MMA
インタビュー

【PANCRASE】マモル&大沢ケンジが大予想! 「“殺し”と“頑張り”に注目」=3月31日(日)『PANCRASE 341』30周年記念大会vol.3

2024/03/31 09:03
 2024年3月31日(日)13時30分から東京・立川ステージガーデンにて『PANCRASE 341』(U-NEXT配信)が開催される。このPANCRASE 30周年記念大会vol.3の注目試合の予想を、解説でお馴染みのマモルと大沢ケンジに語ってもらった。  なお、前日計量では、第11試合でライト級からフェザー級に転向するシュウジ ヤマウチが67.7kgで再計量(→※ヤマウチは最終計量で67.65kgで1.85kg超過。ルール上の試合可能許容範囲5パウンド以内で、中田大貴が試合をいったん受諾した為、フェザー級ではなくキャッチウエイトとして試合を行うことに ※追記あり)。なお、第2試合のストロー級に出場する植松洋貴が52.8kgで再計量となっている(→※再計量 52.25kgでパス)。 【追記】試合を受諾した中田側からその後、試合当日の体重について追加条件(※試合当日12時の再計量で1階級上の70.3kgで、と中田側が申込入れもヤマウチ側が断る)があり、シュウジ側と交渉も合意には至らず。試合は中止となった。 『PANCRASE 341』マモルと大沢ケンジの試合予想 2024年3月31日(日)立川ステージガーデン13:10-開場、13:30-試合開始U-NEXT配信/TIGET PPV英語配信※13:00より当日券販売 ※選手名から会見コメント ▼第15試合 PANCRASEライト級タイトルマッチ 5分5Rアキラ(武蔵村山さいとうクリニック/ALMA FIGHT GYM PUGNUS)※第8代ライト級キング・オブ・パンクラシスト 69.95kg雑賀“ヤン坊”達也 (1位/DOBUITA)70.0kg アキラ「お互い、1発で終わらせられる選手だと思うので、5分5R、ヒリヒリした戦いをぜひお楽しみにしてください」 雑賀「どうもヤン坊です。過去イチの状態に仕上げてきました。サクッと終わらせたいですけど(アキラを見て)5分5Rも付き合えるんで、楽しみにしていてください。よろしくお願いします」 マモル「3Rを越えたときのお互いの状況がポイントに」 マモル 予想はアキラなのですが、ちょっとキケンな匂いがしますね……。絶対的な物理の問題があるので、元コーチとしては心配です。身長差がある上にパンチがキレますからね。アキラのプロフィールには身長167cmとあるのですけど「嘘だろ、もっと低いだろう」と(笑)。この身長は本当らしいですが、今度は「リーチが160cmしかない」って言うんですよ(笑)。それもサバ読んでると思うのですよね、下に……、まあそれはいいとして(笑)。アキラはしっかり的を絞らせないように動いて、前に出てテイクダウンを織り交ぜた戦い方をする、とは思いますが…… ──セコンドの石渡伸太郎さんが立てる戦略が肝になってくるでしょうか。 マモル そうですね。アキラは石渡さんの言う通りに動きますからね。喩えるなら、僕は”ペーター”(笑)。放牧家タイプなのですが、石渡さんは調教師、もっと言うなら猛獣つかいのような感じでしょう。一緒に二人でしっかり作ってきて、ケージの外からしっかり指示を出す。それがアキラにも合っていたのだなと伝わってきます。 ──相手の伸びしろをどこまで想定して作戦を立てるものなのでしょうか。ヤン坊選手は前戦で組みでの成長を見せていて、それによって「こんなにできるんだ」と印象づけることにも成功しました。 マモル ヤン坊選手は粕谷優介戦で総合力を見せましたよね。アキラは押し込むなりしてとにかくくっついていたいわけですけど、普通にテイクダウン狙っても絶対に取らせてもらえないので、打撃でしっかり踏み込んでいきながら、相手の打ち返した瞬間などにタイミングよく、カウンターを狙うでもなく偶発させるような感じで組み立てていかないと、くっつけないですよね。上下散らして、組むと思わせて当てて一発で倒せるパンチをアキラも持っていますし。先に当てる可能性は体格差によってどうしてもヤン坊選手の確率が高いので、アキラがどうかいくぐれるか……。  ヤン坊選手って、当てるタイミングを作るまでが速いのですよね。だから早期決着も多い。これは天性のもので、高木選手にもあるものですよね。アキラとしては本当に相手の嫌なことをしていくつもりだと思うけど、ラクをさせずにフルラウンド使って、泥沼に引き込めれば……。というところで話を戻すと、やっぱり粕谷選手にああいう勝ち方をできたのは、ヤン坊選手にとって良い経験になっていますよね。だからこそ自信を持って打撃を当てにいける、というのがあると思います。あとは5Rあるなかで倒せるパンチが打てなくなる可能性はあるわけで、3Rを越えたときのお互いの状況がポイントになってきますね。 ──暫定王者から、統一戦で久米選手との死闘を制したアキラ選手と、統一戦で久米選手に一本取られたヤン坊選手、という点では……。 マモル そこで言うと、ヤン坊選手には並々ならぬ思いがあると思います。やっぱりファイターとして、ベルトを巻いたことがあるとはいっても、正規王者として歴代チャンプに名前を連ねたいものですからね。それに加えて今どんどん上がってきているなかで、「ここが獲り時だ」と考えていると思います。 大沢「長い時間のなかで『殺し』がある選手のほうにチャンスはより多く生まれる」 大沢 すごく良いカードだと思うし面白い試合になりますね。だからこそ予想が難しい……。アキラ選手の最近の試合ぶりを見ると、うまくタックルを混ぜて打撃でも行くという、完全なMMAスタイルですよね。石渡くんの指導で、偏りがなくなってオールラウンダーになっています。一方のヤン坊選手には右がある。ストレートもアッパーもキレます。前戦あたりからは組みもちゃんと対応しているのが見えるようになってきて、上も取れるし、自分からも四つで倒しに行こうとしたりしていました。受けも強くなっているし。  テイクダウンされても立たったりリカバリできるようになっているのを見て「おお、やるな!」と思っていました。自信もついてきていますよね。そうすると「はたしてテイクダウンの攻防で取れるか取れないか」になってきますが、アキラ選手は打ち合いの中で入っていけるので、ビビらずにしっかり近い距離から、入り方としては中に深く入っていけます。 ──大幅にリーチの長いヤン坊選手に距離を制されずにどんどん詰めていかないといけませんよね。 大沢 そうですね。中に入らなかったら右ストレートの餌食ですからね。ただ、中に入っていくとアッパーがあるわ。ヤン坊選手はワンチャンスを逃さずに一発ガチンと行けるから、打ち合いになってしまうとアキラ選手は分が悪いのではないかと思います。アキラ選手のフック系の何かがスコンと当たる可能性もあるけれど、僕がアキラ選手の試合運びを見ている限りで言うと、ヤン坊選手にとって、右を合わせやすい相手なんじゃないかと。アキラ選手が頭を動かさなくちゃいけないということで逆に規則的になったりする可能性もある。だからヤン坊選手がタイミング取れるんじゃないかって思うんです。打つ前の入り際とかにスコン! と右ストレートが炸裂!とか、ちょっと中に入ってきたところにアッパーをかます! とか、そういうフィニッシュのイメージが沸くのですよね。  それにヤン坊選手はプレッシャーもかけていけます。今回の王座挑戦の権利を得ることになった粕谷戦でも、相手が来ないなと思ったらヤン坊選手は自分から右でバン! バン! と入っていく。久米戦もそうでしたね、自分から行って1回ダウンを取っていました。そうやって自分から行けるし、相手が来たら合わせられるしっていう、ただカウンター待ちなのではなく両方で行けるタイプだから、すごくいいと思うのですよね。 ──ということは、予想は……。 大沢 ヤン坊ですかね! いやあ、でもどうだろう、本当に難しいですね、この試合がどうなるかは。前だったらヤン坊選手は「寝かされたら立てなそう」という印象もあったのですが、今は立てると思いますし。逆にアキラ選手は押さえるのが上手いですし……。ヤン坊選手としてはどれだけ立っている時間を長くできるかの勝負になってきますよね。ムサエフ戦があったことでアキラ選手は「倒されることもある」という面を見せてしまっています。 ──その試合、敗れはしましたがムサエフという世界トップクラスのスピードとパワーを経験したことでアキラ選手にとってプラスに働く部分はありませんか? 大沢 そこは人によりますけど、対戦相手のヤン坊選手にしてみれば「当たれば倒れるんだな」という情報ですからね、それでゴールが見えやすくなるというのかな。ものすごくタフかもしれないとか、倒れるかわからないという相手ではなくなるわけです。 ──では、ここまで伺ったお話からすると、5Rマッチの最初は必ずスタンドから始まりますし、とにかく立ちの状態でいかに一発打ち抜くチャンスをものにできるかのヤン坊選手と、ドロドロの5Rに持ち込みたいアキラ選手、という感じでしょうか。 大沢 そうですね、アキラ選手からすれば、ぐちゃぐちゃにしていきたい。ちょっと後半バテそうな感じもしますしね、ヤン坊選手。あとはやっぱり、どんどんオールラウンダーとしてうまくなっていくなかで、アキラ選手の「怖さ」がどこにあるか、ですかね。上手に戦うことも大事だけれど、やっぱり「殺し」がないとダメだと思うんです。MMAって特に「この部分で勝負するとやられちゃう」というのが相手にあったら、たとえば「寝技の展開になってこの人にバックを取られたらやられてしまう」と思ったり、「この人に下から足とられたらまずい」「アイツのパンチはヤバい」とか、一個「殺し」の要素があるとそれが相手へのストレスになって戦い方も変わってきます。逆に、そういうものがないと長期戦になったときに怖くなくなってしまうというのもあるんです。 ──今回で言うと、殺しを持っているのは右で勝負を決められるヤン坊選手の方ということですね。 大沢 そうですね、対照的に、相手の光をうまく消す戦いができるのはアキラ選手の良さだから、盾と矛の戦いのようだ(笑)。やっぱりこの試合は読みづらいですけど、長い時間のなかで「殺し」がある選手のほうにチャンスはより多く生まれるかなと。もし判定になるような展開なのだとすればアキラ選手でしょうけど、予想としてはヤン坊選手がそのチャンスを捕らえてフィニッシュする。というところに置こうと思います。そのうえで、2R以内に倒せなかったらアキラ選手に持っていかれるのではないでしょうか。慣れていない間に決めてしまわないと、本人もですが、ケージの外では石渡くんがしっかり外から見極めてくるでしょうからね。 [nextpage] ベテラン端 vs 新鋭・重田の女子フライ級王座戦の行方は? ▼第14試合 PANCRASE女子フライ級タイトルマッチ 5分5R端 貴代(和術慧舟會 AKZA)第2代フライ級クィーン・オブ・パンクラシスト 56.6kg重田ホノカ(THE BLACKBELT JAPAN)1位  55.95kg 端「明日はものすごく楽しみにしていた試合が出来るので、全力を尽くして頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」 重田「到着遅れてすみません、明日は必ず勝ちます」 マモル「若い選手が年長者を引きずり下ろすような試合になるか」 マモル 重田選手は……、当日雨が降っていたら危ないかもしれない。 ──まさかの天気に予想が左右されるのですか!? マモル 以前インタビューした時たまたま「雨で頭痛が出てしまった」と言っていたことがあるんですよ(笑)。気圧頭痛なのかな? まあでもそれ、勝利者インタビューだから普通に勝っているので関係ないんですけどね(笑)。端選手と僕は同い年ですし、頑張ってもらいたいというのはあるのですけど……、これはこの二人だからということではないのですが、若い選手が年長者を引きずり下ろすような試合っていうのは見たいものですよね。そしてこの試合の重田選手はその可能性をかなり持っている。ということで勝敗予想は重田選手です。 ──重田選手のジャーマンは出るでしょうか。 マモル やりそう(笑)。ただやっぱり投げるのって疲れますから、端選手としては何回か投げられても気にせずに後半頑張る、というのはあるかもしれません。この試合も5Rで、頑張って、頑張って……というのが端さんのスタイルでもありますから。それに若くてスタミナがあるという反面、出力が強い分だけ消耗もするとは思います。 ──重田選手は多少強引に行っても取れちゃうところがある印象ですが、それをベテランの端選手相手にもできるでしょうか。 マモル そうそう。重田選手の場合は、たぶん細かいところもできるのでしょうけど、そういうものを吹き飛ばせるような試合をしてきていますよね。だから、老獪な試合運びをする端さんを相手にした今回、もしかしたらまだ見せていない細かい粗のようなものを見せる可能性もなくはないですね、後半になってきたら。  あるいはタイトルを獲ることを大事にしてああいう派手な戦い方ではなく堅実な試合運びをするかもしれない。重田選手のそういう一面も見てみたいですけどね。やっぱりタイトルマッチたるもの、ベルトを獲ることが第一です。 大沢「重田選手は調子が乗ったらペースが速い」 大沢 超・ベテランと超・若手のホープの対決ですね。重田選手って業界内の噂がすごいんですよ!「めちゃくちゃ強い」と。それが大ベテランの端選手に評判通りのものを見せられるかどうか。聞いている話でも自分がこれまで試合を見た話でもそうですが、トップを取る力も強いし、技もしっかりしていますよね。端選手は僕の後輩ですけど、やっぱりテイクダウンがすごく強いというわけではないし、打撃がすごく良いというわけでもなく、この年齢でもとにかく “頑張る試合” を取っていく人なので。寝技では光るけれど、それはテイクダウンがあるからではなく、入ってぐちゃぐちゃしている間に取ったりするタイプ。だから重田選手がその端選手の頑張りを抑え込めるかだと思っていて、僕としては重田選手が、パウンドアウトで勝利する予想です。 ──ほかの試合に比べて予想の決断が早いようですが、それほど重田選手に期待が? 大沢 僕、最近思っていることがあって。それはMMAというものがフィジカルスポーツになってきていて、技術がある程度のところまで似通ってくると、最後はどちらのほうにより体力があるのかという勝負になって、後半に競り勝つというような展開になる。UFCでもそうですけど、トップどころまで行くとそういう側面がありますよね。早いタイミングにアタックを仕掛けて、たとえば今まで10分でやっていたことを5分のなかにどれだけ詰め込めるかというような試合をやっていき、それで後半疲れるという試合になってきています。まだ日本はそういうリズムになかなか慣れていないという悲しい現状もありつつですが。 ──頂点のところで技術的には拮抗してしまうが故のものですよね。フィジカル勝負になった時の年齢差、というのは理解できますが、この試合の場合は今の例がそのまま当てはまるようなものでもないとは思うので、たとえばベテランの戦い方が若手をいなすような展開になったりしないか、という…… 大沢 結局「老獪さ」みたいなものって、試合のペースが遅かったりすると活きてはくるのですけど、後半には持たなくなってしまうんですよね。その点では、ベテランの戦い方っていうのが、試合のぺースを遅くさせようとすることを指すものだとは思いますけど、この試合で言うと、重田選手は調子が乗ったらペースが速いからついていけなくなってしまうのではないかと思うのですよね。引っ張られて息が上がっていってしまうと思います。 [nextpage] SARAMI vs 沙弥子、ベルトを賭けた横浜盟友対決 ▼第13試合 PANCRASE女子アトム級選手権試合(トーナメント決勝)5分5RSARAMI(パンクラスイズム横浜)#1位/第2代修斗女子世界スーパーアトム級王者・18勝14敗  47.55kg沙弥子(リバーサルジム横浜グランドスラム)#2位・8勝3敗  47.4kg SARAMI「お互い積み上げてきたもの出し合って勝負したいと思います」 沙弥子「大好きなSARAMI選手のために一番最高の自分を用意しました。全身全霊、私の出せるものをすべて出してベルトを勝ち獲りたいと思います」 マモル「SARAMI選手が得意な部分をぶつける戦い方をすれば──」 マモル SARAMI選手の勝利予想です。SARAMI選手はもともとマモル塾なので、勝ち予想しなかったら怒られちゃう(笑)。というのは冗談で、実際そう思っていますし、個人的には修斗とPANCRASEの二冠王者になってもらいたいですね。 ──マモルさんと同様にですね。 マモル そうです! しばらく誕生していないですよね。 ──よく知るマモルさんから見て、SARAMI選手の強さとは? マモル まずは、身体が強いですね。スパーリング見ていてもすごいですよ。タイトル戦の5Rに備えて、心拍数上げてサーキットやっているのも見て、こんなにやってすごいなと思いましたから。もちろん沙弥子選手も追い込んできてるでしょうけど。SARAMI選手が得意な部分をしっかりぶつける戦い方をすれば圧倒できると思います。  早くテイクダウンをしてハーフで漬けるっていう前戦は無理をしない戦い方だったようにも見えましたけど、あれで正しかったですよね。ジェニー・ファン選手って、頑張らせちゃうとどんどん元気になっていくっていうタイプなので、そうさせないという。そこでああやってできるのはSARAMI選手が強かったっていうことです。  今回は沙弥子選手がいい打撃を当てる可能性もあるし、上を取るという展開ももちろん可能性としてはあると思います。投げたりもしますよね。ただ、SARAMI選手も柔道強かったから簡単に投げられることもないと思います。お互いに根性を見せるし、お互いにフィニッシュは難しいというところで、判定になるとは思います。 大沢「打撃を当てたダメージの差で判定で沙弥子選手の勝利に」 大沢 多分、大方の予想がSARAMI選手の優勢と見ているでしょうね。ここは、沙弥子選手の勝利になると予想します。というのは、打撃がいいので、微差の打撃を取ったV.V. Mei選手との試合と同じような展開、結果になる可能性があるということなんです。  あの試合、実は僕は1Rも2RもMei選手だと思っていましたが割れていました。ジャッジとしては、キープしているだけではなくフィニッシュにつながる動きであったり、打撃でダメージを取るのは重要だということを見た試合でしたよね。そういう意味で、沙弥子選手の長い距離で飛び込んだ打撃などが活きてくると思います。  ただ、SARAMI選手はそこで頑張れる選手だから、頑張って組むんです。だからちょっと組み技でキープされる時間は長いかもしれないですね。そうなった場合でも、SARAMI選手は前半はテイクダウンを取れたりするのだけど、後半はそうもいかなくなってくるということも考えられますから、そうなると打撃を当てたダメージの差で、最終的な判定の結果は沙弥子選手になる可能性はあると思っています。 [nextpage] 田嶋 vs 井村、バンタム級サバイバルマッチ ▼第12試合 バンタム級 5分3R田嶋 椋(OOTA DOJO)1位/2022年ネオブラッド・トーナメント同級優勝  61.3kg井村 塁(ALMA FIGHT GYM PUGNUS)3位/2020年ネオブラッド・トーナメント同級優勝  61.15kg 田嶋「勝つのはもちろんなんですが、しっかり盛り上がる試合をします」 井村「明日、しっかり仕留めます。そして盛り上げます」 マモル「井村選手が勝つなら早い段階。後半に強いのは田嶋選手だけど──」 マモル この試合は面白いですね。お互いここで勝つか負けるかで次の展開が変わってくるので、勝負論があります。試合内容としては接戦になるかなと思っているのですが。 ──アマチュア戦では井村選手が勝利しているそうです。今回リベンジマッチという意味合いも含んでいるかはわからないのですが。 マモル アマチュア戦績とはいえ、とくに負けた方にとっては、しっかり覚えていることですから、あると思いますよ。その田嶋選手は勢いに乗ってトントン拍子に暫定王者にまでなれたものの、中島太一選手との王座統一戦は実力的に「ちょっと(ここまで来るのが)早かったのかな?」と思わせる内容でした。あれから再起戦となった笹選手との試合はスクランブルしつつ要所要所をしっかり取って判定3-0勝利だったのでよかったと思います。  今回は井村選手という一瞬の隙をついてバックに回ったりと、組みのスタイルとして巧いタイプのグラップラーですから、やはり寝かされている時間がポイントになってくる試合でしょうね。田嶋選手は器用なオールラウンダーですし、当然井村選手に簡単に取らせることはないと思いますが、やっぱりスタンドで組み立てたいだろうなとは思います。一瞬で展開が変わる可能性がある試合なので目が離せないですよ。 ──むしろ田嶋選手のほうがトップを取るということも? マモル あると思います。田嶋選手がトップキープしてパウンド、という展開も十分考えられますよね。ケージ際押し込まんだところでのスクランブルもそうですし、お互いの作戦がどうはまるか。田嶋選手が受けてしまうと井村選手はやりやすくなりますし。 ──そこで田嶋選手は簡単にやらせないとして、とはいえ凌ぐ展開が続いていると判定では厳しいのでは? マモル いや、逆に凌いで終盤で取るというタイプではないかと。スロースターターとは言いませんが、後半のほうが田嶋選手は伸び率があるイメージです、TSUNE戦もそうでした。だからこの試合は予想が難しい……。結論として僕の予想は、井村選手勝利で、勝ちフラグ的には早い段階ということになりますね。3Rマッチなので、後半に強いのは田嶋選手ですが1R、2Rもし取れなかった場合に最終Rで倒さなきゃいけないときの一発があるかどうかというと……。 ──ちなみに、それぞれ別の相手との試合を見ると身長差やリーチ差など活きていますが体格差はそんなにありませんね。 マモル ふたりとも、ヒザ下が長い “椅子育ち” の世代だから(笑)、ちゃぶ台とか知らないですよね(笑)。それはさておき、田嶋選手もスラッとして見えるけれど数字で見ると174cm(田嶋)と178cmか(井村)。井村選手、大きいですね。ちなみに予想をする皆さんは、前回の矢澤戦は参考にしないように! 矢澤選手、指5本折ってますからね(苦笑)。 大沢「井村選手は一皮剥けた」 大沢 田嶋選手は2戦前の王座統一戦(vs. 中島太一)で、それまでの人生で一番悔いを残す試合をしたと思うのですよね……、あの試合後、傷ついたり自分にがっかりした部分もあったんじゃないでしょうか。それを経て、前戦は自分からも前に出て、判定3-0で笹選手に勝利しました。そして、その次にガンガン来る井村選手との試合が組まれるという。この試合もどうなるか楽しみですね。  予想としては井村選手なのですが、条件的には「石井逸人戦の時並みに頑張れたら」です。1Rでテイクダウンされて下になってパウンドでカットして……という、この試合は完全に石井選手だろうと思っていたんですね。井村選手に対して打撃が強いだとかテイクダウンが強いっていうイメージを持っていなかったので。そうしたら2Rで頑張ってバックを取ってキープしていた。そして3Rもすごく頑張ってタックルしてスタンドバックを取って、っていう。それまでは正直、井村選手のことを「極めは強いけれど打撃はちょっと甘い」とか「勝負を急ぐタイプなのかな?」と思っていました。フィニッシュがずっと続いていたこともあって、早く試合を終わらせたくて早く極めにいくような感じなのかなって。そういうタイプだとちょっと試合が長引くと気持ちが切れるような場合があるんですけど、そういうイメージをいい意味で裏切られたんです。「こんなに頑張るんだ!」って。だからあの石井戦で、ぐぐっと魅力がアップしたと思うんですよね。というわけで井村選手予想です。一度チャンスを逃したところから井村選手は一皮剥けたとも思っています。 ──頑張って競り勝つ予想ということでしょうか? それともフィニッシュ予想? 大沢 判定で井村選手かなと。シーソーゲームになるんじゃないでしょうか、井村選手は田嶋選手の打撃をもらって顔が浮くような場面もありながらしつこく組んでバックを取ったりするっていう。器用さで言ったら、田嶋選手のほうが打撃も綺麗でジャブもストレートも長いし、蹴りもローが走る。井村選手もパンチは強そうには見えるけれどスピードはそんなに速くないから合わせやすいかもしれないですし。 ──競り合うとなったときに、先ほどのキーワードである「頑張り」の部分で、田嶋選手のほうはいかがですか? 大沢 田嶋選手のほうがバランスのいい選手ですよね、打撃も良くて、もともと寝技も頑張れるタイプ。最近は打撃が多くなっているけど、出てきた頃は組んで頑張るイメージが大きかった。だけど、頑張るのって疲れるから。技術が上がると疲れない勝負をしようとし始めるのは否めないんですよね。頑張りの勝負をしないでいいように技術がついてくると、リスクのない試合にしたくなる。頑張りを抑えつつ打撃で勝負する田嶋選手が、頑張れる井村選手と戦うことによって、本来できる頑張りが引き出されるのか。そんなに頑張ってこないでくれという感じで、打撃で勝負するのか? という展開になるんじゃないかと思っています。 [nextpage] いぶし銀MMA・松本 vs ストライカー・天弥 ▼第10試合 ライト級 5分3R松本光史(M PLATIC)6位/第12代修斗世界ウェルター級王者  70.5kg天弥(和術慧舟會HEARTS)9位/2023年ネオブラッド・トーナメントライト級優勝  70.65kg 松本「しっかり仕上がりそうなので、明日は進化を持って若者を乗り越えたいと思います。よろろしくどうぞ」 天弥「元チャンピオン、ベテランを当ててもらって嬉しく思うんですけど、リスペクトを持って、しっかりブッ潰したいと思います」 マモル「ベテラン対若手ホープの好カード」 マモル ベテランの松本選手に頑張ってほしいと思ってしまう試合ですね。オールラウンダーで打撃も組みも上手い選手ですが、アキラ戦で暫定王座のチャンスを逃してしまった……けれども諦めずに続けている。  一方、ストライカーの天弥選手はここをクリアできたら本当の意味での次世代ホープですし、そうなるのに十分な可能性を秘めていますね。余談ですが、和術慧舟會HEARTSの選手はセコンドにつく大沢さんの代理で解説席に入るから相当しっかり記憶しているんです(笑)。 ──松本選手の前戦は、西尾選手のような、一撃があるタイプというのでしょうか、そういう選手をしっかり制していました。 マモル そうですね、完全にその光を消して完封勝利してテクニックの差を見せていました。 ──頑張ってほしい、というのは、松本選手を見ていてまだここで若手にとっての門番のような役回りではなく、ここから上を目指してほしい、と言うようなニュアンスですか? マモル そうですね、松本選手の佇まいからしても多くを語る前に結果で示すぜ! っていうところがありますけど、結果ありきの仕事ですからね。しっかり勝ってまだまだ上に行くというところを見せてもらいたいなという。それでいて天弥選手が勝ったとすれば今後がますます楽しみになりますし、好カードだなと思っています。お互い、どんな試合を見せてくれるのか注目です。 大沢「天弥が勝つ試合であれば早い段階で相手を呑み込んじゃう」 ──この試合も和術慧舟會HEARTSの若手・天弥選手ということで、ぜひ大沢さんから見どころを伺えればと思います。 大沢 松本選手は元修斗王者であり、RIZINにも出場、アブダビにも出ているという、本当のオールラウンダー。今時のベテランという感じです。全部できて相手の苦手なところで勝負をしてくるという。選択肢が全部あるんですよね。  天弥は打撃が得意な選手だから自分のやりたい展開にできるかどうか。この試合は一般的に見たら天弥が挑戦する立場で、もしかするとちょっと早いと思われるかもしれないですよね。こういう若い芽を潰す(笑)マッチアップって結構あるんですけど、割とベテランが勝利しがちで(笑)。ハハハハ! で、これもそういう、勢いのある若手が一回蹴落とされんとする試合の位置づけですよね。逆にここで天弥が松本選手を蹴落とせれば一気に走り抜けますからね! もちろんこういう試合で負けた選手たちは、また頑張っていって、結果的に強くなるんですけど。 ──(ちょうどジムに天弥選手が登場) 大沢 どう? 天弥 (プロテインをかきまぜてゆで卵を食しながら)負けているところはないと思っています。自分の拳が折れないかが不安なくらいです! 大沢 勝負の世界で何が起こるかはわからないけれど、天弥が勝つ試合であれば早い段階で相手を呑み込んじゃうと思います。ハマれば倒せる! [nextpage] PANCRASE初参戦の杉山にライカはリベンジ宣言 ▼第7試合 女子フライ級 5分3R杉山しずか (リバーサルジム新宿Me,We) 56.85kgライカ(RIGHT THING ACADEMY)2位  56.9kg 杉山「PANCRASEという歴史ある団体に参加させていただき、このような記念大会に参戦できてとても嬉しいです。体重もしっかり作れて、体調もよくできたので、明日は鮮烈なデビューを見せられるように頑張ります」 ライカ「リベンジマッチということもあって、いま持っている力をすべて出し切って暴れて楽しみたいと思います」 大沢「杉山選手は長らくトップにいながらベルトを獲っていないから──」 大沢 この試合はベテラン同士ではありますが、さらにライカ選手はボクシングのトップからやってきた超ベテランっていう。杉山選手は長らくトップにいながらベルトを獲っていないですからね、そういう選手のこれからを考えても面白い試合になると思っています
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