2023年11月10日(金)タイ・ルンピニースタジアム『ONE Friday Fights 40』にて、キャッチウエイト74.84kgのONEムエタイルールでオリバー・ハンセン(ノルウェー)と対戦するリカルド・ブラボ(アルゼンチン/ウィラサクレック・フェアテックスジム)のインタビューが主催者を通じて届いた。
ブラボは17歳の時にアルゼンチンから来日。長いリーチから生み出される鋭いストレートを武器にKOを量産し、2018年に7戦無敗で新日本キックボクシング協会ウェルター級王座を獲得。2022年に所属していた新日本キックを離れ、新たにWSRフェアテックス所属となり12月にRISE初参戦。緑川創と延長戦まで戦って引き分け、2023年2月にはサーシャ・タダヨニをKO、7月のNO KICK NO LIFEでもKO勝ち、8月の『ONE Friday Fights 30』でONE初参戦を果たしてルンピニースタジアム認定ミドル級王者デンパノムを2RでKOしてみせた。戦績は25勝(20KO)3敗2分。
今回は2022年IFMAアマチュアムエタイ世界選手権シニアの部-75kg級で銅メダルを獲得しているハンセンと対戦する。
一発入ったら倒れるかなって思っていた
――タイ現地入りしたのはいつでしょうか。
「土曜日(4日)の朝に出発して、日曜日の朝に着きました」
――タイでの試合は何度目でしょうか。
「ONEの大会では、2戦目。あとは2019年にラジャダムナンスタジアムで2戦しました。なので、今回で4戦目ですね」
――タイでの滞在はどうですか。
「日本が大好きなので、(タイでの生活は)試合前に2週間とか、1カ月のファイトキャンプとかだったら良いけど。日本の方が良いですね」
――前回の試合を振り返ってください。
「最初は、キックルールでルンピニースタジアムのチャンピオンと戦う予定だった。でも、試合の2週間前にムエタイルールに変更があって。でも、準備はしていたから試合をするしかないかなって。最初はちょっと緊張というか、大丈夫かな? っていうのはありました。(相手は)ムエタイのチャンピオンだったから、ちょっと怖かったですけど、リングに入る時はスイッチが入るから、そうなれば相手がチャンピオンでも普通の選手でも関係ないですね。いつも通りで戦いました。試合前は緊張したけど、それだけですね」
――自分のパフォーマンスには満足ですか。
「そうですね。トレーナーとプランを作って、試合の時にちゃんとできたから、それが一番良かったかなと思う。絶対、相手がミドルキックと首相撲で来るだろうなと思っていました。オープンフィンガーグローブだから、ずっと我慢して我慢して、一発だけ入れば絶対倒せると思っていたので試合中にそれができたから良かったです」
――あのフィニッシュのパターンは戦略だったんですね。
「まあ、そうですね。本当に3分3Rの中で、ボディか顔面かわからないけど、一発ちゃんと入れば、当たれば倒せるとずっと思っていました。スピードとパワーだったら自分の方が強いとわかっていたので」
――オープンフィンガー(OFG)での試合は前回が初めてでしたか。
「そうですね。前回が初めてでした。本当に試合中に左ジャブをもらったのが、初めてOFGで打撃をもらった時ですね。痛いはもちろん、めちゃくちゃ痛いですね。普通のグローブも痛いけど、OFGはジャブだけでもすごい痛いですね。でも私はパンチャーだから、一発入ったら倒れるかなって思っていた。それに相手がガードしていても入りやすいから、それが一番ベスト。大変なのは、自分の怪我ですよね。手首とか拳とか。前の試合も終わったあとに、右手を怪我した。拳じゃなくて、手の甲の骨が上に出てきた。そういう点では危ないですね。拳が折れることには慣れてきたので普通のことだけど、手首とかの方が危ないですね」
――ONEルンピニーの雰囲気はどうでしたか。
「試合の3日前からONE Champiosnshipのホテルに入るんですけど、そういうのからONEは他と違うなって思いました。1日、選手全員が病院に行ったり、写真撮影をしたり、レベルが凄いなって。会場は、試合をしている時にはあまり違いに気づかなかったけど、試合が終わって観客席に行った時に、ものすごいなって感じました。リングの中だと、周りが暗いからあまり見えないけど、外から見ると、リングにスポットライトが当たっていて、お客さんとして見たら本当にめちゃくちゃ良いです。。ファイターから見たら、ロープからリングに入れば、どこでも一緒と思っているから、あまり気持ち的には変わらなかったです」
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ONEのベルトを獲りに行きたい
――現在のコンディションは。
「ベストですね。ちゃんと準備できましたから。できるトレーニング全部やって。今回の対戦相手の映像が全然ないから相手の勉強はあまりできなくって、もう少し勉強できたら良かったかなと思ったけど、自分のパフォーマンスとしてはベストを出せると思います」
――相手の映像が少ない中で、それを見ての印象は?
「試合の映像は全然見れなくって、ミットの映像とかしか見れてないです。ビデオを見た時に、若くて強い選手だなって。身体が大きく見えました。私よりちょっとデカそうな印象です。パワーがあると思いますね。でもスピードはなさそうなので自分が勝てる。若くて、強くて、大きいから、絶対前に来ると思う。だからガードを上げて、ヒジだけ気をつけて、あとはいつも通りパンチで行くしかないですね」
――ブラボ選手は試合経験が相手よりも豊富にあると思いますが、過去の経験も踏まえて、今回の相手は戦いやすいと思いますか。
「どうでしょうね。私より若い人と戦うのは初めてだと思う。相手もONE Champiosnshipのデビューの試合で、ハングリーな気持ちもあると思いますし、試合が始まるまで分からないと思います。自分が絶対また、1・2RでKOすると思っているので(相手が戦いやすいかどうかは)関係ないですね」
――KOする自信はあるけど、若さや情報が少ない分、警戒する、油断はしていない?
「気をつけないとなって。身体が大きいし、手も足も長い。OFGだったら軽くでも良いタイミングで入ったら、倒される可能性はある。リスクはあると思っています。でも一発入れられたら倒せると思っています」
――理想的な試合のフィニッシュは。
「まっすぐのパンチ、左アッパーですね。キックはそんなに使えないと思うから、パンチで行きます。色々なコンビネーションを準備してきたけど、何を出すかは分からない」
――今回もボーナスを狙いますか。
「もちろん。ボーナスをもらえたら嬉しいですね。この前のボーナスで、お母さんを日本に呼ぶことができました。2週間くらい日本に来ました。6年くらい格闘技を頑張って、そのボーナスをお母さんのことに使うことができました。来年、家族が日本に住むためにお金をたくさん貯めないといけないので、またボーナスをとれたら、色々できると思います。だから、ボーナスを取りに行きます」
――前回の試合後に話していたことが実現できたんですね。
「そうですね。呼ぶのは初めてだったけど、本当にやりたいことは、日本に住むために呼びたい。それが一番大事ですね」
――お母さんを日本に呼んで、お母さんはどんなことを言っていましたか。
「本当にいきなり決めたから、ママが来る1週間前に航空券をとったんです。ママが一番忙しい時に取っちゃったから、最初は『何言っているの? 全然準備してないよ』ってちょっと怒られた…(笑)でもずっと、このチャンスを2人とも待っていたから、喜んでいた。2週間くらい、早く感じたけど、行きたいところも行けたし、やりたいこともできた。約束を果たせて嬉しかったです。東京とか、富士山とか、横浜とか、色々なところに行きました。沖縄とか行きたかったけど、今回はできなかったので次は沖縄とか行きたいです」
――勝つためのモチベーションが高まりますね。
「そのモチベーションは、キックボクシングを始めた時からです。もちろん、自分が一番強い選手になりたいから(格闘技を)やっているけど、一番の目標は家族を日本に呼ぶためにだから、ずっと家族のために戦っています」
――ONEでの目標は?
「今、ONEだったら世界で一番強い選手が集まっているから、ONEでチャンピオンになれれば自分が世界で一番強いってこと。自分はベルトを2つ持っているけど、誰でも(チャンピオンに)なれるとは言わないけど、チャンピオンになるのは団体が多すぎて、ちょっと頑張ればなれる。でもONEのチャンピオンになったら本当にすごいことだから、ONEのベルトを獲りに行きたい」
――前回と今回とキャッチウェイトの試合ですが、ONEでの階級はどの階級になるのでしょうか。
「決まっていますね。ずっとトレーナーと話しているのはライト級です。まだ身体が小さいので、色々と準備をしないといけないですけど。普段78-79kgだから、もう少し筋肉量を増やさないといけないですけど、戦うのは77kgですね」
――フェザーに落とすことはないっていうことですよね。
「ないですね。水抜きなしだと厳しいですね」
――ライト級だと、現在のチャンピオンはレギン・アーセル選手ですが、彼と戦うイメージはありますか。
「映像とか見たことないですけど、キックとムエタイ、両方のベルトを持っているのは知っている。今回しっかり勝って、本当はチャンピオンと試合をしたいけど、いきなりチャンピオンとの試合を組んでもらうのは難しいと思うから、その前にシンサムット選手とかと戦わないといけないかもしれない。キックでもムエタイでもチャンピオンと戦いたい。両方のベルトを獲りたい。映像はまだ見ていないけど、いつも通り、倒しに行きます。
彼のことは写真でしか見ていないけど、デカそう。スタイルもキックボクシングのスタイル。彼と私が試合をしたら、面白い試合になると思う」
――日本ファンへメッセージを。
「6年前、17歳の時に日本に来ました。その時から1人でずっと頑張って、日本のベルトと世界のベルトを獲りました。日本人ではないですけど、アルゼンチン人として日本を代表する気持ちで世界に戦いに来ました。皆さんの応援が必要と思っています。皆さん、サポート頂けたらすごく嬉しいです。今回も、みんなに喜んでもらえるために良い試合をします。自分のために、家族のため、日本のため、アルゼンチンのために一生懸命頑張ります」