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2024年2月24日(土)、佐賀県佐賀市SAGAアリーナにて『RIZIN LANDMARK 8 in SAGA』が開催された。
第6試合では、左尺骨骨幹部骨折(全治5カ月)で欠場した浜崎朱加の代わりに、同門の大島沙緒里(AACC)が「RIZIN女子スーパーアトム級(49.0kg)戦」として、クレア・ロペス(フランス)と対戦した。
大島は、現DEEPミクロ級王者、元DEEP JEWELSアトム級王者。柔道時代に元世界王者の浅見八瑠奈に勝利するなど活躍し、MMAでは2022年5月から5連勝も、2023年9月の前戦でパク・シユンに判定負けでアトム級王座を手放した。今回、同門の浜崎の負傷欠場により、スクランブル参戦を決めた。
対するロペスは、元UFCファイターのブラッド・ピケットを師に、2023年4月の『RIZIN LANDMARK 5』で日本初参戦。RENAからヒザ十字でタップを奪うと、7月の『超RIZIN.2』で伊澤星花の持つスーパーアトム級王座に挑戦。ニンジャチョークを極められ一本負けで王座戴冠ならなかった。
両者にとって、今回は再起戦だった。試合は、大島の小内刈テイクダウンからのキムラロックを前転してずらして逃れるロペスに、大島が2Rにシングルレッグテイクダウンも、ここもロペスがブリッジでスイープ。しかし、2度目のブリッジで上を取り返したロペスが左手を大島の身体の上に残したところを大島が逃さず、手首を掴んで両足を頭にかけてうつ伏せになって腕十字を極めた。
試合後、大島は「腕十字は取れないもんかなと思っていたけど、グイって引き寄せたらヒジが中まで入ってきたから“行ける”と思って、思いっきり伸ばした」と、手繰り寄せた一本勝ちを語った。
RENAに一本勝ちしているロペスに、浜崎の代役として緊急出場の末に腕十字を極めた大島は「『(浜崎)朱加さんの背中を追いかけてまだまだやっていきたい』って言ったんですけど、本当に、海外の47.6kg(アトム級)の選手とも試合していきたいと思ってますし、前回DEEPでは負けた(パク・シユンに判定負け)けど、RIZINでは今4連勝中なので、伊澤(星花)さんにも挑戦したいなと思っています」と、浜崎が2度敗れているRIZINスーパーアトム級(49kg)王者の伊澤星花との対戦をアピールした。
大島沙緒里「正直これ負けたら『もうしばらくはやりたくないな』とまで考えていた」
──試合後の率直な感想をお聞かせいただけますでしょうか。
「そうですね。本当に今回負けてしまったら格闘技人生で初めての2連敗だったので本当に先が、正直これ負けたらもうしばらくはやりたくないなって。もうそこまで考えていたので今回勝つことによって、いろんな道が広がるから、本当に必死で戦いました」
──試合を終えた直後、両手で顔を覆っていたのは何を思い浮かべていたのですか。
「なんか本当に決まってから、子供たちも旦那の実家に預けて。もうずっと試合のことばっかり考えてて。で、やっぱり負けた後の試合ってなんか勝つイメージがなかなか湧かなくて。本当に前回の試合(パク・シユンに判定負け)が結構頭によぎる部分もあったので、本当に怖かったんですよね(苦笑)。やっぱりこうインスタの投稿とかに書いたりとか、インタビューでも『大丈夫です』なんて言ったんですけど、本当に自分に言い聞かせてる部分もあって。本当に怖かったので本当に勝てて良かったです」
──フィニッシュについて、袈裟固めの形から相手にひっくり返されることが続き、同じ形からの腕十字は狙っていたのですか。
「クレア・ロペス選手の試合を見てると、やっぱりRENAさんと試合してる時も 腕十字のセットまでは行ってるけど極め切れなかった部分とか見てたので腕十字はもしかしたら入るかもしれないと思ってたんですけど、なんか私もそこまで得意っていうわけではなかったので腕十字は取れないもんかなと思ってましたし、最後極まったやつは、もともとヒジが中まで入ってなかったので、“これ取れないな”って思ってたんですけどグイって引き寄せたらヒジが中まで入ってきたから“行ける”と思って、思いっきり伸ばして……って、ところですね」
──解説の金原正徳選手と杉山しずか選手が、あのフィニッシュの仕方で、お2人ともその前のスイープで「まただ」みたいな感じだったんですけど、そこであのフィニッシュになったので大絶賛されてました。
「ホントですか! 本当にあの何回も諦めました。やっぱり上になってる方が──下からも得意だけど──もちろん上の方が安心するので私も。上になりたくて上になっても、何回も何回も返されてしまうから。でもやっぱりその形になりたくて諦めずにしつこく上を取りに行った感じですね」
──クレア・ロペス選手と実際に対戦して、戦う前のイメージと違うところはありましたか。
「計量の時よりもさらに大きく感じて、ケージの中に入った時に。“ああこれが海外の選手なんだ”っていうのは、韓国の選手(と対戦したこと)はあるけど、それ以外の選手と試合をしたことがなかったので、対面した時はちょっとびっくりした部分はあったんですけど、顔に出さずに試合をして(笑)。でもやっぱりフィジカル差っていうのは感じました」
──試合を終えたばかりですが、今後の目標・展望を教えてください。
「『(浜崎)朱加さんの背中を追いかけてまだまだやっていきたい』って言ったんですけど、本当に、海外の47.6kg(アトム級)の選手とも試合していきたいと思ってますし、前回DEEPでは負けたけど、RIZINでは今4連勝中なので、伊澤(星花)さんにも挑戦したいなと思っています」
──韓国から来た記者です。大島さんに勝ったパク・シユン選手の次の試合はご覧になりましたか。
「えっと、須田(萌里)選手との試合ですか? 見てないんです」
──パク選手が試合中に色々と、グローブに指を入れたりと問題がちょっとありましたが、パク・シユン選手とRIZINでもどこになってでも、リベンジしたいと考えていますか。
「もちろん。やっぱりリベンジはしたいんですけど。チャンスっていうのは何回も来るわけでもなくて、みんなに平等に与えられるので、正直『リベンジの試合がしたいです』っていうのは1回話してるんですけど、チャンスをもらえなかったので。また私がそこまでたどり着くしかないのかなと。やっぱりみんなやりたいから。須田選手だってやりたいし、伊澤さんも今度試合(3月24日の『DEEP JEWELS 44』でアトム級でパク・シユンと対戦)するし、チャンスを待つところです、今は」
──今回、浜崎選手の怪我(左尺骨骨幹部骨折で全治5カ月)により、異例のスクランブル参戦でしたが、振り返ってみたら、準備期間が短いことが大島選手にとってプラスになったことなどもありますか。
「プラスですか? うーん……、まあでも私、減量が無いんですよね。いつ決まってもこの49kgは減量が無いので、例えば44kgとか、今ベルト持ってる44kg(※DEEPミクロ級)であれば、やっぱり減量のことが結構頭に入って体重ばかり気にしちゃうんですけど、減量が無くて、で、いつも大体試合はRIZINとかだったら2カ月前とかに決まるので。ずっと試合のことを2カ月間考えるっていう感じになるんですけど、今回は2週間前に決まったので、正直2週間は本当に地獄のような日々だったんですけど。試合のことを考えるのが2週間にギュっと詰まったっていう感じでは良かったです。
ただ練習とかは本当に2部練・3部練を、子供がいなかったんで、朝早く起きてやって、で、夜遅くに帰ってきて。旦那も次の日試合だからもう本当入れ替わりっていうか。家に夜寝るだけでいて、それ以外はずっと外に出っぱなしだったんで、お互い。時間が短ければ考えなくて済むというのはありますね」
──メンタル的な負担は少ないけれども、その分練習はかなり詰まっていたということですね。
「はい、めちゃくちゃ詰めました。やっぱり総合スパーをちょっとしてなかったんですよ。しばらく打撃が課題だっていうのは皆さん分かってると思うんですけど、ずっとボクシングをやってて総合スパーをしてなかったので、この2週間で総合スパーをしたって感じです」
──お子さんにも寂しい思いをさせてしまったかもしれませんが、試合が終わって、お子さんとどんな風に時間を過ごしたいですか。
「いや、今もう全然寂しがってくれなくて(苦笑)。電話しても『また電話してきたの?』って言われちゃうぐらいだったんで、本当に私がちょっと悲しかったんですけど。いや、もう、手放したくないですね。もうずっと手を繋いでるか、ずっとギュってしてたいですね、今は。ふふふ」