キックボクシング
レポート

【XSTREAM 1】所英男、笠原友希“1分間高速ミドルキックチャレンジ”に挑戦。剣道ベース異色のキックボクサーが活躍、“レジェンド”飛鳥信也のリベンジならず

2024/02/21 18:02
 2024年2月18日(日)ゴールドジムサウス東京アネックスにて、第4回『XSTREAM 1』アマチュア大会が開催された。  全127試合、総勢240名の参加者で賑わった同大会にて、オリジナル競技「1分間高速ミドルキックチャレンジ」にはプロ選手である所英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)、笠原友希(シーザージム)、そしてテコンドー全日本王者・三留空也(岡澤道場)が参戦。歴代最高記録に迫る熱いパフォーマンスを繰り広げた。  毎回プロのゲスト参戦が話題の完全オリジナル競技「1分間高速ミドルキック連打チャレンジ」は、今回も豪華な顔ぶれとなった。  大きな歓声に迎えられた所英男だが、「ミドルキックは試合でも出したことがない」というくらい苦手というが、「多くの方にチャレンジする姿を見せたいと思い」参戦を決めたという。  緊張の面持ちでスタートした所は、開始20秒ですでに苦悶の表情を見せながらも歯を食いしばり果敢にミットにキックを連打。途中、蹴りが止まってしまうシーンもあったものの、会場の拍手に背中を押され1分間を全うした。結果は「70回」。  所は「練習のときは1分間もたなかったんですけど、途中止まってしまったものの、1分間やれてびっくりしています。めっちゃ嬉しいです。練習では50回も蹴れてなかったので。やはり皆さんから応援してもらえて頑張ることができました。キックは苦手なのですが“チャレンジしたいな、チャレンジしなきゃな”って。自分みたいにキックができなくてもチャレンジすることが大事なんだと今日思うことができました」とコメント。  そして、もう一人のスペシャルゲストはシュートボクシングスーパーフェザー級王者の笠原友希。一週間前のSBで韓国のソン・ジェミンにハイキックで逆転KO勝利を収めたばかり。  チャレンジ前から笠原が「歴代最高記録保持者・ RISE大﨑孔稀選手の記録を塗りかえる」とSNSで宣言すれば、大﨑も応戦するなど、出場前から舌戦で盛り上がっていた今回の参戦。  自信をのぞかせる笠原のミドルキックは、正確な蹴り位置とリズムをキープと好調な滑り出し。難局である後半戦になるとさすがの笠原も苦笑いを隠せずも、プロの意地を最後まで見せつけた。結果は最高記録「114回」に肉薄する「110回」。あと4発差に残念そうな笠原だったが、1週間前に試合を終えたばかりの疲労もあり、「またぜひチャレンジしたい!」と力強い言葉を残した。  挑戦後、笠原友希は、「めちゃめちゃしんどいというか、後半足が動かなくなるので。自分的には感覚で120回は蹴れていたけれど、最後の方は足が上がらなくて“こんなんなるんだ”って初めて思いました。昨日練習したときは104回だったので、それを上回って嬉しい気持ちと、もうちょい完璧に仕上げれば(大﨑選手の記録超えが)いけたなって。言い訳みたいになっちゃうんですが、試合1週間後だったので、リベンジできるなら仕上げてチャレンジしたいなって思っています」とあらためて記録更新に意欲を見せた。  また、テコンドー全日本王者の三留も「記録を狙う」と宣言。練習で最高記録130回を叩き出したというが、本番は練習通りには行かず、本人も「緊張した」と言いながらも僅差の「111回」を記録した。悔しそうな表情で「次は必ず最高記録を出します」とリベンジに燃える三留は、「めっちゃ疲れるんですけど、“やっぱりいけるな”って思っています。“次は絶対に超えられるな”って。またやりたいです。正直なことをいうと練習では130回いけたんです。でも緊張しちゃっていかなかった。次は必ず超えます、絶対!」とリベンジを誓った。  一般部門ではキッズからグラマラス・ウーマン、ジェントルマン・クラスの大人まで17名が参加。25kg部門(幼年・キッズ・ジュニアクラス)に出場した6歳の斎藤瑛菜(チームドラゴン)は、「121回」という部門最高記録、大会新記録を叩き出した。記録を出すために週3回ジムで、自宅でも練習をコツコツを積み重ねてきた成果が出たという。 「1分間高速ミドルキック連打チャレンジ」では、続々と新記録が打ち出されており、誰でもチャレンジできる格闘技競技として進化し続けている。 [nextpage] 年内にランキング上位4名による初代王座トーナメント開催  また、『XSTREAM 1』本戦は年内にランキング上位4名による初代王座トーナメントを実施予定。その先に見据えるプロ化に向け、実力者たちが鎬を削り合う場として今大会もキッズから37歳以上が出場するジェントルマンファイトまで白熱した試合が連続した。  今回大会MVPに輝いたのは若きホープ・山下明涼真(TSKJAPAN)。ランキングの査定試合でもあるAクラスに出場し、前田憲作代表も「とにかく試合運びがうまかった」と絶賛。間合いの取り方、切れ味ある攻撃力は今後の伸び代が注目される活躍だった。 マーシャルアーツルールで新星登場! 剣道ベースの縦拳が炸裂  団体の枠を越え、さまざまな格闘技、武道が拳を交える「マーシャルアーツルール」にも新展開が。一強を築くテコンドー勢を脅かす存在が登場した。剣道四段キックボクシング歴わずか9カ月の新谷竜輔(龍拳會青葉台支部)が、中国武術・截拳道(ジークンドー)の選手相手に圧勝。剣道らしく間合いを詰めて独特の縦拳を叩きこみ、瞬時にポイントを獲得していった。気力を掛け声として現す剣道ならではの掛け声が会場中に響き渡り、格闘技ファンも初めて見る光景に目を奪われた。  マーシャルアーツルールにおいてスピードは勝敗を左右する重要なポイント。次回は蹴りのスピードが華やかなテコンドー対、拳の剣道という想像もつかない異種格闘技戦が実現しそうだ。  一方、今大会もテコンドー勢の優勢は変わらず。しかし、中には敗北する選手がいたり、前回圧倒的だった『XSTREAM1』マーシャルアーツの顔・三留空也が梃摺るシーンも。三留は勝利を収めたものの「相手が強かった。もっと練習をして強くなります」と対戦相手からも研究されている危機を感じたようだ。  また、プロレス対キックボクシングの試合は、ラグビー&プロレスという異色の経歴を持つ市川大河(龍拳會青葉台支部)が魅せ、プロレスならではのロープワーク、ドロップキックで終始攻勢に。しかしキックボクサーの杉浦よしひろ(チームドラゴンジム)も意地を見せドロー判定。盛り上がりをみせる異種格闘技戦に、前田プロデューサーも新たな展開を計画中とした。 レジェンド飛鳥信也のリベンジは──  夜の部は、毎回大人気の「ジェントルマンファイト」。入場曲&リングコール、そしてラウンドガールが華を添えるプロさながらの演出で試合が行われた。  35歳以上を対象とし、65歳キックボクシング界のレジェンド元MAキックボクシング王者・飛鳥信也もリベンジをかけて再登場。還暦をきっかけにリングで戦い始め、勝利のために日々練習を積みチャレンジしたが、結果はTKO負け。悔しそうにリングを後にする姿に大きな拍手が送られた。今回もミドル世代の闘う勇姿に場内は白熱した。 前田憲作「XSTREAM 1」総合プロデューサー総括 「朝のキッズクラスの試合から、夜のジェントルマンファイトまでかなりの盛り上がりを見せた1日でした。キックボクシング、ムエタイ、空手ルールもそれぞれ選手層の厚みが増し、レベルが上がってきたことを実感しています。次回からキックボクシングとムエタイのキャッチに関するルール改定も行おうと考えています。  マーシャルアーツルールも剣道経験者がキックボクサーとして出場したり、かなり面白くなってきました。近々ポイント制のオープントーナメントも検討中です。ポイント制なので無差別級で開催できるため、相撲、剣道、プロレス、テコンドー、ムエタイ、截拳道など、各競技の実力者同士の試合が開催できるので、こちらもワクワクする展開になるでしょう。コスチュームもそれぞれの競技のユニフォームを着用し、誰が見ても分かりやすい異種格闘技戦になるのではないでしょうか。  そしてマーシャルアーツは、Aクラスのみフルコンタクトルール(ローキックのないキックボクシングルール)でラウンド制を次回から導入していこうと協議中です。より面白く、わかりやすく、それぞれの特性を活かしあえるように進化させます。  次回大会は6月16日(日)ゴールドジムサウス東京アネックスです。2024年は『XSTREAM 1』ならではの格闘技のルール、団体の垣根を越えた「格闘技の可能性」をさらに掘り下げていく一年として進化を止めることはありません。今年も『XSTREAM 1』の展開にご注目ください」
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