ムエタイ
レポート

【RWS】伊藤紗弥が敗れる、初代女子王者はパヤーフォンに。石井一成が首相撲地獄に惜敗

2024/10/20 00:10
RWS2024年10月19日(土)タイ・ラジャダムナンスタジアム※U-NEXTにてLIVE配信 ▼ラジャダムナンスタジアム認定女子ミニマム級王座決定戦 2分5R〇パヤーフォン・バンチャメーク(タイ/同級2位)判定3-0 ※49-46×2、50-45×伊藤紗弥(尚武会/同級1位)※パヤーフォンが初代王座に就く。  伊藤はジュニアキックで数々のタイトルを獲得。2012年12月には中学2年生にしてタイでWPMF女子世界ピン級暫定王座に就いた。2014年4月に国内で正式にプロデビューを果たすと、国内外の強敵を相手に快進撃を続けWPMF・WMC・WBCムエタイ・IPCCと女子世界王座の四冠を制覇。BOM女子ピン級(-45.53kg)初代王座、BOM女子ライトフライ級(-48.98kg)王座も獲得。  2023年9月に『RWS』初参戦もモンクッペットに判定負けを喫し、RWSでの2分3R制を踏まえてパンチを強化して11月のBOMでは予告通り左フックでミンタを2RでKOした。12月にはラジャダムナンスタジアムで初勝利、2024年4月のRWS JAPANでは元K-1王者のパヤーフォンも判定で破り、7月にはラジャ4位のノンパーフォンとの熱戦も制して7連勝中。  対戦相手は、4月のRWS JAPANで対戦したパヤーフォン。元WPMF世界女子ピン級王者。2017年11月に初来日するとムエタイの試合で3連勝。2019年10月にKrush初参戦でKrush女子アトム級王者・高梨knuckle美穂に挑戦し、延長戦の末に敗れたものの高梨を苦戦させた。2022年6月の「K-1 WORLD GP初代女子アトム級王座決定トーナメント」の1回戦でMIO、決勝では菅原美優を破り、タイ人女性初のK-1王者に就いたが、2023年3月の初防衛戦で菅原美優にリベンジを許し、王座を失った。  7月には松谷綺に判定負け、ムエタイルールに復帰して2024年4月に伊藤と対戦したが判定で敗れた。伊藤戦はムエタイルール復帰戦で、本調子ではなかったと伊藤との再戦を臨んでいたというパヤーフォン。7月の再来日では5戦無敗で勢いに乗っていたカナ・ウォーワンチャイをヒジで流血させ、ヒザで圧倒して勝利している。 1945年に創立され、コロナ禍前までは女性がリングに上がることはおろかリングに触れることさえも許されなかったムエタイの聖地ラジャダムナンスタジアム。しかし、時代は変わって女人禁制が解け、2023年12月のRWSにて遂に78年の歴史上初となる女子王座が認定され、今回伊藤の階級であるミニマム級王座も新設された。その初代王座をこの2人が争う。  戦いの舞ワイクルーを伊藤はパヤーフォンよりも長く踊った。  1R、伊藤が右ロー、右ミドルを蹴り、パヤーフォンの右ハイは伊藤がスウェーでかわす。すかさず前蹴りで伊藤を転倒させるパヤーフォン。ならばと伊藤はパヤーフォンの右ミドルをかわして右ミドルを命中。伊藤は軸足蹴りで左ミドルを蹴ったパヤーフォンを転倒させる。互いに相手の蹴りをかわしての蹴りのリターンを狙う。オープンスコアは10-9×2が伊藤、10-9がパヤーフォンと割れた。  2R、前蹴りで互いを下がらせ合い、伊藤が右ミドルを2発蹴るとパヤーフォンは組みついてくるが組み負けない伊藤。前に出る伊藤が右ミドルを蹴るとパヤーフォンはスネブロックして左ミドルを蹴り返す。パヤーフォンは待ちの姿勢で伊藤の蹴りをカットしての蹴り返しを当てていった。伊藤はさらに右ミドルを蹴り返すが、それもパヤーフォンはカットして右ミドルを当てる。OPスコアはパヤーフォンの10-9×3に。  3Rも前に出る伊藤にパヤーフォンは2Rと同じようにカットしての蹴り返し。しかし、伊藤が軸足蹴りで豪快にパヤーフォンを転倒させる。焦るパヤーフォンは組みに行くが伊藤は足を開いてヒザを蹴らせず、左ミドルを2発当てる。パヤーフォンの蹴り返しにさらに蹴り返す伊藤。パヤーフォンは伊藤が得意とする右ミドルを徹底してカットしていく。オープンスコアはパヤーフォンの10-9×3に。  4R、伊藤の左ミドルにパヤーフォンが左ミドルを返すと伊藤が右ミドル。次の右ミドルにはパヤーフォンが左ミドルを返す。伊藤のミドルにすぐミドルを返して当てることを徹底するパヤーフォン。伊藤は左フックをヒットさせての右ミドル。パヤーフォンは前蹴りで体勢を立て直す。最後に右ミドルを当てたパヤーフォンはラウンドが終了すると笑顔で手を上げてアピール。OPスコアはパヤーフォンの10-9×3となった。  5R、左フックで攻める伊藤をパヤーフォンは前蹴りで突き放す。完全に待ちの姿勢のパヤーフォンへ伊藤は左ボディを蹴り、軸足蹴りで転倒させる。前蹴りで伊藤を近づけさせないパヤーフォンはミドルもカット。伊藤は右ボディを叩いてパンチで攻め込むがパヤーフォンが前蹴りで突き放す。  試合終了のゴングが鳴ると、パヤーフォンは伊藤のコーナーまで行って笑顔で伊藤を抱きしめる。判定は3-0でパヤーフォンが勝利。パヤーフォンは嬉し涙、伊藤は悔し涙を流し、もう一度抱き合って健闘を称え合った。  パヤーフォンは勝利者インタビューに「地元での試合でプレッシャーを感じていたけれどやり遂げてよかった。私は誰とでも戦います」と答えた。 [nextpage] ▼メインカード第1試合 フライ級 3分3R×石井一成(ウォーワンチャイプロモーション)判定0-3 ※28-29×3〇ペットバンライ・シンハ・マウイン(タイ)  石井は打倒ムエタイを掲げタイで試合を重ねながら、2022年8月からK-1にも参戦。K-1バンタム級王座決定トーナメントに出場するなどトップクラスと試合を重ねてきたが、2023年12月の黒田斗真とのK-1 WORLD GP バンタム級タイトルマッチを最後にK-1との契約を解除。今年3月9日、タイ・ラジャダムナンスタジアムで開催されたRWSではコンパヤックを相手に衝撃の初回KO勝ちを収めた。4月のRWS JAPANでは松田龍聖とドロー、7月のRWS JAPANではパントー・ポー.ラックブンに判定で敗れている。今回は約5年ぶりにスーパーフライ級から一階級下げてのフライ級で挑む。  ペットバンライは『ONE Friday Fights』に3度出場し、2勝1敗の戦績を残している。ONEでのオープンフィンガーグローブムエタイでは左右フック&アッパーでガンガンと前へ出て戦っていたが、石井を相手にどう出てくるか。  1R、右ローを蹴った石井はペットバンライが左ミドルを蹴り返してくるとキャッチして左のボディを打つ。石井は右ストレートからの左フック、左三日月、右ローでペットバンライにロープを背負わせていく。機を見て左ボディ。ペットバンライが右ミドルを蹴ると石井が左ボディのカウンター。ペットバンライは組みつく。右ボディストレートと左ボディでボディを攻めていく石井は左右ローも蹴っていく。オープンスコアは石井の10-9×3。  2Rは前に出てくるペットバンライが組みつこうとしたところへ石井が左ボディを打つも、ペットバンライはそのまま組み付いてきて首相撲からヒザ。ここから徹底して前へ出て組みついてくるペットバンライ。石井は組まれないようにバックステップで回り込むが、レフェリーから注意を受ける。すると石井は下がりながら左ボディ、左三日月、左ボディの3連打。ペットバンライはどんどん前へ出ては組みついてヒザ。前に出るペットバンライ、左ボディで迎え撃つ石井、組みついてヒザを蹴るペットバンライの展開が続く。このラウンドは10-9×3でペットバンライが取り戻した。  3R、右ストレートでボディを攻める石井だが、やはり前へ出るペットバンライの首相撲に捕まる。組みついてくるところに連打を見舞う石井は、ペットバンライが組んでくると顔を押してブレイクに持ち込むが、その後は捕まってヒザをもらう。しかし、ブレイク後の石井の左三日月が綺麗に決まり、続く左右ボディもヒット。石井は左三日月を狙うが徹底してペットバンライはスネブロック。ペットバンライが組んでくると顔を押して転倒させるが、足を掛けたことをレフェリーに注意される。石井の右ストレート、右ハイは不発。ペットバンライがしつこく組む。ペットバンライが勝ちを確信して下がって流し始め、石井が左右ハイ、ミドルで攻める。  判定は3-0でペットバンライの勝利に。石井の惜敗となった。
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