか、足がふらつく竹内に吉岡はワンツーにストレートとパンチでラッシュをかけていきスタンディングダウンを奪う。
電光石火のダウン奪取、竹内も再開後に膝にストレートと返していくが吉岡の勢いは止まらない、左ハイに三日月蹴りなどの蹴りを放ちながら距離を詰めるとワンツーに鋭いストレートを再びヒットさせていく。竹内は左ストレートが見えていないか、度々ヒットを許していくと2分経過時には吉岡の右フックからの左ストレートで2度目のダウンを奪われる。
立ち上がるもダメージが見える竹内、再開後すぐに飛び膝蹴りを放つなど執念を見せたが吉岡はワンツーにパンチラッシュとまとめ3度目のダウンを奪取し試合終了、1R2分25秒、圧巻のパンチ技術を見せつけた吉岡がトーナメント決勝に進出を決めた。
喜びの顔というよりあくまで冷静な表情で観客たちに拳を突き出しアピールをする吉岡。すると第1部にてこちらもKO勝利で決勝進出を決めた龍翔(BLACK☆Jr)がリング上に登壇。マイクを持ち「僕より早く倒して決勝に上がってきたので、これは面白い勝負になるかなと思います」と放つと吉岡は「試合を見てもらったら分かると思うんですけど、このトーナメント出場選手の中で僕が頭一つ抜けてるので、12月も楽しみにしといてください」と余裕のコメントを残した。
試合後、吉岡は「前々からSNSでも言ってましたが今回の4人の中で僕が一番華があると思うので、1RKOでそれを証明できたかなと思います、もちろん竹内選手も2度もタイトルマッチ経験があり圧力のあるベテラン選手なので舐めることなく敬意を持って得意な左ストレートで倒しに行きました」と語った。同門には"神の左"と言われる強力な左ストレートをもつ第2代RISEフライ級王者の数島大陸(及川道場)がおり、それについては「大陸のストレートは"神の左"とか言われてますけど、僕の左は大陸のとは違って一発でスパンと切り落とすような、なんでしょう、"魔の左"ですかね」と数島とは一味違う、強力な自慢の武器であると語った。
DEEP☆KICK初参戦も絶大なインパクトを残し決勝進出を決めた吉岡、決勝戦でも"魔の左"で龍翔をリングに這わせるのか。
[nextpage]▼セミファイナル DEEP☆KICK-70kg契約 3分3R〇KING弥百希(ROYAL KINGS)TKO 2R 1分4秒 ※レフェリーストップ×藤本 羽(フォー・オール・ボクシングコミュニティ)
セミファイナルで開催されたのはDEEP☆KICK-70kg契約のワンマッチ、現在プロ戦績2戦2勝1KOで昨年・今年の2年で実に4本ものベルト戴冠を達成しているROYAL KINGS所属の新鋭・KING弥百希が今回がプロ2戦目となる藤本を迎え撃った。
試合は1R、サウスポーに構え軽いステップで動きながらジャブにワンツー・フックと繰り出す弥百希、藤本は弥百希の入り際を狙いながらローに膝・ミドルからストレートと蹴り主体で返していく印象。特に膝が印象的だ、弥百希の踏み込みに合わせ膝を合わせていく、対する弥百希も中間距離では右インローに前蹴りを出しながら重い右フックにストレートで果敢に踏み込む、1Rはイーブンか。
続く2R、勝負は一気に動く。開始早々から伸びのあるローにミドルと放つ藤本に弥百希は左ストレートを連続でヒットさせ逆コーナーまで一気に藤本を下がらせていきコーナー際でラッシュをかける。ダメージはそこまでか、藤本は押されながらも冷静にパンチに膝と返しコーナーを脱出する。そしてここから仕切り直しと思われた後、弥百希の左ストレートが再び藤本を捉える。今度は明らかにダメージが見える、倒れはしないも下がる藤本に弥百希はここぞとばかりに猛ラッシュ、ストレートにフックと威力抜群のパンチを振るっていき藤本もたまらずに倒れこみダウン。
ダメージは甚大、立ち上がろうとするもバランスを崩した藤本を見てレフェリーは続行不可能を宣告、2R1分4秒、弥百希が無傷のプロ3勝目を勝ち取った。
試合後、弥百希はマイクを握ると「この3戦で僕の人間としての戦いの強さを見せれたと思うので、ROYAL KINGSの先輩たちみたいに、僕もベルトに絡んだ試合をしたいです」と林裕人実行委員長に直談判した。果たして只今絶好調のROYAL KINGS期待の新鋭がベルト挑戦に漕ぎつけることは出来るのか。
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▼第4試合 DEEP☆KICK-48kg契約 2分3R△上田樹那(山口道場)ドロー 判定1-1 ※30-29、29-29、29-30△Sero(NJKF健心塾)
今大会唯一の女子ワンマッチ、上田とSeroが激突する。もともと今試合は上田vsAyaka(NJKF健心塾)で決定していたのだが試合開催2週間前にAyakaが怪我により出場困難となり、同門であるSeroが急遽出場といった経緯があった。
試合は1R、細かくステップを踏みながら左ミドルにローと蹴り主体で攻める上田に鋭い左フックにストレートを軸にパンチ主体で攻めるSeroといった展開となる。中で上田は着実に左右のローを当てていき、Seroは離れ際にストレートを数度あてるなど互いにヒットを許しあう一進一退の攻防に。
続く2Rも同様の展開になると、Seroは圧を強め打ち合いの距離にもっていく。上田もこれに応戦し左右のフック、そしてローと打ち合いの最中でもローをきっちり当てていく冷静さを見せる。Seroも左ミドルを加えながら自慢のパンチを思う存分に振るっていき高いアグレッシブさを見せる、2R終了時点でのオープンスコアは2名が19-19、20-20でイーブン、1名が20-19で上田を支持する。
3R、このラウンド制した者が勝者となるだけに両者は開始早々から果敢に打ち出る。Seroが左右のフックにストレートとヒットさせれば、上田もストレートに左右のローでSeroの足が流れていく。互いに疲れが見えるも決して止まらずに打ち合い、正に女の意地をぶつけあった両者。
その激闘は最終ゴングまで続くも結果は1-1で痛み分けのドローとなった。まだまだ技術に気合も成長し続ける女子キックボクサー達、DEEP☆KICKでも女子ベルト新設を望む声もあるが果たして。
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▼第3試合 DEEP☆KICKヘビー級 3分3R〇武中秀武(魁塾 中川道場)TKO 1R 0分49秒 ※セコンドのタオル投入×RYOMA(NJKF健心塾)
DEEP☆KICKにおいて久方ぶりのヘビー級の1戦が開催。互いに1戦1勝1KOでありそのKOも1RKOという両者、武中とRYOMAのプロ2戦目同士が激突する。昨日に行われた前日計量では武中が109.05kg、RYOMAは90.20kgでクリアしておりその差はなんと約20Kg、正に無差別級であるヘビー級だからこそ成し得るマッチメイクだ。
ヘビー級の試合となればやはりド派手な打ち合いを期待したい、だがそうもいかない事があるのが現実だ。しかし当試合はそんな期待を大きく上回る試合となる。リング中央に揃い見合う両者、互いに身長190cm近くあることもありリングが小さくみえる、そして始まった第1R、互いに見合いながら距離を縮めると早速互いに左右のフックにローで近距離で打ち合い客席からも歓声が沸く。
中間距離になるとRYOMAは鋭いローにミドルを放ち距離が近づくと再びの打ち合いに、最中、RYOMAの右ストレートで武中が少し効いた様子を見せると今度は武中がお返し右ストレートをヒットさせ今度はRYOMAが大きく後ろに下がらされる。まるで怪獣同士のぶつかり合いを見てるようだ、客席からはこの日最大と言えるほどの歓声が沸いていたがその多くは驚きの声であった。
そして怪獣同士の一戦は瞬く間に終了となる。前述の通り下がらされたRYOMAにダメージが見えると武中はどんどんとパンチで前に打ち出る、そしてRYOMAが右フックを放ったところに武中の右ストレートがカウンターでクリーンヒットするとRYOMAはスイッチが切れたように崩れ落ちた。ダメージは想像に難くない、動けないRYOMAを見たセコンドがタオルを投入し試合終了、1R49秒、早々のKO決着ながらも今大会ベストバウトと言ってもいい大迫力の打ち合いとなった試合を武中が制した。
これでプロ2戦2勝2KOとなるもなんと武中はこれでキックボクシングは引退と話し、そして次はボクシングで世界ヘビー級ランカーになると宣言した。
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▼第2試合 DEEP☆KICK-55kg契約 3分3R×香川 刻(Blaze)判定0-3 ※18-20×2、17-20◯仁保彩晴(LEGEND GYM)※香川刻が偶発的なローブローを被弾、続行不可能と判断されたため2R2分47秒時点での判定
DEEP☆KICK-55kg契約のワンマッチ、前戦にて嬉しいプロ初勝利を飾り今回がプロ3戦目となる香川と4月にプロデビューを飾るもTKO負け、次こそはと意気込む仁保が対戦。
1R、互いに速いステップからロー・カーフと絡めながらストレートにジャブ・フックで攻め合う。目まぐるしく攻防は立ちかわっていき香川がストレートから膝にローとヒットさせると仁保はストレートにフックと合わせると後半にはカーフを連続でヒットさせ香川の足を流させる。
続く2R、前ラウンドに引き続き香川がパンチをまとめるか仁保がカーフを合わせるかと期待されるも開始早々に香川がローブローを被弾し試合がストップする。再開後、リングを周りながら左ミドルにストレートと膝で繰り出す香川に仁保はじわじわ圧をかけストレート、カーフと放っていく。中で仁保はロープ際で香川をパンチラッシュで詰めていくと香川はロープにもたれるような形となりダウンが宣告、仁保がファーストダウンを奪取する。
しかしダメージはないか、再開後、取り返すといわんばかりに今度は香川がストレートにフックと連続で当てていき仁保をコーナーに追い詰めるなど攻勢を見せる。すると流れで再び香川はローブローを被弾、回復を待ったが規定時間内での回復が見込まれないと判断され、試合終了が宣告。大会規定によりタイムの止まった2R2分47秒時点での判定となり、ダウンポイントが活き3-0で仁保が判定勝利を収めた。初勝利なだけに嬉しくないわけではないだろうが、仁保も次はスッキリとした勝利を掴みたい所だろう。
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▼第1試合 DEEP☆KICK-63kg契約 3分3R△小路督也(BLOW GYM)ドロー 判定0-0 ※28-28×3△仁(LEGEND GYM)
今回がプロデビューとなる小路と9月に1RTKO勝利を奪い2か月連続でDEEP☆KICKに参戦となった今回がプロ2戦目となる仁の1戦。
試合は1R、早々からカーフ連打で仁がじわじわ圧をつめていくと左フックで早速ファーストダウンを奪う。その後も自慢のパンチとカーフでどんどん前に出る仁、小路はやや下げられるも回復が見えるとストレートにフック・ローと着実にショートのパンチを細かく返していく。といってもダウンを奪った仁がこのまま優勢に進めるかと思いきや1R後半からはスタミナ切れかやや仁の手数が減った印象。
そして2R、それは顕著に表れた。フックにカーフと威力は見えるがやはり手数が少ない、逆に小路は調子を上げていき左フックにストレート、ローにボディ、パンチ連打と圧倒的にヒットを稼ぎラウンド終盤にはダウン寸前まで仁を追い詰める、2R終了時点でのオープンスコアは3者共に18-19で仁を支持。
最終ラウンド、仁は開始直後から左右のフック連打で前に出ると小路もこれに応じ互いに早々に打ち合いの展開となる。互いにここでダウンを獲りたかったところだが取るには至らず、そして2R同様に小路がパンチをまとめていく展開となる。ラウンド終盤、スタミナ切れも相まって倒れる寸前に見える仁、しかし小路もスタミナ切れと見える。それでも逆転に向け何とかダウンを獲りたい小路だがここで仁にローブローを当ててしまい、試合が一時中断する。
再開後、残り30秒は互いにややスタミナも回復したか息を吹き返し左右のフックで打ち合うが倒すに至らず試合終了、結果は3者共に28-28でドロー。互いに次への課題が見えた1戦となった。
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〈オープニングイベント〉NEXT☆LEVEL提供試合
オープニングイベント、アマチュアファイトではNEXT☆LEVEL提供試合としてTOP☆RUN関西一般の王座決定戦2試合にタイトルマッチ1試合と計3つの王座戦が執り行われた。中でもOP第3試合-55kg王座決定戦で対戦した永野太稀(修和館) vs 山中如楽(及川道場)の1戦は延長にもつれ込む激戦となる。延長ラウンドでは疲れの見える永野に山中はストレートに首相撲と着実に印象を残し結果3-0で延長ラウンドを制した山中が判定勝利を収めた。
他の2戦でも-65kgでは赤嶺拓也(拳心會館)がパンチ・蹴り・首相撲とどの局面にも対応できる実力を見せ判定勝利、-60kgでは現王者であり-55kgを制した山中如楽の兄・山中楽斗(及川道場)が安定した実力で初防衛を果たした。一般TOP☆RUNベルト戴冠を機にプロキックボクサーへの挑戦を決意する選手も多いだけに、この3選手がプロのリングに上がる日をまた心待ちにしたい。
▼OP第5試合 TOP☆RUN関西一般-60kgタイトルマッチ 1分30秒3R◯山中楽斗(及川道場)/王者判定3-0 ※30-27×2、30-28×西垣柊哉(パラエストラ森ノ宮)/挑戦者※山中楽斗がTOP☆RUN関西一般-60kg初の王座防衛に成功
▼OP第4試合 TOP☆RUN関西一般-65kg王座決定戦 1分30秒3R 延長1R×菊池太一(心武館)判定0-3 ※29-30×2、28-29◯赤嶺拓也(拳心會館)※赤嶺拓也がTOP☆RUN関西一般-65kg第15代新王者に
▼OP第3試合 TOP☆RUN関西一般-55kg王座決定戦 1分30秒3R 延長1R×永野太稀(修和館)延長戦0-3 ※9-10×3◯山中如楽(及川道場)※本戦の判定は29-29、29-30、29-29。※山中如楽がTOP☆RUN関西一般-55kg第8代新王者に
▼OP第2試合 -55kg契約 1分30秒2R◯和田祐翔(一心会)判定2-1 ※20-19×2、19-20×朴竜佑(VALIENTE)
▼OP第1試合 -55kg契約 1分2R◯富久天真(一心会)判定2-1 ※20-19×2、19-20×竹内直紀(ハトの穴)
(文・三野龍生/写真・石本文子)