UFCと契約した朝倉海(JAPAN TOP TEAM)が待望のオクタゴンデビュー戦に向けてタイで緊急合宿に入った。
「急遽タイに来てます」と題しYouTubeに投稿した朝倉は、JTTのエリー・ケーリッシュ・ヘッドコーチとビリー・ビゲロウ・レスリングコーチらを帯同し、「試合が直近で決まるかもしれないっていう中で、コーチ陣とかみんなと話し合って、『タイに来て修行するのが一番いいんじゃないか』っていうことで急遽来ています」と、プーケットの名門バンタオ・ムエタイ&MMAでのファイトキャンプ入りを伝えた。8月末まで現地で、日本と米国からトレーニングパートナーも招聘し、次戦に備える。
今回は試合前の「追い込み」「対策練習」、勝つためのトレーニング
(C)kai_asakura_
「日本にいろんなトレーニングパートナーとかを呼んで練習するっていうのも考えたんですけど、タイミング的に“その相手にあった選手がいなくて、そうなったらタイに行けばたくさん同じような選手がいる”っていうのと、こっちの方が(練習相手を)呼びやすいっていうのがあったんで、コーチ陣と一緒に連れて来ました」という海。
これまで米国合宿は複数回重ねているが、“微笑みの国”タイでの合宿は初。「めっちゃいい。みんな優しくて余裕がある。沖縄の感じに近い」と、兄の朝倉未来も合宿した同地の印象を語る。
その内容は、「いつもアメリカの修行とかあったけど、それは本当に新しいものを色々吸収したりとか、いろんな環境を見たり、そういう準備期間っていう感じだったけど、今回は違って、試合前の追い込みだったり、対策だったり、もう勝つためのトレーニングだけに集中する、そういうトレーニングキャンプになってます」と、ついに対戦相手を想定した“追い込み”や“対策練習”など、より具体的なメニューになっているという。
動画では、「レベルの高い選手と当てられることがもう内定してる?」との問いに、「そう。ほぼ決まっていて、その時期もほぼ決まってるっていうか──UFC側からアナウンスするまでは詳しく言えないのがもどかしいんだけど、“本当に準備に入らないといけないっていう時期になってる”ので、今回、(両コーチをJTTから帯同して)半分申し訳ない気持ちですけど、本当に勝つためにやってきました」と、試合が近づいているとした。
契約後、さまざまなチェックを経て対戦相手の状況も変わるなか、当初の今夏のオクタゴンデビュー予定から、「年内」という言葉も出た朝倉。
「結局、具体的な発表が出来ないから、みんなからしたら“匂わせはもういいよ”という、“匂わせ”じゃないんだけど(苦笑)、(発表は)もうちょいじゃないですかね。僕にとってもジムにとってもたぶん大きな勝負になると思うので。僕がこの勝負を絶対勝ってステップアップしたいと思うので、期待しててほしいなと。もう死ぬ気でこの1カ月間頑張って強くなって、日本に帰りたいと思いますんで。本当に練習に集中する」と、タフなファイトキャンプになることを語った。
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タイに行けば対戦相手と同じような選手がたくさんいる
同ジムは、プーケットでタイガームエタイに並ぶメガジム。そのタイガームエタイのヘッドコーチから独立したジョージ&フランクヒックマン兄弟が起ち上げ、UFCのジョン・ジョーンズ、RIZINのクレベル・コイケ、未来らがファイトキャンプを張ったことで知られる。
今回はビリーとヒックマン兄弟らとの関係から、バンタオ合宿案が挙がり、同ジムは今後、JTTと協力関係になることで、JTT所属選手がフリーで使用できるようになるという。
そして今回、「タイに行けばたくさん同じような選手がいる」という朝倉海の対戦相手は誰になるか。
フライ級で5位にランクされる平良達郎の場合は、ランカーとの対戦が組まれたのはUFC5戦目だった。そのときも15位のダビッド・ドボジャークの都合により、試合がキャンセル。平良はノーランカーのカルロス・ヘルナンデスと対戦し、TKO勝ちしたことで、6戦目で当時5位のアレックス・ペレスとの対戦に漕ぎつけている。ペレスにも勝利し6連勝。10月12日(日本時間13日)同級1位のブランドン・ロイバルとメインイベントの5分5Rで対戦することが決まったばかりだ。
第3代&第6代RIZINバンタム級王者の朝倉海は現時点で、UFCフライ級(125ポンド/56.7kg)とバンタム級(135ポンド/61.2kg)のどちらで戦うかは明言していないが、フライ級での試合となれば、2017年6月の『ROAD FC 039』でのムン・ジェフン戦(3R KO負け)以来となる。
その後、海は59.0kg契約でマネル・ケイプ、トップノイに判定勝ちし、2018年12月にバンタム級でムン・ジェフンにリベンジ。以降は、バンタム級で戦ってきた。
一方で、朝倉海と1勝1敗のケイプは、UFCでは階級を下げてフライ級で参戦。デビュー戦で当時5位で現王者のパントージャといきなり対戦し、判定負け。2戦目も緊急参戦でマテウス・ニコラウにスプリット判定で惜敗しているが、3戦目以降はフライ級にフィットし、4連勝。2024年7月の前戦で当時6位のムハンマド・モカエフと接戦を繰り広げている(判定負け)。
本誌の取材で朝倉海は、UFCではバンタム級での挑戦の意欲と同時に、「UFCの様々な選手の減量を見ている専門家に相談をしたのですが、今の状態であれば僕はフライ級には余裕で落とせるそうですし、いいリカバリーもできるということでした」と、7年前とは身体も減量テクニックも異なり、階級を下げても力が出せることを語っている。
果たして、朝倉海のオクタゴンデビュー戦の相手は、いつ誰になるか。下記フライ級ランカーたちの現状と、今後の試合スケジュールにも注目だ。
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UFCフライ級ファイターの直近の試合と今後のスケジュール
(C)Zuffa LLC/UFC
王者 アレッシャンドリ・パントージャ(28勝5敗)※2024年5月にエルセグに判定勝ち1位 ブランドン・ ロイバル(16勝7敗)※2024年2月にモレノにスプリット判定勝ち。10月に平良達郎と対戦2位 ブランドン・ モレノ(21勝8敗2分)※2024年2月にロイバルにスプリット判定負け3位 アミル・ アルバジ(17勝1敗)※2023年6月にカラフランスにスプリット判定勝ち。2024年2月のモレノ戦を負傷キャンセル4位 カイ・カラ・フランス(24勝11敗1NC)※2023年6月にアルバジにスプリット判定負け。8月17日にエルエグと対戦5位 平良達郎(16勝0敗)※2024年6月にペレスにTKO勝ち。10月にロイバルと対戦6位 アレックス・ ペレス(25勝9敗)※2024年6月に平良にTKO負け7位 スティーブ・エルセグ(12勝2敗)※2024年5月にパントージャに判定負け。8月17日にカラフランスと対戦8位 マテウス・ ニコラウ(19勝4敗1分)※2024年4月にペレスにKO負け9位 マネル・ケイプ(19勝7敗)※2024年7月にモカエフに判定負け10位 ティム・ エリオット(20勝13敗1分)※2023年12月にス・ムダルジに一本勝ち、2024年5月の平良戦をキャンセル11位 マット・ シュネル(16勝8敗1NC)※2024年3月にエルセグにKO負け。9月にコスタと対戦12位 タギル・ ウランベコフ(15勝2敗)※2023年12月にダーデンに一本勝ち、6月ジョシュア・ヴァン戦を体重超過でキャンセル13位 ブルーノ・ シウバ(14勝5敗2分1NC)※2024年7月にダーデンにTKO勝ち14位 アスー・ アルマバイエフ(20勝2敗)※2024年6月にホセ・ジョンソンに判定勝ち、2024年10月にニコラウと対戦15位 コーディ・ ダーデン(16勝6敗1分)※2024年7月にシウバにTKO負け
※2024年8月13日時点)