パンチに特化した練習をしているという木村は重いパンチでサンドバッグを揺らす
2019年8月24日(土)エディオンアリーナ大阪『K-1 WORLD GP 2019 JAPAN~日本vs世界・5対5&スペシャル・スーパーファイト in 大阪~』の第9試合、日本vs世界・5対5 -68kg契約3分3R・延長1Rで2014年プロボクシング西日本新人王・大泉翔(昇龍會)と対戦するK-1 KRUSH FIGHTウェルター級王者・木村“フィリップ”ミノル(ブラジル/K-1ジム五反田チームキングス)が公開練習を行った。
公開練習前にはアクティブレスト(※疲労回復のためにあえて運動や活動すること)も兼ねて沖縄旅行に出かけた木村。「連戦の中で練習や身体の追い込みは続けていて、その中でいかに休養であったり身体を回復させるかを考えて、今回は特にそこを重点的にやりました。無理し過ぎて疲労を溜めたり、身体が炎症を起こしたりしないようにして。そういう意味ではベストな仕上がりですね」と心身共にリフレッシュし「最近ずっとコンディションは順調に来ているので、そこもいつもと変わらずです」とコンディションも好調を保っている。
この日は古巣でもあるFighting Kairosで公開練習を行い、矢口トレーナーが見つめる中シャドーボクシングでのウォームアップを終えると、3分1Rで迫力満点のサンドバッグ打ちを披露した。木村は今年に入ってから再び矢口トレーナーの指導を受けるようになり「最近はこっち(Fighting Kairos)でも仕上げていて、矢口さんの練習は僕のファイトスタイルや芯の部分に直接働きかけるような練習なので、ここで練習しておくと安心感があります」と語る。
“今年が勝負の年”と明言し、3戦3勝3KOと絶好調の木村。6月のK-1両国大会ではクルーズ・ブリッグスを右のオーバーハンドフック一発で豪快にKOし、ダメージもなかったことから大阪大会への出場が決まった。
対戦相手は大阪出身で元プロボクサーの大泉翔。大泉はプロボクシング時代に西日本新人王を獲得しており「相手が元プロボクサーということで、凄くやりがいのある・僕自身が燃える相手だと思って、オファーを受ける時に迷いはなかったですね。連戦の疲労やダメージよりも、戦いたい気持ちを優先しました」と大泉との対戦に燃えている。
対戦カード発表会見で木村は「さらに進化したK-1を見せる意味でも、ここはパンチでしっかり勝つ。過去のボクサーと戦ってきたK-1ファイターの姿を超えたい」と元ボクサーの大泉にパンチ勝負で勝つことを宣言していたが、今もその気持ちは変わらない。
「本当に蹴りは練習で全くやってないっすね。今までも蹴りは少なかったんですけど、もう本当に集中してボクシング勝負に挑んでやってる感じです。やっぱり今までリスクを背負ってパンチの勝負をやってきたのに、対戦相手がボクサーになったからって急にキックを多用し始めたらファンの人は『?』になっちゃう。こういうところでこそ自分がやってきたことを貫かないといけないというか、ここで貫けなかったら選手としての存在意義もない。僕にとってはそこを確かめるような試合ですね」
前述の対戦カード発表記者会見で「木村選手のファンだった」と語っていた大泉だが、公開練習では「パンチ勝負すると言っているけれど、木村選手は蹴ってくると思う」や「失神させちゃいます」と挑発的なコメントを連発した。
それについて木村は「会見で面と向かって言えないことを自分のホームに帰って言ったところで僕には通じない。耳にも入ってこないところで止まる話なんでそんなに気にしてないですね」と一刀両断。
また大泉が木村のファイトスタイルを「基本じゃない喧嘩っぽいスタイル」と評していたことを伝え聞くと、木村は「僕のスタイルは蹴りありのルールでやっている動きであり距離感。彼は本当に蹴りを一発も出さない選手だと思うので、そういう選手とやった時は今までのスタイルとは全く違った、もしかしたらベーシックなボクシングの基本で勝つかもしれないですよ」と純ボクシングの技術でも勝つとニヤリ。
「蹴りを使うどうこうはいっぺん忘れてほしい。そんなサプライズはしないつもりなので、そこは忘れて勝負しましょうって感じですね」と改めてパンチのみでの勝負を呼びかけ「パンチでボコボコにしてKOかセコンドからのタオル投入、そういう試合をしたい」と自信たっぷりに宣言した。
「彼は元々ボクシングではアウトボクサーで、試合ではゴリゴリのインファイターになると言ってましたけれど、多分僕と試合したらインファイトできなくて、本来の“ザ・アウトボクシング”に変わると思います。そういう状況まで追い詰めて、KOかタオル投入。そういう試合はしたいですね。さすがに元ボクサーなので倒されない方向だけに持っていく可能性もあるので、そうなった場合はレフェリーストップ勝ちやタオル投入ですかね。いずれにせよパンチでボコボコにした上での話しなので、僕がやることは変わらないですね」
この試合に向けたインタビューで木村は「ゆくゆくはボクシングの世界チャンピオンクラスの選手もK-1にチャレンジしに来る状況を作れたら最高」と語っていた。もしそのようなシチュエーションが実現しても木村はパンチ勝負に挑むのか?
「そのようなシチュエーションが訪れた場合はもう本望ですね。例えば自分が目標にしているレベルのボクサーがK-1に来るんであったら、パンチでどんどん勝負してそれを超えていきたいという気持ちがあります。格闘技においてウェルター級と言ったら、格闘技を知る人にとったらこれ以上ない説得力がある階級じゃないですか。
K-1でもボクシングでもMMAでも、この階級でやってる選手は本当に世界のトップだと思うし、どのジャンルでもこの階級で勝っていくのは甘くない。必然と色んなジャンルの人には目はいくし、この階級で戦うファイターは競技問わずアスリートとしてトップだと思います。特にこの階級は格闘技の中ではチャンピオンという言葉に説得力がありますよね。
ボクサーが自分を狙ってK-1に来るような流れが作れたら本当に望む通りだなって思うし、そのためにも今回はしっかりとボクサーが見て悔しがるような試合ができないと意味がないです。もちろん油断はしていないし、できるだけ圧倒して勝ちます」
3連続KOと絶好調で終えることができた上半期。では木村の中で夏以降のK-1はどんなストーリーを思い描いているのか?
木村は「この試合が終わってどんなダメージがあるか分からないですけれど、すぐ試合に出られるチャンスがあれば身体を仕上げていきたいなって感じですね。今年は本当に戦い続けてそのまま終わりたいので、ノーダメージでいけたらなと思いますね」と大阪大会以降も説教的に試合をしたいと語った。
最後に木村は「この対決は一味違う対戦になると思うし、ウェルター級である意味ボクシングだけで戦うというのは凄い迫力が生まれると思うので、それを楽しみにしていてください。K-1を見慣れてる人でもなかなか味わえない試合になると思うので楽しみにしててください」とファンにメッセージを送った。