全局面で手足を使った打撃が許される過激ルールで対戦する三上(左)とケンソン
2023年12月9日(土)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.6』の追加対戦カードが、11月14日(土)都内で行われた記者会見で発表された。
今大会で“究極の打撃格闘技”ルールの試合が初めて実施される。
山口元気KNOCK OUT代表は「昔から僕がやりたかった究極の打撃格闘技。MMAの状況と同じように立っても寝ても打撃が許される。まだ仮ですがKNOCK OUT-ULT(アンリミテッド)ルールとして、オープンフィンガーグローブで投げあり、パンチ、蹴り、ヒジ、ヒザ、グラウンドでサッカーキック、踏みつけ、パウンドありで打撃のみ許される。絞め・関節技は禁止。昔から考えていてついに実現することが出来ました」と、MMAから関節・絞め技を省きどんな体勢でも打撃での攻撃が認められるという過激ルールの試合を行うと宣言。
その第一弾として行われるのは、MMAで3勝1敗の三上ヘンリー大智(格闘ドリーマーズ)vs.極真空手選手パトリック・ケンソン(カメルーン)のクルーザー級3分3R延長1R。
山口代表は「ヘンリーは最初に港太郎が会長を務めていた府中ムエタイジムで、凄い選手がいる、ハンパなく強い選手がいると紹介されました。田代(港太郎の本名)が亡くなった後MMAをやりたいということでMMAの世界に行ったんですが、まさかここで一緒のリングに上がるとは何かの縁かな。田代が結んでくれた縁かなと嬉しく思います。パトリックは極真空手をずっとやっている。今は越谷支部。このルールで是非やって欲しいと打診したところ、喜んでと。90kg以下なので迫力ある試合が期待が出来る」と、両選手を紹介した。
三上は「今回お話しをいただいて、山口代表とは昔少し縁があって師匠の港先生のご縁でお会いしたことがありました。いつかは山口さんの団体で試合が出来ればと港先生にもお願いしていました。そこで叶わず港先生は亡くなってしまったので、自分本来の目的であるMMAファイターとして活動していこうと今まで努力を重ねてきました。パトリック選手は空手家ということで全くキックボクシングとか立ち技の映像がない状態。未知の相手と認識しています。そういう相手は少なからず大きな不思議なパワーを持っていたりするので、気を付けながら全力で対戦でいればと思います」と挨拶。
ケンソンは「私は空手家です。日本にちょっとだけ住んでいました。それで試合をいろいろ見てきて興味がありました。日本の格闘技は迫力が少なすぎる。それをアフリカから運んできました。空手家としてKNOCK OUTという団体をテッペンに持っていくためと、空手家として強さを証明したい。相手は全く分からない存在です。面白い試合をしたいけれど本当にやれる?(三上は「頑張ります」)2人が会話するのはリングの上なので、この団体を日本で一番の団体にしたい。2人に責任があります。どうか皆さん、よろしくお願いします」と意気込んだ。
初となるルールについて、三上は「自分はMMAファイターとして試合をさせていただいていますが、ストライカーという形で打撃に自信を持っています。抑え込んで絞め技や極め技で戦うタイプではない。なので普段やっていることと変わらないので、いつも通り全力で倒しに行こうと思います」と自分の普段のスタイルと変わらないとする。
ケンソンは「極真空手と言えばみんな知っていると思いますが一撃必殺。そこしかない。一撃を極めるためには打撃を上から落として気付いたら終わってるようにしないといけない。初めてだし、自分自身は骨を折っても最後まで戦う。自分がさっき言った通り迫力がない試合は面白くない。そういう試合をしたいと思います」と、一撃必殺を見せたいとした。
空手にはないシチュエーションでの攻防があるが、と聞かれたケンソンは「私はもちろん下(グラウンド)で戦ったことがない、喧嘩もしたことがないので初めてになります。でも寝ても立っても打撃は打撃。寝ている状態からパンチを出せればそれでいい。初体験になりますが、試合まで20日間もいらない。80時間も必要ないです」と、いつでも戦えると豪語。
空手歴は「人生と同じだけ」だとし、「空手で様々な大会に出てきました。地方大会から全世界大会、2013年のブルガリア世界大会にも出ています。もちろん全日本大会も出ています」とのことで、空手のどんな技がこのルールで有効かと聞かれると「一撃。それしかないです」と一撃でヘンリーをマットに沈めると言い放つ。
三上は「元々ストライカーなので、ハイレベルなグラップラーと練習していて寝技には苦手意識があるのでそれを排除したルールは戦いやすいと思う」とし、「もちろんKOを狙っていきたいと思いますが、狙えば狙うほどKOは遠ざかると思うので場面場面で適切な判断をしながら、その先にKOが出来ればいいと思います」と、試合の流れの中でKOしたいとした。
このルールでのエースになるつもりはあるか、との質問には「パトリック選手がなるかもしれないので。そういう気持ちで格闘技をやってないので、ただ全力でやるだけです」と答える。
一発目ということで格闘技ファンの興味を惹き注目を集めるだろうが、どんな試合にしたいかと聞かれると、三上は「勝っても負けてもKO。勝つためだけの消極的な試合をするつもりは全くない」と完全決着をつけるとし、ケンソンは「男なら拳なので、拳を握ったら倒しに行かなければならない。ヘンリーさんはイケメンのお顔を守りたいと思うので、その顔をちょっともらいます」とイケメンを破壊すると宣言。
全く試合展開の予想がつかないが、どういう形になれば成功なのかと聞かれた山口代表は「そこは何も考えていなくて。僕自身、現役時代から疑問に思っていたことがあるんです。オープンフィンガーグローブのムエタイをやっていますが、コカした後の展開が見たいとずっと思っていて。その後どうなるんだろうって。お客さんは綺麗にコカすと『首相撲は凄い』ってなりますが、でもその後がないから『コカしたのね』で終わったしまう。その先が見たいと20年以上前から言っていて。
僕は寝技から入った人間じゃないので、寝技は嫌いじゃないし見てて楽しいけれど、打撃の強い子たちが打撃を極めるルールが欲しいなと。極真も打撃を極める、どのルールでも勝つのが極真空手だと思っているし、このルールが公になるのは初めて。どういう状況になるのか僕も楽しみにしています。どんな形になっても究極だと思うので、ここからがスタート。倒したい選手にどんどん上がってきてもらいたい」と、首相撲などで相手が倒れた後の展開がどうなるのか自身も楽しみだと話す。
さらに「今回は1試合入れるだけですが、3月後半にこのルールだけで別会場を借りて大会を開催します。お楽しみに」と、2024年3月後半にKNOCK OUT-ULTだけの大会を開催する予定であることも発表した。
最後に山口代表は「KNOCK OUTなのでKOを目指すルールを作りたいと思っている中でOFGでやって首相撲、コカし、投げがある中でその先を見たい。これがThis is KNOCK OUTというか。KOというゴールへ向かって全ての打撃が許されるルールなので期待を凄くしています。打撃が得意なMMAストライカーは目指してほしいし、KOボーナスももちろん付けます。MMAの中で打撃が得意な子も出やすいし、キックボクサーも自分の本領が発揮できる。みんなが平等なルールじゃないかなと思っています。
相手を倒すという目標に向かっていくという平等なルール。構想20年、やっとひとつめの試合が実現できることを、港太郎というチームメイトと、TEAM KIBAのランボー松風と3人で言っていたことが実現できるのが嬉しいです」と、様々なルールの打撃が得意な選手に参加して欲しいと呼びかけた。