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元ONE世界女子アトム級王者のアンジェラ・リー、現ONEウェルター&ライト級世界王者のクリスチャン・リー、ONE女子アトム級で活躍したビクトリア・リーの弟のエイドリアン・リーが、ONE Chamlpionshipと契約したことを6日、発表した。
リー兄弟の末っ子であるエイドリアンは17歳。格闘サラブレッドとして、全米ユースMMA王者に4度輝き、2023年2月にはハワイ州高校レスリング160ポンド(72.57kg)級タイトルを獲得。
さらに2022年12月の『タフマン・ハワイ・パンクラチオン』の165ポンド(スーパーライト級・74.8kg)でベルトを巻いた。この勝利は、妹のビクトリア・リーが悲劇的な死を遂げる数日前の出来事だった。
エイドリアンは逆境にもめげず、2023年9月の『タフマン・ハワイ:ネクスト・ジェネレーション・ラウンド2』の王座戦でも、ユライア・フェイバーの愛弟子エリック・コルテスに判定勝ち。ベルトの防衛に成功している。
兄妹たちに似て、スタンドでも組みでもアグレッシブなエイドリアン。兄のクリスチャンはそのパフォーマンスを「おめでとう。君は将来、100パーセント "GOAT"(史上最強)になるだろう」と称えた。
姉のアンジェラは、9月の『ONE Fight Night 14: Stamp vs. Ham』前に、2017年11月の自身の交通事故が自殺未遂だったこと、妹のヴィクトリアが自ら命を絶ったことを明かし、引退を表明。「命を救い、世界をより良い場所にするために」“ファイトストーリー”と呼ばれる非営利のメンタルヘルス組織を起ち上げたことを発表している。
SNSでは「メンタルヘルスとの戦いで孤独を感じるかもしれないが、あなたは一人ではないということを人々に知ってもらいたいのです」と記している。
オープンフィンガーグローブを外し、新たな道を歩き始めたアンジェラ。
一方、2022年11月の『ONE FIGHT NIGHT 4』でキャムラン・アバソフを4R TKOに下し、2階級制覇を達成して以来、試合から遠ざかっているクリスチャンも、1年以上のブランクから復帰を遂げようとしている。
11月に来日したONEのチャトリ・シットヨートン会長兼CEOは、本誌の取材に「先日、クリスチャンと話したんです。彼はトレーニングも行っており、またケージに戻ってきます。おそらく2024年の2月16日(シンガポール大会)がカムバックになるでしょう」と、1年3カ月ぶりの試合復帰を明言した。
そして、今回のエイドリンのONEとの契約。17歳の神童は、「自分のスキルを披露し、世界最大級の組織で戦うという素晴らしい機会を与えてくれたことに感謝します」と記している。
ヴィクトリアが亡くなる数日前、最後のインスタグラム投稿は、エイドリアンがタフマン・パンクレーションタイトルを獲得したことを「とても誇りに思う」と祝福する言葉だった。
4人の兄妹は以前は全員、父親のケン・リーのコーチを受けていた。しかし、父はコーチ業から引退し、一家が経営するユナイテッドMMAハワイのジムも、1月に「永久閉鎖」となっていた。そのジムも今秋には再開し、クリスチャンとエイドリアンがトレーニングしている姿が公開されている。
20224年、クリスチャンとエイドリアンは、同じ大会に出場する可能性もあるという。エイドリアンはプロMMAでどんなファイトを見せるか。