ムエタイ
レポート

【ONE FF】規格外の長身ナビル・アナンが“天を突くヒザ”で激闘クラップダムをKO、大田一航が2戦目で強敵にKO勝ち&ボーナス、第1試合で青柳克明が豪快な打撃でTKO勝ち、町田真美が再び大激闘も判定負け、ラウェイのウーが逆転KOで本戦契約

2024/07/05 22:07
ONE Friday Fights 692024年7月5日(金)タイ・ルンピニースタジアム※U-NEXTにてLIVE配信▼メインイベント バンタム級ムエタイ 3分3R×クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)[KO 2R 2分54秒]※右ヒザ蹴り〇ナビル・アナン(アルジェリア/タイ)  クラップダムはサウスポーのファイタータイプで、左ストレートを決め技とする元ルンピニースタジアム認定ライト級&スーパーライト級2階級制覇王者。2018年にはプロムエタイ協会ライト級王者の肩書を引っ提げて初来日。REBELSのリングで梅野源治とルンピニースタジアム認定ライト級王座決定戦を争い、4Rに強打で梅野を2度ダウンさせてのTKO勝利を収め、日本のムエタイファンにも強烈なインパクトを残した。  ONEには2019年9月から参戦し、2020年のONEバンタム級ムエタイトーナメントでは決勝へ進出したが、ロードレックに敗れた。2021年は1勝2敗、2022年は2勝3敗、2023年は4勝(3KO)1敗1無効試合。KO狙いのアグレッシブなスタイルはタイで人気を博している。前戦は4月にベテランのノンオー・ハマと対戦したが強打をテクニックで封じられ判定3-0で敗れた。戦績は77勝26敗2分1無効試合。  アナンはテコンドー、空手(いずれも黒帯)を経てムエタイを始め、パタヤの地方スタジアムで経験を積んで2017年からルンピニーとラジャダムナンのメジャースタジアムに進出。2022年5月にはWBCムエタイ世界フェザー級王座に就いた。RWS出場を経て、2023年6月にONE初出場にしてスーパーレックと対戦したが初回KOで敗れている。しかし、9月にはナックロップを右クロスでKO、12月には元ルンピニースタジアム認定ライトフライ級王者の“エルボーゾンビ”ことムアンタイを判定で破ってみせた。戦績は34勝5敗1分。また、2020年8月にはラウェイにも挑戦して勝利している。192㎝という規格外の長身で、168㎝のクラップダムとは24㎝もの差がある。  1R、サウスポーのクラップダムはローを当てようとするが、アナンは前蹴りとジャブで長い距離を取る。右ミドル、右ボディからの左ミドルを放つアナン。クラップダムはアナンの右ストレートをかわしての左ボディ、蹴り足をキャッチしての左ボディストレートを当てていく。組んだアナンが右ヒジを打ってくると、すかさず左ヒジを打ち返すクラップダム。  アナンの右ストレートをかわして突進し、一気に距離を詰めて左右フックを見舞うクラップダムだが、アナンは易々とクラップダムを首相撲に捕まえてのヒザ蹴り連打、簡単にヒザが顔に届く。近寄るクラップダムにジャブから右ローのアナンに、クラップダムは左右フックを放ちながら強引に距離を詰めて左フックと左ヒジの連打を見舞う。この猛攻に足元がフラつくアナン。チャンスと見たクラップダムは距離を詰めて左フックと左ヒジの連打だ。  巨大な敵に立ち向かうクラップダムの攻撃に合わせて、場内からは「オーイ! オーイ!」の大合唱。さらに右フックで飛び込むと左フックと左アッパーの猛攻。これにアナンは首相撲に持ち込むと、頭部にヒザを放っていく。ブレイク後、アナンはワンツーから組んでのヒザ、さらに右フックから左アッパー、そしてもう一度組んでヒザを突き上げる。フラフラするクラップダムにアナンはもう一度組みついてのヒザ、ヒジ。ボディ打ちで反撃するクラップダム。  2R,開始後すぐに飛びヒザを放ったアナンは首相撲持ち込んでのヒザ。右ボディ、右フック、右アッパー。クラップダムは左フックで打ち合いに行くが、やはり首相撲に捕まってしまう。右ヒジを連打するアナンにクラップダムはワンツーで前へ出るが、アナンは首相撲からヒジ&ヒザ。それでも前へ出て左を当てようとするクラップダムに、アナンはボディへパンチを入れてすぐに組んでのヒザ蹴り連打。  顔面前蹴りをもらったクラップダムはすぐに前へ出て左ボディストレートと左ボディ。アナンは右ヒジから組んでの左ヒザを突き上げ、ついにクラップダムをダウンさせる。立ち上がったクラップダムだが、アナンの左右ボディと首相撲からのヒザ、さらに右ヒジの連打をもらう。クラップダムも左フックを打ち返し、左右ボディで応戦。アナンは首相撲から左右のヒザを突き上げ、離れると左右アッパーの連打、そしてヒジ打ちから右ヒザを顔面に突き上げるとクラップダムは前に倒れて動けず。アナンが壮絶なKO勝ちを収めた。  奮闘したクラップダムだったが、大激闘の末に敗れた。アナンは35万バーツのボーナスと共に本戦契約も手にした。 [nextpage] ▼第6試合 バンタム級ムエタイ 3分3R×ポンシリ・PK・センチャイムエタイジム(タイ)[KO 2R 0分29秒]※右アッパー〇ソー・リン・ウー(ミャンマー)  ポンシリは2007年にルンピニースタジアム認定フライ級王座、2016年に同ウェルター級王座の2階級を制覇。2016年は7チャンネルのウェルター級王者、2017年にはWPMF世界スーパーウェルター級王座も獲得している。2020年にはオムノーイスタジアムのウェルター級王者にもなった。2014年7月に新日本キックボクシング協会に初来日、緑川創に判定負け。2018年8月の再来日では鈴木真治にスックワンキントーンで判定勝ちも、2019年2月の来日ではシュートボクシングで海人に判定で敗れている。  ONEには2020年2月から参戦、いきなりペットモラコットと初代ONEフェザー級ムエタイ王座決定戦を争ったが判定で敗れた。その後、ONEでは8戦行い4勝5敗。2023年7月にファリヤ・アミニプール、9月にカムラン・ナバティに敗れて連敗中。  ウーはラウェイの選手で2010年ゴールデンベルト60kg級王者。驚異的な打たれ強さから“マン・オブ・スティール”“アイアンマン”というニックネームが付けられた。2019年12月にはラウェイの試合でパコーンを頭突きでKOしている。ラウェイ戦績は71勝(68KO)3敗52分。ONEには2024年2月に初参戦すると津橋雅祥にTKO勝ち、3月にファビオ・レイスにも左ストレートでKO勝ちと2連勝中。  両者はラウェイでも対戦し、引き分けているという。ポンシリのセコンドにはワンチャローンが就く。  1R、ポンシリの右ローが先にヒット。ウーはワンツーを返すが、ポンシリは首を振って“効いてないよ”のポーズ。ポンシリは右ローを何度も強く蹴る。ウーは荒々しいフック&アッパー。ポンシリの徹底した右ローでウーは早くも身体が傾く。ウーが左ボディで突っ込んで来るとポンシリは右ストレートで迎え撃ってのヒザのカウンター。ウーは右アッパーを打つが、ポンシリは右フックを狙い撃ち。ポンシリの右が次々と決まり、ウーが打ち返して来るとすかさず右ローを蹴るポンシリ。  2Rもポンシリが強烈な右ロー、ウーはガムシャラにワンツーを打ち返し、ポンシリも打ち返す。ポンシリが右フックを打ってきたところでウーは右アッパー。これが見事に決まり、ポンシリは大の字に。立ち上がろうとするも足がフラつき、ウーの逆転KO勝ちとなった。  ウーには35万バーツのボーナスが贈られると共に、その場で本戦契約。ルンピニースタジアムに「ウー!」の大合唱が鳴り響いた。 [nextpage] ▼第3試合 キャッチウェイト(122LBS)ムエタイ 3分3R×BM・フェアテックス(タイ)[KO 2R 1分48秒]※右ストレート〇大田一航(新興ムエタイジム)  大田は「一航」のリングネームでNJKFをホームリングに、様々な団体に出場。今や兄の大田拓真とともに、NJKFをけん引する存在となった。2023年は1月にBigbangスーパーバンタム級王座を防衛、3月のKrushでは晃貴に初回KO負けで苦杯をなめさせられ、7月には前田大尊にも黒星を喫したが、10月はTKO勝利。12月は判定勝ちでBigbang王座を再び防衛し、後半巻き返して1年を終えた。しかし、2024年初戦のNJKF2月大会では真琴に判定で敗れ、NJKFスーパーバンタム級王座を逃した。兄の拓真に続いて4月にONE初参戦を果たしたが、ペットナムコンに飛びヒザ蹴りでダウンを奪われての黒星デビューとなった。  BMは2023年12月にONE初参戦を果たし、ペットナムコン・モンコルペットにKO勝ちで白星デビューも、2024年2月の2戦目で平井将歳に判定負け。日本人選手との2連戦に臨む。  1R、前に出る大田がジャブ、右ストレートでBMをロープ際へ追い込むが、サウスポーのBMは強烈な左ミドルハイをガードの上から叩き込み、縦ヒジも繰り出す。大田は右ミドル、BMが左ミドルを蹴り返すと左右フックからの右アッパー。BMの左ミドルに大田が左右フックを返すと、BMが下がる。左ミドルハイが強烈なBM。大田は蹴り終わりに左右ボディを打つ。大田が左右フックからの右アッパーでヒットを奪った。  2R、BMの左ストレートにインからワンツーを合わせる大田。BMは強い左ミドルを1Rよりも蹴っていき、大田のワンツーを空振りさせてワンツーを逆に当てる。BMが前に出ようとしたところに大田はジャブを当て、すかさず右ストレート。追撃の左フックは空振りとなったが、続く右ストレートでBMは後ろに吹っ飛ぶようにしてダウンする。立ち上がろうとするも足がふらつき、レフェリーがストップ。大田が強敵を相手に見事なKO勝ちを飾った。  大田は「前回は蹴りでやられてしまったので、今回は受けて終わらずに受けても返して、そこを狙って前回の反省を活かして練習してきたので、こういう結果で終われて嬉しいです。これからも呼んでいただければKOで楽しい試合をします。これからもよろしくお願いします」と勝利者インタビューに答える。  そして35万バーツ(約15万円)のボーナスが贈られることが発表されると、「このお金で家族や皆さんに恩返しで一緒に旅行へ行きたいと思います」と笑顔を輝かせた。 [nextpage] ▼第2試合 アトム級ムエタイ 3分3R×町田真美(Team immortaL)[判定0-3]〇セレステ・ハンセン(オーストラリア)  町田(日本でのリングネームは真美)はアマチュアで15戦全勝の戦績を引っ提げて2018年10月にプロデビュー。2021年11月にERIKOを破り、NJKFミネルヴァ・ライトフライ級王座を獲得した。2020年6月からはKrushにも参戦し、4勝2敗。2023年9月にデビューから3年でS1レディース世界ライトフライ級王座にも就いた。1月にはタイでの初試合でKO勝ちを収めている。2024年4月のONE初参戦ではジュニア・フェアテックスに判定負けも決して下がらない突進ファイトで奮戦した。戦績は16勝(4KO)6敗。  ハンセンはすでにONEで5戦を経験。2023年2月の初出場から2連勝を飾ったが、その後は3連敗。その中には2023年10月の『ONE Fight Night』でペッディージャーに敗れた試合も含まれている。フェアテックスジムに所属し、2021年にそれまで女人禁制だったルンピニースタジアムにおける初の女子の試合に出場したことでも知られる。  1R、町田が右ローで仕掛け、ワンツーを打つとハンセンも足を止めてワンツーを打つ。ハンセンは右腕でブロックしながら左へ回り込み応戦。町田はパワーでコーナーまでハンセンを押し込むとヒザ蹴り。さらにパンチを繰り出してハンセンをロープに釘付けにするが、ハンセンは首相撲からのヒザに持ち込む。それでも手を止めない町田は止まらないパンチの連打。もはやハンセンの顔は真っ赤だ。首相撲で町田を止めるハンセン。しかし、ブレイクになると町田が連打でハンセンを釘付け。  2Rもワンツーを連打して前へ出る町田に、ハンセンは左ミドル、ロープを背にしての左フック。ボディを打つ町田にハンセンはヒジを繰り出す。右ミドルを蹴るハンセンに町田は左右ボディと右ストレート。ハンセンは両腕ブロックから左やヒジを打ち返す。右ボディと左ミドルのハンセン。町田はやや勢いが衰えて来たか、ハンセンは狙いすましたワンツー、右ストレート、右ミドルをしっかりと当て、首相撲からのヒザを合わせる。ガムシャラに手を出す町田に対し、ハンセンは打ち終わりをよく見てしっかり当てる。町田も右ボディストレートを叩き込んだ。  3R、前に出る町田を前蹴りで止めてワンツーを打つハンセン。ガムシャラな連打で手数を出す町田に対し、ハンセンは左のボディ、左ストレートを返す。町田の右ストレート、右フックがヒットし、コーナーを背負うハンセン。下がりながらもしっかり左ストレートを当てるハンセンは左ボディも打つ。町田は打たれても下がらず左右フックの連打。町田の左右フックを空振りさせ、ワンツーを叩き込むハンセン。  ノンストップの打ち合いの勝敗は判定にもつれ込み、手数とアグレッシブなら町田、的確なヒットはハンセン。判定は3-0でハンセンが勝利をつかみ、顔をくしゃくしゃにして勝利を喜んだ。 [nextpage] ▼第1試合 フェザー級MMA 5分3R×チョン・ジュンヒ(韓国)[TKO 1R 4分47秒]〇青柳克明(bmf spase/east kilin Ranger)  青柳はZSTやKROSS×OVERに出場、台湾の『WOTD: Enter The Dragon』を主戦場としている。前戦は2024年5月に台湾の『CFC』で判定勝ちし、3連勝を飾った。ジュンヒはMMAレコード3勝1敗。5月にはボクシングの試合に出場し、判定勝ちを収めているという。  ジュンヒはMMAレコード3勝1敗。両選手ともこれがONE初出場となる。  青柳はリング上で拳を突き上げながら雄叫びをあげて気合い十分。1R、青柳が右カーフで先制、すかさずジュンヒがジャブを返す。見合いから青柳が一気に飛び込んでの右ストレートでジュンヒをダウン気味に倒す。立ち上がったジュンヒに組み付く青柳だが、これは離れる。スタンドに戻ると今度は青柳が左のフェイントから右フック強打でまたもダウン気味に倒す。すかさずパウンドもジュンヒは立ち上がる。  打ち合いで右の相打ち。ジュンヒはステップを踏んで逆ワンツーで突っ込む。青柳は右ストレートを返すがこれは空振り。ジュンヒの右ミドルをキャッチして青柳が転倒させると、青柳はジュンヒの足を払いながらのパウンドを狙うが、ジュンヒは上手く立ち上がる。スタンドでジュンヒはサウスポーになっての左ハイ。青柳が飛び込んでの強烈な右ストレートで仰け反らせてからの左フックをヒットさせ、またもジュンヒをダウンさせるとパウンドの連打。ここでレフェリーがストップした。  大喜びの青柳は勝利者インタビューを受けると「パーフェクト! 最高ですね」とハイテンションで叫ぶ。見事なTKO勝ちにボーナスが支給されると「もっとボーナスを!」とさらにハイテンションで叫んだ。
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