MMA
インタビュー

【ONE】三浦彩佳“あやかロック”のその先に──「今までで一番落ち着いて、集中しています」

2023/11/02 20:11
 2023年11月4日(土)、タイ・バンコクのルンピニースタジアムのリングで行われる『ONE Fight Night 16: Haggerty vs. Andrade』に三浦彩佳(TRIBE TOKYO MMA)が参戦し、2連勝中のメン・ボー(中国)と対戦する。  三浦は、柔道ベースで首投げからのVクロス“あやかロック”を得意技とし、2019年2月からONE Championshipに参戦。3連勝後にティファニー・テオに敗れるもハヤネ・バストスに一本勝ち。しかし王者ション・ジンナンに判定負けし、2022年4月のダヤン・カルドーゾ戦でも2R 負傷TKO負けでMMA2連敗中。2023年2月にグラップリング戦で復帰し、ダニエル・ケリーに判定3-0で敗れるも、柔道技を活かしてケリーを苦しめている。  しかし、その後はなかなか試合が決まらず「競技者として、一番大事な時期だと感じている」と試合を熱望する投稿をし、「身体だけは仕上がってるんだよな」といつでも試合が出来る状態にあるとアピールしていた。MMA11勝5敗。  対するメン・ボーはMMA21勝6敗。13歳でテコンドーを始め、散打も学び、2013年にMMAデビュー。2018年から7連勝も、リトゥ・フォガットに判定負けし、ティファニー・テオに2R 一本負け。しかし、その後、ジェネリン・オルシムを1R KOに下すと、2023年4月には三浦が敗れているダヤン・カルドーゾを相手に長い打撃を当てて、スクランブルでも渡り合い判定勝ち。2連勝で王者ション・ジンナンとのタイトル戦をアピールしていた。  強打者を相手に、1年7カ月ぶりMMA復帰戦に臨む三浦はインタビューで、前戦の試合中の肩の脱臼、その後のグラップリングマッチで得たことを語り、今回のメン・ボー戦に向け、「何が何でも勝ちたい」と勝利を渇望した。 メン・ボーはすごいパワフルな選手だけど、3Rに行くとKO率が下がる ──1日にタイ入りして、いまは計量前で少し表情が硬いように見えます。 「調子はすごくいいんですが、順調だからこそ、気を引き締めています。いつもよりも試合のいろんなことを想定して集中してきたので、今までで一番落ち着いて、集中しています」 ──今回、1年6カ月ぶりのMMAの試合になります。2月に初のグラップリングマッチを経験したものの、どんな思いで過ごしていましたか。 「本当は4月くらいに試合が組まれていたのに流れてしまっていて。そういったことが何度かあったので、ずっと練習して、いつでも試合ができるように準備はしていました。気持ち的には(試合を)“やりたい、やりたい、やりたい”という感じでした」 ──その間、TRIBEのジム仲間の活躍を目にしてどのように感じていましたか。 「うーん、すごく嬉しい反面、もう早く私も試合がしたいと思っていました。いまはワクワクしていますし、逆にワクワクし過ぎて気持ちを前に押しすぎないように集中しています」 ──MMAでは2022年4月の前戦がダヤン・カルドソとの試合で、2Rに右肩を傷めてから打撃ラッシュのTKO負けでした。あのとき、何が起きていましたか。 「あのときは……タックルに入ってバービーされたタイミングで、たぶんゴリッとやってしまって、そのときに“普通の脱臼だったら自分で入れられるかな”と思ってちょっとやってみたんですけど、入らなくてもうダメだ、という状況でした。レントゲンで写真を見たら、特殊な脱臼ではまらずに、2時間くらい放置されてたんです(苦笑)」 ──自分で入れようとした。肩には脱臼癖があったんですか。 「いえ、自分は脱臼したのは初めてで、何が起きているか分からなくて、“あっこれが脱臼か”と。もうあのときはどうしようもなかったですね」 ──なるほど。そのダヤン・カルドソは2023年4月にメン・ボーと判定まで行って敗れています。その試合を通して、メン・ボーをどのようにとらえていますか。 「ストライキングはもちろんメン・ボー選手がすごく強いと思いますが、カルドソ選手が寝技がそれほど上手い方ではないかなと、組んで感じていたので、そこで(メン・ボーと)ぐちゃぐちゃの展開になっていたのと、スタミナ的にはすごいパワーを使う選手なので、3Rに行くとKO率が下がる選手だなというイメージですね」 ──終盤にカルドソのテイクダウンにメン・ボーはコーナーを使って立ち上がったりもしていましたが、自分だったらああはさせないという気持ちもありますか。 「そうですね。見ている人が分かりやすい試合になるのかなと思っています。パンチか寝技か。メン・ボー選手の打撃対策も、ジムのトレーナーさんと身体にしみつくまで練習してきましたし、今朝も長南(亮・TRIBE TOKYO MMA代表)さんとも確認していたんですけど、組みを対処されたときとか、際の動きとかはいつも以上に強化してあるので、そこも試合でしっかり見せられたらなと思っています」 ──際の動きで固まってしまわないように。 「そうですね。ジンナン戦ではタックルを切られて取れずに終わってしまったので、タックルを取れないときにどう動くか、動きが固まってしまうところが多かったので、運動量を増やし、いろんな動きが出来るようにしてきました」 ──今回のメン・ボー戦では、序盤のパワフルな攻撃にも注意し、全ラウンドを通じて戦う形になりそうでしょうか。 「どんな形になってもいいように考えています。組んでもみてどうなのかは、試合してみないと分からないところもあるので、1Rで終わるかもしれないし、2、3Rまで行っても……何が何でも勝ちたいと思っています」 [nextpage] グラップリング戦でのあやかロックに「なんであれを出した!?」と怒られて(苦笑) ──ところで、前回の2月のダニエル・ケリーとのグラップリング戦前には、出稽古で山北渓人選手や鈴木隼人選手、竹浦正起選手らとも組んできた。そのピュアグラップリング戦をやることで三浦選手のグラップリングの強みが何かと洗い出されて、あらためてMMAのグラップリングに生きたことはありますか。 「やっぱり正直、あのグラップリングの試合は怖かったんですよ。体重もいつもより落とすし、みんなにケリーとやるのは無理だろうと言われていたのを振り切ってやっていたので、ただ、そこでいろんな技を体感して受けたことですごく自信にもなったし、MMA選手が特殊な技をかけてきても、“ああ、こういうことだな”と理解して反応できるようになりました。その点でグラップリングマッチをやってすごくよかったなと、MMAに絶対生きていると思います」 ──となるといかにアプローチするか。その意味では立ちの部分で練り込んできたことが出せるかがキーとなりそうでしょうか。 「そうですね。立ち技の部分も、キックボクシングをうまくやろうとかではなくて、どう崩して行くか、どう強味のパターンに持っていくか、MMAのための展開にいかに持って行くかをひたすら反復してきました。今回はすごく一撃のある選手なので、そこをいかにもらわずに出せるかが鍵になってくるかなと思っています。と言って1Rからドーンと言っちゃうかもしれませんし、ドロドロになるかもしれませんし、それはお楽しみにということで(笑)」 ──あやかロックにどう持ち込むか。 「あやかロック、前回のグラップリングのとき、試合前に“出しません”とめちゃめちゃ言っていたのに出してしまって、すごくセコンドに怒られました。“なんであれを出した!?”と(苦笑)」 ──ということは、あの強い首投げ・袈裟固め・あやかロックを餌に、ほかの極めも用意しているということですね。 「そうですね。パターンをいくつか考えていて、こうなったらこうするというパターンを作っていて、だいぶ仕上がっていたんですが、組んだときに“これは行ける”と思っていつものパターンに行って“なぜあれに”と(苦笑)」 ──それが、今回のメン・ボー戦で出るかもしれない……。 「可能性としては……」 ──今回のMMAの試合が、ケージではなくリングで行われることは、もしかしたら三浦選手にとっては利点もあるのではないでしょうか。 「そうですね。ルンピニースタジアムのリングはそんなに大きくないので、組みやすいような印象はあります」 ──チャトリ会長は、2024年のONE日本大会の開催を示唆しています。今回勝って、日本大会に繋ぎたい思いもありますか。 「正直、いまはこの試合の先は考えられないくらい集中していますが、もし日本大会があるのであれば出たいです。ただ日本大会に限らず、試合はコンスタントにいつでも出られますよ、というアピールをしています」
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