キックボクシング
レポート

【RISE】小林愛理奈が小林愛三と激しい打ち合い、ダウンを奪って勝つ。大﨑孔稀が代打タイ人を圧倒KO、麗也が酒井柚樹との熱戦を制す、實方拓海はダウン奪いタダヨニ撃破、寺山遼冴が1年ぶり再起戦で圧勝

2024/05/19 20:05
RISE 1782024年5月19日(日)東京・後楽園ホール※ABEMAにてLIVE配信 ▼メインイベント(第13試合)SuperFight! オープンフィンガーグローブマッチ -50kg契約 3分3R○小林愛理奈(FASCINATE FIGHT TEAM/第3代RISE QUEENミニフライ級王者)[判定3-0]※29-27、30-27×2×小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/フライ級1位、初代RISE QUEENフライ級王者)  愛理奈はフルコンタクト空手出身で強烈なパンチを武器に持つ。正道会館第38回全日本空手道選手権大会2019軽量級優勝など主に関西圏の大会で多くのタイトルを獲得してきた。RISEでは奥脇奈々、平岡琴、百花、祥子JSKらを次々と撃破するも、2022年5月に3度目の対決となったRISE QUEENアトム級王者・宮﨑小雪とのタイトルマッチで敗れた。11勝(4KO)3敗1分の3敗はいずれも宮﨑に付けられたもの。  12月には女子初のオープンフィンガーグローブマッチに臨み平岡を返り討ちにすると、2023年2月にはSB日本女子アトム級王者MISAKIからダウンを奪って勝利、8月には花田麻衣に判定勝ちすると、11月にRISE QUEENミニフライ級タイトルマッチでerika(=名前の後ろにハートマーク)をKOで破り、王座を奪取した。2024年1月にワン・チンロンをKOし、現在6連勝中。  愛三は2015年2月にプロデビューすると、2018年7月にシュートボクシングの試合で敗れるまで13戦無敗を誇った。同年12月には伊藤紗弥を判定で下し、2019年11月にはWPMF世界女子フライ級王座を奪取。2021年4月にRISE QUEENフライ級正規王者となった。2022年3月にはベルギーでGLORY女子スーパーバンタム級王者ティファニー・ヴァン・スーストに挑戦するもKO負け。  7月にはイ・ドギョンに圧勝するも、12月にGLORYのテッサ・デ・コムと対戦してダウンを奪われての判定負け。2023年5月、コムを挑戦者に迎えて行った初防衛戦でも判定で敗れ、王座を失った。2023年8月にMelty輝を破り再起を果たしている。戦績は18勝(3KO)7敗4分。  1R、アグレッシブに攻めるのは愛理奈。左フックから右フックを叩きつける。愛三はガードを固めてどっしりと構えてのジャブ。愛三は左インローを蹴っていくが、愛理奈はジャブを打って左ボディ、そして右フック。愛三は右ストレート。再び愛理奈の左ボディが強烈に決まり、愛理奈は左ボディから右フック。徹底して左ボディを攻める愛理奈が右フックにつないで見せ場を作ってラウンド終了。  2R、愛理奈は右ローから飛び込んでの左ボディ。そして右ストレートをヒットさせると、2度目の右ストレートでダウンを奪う。立ち上がった愛三は左右フックで反撃し、左フックでヒット奪うが愛理奈は一度ジャブで距離をとる。前に出てくる愛三に左アッパー。愛三が右ミドルを蹴り、接近してのヒザ。離れると右ミドル。さらに前蹴りも。愛理奈は手が出なくなり、愛三が前へ出る。しかし、愛理奈もジャブ、右アッパー、左ボディ。息を吹き返してきた愛理奈は左ボディをめり込ませ、右フックにつなげる。愛三の右目が腫れ、ドクターチェック。再開後、すぐにゴングが鳴った。  3R、両者前へ出ての打ち合いを見せる。左右フック、愛三の右ストレート、愛理奈も右ストレート。ショートのパンチを繰り出す愛三だが、愛理奈はそこで左ボディ。愛三もヒザで応戦し、左ボディのお返し。右フックを叩きつける愛理奈に愛三が右フック、さらにヒザを突き刺す。愛理奈の左ボディと右ストレート、左フックのフルスイング。愛三もヒザで反撃。愛理奈は左右フック、愛三はヒザで最後まで打ち合う。愛三の顔は腫れ、愛理奈の顔も真っ赤だ。  判定は3-0でダウンを奪った愛理奈が勝利。一階級上の元王者を破ってみせた。OFGでは一日の長があるところを証明した。 マイクを持った愛理奈は「愛三選手じゃなかったら盛り上がってないし、こんなにアツい試合はできませんでした。アツい試合ができてよかったです。KOできなくても満足できた試合は初めてだったので今日は褒めてください。自分が目指しているONEの世界王者ペッティージャーはもっと上にいる存在なので今日のままではあかんなと思ったので練習を頑張ります。女子格闘技はおもんないとは言わせたくないので期待してください。次、テッサ・デ・コム選手をしばいたろと思うので発表を待っていてください」と、次の標的は一階級上の現役王者テッサ・デ・コムだと言い放った。 [nextpage] ▼セミファイナル(第12試合)SuperFight! バンタム級(-55kg) 3分3R延長1R○大﨑孔稀(OISHI GYM/第8代RISEバンタム級王者)KO 2R 1分49秒 ※左ボディ×ヨーブアデーン・3RDPlace(タイ/3RDPlace)  大﨑はパンチ、蹴り、ヒジ、ヒザいずれでもKOできる破壊力を持ち、タイ人と渡り合うテクニックも持っている。特にボディブローは強烈。様々な団体で活躍し、これまでにJ-NETWORKスーパーフライ級王座、WMC日本同級王座、BOMバンタム級王座を獲得。RISEには2019年11月から参戦。2022年3月に一気にフェザー級に階級を上げて龍翔に判定勝ち、5月に55.5kgで加藤有吾にTKO勝ち、7月に56kgでJyoseiにKO勝ちと3連勝を飾ったが、10月に志朗と対戦して延長戦で敗れた。12月にはSB王者・植山征紀から勝利を奪って再起、2023年5月は2月に無効試合となった寺山遼冴との再戦を2R KOで制した。8月に加藤有吾から判定勝ちすると、12月に鈴木真彦を破り第8代王座に就いている。戦績は32勝(19KO)7敗1分1無効試合。  ヨーブアデーンは沖縄の3RD Pleceでトレーナーを努める在日タイ人選手。サウスポーから繰り出される伸びのある攻撃を武器にラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王座に就いたことがある。日本人とは2018年12月8日の『K-1 WORLD GP2018 JAPAN』で、当時K-1スーパー・バンタム級王者だった武居由樹(現プロボクシングWBO世界バンタム級王者)と対戦し、延長戦までもつれる接戦を演じた(武居の判定勝ち)。戦績は70勝25敗3分。  大﨑は当初、アイマン・ラマ―(フランス/URBAN MULTI BOXING)との対戦が発表されていたが、ラマ―が「膝と腰の負傷」のため欠場。代わってババヤンとの対戦が決まったが、さらに直前になって対戦相手が変わるという不運に見舞われたことになる。  1R、大﨑は前へ出て右インロー、左ロー、右前蹴り。時折、飛び込んでの左ボディを決める。残り1分を過ぎると大﨑はボディからのコンビネーションをまとめたが、ヨーブアデーンも左ハイキックで応戦。大﨑が下がるヨーブアデーンに何度もコンビネーションを決めたが、捕まえきれなかった印象。  2Rも前に出るのは大﨑。ヨーブアデーンはジャブを突き、左ミドルハイ、左ロングフック。大﨑は冷静に防御し、左ハイには右インローや左ローを返す。ヨーブアデーンが左ミドルを蹴ると、受けた大﨑は左ボディのリターン。これが効いたと見たか、大﨑は一気にラッシュ。ヨーブアデーンはクリンチしようとしたが、大﨑は構わずボディを叩いて左フックも混ぜる。最後は左ボディでヨーブアデーンを悶絶させた。  マイクを持った大﨑は「急遽にもかかわらず漢気参戦してくれたヨーブアデーン選手に拍手をお願いします。王者になって初戦は内容を見せなといけないと思っていて相手が何回も変わったりしたけれど、強いヤツはどんなルールでもどんな状況でも勝てることを見せられたと思います。話は代わりますが、RISEネバーストップ、これを言って分かる人は分かると思います。あの出来事があって初めての試合からずっと勝ってマイクで言いたいと思っていたので言わせてください。多分、会場に見に来てくれていると思うので。僕、強くなっていましたよね? 強くなったですよね」と天を向いて語り掛けた。 [nextpage] ▼第11試合 フライ級(-51.5kg) 3分3R延長1R○麗也(team AKATSUKI/同級5位)判定3-0 ※29-28、30-29×2×酒井柚樹(TEAM TEPPEN)  1R、サウスポーの麗也に対して酒井はステップを使って動きながら飛び込む機会を狙う。麗也は右カーフで酒井の足を止めにかかる。  2R、ステップを使って動く酒井が入ろうとするところへヒザを合わせる麗也。自分からも飛びヒザ、ワンツーを仕掛ける。ジャブ、右ストレートの命中率が高い麗也に酒井は左右フックで突進するが体格差もあって届かない。インファイトを仕掛ける酒井が左右フックとボディを打ち、飛びヒザも放つ。左フック、右ストレートと酒井のパンチが目立ち始めた。  3R、麗也は右ハイキックを軽くヒット。しかし、酒井が入り込んでの右ストレート、左ボディを当てる。麗也も左ボディ。離れると蹴りをもらう酒井だが容易に距離を詰めてパンチをまとめる。麗也も左フックを思い切り叩きつける。麗也の右カーフにバランスを崩す酒井へ麗也が左ボディ、右ストレート。それでも酒井は前に出て右ストレートを打つ。そこへ麗也が右カーフ。明らかに足が流れる酒井だが、前へ出て麗也と打ち合う。最後は両者意地の張り合いのような打ち合いを見せ、試合終了。  熱戦は判定3-0で麗也が制した。 [nextpage] ▼第10試合 ウェルター級(-67.5kg) 3分3R延長1R○實方拓海(TSK JAPAN/同級3位)判定3-0 ※29-27、30-27×2×サーシャ・タダヨニ(TEAM OTA/ミドル級11位)  1R序盤からどんどん前へ出るタダヨニに實方は下がりながらも、ロープやコーナーを背にしてフックを入れて回り込む。タダヨニはパンチを繰り出すも實方はヒットを許さない。  2Rはサウスポーの實方が左ミドル、左ミドルハイでタダヨニの出足を止める。ならばとタダヨニは胴廻し回転蹴り。右ミドルで實方をコーナーへ追い込むタダヨニだが、實方は右フックを引っかけて回り込む。右カーフ2発から左ミドルの實方。さらに左ミドルを重ねていき、左のヒザも突き刺す。ガムシャラに前へ出るタダヨニは空振りが目立ち、實方は下がりながら、もしくは向かってくるタダヨニに攻撃を当てていく。  3R、實方がジャブから狙いすました左ストレートでダウンを奪う。立ち上がったタダヨニは左右フックで前へ出ようとするが、實方のヒザ、左ストレートをもらう。飛び込んでの右フックはかわされ、逆に左フックをもらう。實方はさらにワンキャッチからのヒザを顔面へ。左フック、右アッパー、左ミドルと攻撃を畳みかけた。  判定3-0で、實方は久しぶりのRISEでの勝利に笑顔を見せた。 [nextpage] ▼第9試合 フェザー級(-57.5kg) 3分3R延長1R○寺山遼冴(フリー/バンタム級2位)判定3-0 ※30-28×3×牧野騎士(FASCINATE FIGHT TEAM/RKSスーパーバンタム級王者、同級16位)  寺山が牧野と階級を変更しての第一戦。  寺山はわずか5戦目にしてDEEP☆KICK 53kgCK王者となった。2020年11月には有井渚海にプロ初黒星を付けられ、2021年5月に京谷祐希とドロー。7月にはCKC2021-54kgトーナメントに出場し、決勝で有井にリベンジを達成して優勝した。さらに9月にはDEEP☆KICK王座を2度のダウンを奪う完勝で初防衛に成功すると、11月にはRIZINに初参戦して弘樹から4度ものダウンを奪う圧勝。2022年10月は京介に勝利して6連勝を飾ったが、2023年2月に大﨑孔稀とドロー、5月の再戦ではKO負けを喫した。戦績は9勝(1KO)2敗4分。  牧野は空手をバックボーンに持ち、DEEP☆KICKやJAPAN CUPでキャリアを積み、2023年7月にRISE初参戦。指田烈に判定勝ちし、12月には清水俊貴にKO勝ち。現在4連勝中。戦績は6勝(4KO)1敗の期待の新鋭だ。  1R、前に出る牧野が右ミドルを蹴ると寺山は左ストレートのカウンター。サウスポーの寺山は右へ回り込みながらのジャブを顔面とボディへ。牧野がコーナーへ詰めてくると体を入れ替えて連打を見舞う寺山。長いジャブと右ボディ、前へ出る牧野に左ストレート。寺山は左回りも使って牧野を翻弄し始める。  2Rも前に出るのは牧野で、寺山がワンツー、ヒザで迎え撃つ。牧野は右ミドル、右インロー。寺山が左ボディからの4連打を繰り出すと牧野も右ストレートを返す。牧野はサウスポーに構えるがすぐにオーソドックスに戻して右ミドル。ワンツーは寺山がバックステップで見切る。寺山は右回りと左回りを使い分け、自分からはジャブと左右ボディ、牧野がパンチを出してくると左ストレートを返していく。  3R、ジャブを打って右へ回り込む寺山は牧野が右ミドルを蹴って来ると左ストレート。寺山は右フックで牧野をコントロール。牧野は左右ボディから左右フック、負けじと寺山もボディを返す。寺山の左ストレートがクリーンヒット、続く左フックも。牧野は右ミドルを蹴るが攻撃が続かない。左右フックで前に出る牧野だが、寺山が下がりながらもしっかり当てていく。寺山にロープを背負わせても寺山は巧みに牧野のパンチを防御、逆に左フックを入れる。牧野は左右フックで前へ出るが、寺山はしっかり防御して逆に左ストレートを次々と当てていく。  攻撃・防御ともにテクニックの差を見せつけた寺山が、1年ぶりの再起戦で勝利を収めた。
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