2024年9月1日(日)神奈川・横浜大さん橋ホールで開催される『Shimizu presents BOM47』(U-NEXT配信)にて、WBCムエタイ ダイヤモンド スーパーフライ級(52.16kg)タイトルマッチ3分5Rをペットアヌワット・ノーアヌワットジム(タイ)と争う名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
7月の『RWS JAPAN』でラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級王座2度目の防衛に成功した名高は、連勝記録を「31」に伸ばした。今回はホーム林である『BOM』での試合となる。
今回の試合に懸けられるダイヤモンドベルトとは、その階級で最も非凡な精鋭ボクサーを評価する報酬として贈られるダイヤモンドなどの宝石と金を使用した高価なベルト。これまでブアカーオ・バンチャメーク、センチャイ・PKセンチャイムエタイジムといったムエタイの歴史に燦然と名を輝かせる名選手のみに贈られている、ムエタイというスポーツにおける最高レベルの成果を象徴するもの。ムエタイのスキル、強さ、精神を戦いで発揮した最高の選手に与えられる名誉あるチャンピオンベルトだ。
クンスックレック選手は王者でなくなってしまったので、無理してやることもないのかなと
――前回7月のジョムホート戦を振り返ってください。
「2度の目の防衛戦でもちろん落とせない試合でした。3R目にダウンを取って狙っていたKOはできなかったんですけど、自分が小さい頃から見ていたジョムホート選手と拳を交じることができて、すごく内容の濃い試合ができたと思います」
――あのダウンを取ったヒジは狙っていたもの?
「流れの中で出た技ではあるんですけど、結構自分がダウンを取るときは左のヒジが多くて、右ヒジで明確にダメージを与えてダウンを取ることはあまりなかったので、またどっちのヒジでも倒せるという自信にはなりましたね。あのヒジに関しては、見えてなかったので、より効いていたと思うんですけど、当たりはちょっと浅かったので立ってくるだろうなとは思いました。でも、立ってきた後にまとめる時間があれば、KOも狙えたと思うんですけど、ゴングが鳴ってしまい、その後のインターバルの2分間で回復されてしまったなと思いました」
――ジョムホート選手はかなりのベテラン選手でしたが、ベテランならではの細かいテクニックや驚かされたものはありました?
「全体的に畳み込ませないディフェンス技術と、あとはジャブがかなり速くて、もらいはしなかったですけど、結構やりづらさを感じましたね」
――ご自身に取り込みたい技術もありました?
「来た時に合わせるパンチもかなりジョムホート選手は上手かったので、そういったところは結構、次の自分の動きに参考になるかなというものがあり、試合後も試合映像を何回も見ました。分析をするのは好きなので、この試合でも勉強になることが多かったと思いました」
――あそこまで圧倒して最後に倒しきれなかった理由は?
「4R目の試合中にジョムホート選手からタイ語で『キミ凄いね。僕は足がもう動かない…』と言われ、負けを悟った相手に対して、それ以上攻めづらいムードがありました(苦笑)。それでも、僕はジョムホート選手は魅力のあるムエタイ選手として尊敬しています」
――見ているお客さんもいることで、倒さなきゃというのはなかったですか?
「もちろんありましたけど、どうしてもあの状況になってしまうと攻められなかったですね」
――名高選手の優しさが出てしまったと。
「見ているファンの方や応援してくださっている方には、申し訳ないという気持ちはあります。中川(夏生)会長からはああいう状況になったら『もう行かなくていい』といつも言われているので、今回に関しても何も言われていないです。ただ、3Rとかに攻め切るシーンの時に『もうちょっと倒しきる力が欲しいよね』というアドバイスはいただきました。そこで倒せていれば良かった話だと思います」
――名高選手の試合の前では松田龍聖選手が、名高選手との試合が期待されていた41連勝中のクンスックレック選手にKO勝ちしました。動揺はなかったですか?
「特に動揺はなかったですね。自分はどんな状況であれ、どんな相手であれ、自分の試合をするというのは、もうずっと自分の中で決めていることです。ただ、僕の前の試合がKO勝ちだったから、それに続きたいとは思いましたが、焦らずに行こうという感じでした」
――クンスックレック選手は負けはしましたけど、今後、拳を交えたいというのはありますか?
「もともとお互いがバンタム級とスーパーフライ級のチャンピオンなので、その間の体重でやるという話になりかけたところでしたが、クンスックレック選手はチャンピオンじゃなくなってしまったので、無理してやることもないのかなと」
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僕が巻かなきゃいけないベルト
――今回の相手、ペットアヌワット選手にはどういう印象がありますか。
「確か、自分と同じ年でかなり厄介なスタイルです。身長が174㎝ぐらいあり、前の手を使うのが凄く上手くて、前回の試合でも得意としているヒジでKOしていたので、今年やってきた選手とはスタイルが全然違います。今回はRWSではなく、WBCのタイトルマッチなので完全にムエタイの基準の試合になります」
――今年一番の強敵になりそうですか?
「そうですね。2月に対戦したプレーオプラーオ選手に僕と同じくダウンを取って勝ってますし、実績もあります。基本的に首相撲の選手で、のしのし前に出てくるような印象があるので、そこはしっかり対策を練らないといけないなと。でも、もちろん穴というか、こういうふうに攻めていこうという作戦は自分の中ですでに決まっているので、それを磨いています」
――対策としては長身の士門選手とやることも多いんですか?
「そうですね。士門もそうですし、身長173cmくらいで、僕と同じ階級のトレーナー兼選手のタイ人がエイワスポーツジムにいるので、一緒に練習して体格とかに関してはだいぶイメージはしやすいです」
――これがハマるという技はありますか。
「ボディはかなり今回狙っていて、ただボディに行くだけだとヒジを合わされて危ないので、そこはちょっと工夫しながら前の手でリードして僕が狙っているタイミングでボディストレートが当たればKOできるんじゃないかなと。ただ試合映像を見ると、KO負けしている試合がほとんどないので、どのくらいタフなのかなというのは、実際に打ち込んでみないとわからないです。一流の選手はボディやローキックで倒れるのはダメなことだと思うので、そのクラスの選手を倒すのは結構難しいことですけど、ただどんな選手でもタイミングよく入れば絶対に効くので狙っていきます」
――今回、WBCムエタイ ダイヤモンドベルトが懸かったことについてはモチベーションは高いですか?
「ムエタイに対して大きな実績を残した人じゃないと認められないベルトという話を会長から聞き、僕が今まで積み上げてきたものが認められたからこそ、そのタイトルマッチが実現できたと思うので、モチベーションは高いですね。めちゃめちゃベルトのデザインもカッコいいですし、男子選手で巻いたのはブアカーオ選手、センチャイ選手という本当に偉大でタイで知らない人はいないというくらいの選手が巻いているベルトなので、3人目に自分の名前が加わるというのは本当に光栄なことです。
もちろん日本の選手でも獲った選手はいなく、名誉のあるベルトに挑戦させてもらえる機会をいただけて、凄くモチベーションは高いです。ペットアヌワット選手も自分と同い年でずっとムエタイの第一線でやってきた選手なので、油断は全くないですけど、ただ僕が巻かなきゃいけないベルトなんじゃないかなと思います」
――ブアカーオ選手やセンチャイ選手と並ぶというのは、相当すごいですよね。
「本当に光栄ですね。少年時代にずっと見てきた選手だったので、そういった選手と同じベルトを巻けるというのはすごく嬉しいです」
――プレッシャーはないですか?
「自分の試合をしようというマインドでいつも試合をしているので、練習してきたことを発揮すれば結果が出るという自信を持っています。その自信が100%になるように、あと残り1週間しっかり追い込み切って、あとは体調を整えることをやれば、その自信が100%になります。でも、今回の相手は無傷で勝つのは本当に難しい相手だと思うので、1試合に集中しないとベルトも巻いていられないと思います」
――次の試合に向けて会場に来るファンにメッセージをお願いします。
「今回WBCダイヤモンドというすごく価値の高いタイトルマッチを選んでいただきました。美しい試合、圧倒的な試合、綺麗な試合をした上でベルトを獲らなければいけないと思うので、ムエタイの技術を全部詰めたような攻防を見せて、最後は僕が必ずフィニッシュにつなげてそのベルトを巻きたいと思います。会場の皆さんは僕の試合を楽しみにして、観に来てくれると嬉しいです。応援よろしくお願いします」