元UFCで現在RIZINで活躍中の佐々木憂流迦(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)がオンライン囲み取材に応じ、11月13日(月)の『MONDAY MAGIC ep3』(新宿FACE)のプロレスデビューに向け、今後のMMAとの二刀流の可能性などについて語った。
小学生のときに兄の影響でプロレスラーに憧れ、格闘技に興味を持ち始めた佐々木は、高校時代にレスリング部に所属し、全国高校生グレコローマン選手権ベスト16。卒業後に和術慧舟會駿河道場へ入門し、全日本アマチュア修斗選手権ライト級準優勝、2010年4月にCAGE FORCEでプロMMAデビューを果たした。
2013年1月に修斗環太平洋フェザー級王座獲得後、2014年8月からUFCに参戦。2018年11月に現フライ級王者のアレッシャンドリ・パントージャに敗れ、UFCを離脱。同年大晦日からRIZINに参戦し、現UFCのマネル・ケイプに判定勝ちするなど活躍。2023年5月の前戦でフェザー級でボイド・アレンに判定勝ち後、10月23日にプロレスリング・ノアのリングに上がり、プロレスデビューを表明していた。
米国では、元UFCファイターがWWEに参戦するなか、UFとWWEは会社としては合併され「TKO」としてニューヨーク証券取引所に上場を果たしている。
プロレス参戦にあたり、慧舟會繋がりで米国でともに練習経験もある中邑真輔とも話したという佐々木は、「プロレスと格闘技は別ジャンルですが、僕のなかでは“ファイトアート”の作品として一緒」と語った。
もうちょいで90kg。ボイド・アレン戦も87kgから落としていた
――最初にプロレスデビューしようと思ったのはいつ頃ですか。
「最初にご縁をいただいたのは1年くらい前ですね。当初はプロレスをやるつもりはなくて、40歳くらいまで総合(格闘技)をバチバチやろうと思ったんですけど、色々と流れがあって。最初は『プロレス好きなの?(会場に)遊びに来たら?』みたいな感じでした」
――MMAからプロレスデビューを決断した理由は?
「1月1日のグレート・ムタと中邑真輔選手の試合を見て、スゲーなと。『ファイトアート』として、作品としてこんなものを作れるんだと、めちゃくちゃ“食らっちゃって”。そこで結構、腹が決まったところはあります」
──ニューヨークでは中邑真輔選手と、レスリング&和術慧舟會繋がりということもあり、ともに練習したこともあるかと思います。今回のプロレス参戦にあたり、報告も?
「はい。報告しました。プロレスと格闘技は別ジャンルですけど、僕のなかでは“ファイトアート”の作品として一緒なんですよ。その中で心に響くものを作れることは(中邑は)すごい人だなと思います。超尊敬しています。今回の件で連絡したら、『身体をしっかり作れよ』とアドバイスをいただきました」
──2023年初頭に山北渓人選手のONE参戦前にMe,Weに取材で伺ったときに、佐々木選手はすでに身体を大きくしていました。5月のアレン戦の前でしたが、あのときからすでにプロレス用の身体作りも意識されていたのでしょうか。
「そうですね。だいぶ意識していました。(MMAで)66kgでやっていて急に食べて体重を増やして……いまの体重はもうちょいで90kgです。(2023年5月の)ボイド・アレン戦の時も87kgから落としたので、体重そのものはそんなに変わらないですけどね。100㎏に行きたいけど、なかなかいかない(笑)。トレーニングも動き系から重量を上げる方向に変えて、武蔵小山(KJ PERFORMANCE GYM)でやっています」
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「僕を見ろ」とは言わない。MMA好きには思う存分、MMAを見てもらえればいい
――現在もMMAの練習も続けているのですか。
「総合の練習も続けています。いまはどちらかというとプロレスの方に重きを置いていますが」
――ここ数年のご自身のMMAの試合をどう捉えていましたか。
「僕は総合格闘技を“楽しいもの”だと捉えているし、それは昔から同じですね」
――MMAの再開の目途は立っていますか。
「引退するわけではないので、それ(再開)もタイミングとご縁次第です。ただ総合は15年やってきたので、いつでもできるという気持ちはあります」
──となると、そのときの階級はさらに変える可能性もありますか。
「MMAではもしかしたら……バンタム級かも。30kgくらい落として」
――えっ、上げるのではなく戻すかもと……。憂流迦選手が主戦場にしていたRIZINはこれから大晦日に向けて盛り上がる時期ですが、その動向が気になることはないですか。
「そういう世間的な流れもあると思うんですけど、それに流されるんじゃなくて、僕の中での流れや導きみたいなものがあって、いまその流れにいるという感じです。僕はその流れを大事にしたいと思います」
──「エキシビションマッチ」ということですが、そこにはMMAファイターとして佐々木選手のエッセンスが組み込まれるのでしょうか。
「格闘技のときの入場や“グラップリングができるから”とか、そこに頼りたくはないです。プロレスが狭くなってしまうので。いちから新人の気持ちでやりたい。プロレスの旅のなかで自身のスタイルを見つけたいと思っています」
──誰と対戦するのか……。
「いままで何カ月も前に対戦相手を言われていたのが、プロレスラーって、こんな“いつなんどきでも”なんですね。試されますね」
──MMAファイターとしての佐々木選手のファンからは、次戦についてどんな反響がありましたか。
「もうちょい批判が出るかなと思ったんですが、結構、“そっちもあってるじゃん”という意見の方が多かったと思います。ファンは温かい人が多かったんですが、家族は『やめろ』と(苦笑)。『これまでやってきたキャリアをいったん置いて、またイチからまったく別モノ、技術のないところに飛び込むのはどうなの?』と正論を言われましたが……俺は聞く耳を持たないです。やりたいんで」
──どんな姿を見せたいですか。
「久々の試合で有明アリーナ大会以来。その意味では“佐々木憂流迦”を楽しんでもらいたいです」
──MMAファンにもメッセージを。
「MMAを好きな人には思う存分、MMAを見てもらえればいい。いまのジャパニーズMMAも楽しんでほしい。いまの選手たち一人ひとりほんとうに死ぬ気で作っているから、ファンもマジで向き合っていただければ。そうすればまだまだ盛り上がる。今は僕はプロレスに行きますが、僕のファンを無理に引っ張ってきて、“僕を見ろ”というのも違うので。ひとつの作品として心に残るものを作りたいと思います。僕のファンも、プロレスファンも納得させるのは、自分の腕次第です」