2024年10月5日(土)タイ・ルンピニースタジアムにて『ONE Fight Night 25: Nicolas vs. Eersel II 』(U-NEXT配信)が開催された。
日本から参戦の2選手の試合は中止に。箕輪ひろばがファイトウィーク中の現地での交通事故での怪我(むち打ち症状)により欠場。三浦彩佳は既報通り、対戦相手のジヒン・ラズワンがハイドレーションテストをパスできず試合が中止となっている。
なお、今大会からONE Championshipは、新たな計量ルールを導入。3時間の検査時間の最初の1時間以内に体重測定や水分補給に失敗した選手には、以下の通り、20%の罰金が科せられることも発表されている。
ONE Fight Night 25: Nicolas vs Eersel 2 速報
▼第9試合 ライト級キックボクシング世界タイトルマッチ 3分5R×アレクシ・ニコラ(フランス/王者)[判定0-3]〇レギン・アーセル(スリナム/挑戦者)※アーセルが新王者に
二コラはサバット出身。ISKA世界王座を持ち、2024年1月の『ONE Friday Fights 47』で初参戦。マゴメド・マゴメドフに判定勝ちして2024年4月、ONEライト級(※77.1kg)キックボクシング世界タイトルマッチの挑戦者に抜擢されると、王者アーセルを判定に破る番狂わせを起こして王座に就いた。戦績は24戦無敗。
アーセルは15歳でムエタイを始め、プロに転向するとすぐにオランダ国内には敵がいなくなり海外へ相手を求めた。2016年11月に『Lion Fight』にて世界スーパーミドル級王座をTKOで奪取すると3度の防衛に成功。2017年5月には『Mix Fight Gala』の78.5kgトーナメントでも優勝している。
ONEには2018年4月から参戦し、2019年5月にニキー・ホルツケンに判定勝ちでONEキックボクシング世界ライト級王座を獲得。その後、4度の防衛に成功すると2022年10月にはONEムエタイ世界同級王座決定戦で勝利、キックボクシングルールとムエタイルールの統一王者となった。
3月にシンサムットをKOしてムエタイ王座を初防衛、6月にはドミトリー・メンシコフをKOして2度目の防衛に成功。2016年3月から8年間無敗・23連勝を飾っていたが、2024年5月のアレクシ・ニコラ戦で判定負け。キックボクシング世界王座を奪われた。今回ダイレクトリマッチに挑む。
1R、ともにオーソドックス構えから。サウスポー構えにスイッチしたアーセル。ニコラは右ミドル、奥足ロー。アーセルがオーソにすると右カーフ! アーセルも蹴り返し。しかしニコラは右ロー、インローも。詰めるアーセルはサウスポー構えから左右でワンツーヒザ。さらにアーセルは左ハイをヒット! 一瞬動きが止まったニコラだが戻してゴング。
2R、右ミドルを突くニコラ。アーセルも左インロー、ワンツーの右でニコラを下がらせる。距離を詰めるアーセルはオーソからワンツー。さらに右ストレートをヒット! 頭をずらしながら受けて体を入れ替えるニコラはボディ打ち、左下段蹴りの打ち下ろし。
左ミドルのニコラに、アーセルも詰めて右ミドルだが、ニコラは右テンカオ! ボディ打ち。右カーフをダブルで突く。押し込み左ロー、右ストレートで詰め返すアーセル。
3R、ジャブの差し合い。ワンツーボディ打ちのニコラに左ボディから右を強振して前に出るアーセル。左ボディを当てるニコラは右カーフ。外受けするアーセルは右ストレートもかわすニコラは右ミドル。アーセルも左ミドルを返す。
ニコラも手数を増やし右ハイ。ブロッキングのアーセルに右跳びヒザで前に。アーセルも左右で押し返すが上体がブレる。
4R、ジャブのダブルはニコラ。左ミドルに、アーセルは右ローを返す。オーソで右回りのアーセルに右ストレートを打ち下ろすニコラ。さらにオーソから左ミドルを当てる。ジャブをかわしたアーセルは右を突く。右ミドルをガード上に当てるニコラ。アーセルも右インローの蹴り返し。コーナーに押し込むニコラ。固めて打ち返すアーセル。
5R、ワンツーに右ミドルのニコラ。アーセルも左ミドル。中央を取るニコラが先手。アーセルはそこに右ヒザ。ニコラは右ハイをヒット! しかしアーセルも左ジャブでアゴを上げさせ、右テンカオ。右ストレート、左ミドルのニコラ、右跳びヒザはかわしたアーセルは胸を叩き、右ストレートを突いてゴング。
前半を制したアーセルが、ニコラの猛攻も凌ぎ、判定3-0で勝利。リベンジとともにベルトを巻いた。ニコラは24連勝でストップ。試合後、アーセルは「もっと動き回るように、パワーよりスピードで対抗した。ボクシング特訓の成果も出た。次はムエタイ王座の防衛をしたい」と語った。
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▼第8試合 ライト級 ムエタイ 3分3R×シンサムット・クリンミー(タイ)[判定0-3]〇ユセフ・アスイック(デンマーク/モロッコ)
シンサムットはムエタイジムを営む家庭に生まれ、4歳から練習を開始。兄は海外で活躍し来日経験もあるスッドサコーン。ジムにはヨックタイ、ランバーなど有名なムエタイ選手のほかWBCとWBAの世界王者もいたという。
7歳で初めての試合を行い、21歳で徴兵されるとボクシングでナショナル王者にも輝き、2019年の国際ミリタリースポーツカウンシルでのトーナメントではオリンピックボクサー2人から勝利を収めた。
兵役を終えてムエタイに復帰すると2022年3月にONE初参戦を果たし、ニキー・ホルツケンをカウンターの右でKOした。2022年10月にはONEムエタイ世界ライト級王座決定戦をレギン・アーセルと争い、判定2-1の僅差で敗れ、2023年3月の再戦でのタイトルマッチではKOで返り討ちにされた。6月にビクトル・テイシェイラを2RでTKOして再起を飾ると11月にはムーシネ・チャフィに判定勝ち。2024年5月のドミトリー・メンシコフ戦では3RにKO負け。
アスイックは15歳からムエタイを始め、デンマークのアマチュア王者に何度も輝き、IFMA(国際ムエタイ協会)のジュニア部門で北欧、ヨーロッパ、世界王者になった。2014年にプロになると、2015年10月にWKNスカンジナビアK-1 64.4kg級王座に就く。その後、2017年にISKA世界K-1ルール ライトミドル級(72.5kg)王座、2023年にWMA世界ミドル級王座も獲得。GLORYには3度出場し、2勝1敗。1敗はティジャニ・ベスタティに付けられたもの。現在2019年8月から9連勝中でONE初参戦を果たす。
1R、オーソドックス構えのシンサムットに、サウスポー構えのアスイック。シンサムットの蹴り足を掴んで崩すアスイック。じっくり構えて左の蹴りはアスイック。シンサムットはヒジ上に当てる右ミドル、ストレート。アスイックは右ローを突き、右ストレートはまだ遠い。シンサムットは左の蹴りをかわす。
2R、左ミドルから入るアスイック。スイッチして前に。シンサムットの右ミドルをスウェイでかわす。右ローの蹴り合いから左ヒジのアスイックにシンサムットも右ヒジ。しかし、アスイックの左ローにシンサムットが尻餅。
さらに左ミドル、左ストレートのアスイックが前に。シンサムットも右ヒジ、右ストレートで前に出るが、さばくアスイックは左ミドル。シンサムットのワンツーを外して首相撲にとらえる。ワンツー、ボディで前に出るシンサムットに、アスイックはかわしたとアピール。
3R、前に詰めるシンサムットに、下がりながらさばき左ミドル、近づくと首相撲のアスイック。シンサムットはコーナーに詰めてワンツーもアスイックはガード。左ミドルを足を上げてチェックしたシンサムットが前に。
しかし左ミドルのダブルで迎え撃つアスイック。詰めるシンサムットにムエタイの5R目のさばきを見せるアスイック。ゴングにコーナーに登り、アピールする。
判定は3-0でアスイックが勝利。10連勝をマークした。
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▼第7試合 ONEバンタム級 ムエタイ 3分3R〇ジョン・リネカー(ブラジル)[1R 2分14秒 KO]×アレクセイ・バリカ(ロシア)
リネカーは元UFCで元ONE世界バンタム級王者。2023年2月のファブリシオ・アンドラージとの再戦で4R TKO負け後、キム・ジェウォン、ステファン・ロマンに連勝も、2024年1月に青木真也に1R 一本負け。9月にONEムエタイルールに初挑戦するとエイサー・テン・パウを2Rに右フックでKOしてみせた。
バリカはTiger Muay Thai所属のロシア人キックボクサーで、2023年9月にONE初参戦。2連勝していたヨッドIQ・オー・ピモンシーからダウンを奪って判定勝ちすると、2024年1月にはあのスアキムと対戦。
ダウン応酬の激闘となり、最後はバリカが3Rに左フックでスアキムをKOした。3月のパンリット戦では判定負けとなったが、7月にステファン・コロディを左フックで初回KOしてONEでの戦績を3勝1敗とした。踏み込みの速さが脅威。
1R、リネカーが右フックをフルスイング、バリカはどっしりと構えて首相撲からのヒザ。リネカーは身体を沈ませて右のフェイントから飛び込んでの左フックでダウンを奪う。
回り込むバリカだが、再び左フックをもらってダウン。リネカーがロープを背負ったバリカに右のフェイントから左フック、左右ボディから左フックを叩き込むと、バリカはゆっくりと倒れていった。
オープンフィンガーグローブのONEムエタイルールで2試合連続KOとなったリネカーは5千ドルのボーナスもゲット。「ロッタンと戦いたい」とアピールした。UFCフライ級では当時3位のイアン・マッコールも下しているリネカーだが、4度の体重超過でバンタム級に転向させられている。
そして、ONEムエタイ世界フライ級王者のロッタンは11月にジェイコブ・スミスを相手に防衛戦で再戦(※ロッタンとスミスは2022年5月、ONEフライ級ムエタイ世界GP準々決勝で対戦しロッタンが判定勝ち)。そして、その後は武尊との一戦が待っているため、順番待ちとなりそうだ。
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▼第6試合 ストロー級 MMA 5分3R×ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)[判定0-3]〇マンスール・マラチエフ(ロシア)※※マラチエフが、最初の1時間の時間枠内で計量とハイドレーションテストに不合格。しかし、その後の2時間の時間枠内で計量とハイドレーションテストの要件を満たした。試合は予定通り行われるが、マラチエフはファイトマネーの20%を没収され、その金額は対戦相手が選択する慈善団体に寄付される。
MMAのメインとなる第8試合では、ストロー級2位のボカン・マスンヤネ(南アフリカ)が、5位のマンスール・マラチエフ(ロシア)が対戦する。
正規王者がジョシュア・パシオ(フィリピン)で、暫定王者がジャレッド・ブルックス(米国)、3位がグスタボ・バラート(キューバ)というONEストロー級には、今大会でサンジャル・ザキロフ(ウスベキスタン)と対戦する箕輪ひろば(※今大会を怪我で欠場)が4位につけ、ノーランカーながら3月にジェレミー・ミアドに一本勝ちした山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We)もランキング入りを狙っている。
対するマラチエフは、2月の猿田洋祐戦での判定勝ちから連勝で王座戦線に名乗りを挙げるつもりだ。
マスンヤネの唯一の黒星は、2022年に現1位のジャレッド・ブルックス(米国)に付けられた1敗のみ。箕輪ひろばや山北渓人らに勝利して大きくリードし、現時点でランキングの上位に立ち塞がるのはブルックスと現ONEストロー級MMA世界王者のジョシュア・パシオ(フィリピン)となる。
1R、オーソのマラチエフは、サウスポー構えのマスンヤネに右の後ろ廻し蹴りを見せる。かわしたマスンヤネだが、右バックフィストをガード上に当てるマラチエフ。
マラチエフの右の打ち終わりに一瞬組もうとしたマスンヤネだが、突き放すマラチエフ。今度はマラチエフから足を取りに行くが、そこにがぶりヒザはマスンヤネ!
左で差して押し込むマスンヤネがヒザ蹴り。マラチエフは手首をコントロールしてクラッチさせず。マスンヤネが細かいステップで展開を速く首相撲ヒザ。クリンチボクシング、さらにマラチエフの組みを脇を潜りバックへ両足をかける。
手首を解除し、右肩を落として前に落とそうとするマラチエフは上を取ろうとするが、マスンヤネも足を解いて互いに立ち上がり。左右細かいステップとパンチで詰めるマスンヤネをかわして組んだマラチエフがコーナーに押し込みゴング。
2R、左右に回りながら角度をつけて左右のマスンヤネに、右ストレートを当てるマラチエフ。止まらないマスンヤネに、下がりながらも左を当てたマラチエフ。マスンヤネも左を返すと、マラチエフは右ミドル、右フック! 下がったマスンヤネに左前蹴りで腹を狙う。
マスンヤネは詰めて左で差して組んでコーナーに押し込み右を突く。さらにクリンチボクシング。離れるマラチエフに右で差して投げようとしたマスンヤネに崩れずにコーナーに押し込んだマラチエフ。しかし体を入れ替えたマスンヤネ! 左で差してシングルレッグに移行も、右オーバーフック、スプロールで切るマラチエフ。
右の後ろ廻し蹴りをかわしたマスンヤネは前に。右カーフを2発当てるマラチエフ。左フックを当てるマスンヤネが前に。一進一退の攻防も、試合を作っているのはマスンヤネか。
3R、インローのマラチエフ。左右振ってコーナーに押し込むのはマスンヤネ。マラチエフは右小手に巻くもコーナー背に。シングルレッグを狙うマスンヤネは右をこつこつ突いて、再び足狙い。
ここは差し上げるマラチエフだが、コーナー背にしたまま。右ヒザを着くマスンヤネ。体を入れ替えたマラチエフは左フック、右ハイで前に。
スイッチしながら左を突いて前に出るマスンヤネは首相撲から跳びヒザ! さらにマラチエフの組みを切ってがぶり。コーナーに押し込み右をこつこつ打ち込む。離れ際に左ハイを打ち込むマスンヤネは、マラチエフの廻し蹴りもかわすが、マラチエフはここでダブルレッグテイクダウン!
マスンヤネに背中を着かせるが、ハーフから亀で立つマスンヤネ。バッククリンチからヒザを突き、ボディロックで回すが、マスンヤネもついていって座ってゴング。
細かいステップで角度をつけた打撃とクリンチボクシングのマスンヤネに、マラチエフは右ストレート、最後にはテイクダウンで背中を着かせたが……判定は3-0でジャッジはマラチエフを支持した。
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▼第5試合 フライ級 ムエタイ 3分3R〇ジョハン・エストゥピニャン(コロンビア)[2R 1分07秒 KO]※左ストレート×ザカリア・ジャマリ(モロッコ)
エストゥピニャンはコロンビア初のONEファイターで、2024年5月の『ONE Friday Fights 64』で初参戦、大森弘太を1Rわずか27秒でKOし、6月の『ONE 167』ではザファー・シャイックに判定勝ち。9月にはショーン・クリマコを右フックで2RにKOし、3連勝を飾った。リーチはなんと188cm。
ジャマリは2024年3月の『ONE 166』でアリ・サルドエフにKO負けも、5月の『ONE Fight Night 22』ではトンプーンに判定勝ち。8月の『ONE Fight Night 25』では体重超過したうえにアリーフ・ソー・デチャパンに初回KO負けを喫した。元プロボクサー。
1R、サウスポーのエストゥピニャンが左ストレートから右フック、左ハイ。ジャマリは右オーバーハンドをひっとさせ、グラついたエストゥピニャンだがすぐに連打で反撃。逆に右フックでジャマリに腰を落とさせる。
エストゥピニャンは左右の前蹴りを多用し、右アッパー、右カーフ、左ハイ、左ストレートを打つ。前蹴りで下がるジャマリへ踊るように襲い掛かるエストゥピニャン。ジャマリはカウンターを取ろうとするが、エストゥピニャンは左ハイから左右フックでジャマリをコーナーへ釘付けにするが、ジャマリが右ストレートをヒットさせてニヤリ。
2R、左右の前蹴りに飛びヒザ、左ハイと踊るように動くエストゥピニャン。ジャマリは頭を振ってエストゥピニャンのパンチをかわそうとするが、エストゥピニャンが右アッパーでアゴを上げさせておいての左ショートを打ち込み、ジャマリがバッタリと倒れる。立ち上がることは出来ず、エストゥピニャンが26連勝を飾った。
「殴られてちょっとキレたんだ。俺を殴っていいヤツはこの世にいない。蹴るプランだったが変えないといけなかった。みんなのためにショーをするんだ」と勝利者インタビューに答えたエストゥピニャンには、5万ドルのボーナスが贈られた。「母のためにコロンビアで家を買いたい」とエストゥピニャンは大喜びした。
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【中止】
▼第4試合 ストロー級 MMA 5分3R箕輪ひろば(日本)サンジャル・ザキロフ(ウズベキスタン)※箕輪がファイトウィーク中の現地での交通事故による怪我で欠場
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▼第3試合 キャッチウェイト (54.0kg) ムエタイ 3分3R×エイミー・ピルニー(スコットランド)[判定0-3]〇シール・コーエン(イスラエル)※※コーエンがハイドレーションテスト不合格。アトム級でのムエタイ戦は中止に。対戦相手のエイミー・パーニーは試合を行うことを希望したため、コーエンに翌日の再テストを許可。コーエンはハイドレーションテストに合格し、119.25ポンドのキャッチウェイトでのムエタイ戦が交渉された。コーエンはファイトマネーの50%をパーニーに譲渡して試合実施に。
ピルニーはアマチュアムエタイで多数の金メダルを獲得し、プロではWBCムエタイ・インターナショナル女子フライ級王座、ISKAイギリス女子スーパーフライ級王座、ISKAムエタイ女子ストロー級王座、ENFUSION世界女子52kg級王座、ライオンファイト女子スーパーフライ級王座などを戴冠。2015年、2016年、2019年にはUKムエタイアワードで年間最優秀女性ファイターに選出された。現在21連勝中でシルビア・ラ・ノット、ララ・フェルナンデスにも勝利している。2024年8月にONE初参戦を果たすとユー・ヨウ・プイを1Rわずか49秒で左フックによる失神KO勝ちを収めた。
コーエンはキックボクシングを15歳から始めてWAKOワールドゲームズで優勝。ムエタイの名門フェアテックスで練習を積み、Road to ONEから本戦出場の切符をつかんだ。ONE初参戦は2024年3月でテオドラ・キルオバにTKO勝ち、8月にはフランシスカ・ベラに判定勝ちして2連勝。9勝(3KO)1敗。イスラエル人ではONE初の契約選手となる。
前日計量でコーエンは時間内にハイドレーションテストをパス出来なかったが、ピルニーが試合を希望したためキャッチウェイトで試合が行われることになった。コーエンはファイトマネーの50%をピルニーに支払う。
1R、前蹴りを多用して前へ出て行くピルニーは、右ストレート、右ロー、左右ボディと攻撃を散らしていき、接近すると首相撲でコカす。前に出るピルニーに下がるコーエンは、ピルニーの蹴りに合わせて右を打つ。ピルニーが右フックからの右アッパー。下がるコーエンにピルニーは追いかけるのをやめ、その場に立ち止まる。
2R、左右の前蹴りを放って右ストレート、強い右ローと右ミドルを蹴るピルニー。コーエンは蹴りをキャッチしてのコカしを見せる。中盤を過ぎると急にコーエンが前に出て左右フックと右ローで攻め込むが、ピルニーは首相撲からのコカしで攻撃を遮断する。ピルニーはコーエンに蹴り足をキャッチされると、足を持たれたまま右の連打。蹴りに合わせて右を打ち、ピルニーが下がると圧をかけて右を打つコーエン。ピルニーはヒジで対抗。
3R、パンチで前へ出るコーエンを首相撲で回し飛ばすピルニー。首相撲持ち込むと鋭いヒザを蹴る。ピルニーがヒジを打ちに行ったところでコーエンの左手がアイポークになり、試合は中断。前に出て左右フックを打つコーエンにピルニーは首相撲で対抗。ピルニーが左ミドルを蹴るとコーエンが左フックを当てる。ピルニーの蹴りにパンチを合わせていくコーエン。疲れが見えるピルニーにコーエンが攻め込むラウンドとなった。
判定は3-0で、2R中盤から左右フックで攻撃に転じたコーエンが勝利した。
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▼第2試合 ストロー級 ムエタイ 3分3R×トンプーン・PK・センチャイ(タイ)[判定0-3]〇ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)
トンプーンは2023年3月の『ONE Friday Fights 10』から参戦し、トゥモロー、ペットモンコル、ヤンダムに3連勝して12月の『ONE Fight Night 17』に出場。エリス・バドル・バルボーザのボディブローにKO負けを喫したが、バルボーザに禁止薬物の陽性反応が出たため無効試合に変更されている。2024年2月はティムール・チュイコフにTKO勝ち。しかし、前戦の5月にザカリア・ジャマリに判定負けでONE初黒星を喫した。ニックネームは“タイのサイタマ”とワンパンマンの主人公の名前を持つ。
ボテーリョは2015年4月のK-1に来日し、寺戸伸近に判定負け。2018年6月にONEで小笠原裕典に逆転KO負け。同年12月にはパンパヤックに判定負けも、2019年3月には渡辺優太に判定勝ちでONE初白星。しかし、その後はスーパーレック、内藤大樹、品川朝陽、アスランベック・ジクレーブに泥沼の4連敗。崖っぷちで迎えた2023年11月、“中国の天心”として話題となったジャン・ペイメンから番狂わせの判定勝利をつかむも、この試合を最後にONEから離れていた。
1R、いきなり前に出てワンツー、組んでのパンチを見舞うトンプーン。ボテーリョは首相撲に持ち込んでヒザを蹴る。ボテーリョの右フックにトンプーンは右縦ヒジを合わせる。ボテーリョの左フックには右フック。前に出るボテーリョが左右フックを繰り出せば、トンプーンは左ボディ、すかさず首相撲からのヒザに持ち込むボテーリョ。左ボディと右フックで攻め込むトンプーンに左ミドル、ヒザで対抗するボテーリョは、トンプーンのヒザに左フックを合わせ、トンプーンがグラつく。ラッシュをかけるボテーリョにトンプーンは首相撲でしのぐ。
2R、まだ動きが鈍いトンプーンの右ボディストレートに右フックを合わせるボテーリョ。トンプーンは右ストレートをヒットさせて前へ出るが、ボテーリョは左右ミドルで応戦。左右フックで前に出るトンプーンに左右ミドルや首相撲で対抗し、どちらがタイ人か分からない試合展開。ボテーリョが右手を前に出して右ミドルを蹴った際、指が目に入ってしまいドクターチェックに。再開後も前に出るトンプーンにボテーリョはヒジとヒザで応戦。左ミドルとバックスピンエルボーも繰り出す。トンプーンも右ヒジを打つ。ボテーリョは右足を前に出すと同時の右フック、右ヒジを決めていく。
3R、スイッチすると同時に左ストレートを打つボテーリョ。前に出るトンプーンを左右のヒジ・ヒザで迎え撃つ。クリンチが多いボテーリョには注意が与えられる。ボテーリョは打ち合わず、組んでの逃げ切り態勢。最後はボテーリョが左フックを当てて終えた。
判定は逃げ切ったボテーリョが判定3-0で勝利。連勝を飾った。
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▼第1試合 キャッチウェイト (61.8kg) MMA 5分3R〇ダニエル・ウィリアムス(豪州/タイ)[判定3-0]×バンマ・ドゥオジ(中国)※体重超過、35%をウィリアムスに支払う
ウィリアムスはキックでも戦うオールラウンダー。2024年2月の前戦ではリト・アディワンに判定負け。ドゥオジはONE1勝1敗。前戦は2023年7月にボルター・ゴンサルベスに判定勝ち。
1R、オーソのウィリアムスに、サウスポー構えのドゥオジ。ウィリアムスもサウスポー構えにスイッチを見せるとインローをヒット。ドゥオジは左ストレートを当てる。ウィリアムスの入りに右ヒジを合わせて尻餅を着かせるウィリアムス。
ワンツーから詰めるドゥオジは組むが突き放すウィリアムスは右ミドルをヒット。ドゥオジも右前手のフックをガード上に突く。右ボディストレートから右ストレートを首もとに突いてダウンを奪うウィリアムス。すぐにドゥオジも立ち上がる。
2R、右ボディストレート、右ミドルと腹攻めのウィリアムス。その入りに右前手を狙うドゥオジ。左ストレートで前に出るドゥオジに、なおも右ボディ打ちのウィリアムス。さらにミドルも、その蹴り足を掴んでテイクダウンのドゥオジ。
すぐに立つウィリアムスをコーナーから剥がして崩すが、残すウィリアムスは前に。右を振るウィリアムスに左を返したドゥオジがダブルレッグで尻を着かせてゴング。ウィリアムスはロープを掴んでしまう。
3R、右ローを突くウィリアムス。ドゥオジは左ミドル。インロー。サイドキック。詰めるウィリアムス。互いに手数が減るなか、ウィリアムスの右とドゥオジの左が交錯。右ミドルを打って前に出るウィリアムス。
サークリングのドゥオジは左ボディ、右ミドルのウィリアムスの蹴り足を掴もうとするがウィリアムスは足を引き、さらに右ミドル。その打ち終わりにダブルレッグのドゥオジは尻着かせるもすぐに立つウィリアムス。
続くシングルレッグを切るウィリアムスは右の連打で前に! 下がるドゥオジはダブルレッグも差し上げたウィリアムスはキムラ狙いから解いて突き放し。さらにシングルレッグを潰して鉄槌! 最後にスーパーマンパンチを見せてゴング。