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インタビュー

【RIZIN】初回TKO勝ちの鈴木博昭「ボンサイ柔術に行ってる人間が『三角で極められた』は筋が通らん」、四十路前に「現実問題はあるけど結局、本人の“生きるガソリンの量”だから」×芦田「自分から引き込んじゃって……」

2024/02/26 17:02
 2024年2月24日(土)、佐賀県佐賀市SAGAアリーナにて『RIZIN LANDMARK 8 in SAGA』が開催され、第5試合のフェザー級で“怪物くん”鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)が、芦田崇宏(BRAVE)に1R TKO勝ち。試合後、四十路前のMMAでの進化とアンチエイジング論、YA-MANとの対戦アピールについてあらためて語った。 ▼RIZINフェザー級(66.0kg)5分3R〇鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)65.90kg[1R 4分29秒 TKO] ※パウンド×芦田崇宏(BRAVE)65.95kg  愛知県出身、元シュートボクシング王者の鈴木は、RIZINで奥田啓介を1R TKO勝ちデビュー後、萩原京平に判定負けも、昇侍に1R TKO勝ち。しかし、平本蓮、青井人に判定負けで連敗。2023年6月の前戦では西谷大成を1R 56秒でTKOに下し、再起を遂げている。  佐賀出身の芦田は、柔道からレスリング、ボクシングではインターハイと国体に出場。2020年9月に萩原京平に一本勝ちするも、21年10月大会で金原正徳にTKO負け。2022年4月にカイル・アグォンにも判定負けで連敗も、今成正和、中田大貴相手に判定で連勝。2023年5月の前戦で摩嶋一整にヴォンフルーチョークで一本負けを喫した。  試合は、鈴木の左の打撃の圧力に、組みに行った芦田が引き込み。下からのフルガードから仕掛けを潰して片足を越えると、足を戻して三角絞め狙いの芦田をかつぎパス。中腰からのパウンド、グラウンドヒザ、サッカーキック、鉄槌とまとめて、TKO勝ち。西谷戦に続く連勝を飾った。  ケージの中で鈴木は、「ここから元チャンピオンとか上位陣をブッ潰す。どんどん上にのし上がりたい。一個心残りがあるんでここで言わせてください。YA-MANくん、“何でもあり“”でオレとタイマンしよーぜ!」と、大晦日に平本蓮に判定負けしたYA-MANに対戦を呼びかけている。  試合後の会見での鈴木、芦田との一問一答全文は以下の通りだ。 サトシに『試合前だから練習しててね』って言ったら、『大丈夫、アナタの試合全部行くから』って── ──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますでしょうか。 「めちゃめちゃ嬉しいです」──TKOでレフェリーが間に入った後に、ケージにぶつかったり、登ったり大暴れしていましたけれど……。 「大暴れ? はい(笑)」──あれはもう心の重くままに?「いやもう本当に、もちろん勝つためにやってるんですけど、あの瞬間以上報われる時ないんで。やっぱもうね、年甲斐もなく暴れちゃいましたよね」──決まり手のパウンドの直前にサッカーキックを効かせていましたが、あそこで蹴るしかないと思って、練習していた?「いや練習でできる技じゃないから、うん。何だろう、“開いてる”とこが見えたそん時出る技 が多分あれだったっていうだけで、はい。──試合前も語っておられたのですが、「次に何が出るかは自分に任せる」と。 「そう。考えずにこの“出るものを出す”っていう。その時に動く場所。相手のその“KOの画が見えるライン”……そう、勝ちへの道が見えて、その時何が出るって言ったらそれだったっていう。うん、まあまあ経験則かな? っていうのは、はい」 ──今回、元DEEP王者の芦田選手に勝利しました。芦田選手と戦う前のイメージと実際に組んでみて違ったところはありましたか。 「いや。あの“あ、引き込んでくるんだ”っていうのはちょっとありましたけど」──引き込まれてからの組み技・寝技の勝負どころでは、どういった力の差がありましたか。そこで行けると思うこともありましたか。 「寝技の展開はいつもやってるので、ボンサイ柔術のみんなと練習していて、やっぱり極めが強い人も多いし、ボンサイ柔術に行ってる人間が三角(絞め)で極められた、じゃちょっと筋が通らんだろうっていう。はい。その、“試合で勝った負けたはしょうがないけど、三角で極められただと?”って言って、たぶんサトシ&クレベルに詰められちゃうんで、はい(笑)。そこは避けれて良かったかなと思います。あの、勝ち負けはね、勝負なんでどっちか勝った・負けた、だからしょうがないところもありますけど、“それ(三角)はお前何してんだ!”って怒られちゃうんですよね」 ──セコンド陣やチームメイトからはどういった言葉をかけられていましたか。 「『絶対勝つから、アナタが』」──では、勝った後にも何か言葉をかけられましたか。 「『良かったじゃん!』って。『言ったじゃん! アナタ勝つって言ったじゃん!』っていう」 ──今のはサトシ選手(の言葉)ですか? 「両方です、二人ともです」──試合を終えたばかりですが、今後の目標・展望を教えてください。 「何でしょう、どんどんこう、格上の人たち……それこそ元何々、もう本当にMMAをずっとやってる上のベテランたちとか、それこそ元チャンピオンいっぱいいるし、そういう強い選手たちとやって自分のランク上げていこうっていうのはあったんですけど。心残りだった、YA-MAN君にマイクで『タイマンしようぜ』って言わしてもらいましたけど。うんまあ、それで、あの『やれるならやろうぜ』っていう。『無理ならまあいいよ』っていう、1回だけみんなの前で表明してみようと思って言いました」 ──肉体が相変わらずバキバキなんですけれども、年齢で言うともうかなりRIZINの中ではベテランの部類に入ると思います。年齢との戦いだと感じるところはありますか。 「え?」 ──その……、例えば 疲れが取れにくくなってるだとか。 「いや。その、年齢でどうこうって、別にお客さんそこ見たいのか? って、いつも思うんで。パッと戦って、強い・弱いとか、面白いとか、それが見たくて来てると思うから、まあ“歳がどうこうで勝負してねえよ”ってのはすごくあるんで“一般論で俺は当てはめるんじゃねえ”っていつも思ってるんで、はい(苦笑)」──例えば10年前とかと比べて体のキレが落ちたな、とか疲れが抜けにくいなというようなことをあまり感じることはないですか? 「……まあ多分あるんでしょうけど、結局何かあったらすぐ“じゃあ、今こうならこうしよう”。ずっとそれの繰り返しなんで、対応を繰り返していく。結局その、よく言う年齢とかは、それこそ仕事があって、どの世界でもある言葉ですけど、“歳とか仕事とか家庭とかそういうのに逃げんじゃねえ”って。“やりたくない理由をそっちに転化してるんじゃないよ”って思ってるんで。 “やるんだったらそれに対して対応していきなさい。嫌なら退きなさい”っていう感覚でずっとやってるので。なので“何かあったらこうしよう”を繰り返してるだけです、はい。で、まあまあ現実確かに今年40歳ですから、現実問題はあるはあるんですけど。そんなのはもう結局、その本人の“生きるガソリンの量”だと僕は思ってるんで。  無理になったら多分無理になると思います。今はもうこうやって戦わしてもらって、まあ“ガンギマリ”なおかげで、年齢のそういった部分の経年劣化はたぶん停止してます」 ──セコンドには来月試合があるサトシ選手(3月23日、神戸で中村K太郎戦)の姿もありました。「試合が近いので無理して来なくていいよ」と鈴木選手がサトシ選手に言ったそうですが、サトシ選手も駆けつけたそうですね。 「そうです。今回は、いつもセコンドに付いてくれる堀(克成)さんっていうチームメイトと、クレベルと2人で臨む予定だったんで、『試合前だから練習しててね』って言ったんですけど、『ああ、大丈夫、アナタの試合全部行くから』みたいな感じで普通にサラッと言ってきたので、いや 本当に申し訳ないよねっていう。うん、だから、終わったらもうまた来週月曜日から僕が彼のフルサポートに戻るだけです。だから本当に、本当にこの今一緒にやってる仲間たちのおかげで僕はやれてます」 ──勝利でいいバトンを渡せたと。そして週明けから今度はサトシ選手の試合のサポートを。 「いやもう良かったです。もう本当に、バトン渡せたと思います、いい形で。そして完全サポートです。まあ、こう見えてジムの代表(BELLWOOD GYM)だし、結局関わってる選手はもう15人ぐらい関わってんのかな? ウチのジムの生徒しかり、彼ら(ボンサイ勢)しかり。一応そういう立場なんですよっていう」 [nextpage] 芦田崇宏「自分の弱さというか、ダメなところが出た」 ──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますでしょうか。 「情けない。情けなかったなっていう印象ですね。自分が」 ──それは試合内容に対してということでしょうか。 「そうですね。まあ勝敗もそうですし、試合内容もちょっとあの、プラン通りじゃなかったなっていうのもありますね、はい」──TKO負けのゴングが鳴った直後、レフェリーに静止されていましたが、あの時ご自身としては、まだ試合を続けたいという気持ちだったのでしょうか。 「あの、率直なこと言うと全く効いてないし、脳も揺れた感じが全くなかったんで。で、僕の中でもしっかり動きを止めてないつもりでいたんで。で、もらった攻撃も全部覚えてるし ヒザ蹴りであったりサッカーボールキックであったり……。ただやっぱりダメージはなかったけど、うーん、そうですね、リング上ではまだまだやれたし、もう1R終了間際だったんで、そういう気持ちが強かったですね」──そういったところはセコンドや陣営と話して確認できたことはありましたか。 「試合後ですか? 試合後はまず戻って。モニターで映像流れていたので(セコンド勢とともに)見ていたら、“まあ、止められてもしょうがないかな”っていう感じでしたね、はい。動きも止まってたっていうか、なんか丸くなってたし。僕の中では動いていたつもりでいても、やっぱり見映えも悪かったんだなっていうのは、すごい反省ですね」 ──先ほど「効いていなかった」ということでしたが、鈴木博昭選手と実際に拳を交えてみて、戦う前のイメージと違うところはありましたか。 「いや、イメージが違うことは無かったし、まあ寝技の対応もある程度はできるだろうなと思ってたんでアレですし。ちょっと、僕は三角絞めとかすごい得意なんで、勝ち急いだというか、極め急いだ部分がすごく今回は……プランの中では無かったんで。ちゃんとトップキープして試合をコントロールして相手のミスを誘いながら極めるっていうゲームプランだったんですけど……ちょっと自分から引き込むことをしちゃったから、まあその、鈴木選手どうこうっていうよりは自分の弱さというか、ダメなところが出たなっていうイメージですね」 ──試合を終えたばかりですが、今後の目標・展望を教えてください。 「まあ、はっきり言って今後のことはまだ今終わったばっかりなんで考えられないですけど、そうですね……まあ、ちゃんと考えてはいきたいなと思うのと、ああいう自分の中では納得いかないからってこう……、ちょっと話は変わりますけど、さっさとリング降りたり、ああいう態度は自分の中では良くなかったなって、今すごい反省してますね」
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