2024年3月20日(水・祝)東京・国立代々木競技場第一体育館『K-1 WORLD MAX』の記者会見が、2月5日(月)都内にて行われた。
スーパーファイトのK-1スーパー・ライト級3分3R延長1Rで、卜部功也(ALONZA ABLAZE)が鈴木勇人(K-1ジム五反田チームキングス)と対戦する。
卜部は2009年3月にプロデビューし、K-1 WORLD MAX 2011 -63kg Japanトーナメントで準優勝。2015年1月にはトーナメントを制覇してK-1 WORLD GPスーパー・フェザー級初代王座を獲得。2016年にはK-1 WORLD GPスーパー・フェザー級世界最強決定トーナメント優勝、2018年3月にはK-1 WORLD GPライト級王座を奪取して2階級制覇を達成した。
高度なディフェンステクニックとカウンターテクニックを持ち、国内外の名だたる強豪を次々と撃破。長くトップに君臨していたが、2019年3月に後輩でもある林健太に敗れ、ライト級王座を奪われた。2019年7月に再起戦を行うもジュー・シュアイにまさかの初回55秒KO負け。引退をにおわす発言もしていたが、2020年9月に約1年2カ月ぶりに復帰し、2021年7月の大沢文也戦まで3連勝。今回2年8カ月ぶりに復帰する。戦績は52勝(13KO)10敗。
鈴木は2016年12月にKrushでプロデビューすると、サウスポースタイルから繰り出す左ミドル&左ストレートを武器に頭角を現し、2019年1月にKrushスーパー・ライト級王座を獲得。2020年2月に佐々木大蔵にタイトルを奪われた。2022年4月の林健太戦で元K-1ライト級王者の林をKOする金星を得ると、8月には近藤魁成に先制のダウンを奪われるも延長戦で大逆転KOに成功した。2023年7月のデンサヤーム戦から12月の豊樹戦まで3連勝中。戦績は16勝(10KO)8敗1分。
「階級も違うので戦う目線で見ていなかったのでオファーが来てビックリしましたが、過去の経歴を見ても日本を代表するトップ選手なので、勝てば証明できると思って気合いが入っています」と、思わぬ対戦相手の登場に驚いたという鈴木。
卜部は「お久しぶりです。復帰のタイミング的には相談は前からしていて、強いのをお願いしますと話していたんですが相手を選んでいてはダメだと。どんな相手とでもやるという感覚でこの場に立っています。一発目で、大和哲也選手のタイトルに挑戦する立ち位置くらいの選手なので、一発目できつい相手ですが覚悟を決めて勝ちに行きます」と復帰の挨拶。
2年8カ月ぶりに復帰した理由は「ジムの体制が整ったのがひとつあります。抱えている選手たち、松谷綺がKrush王者になったのと、自分が言わなくても考えられる選手が集まったと言うか。いつまでも指示を出しているチームは強くないと思っているので、そこら辺は信頼できるメンバーが集まったのでそろそろ復帰してもいいなって。練習はジムをオープンする前に自分の時間を作って練習しています。これからスパーリングパートナーも呼んでって感じです」と、選手育成がひと段落したからだという。
選手としてのスイッチは「12月くらいには入っていました。このタイミングだろうと3月のイメージは何となくしていました。ここに間に合わせるというよりは、ガッカリさせたくないというのがあるので、いいパフォーマンスには3~4カ月あれば作れるのでそれで仕上げている感じです」と、12月から3月の復帰を目指していたとする。
鈴木の印象を聞かれると「激闘派で殺しのある選手。ポイントアウトしない。しっかり倒しに来る。緊張感ある試合が出来ると思っています」との評価。
鈴木は卜部の印象を「完璧な選手と思うくらい強い。テクニックが凄いあると思うので自分とは対照的、タイプが違うと思う。テクニックでやったら分が悪いと思っているので、卜部選手の土俵ではなくて自分の土俵で戦えるように行って貫ければ可能性はあると思っています」とする。
どんな試合かと問われると「激闘します。激闘しか出来ないので。まともにテクニックでやったら勝てないと思うので、引きずり込んで激闘します」と、卜部を激闘に巻き込むとした。
12月には皇治率いるNARIAGARIの豊樹と不満がありながらも戦ってしっかり仕留め、「あの試合の後はもちろん王者を目指してやっていますので、今年は王者になることを目標でやっているので、そこへ向けてやっていこうと思っています。強い相手が来ると思っていてその一発目が卜部選手だったので、この試合も自信があります」と、タイトル挑戦を見据えている。
現王者・大和哲也に言いたいことは、と聞かれると「自分の声は本人に届いていると思うので言うことはないですね。タイミングや王者の意向があるので、チャンスが来るまで自分が勝ち続けていくことと、大和選手から鈴木とやらせてくれと名前が上がれば実現すると思う。あとは試合でしっかり魅せようかなと思っています」と、大和の口から挑戦者として指名するような試合を見せるとした。
同じサウスポーとして卜部の試合を参考にしたことはあるのかとの質問には、「正直言うと、何年か前までテクニックが全く分からなかったので。だから見ても何が凄くて何がどうなっているのか分からなかったんです。この試合が決まってから卜部選手の試合をけっこう見ているんですけれど、今はテクニックの凄さが分かるので知れば知るほど凄く強いなと思います。ただ、自分と向き合った時にそのテクニックが通用するかどうかはまた話が変わって来る。映像と向き合った時の差を自分自身がどれくらい感じるのか楽しみです」と答える。
卜部は復帰してからの目標を聞かれると、「やるからには3階級目を狙ってやります。3階級制覇、これしかない。あとはK-1のベルトが一番だと今でも思っているので、その価値を高めるだけですね。それに相応しいのは僕だと思っているので、しっかり3階級を獲りたいです」と、武尊に続く3階級制覇を目標に掲げた。
新生K-1を盛り上げて来た立役者として、新しい世代のK-1ファイターに言いたいことは、と聞かれると「言いたいことは俺らで客を埋めようぜ、会場をパンパンにしようぜって感覚を持たないとダメだと思います。人に任せっきりじゃなくて、みんなで盛り上げてパンパンにして。そうすればK-1も自分たちもよくなります。それはKrushの時から思っていて。お客さんをめっちゃ連れて来ようって。今の選手にはそういう努力が必要。そうすればもっとやる気が出ていいと思います」とメッセージ。
さらに、以前は鎖国状態で他団体との対抗戦をやっていなかったが、今は興味あるかと問われると「言われたらやるって感じです。行けと言われれば行きます。自分からはない。自分から行くってスタンスは嫌で、K-1の土俵に連れて来たい。宮本武蔵と一緒で自分がコントールしたい、主導権を握らせたらダメだと思うので。若い選手に言いたいです。そんなヘラヘラ行くんじゃねえ、どんと構えてろって」と、K-1を作り上げてきた選手としてのプライドを垣間見せた。