南米のキックボクシング団体WGPの王者であるアギーレ(C)K-1
2024年9月29日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館『K-1 WORLD MAX 2024』の8名参加ワンデイトーナメント「第7代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王座決定トーナメント」一回戦で、中国のメン・ガオフォン(天津阿福ファイトクラブ/CFP)と対戦するアルゼンチンのトーマス・アギーレ(Dojo Serpiente)が、王座奪取へ向けて意気込みを語った。
アギーレはWGP Kickboxingスーパーライト級(-64.5kg)王者で、23年1月のGLORY RIVALS 5にてメキシコのエイブラハム・ヴィダレスと激闘を繰り広げた。左右のフックとローキックの破壊力は抜群で、打ち合いに強いところが持ち味のひとつだ。
ガオフォンは、オウヤンと同門の武林風の -65Kg級世界王者で、23年11月にセルゲイ・アダムチャックを破り、同王座を獲得。19年12月には日本のクボマサヤをGLORYのリングで下し、24年3月にはアリハン・オズドエフから判定勝ちを収めた。今回は中国代表として参戦する。
K-1への思いや、情熱を感じて欲しい
――初来日でK-1初参戦となりますが、格闘技を始めたキッカケを教えてください。
「僕の父と母は空手の黒帯を持っているんだ。僕にとっての小さい時のおもちゃは格闘技のグローブだったんだよ。なので、格闘技は自然と自分の人生に入って来た。7歳か8歳の時に初めてグローブをつけて、9歳の時には試合をしていたよ」
――幼少時から戦いが身近にあったのですね。子供の頃、好きなK-1選手はいましたか?
「アンディ・サワー選手やブアカーオ選手が好きだった。特にサワー選手に関しては2003年から2004年のK-1をよく見ていたので、大好きな選手だったね。もちろん魔裟斗選手も好きだったよ。2人とも似たスタイルをもっていて、実はファイトスタイルを真似ているんだ。コンビネーションや、強打、キックも彼らのスタイルを自分に取り入れている」
――愛称は、なんて呼ばれているのですか?
「10歳の頃、コーチでもある父が自分のことを“ジャッカル”って呼んでくれて、それからみんなにも言われているよ。自分は忍耐強く、ミスを誘発し、相手を倒す姿からそう呼んでくれているみたいだ」
【写真】8名によってK-1スーパー・ライト級王座が争われる
――アルゼンチンのキックボクシングのレベルや、人気度は?
「実はアルゼンチンでは毎週トーナメントが開催されているし、才能のあるファイターもいっぱいいる。でも、K-1やGLORYといった国際的なトーナメントはない。ここ数試合はアルゼンチンでもアルゼンチン人とも試合をしていないしね。国際的に大きな大会に出ないと自分の実力を証明することが難しい」
――南米代表としての参戦になります。
「最終的にアルゼンチン出身のキックボクサーの力を証明出来れば良いが、そこに重きは置いていない。自分はK-1に上がれるだけの選手であり、その価値があることを証明したい。もちろんアルゼンチンのことは大好きだし、母国を愛しているが、自分がK-1のリングに上がれるのはアルゼンチン最強のキックボクサーとしての地位を確立出来たからだと思う。その点を証明したいね」
――WGPのレベルは?
「南米では最も重要な団体だと思う。K-1を目指すキックファイターにとって登竜門的な団体だからね。南米のキックボクサーであれば誰もが夢見てリングに上がり、南米で最高のファイターが集結する最大の団体だと思う」
――GLORYでも試合をしていますね。
「GLORYでの試合は、自分の人生で最もタフだったし、いろいろなことを学んだよ。リングでの相手への尊敬の念の示し方とかね。ただ同時に相手のランキングを恐れないということを学んだ。相手が格上だからといって恐れず、勝利に前進する姿勢。それらの教訓をもとに、K-1のリングに上がるつもりだ」
――自分のファイトスタイルは?
「伝統的なキックボクシングのスタイルで、基本はパンチで攻めていく。強いパンチを打ち続けてかつ、パンチのコンビネーションも入れる。最後にキックで仕留めるスタイルだ」
――得意技は?
「自分はボクシングをベースにしているので、パンチには自信がある。特にボディには自信があるよ」
――対戦相手のガオフォン選手の印象は。
「自分より背が高いなって率直に思った。この階級の中でも高い方じゃないかな。いいファイターだとは思うけど、それしか印象はない」
――ガオフォン選手以外で気になる選手は?
「他の選手の映像も見たけど、自分の興味を引く選手はいなかった。もちろんトーナメントに参加するので、すべて選手は見たがみんな同じようなレベルだね。今はガオフォンに集中している」
――ワンデイトーナメントに参戦することに対しての不安は。
「心配はない。1回戦目は速攻で勝つ。そして、その次の試合もね。1日で3回戦うということは、負傷は避けなければならないし、体力を出来る限り温存しなければならない。戦略も持っているから特には心配とかはしていない」
「日本で有名になり、魔裟斗やブアカーオに並ぶスター選手になりたい」
――どこに注目してほしい?
「K-1のリングに上がることは小さい時からの夢。今はK-1以外の団体には上がりたくないと思っている。技術の高いキックボクシングと攻めていく姿勢、そしてK-1に対する情熱を見てほしい」
――高いKO率を誇っているが、意図的に狙っているのか。
「KO率の高さは、すべての戦略がはまっているから。すべての試合で、KOするまでのプロセスを考え実行している。コーチたちが対戦相手の分析をしてくれて、それに基づいた練習をしているから、偶然ではない」
――アギーレ選手にとってK-1のリングに上がる意味とは。
「今日までの努力や、キャリアの積み重ねはすべてK-1のリングに上がるためのもの。そして、このトーナメントに何がなんでも勝つ!」
――最後に、このトーナメントに向けての意気込みを聞かせてください。
「今回、日本に行くのは旅行じゃない。日本のファンには、このトーナメントで勝利し、王者になるところを見届けてもらう。自分の戦いを通して、K-1への思いや、情熱を感じて欲しい。もちろんK-1の一部になれたことは嬉しいし、光栄なことではある。ただ、もう一度言うが、自分はK-1ファンと写真を撮りに来たわけでない。勝利を掴むために来たんだ!」