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【Bellator】どうなる? ベラトール。スコット・コーカー代表が売却の噂について言及「命を懸けているのは、リングに上がっている選手たちだということを決して忘れてはならない」

2023/10/09 16:10
榊原CEOが現地視察するなか、サイボーグとカモーシェが日本参戦をアピール「大晦日の件もガッチリ話し合って来ました」(榊原)  記念すべき『Bellator 300』の終了後、スコット・コーカー代表が、今年初めに囁かれ始めたBellator売却の噂について言及した。 2023年10月7日(日本時間8日朝7時30分~)米国カリフォルニア州サンディエゴのペッカンガ・アリーナにて、『Bellator 300』が開催され、日本ではU-NEXTで配信された。  同大会では、3つの王座戦が行われ、メインイベントの「Bellatorライト級ワールドGP準決勝&ライト級選手権試合」で、王者ウスマン・ヌルマゴメドフ(ロシア)が、挑戦者ブレント・プリムス(米国)を、全局面で5R完全ドミネート。2度目の王座防衛と、11月17日(日本時間18日)のパトリッキー・ピットブル vs.アレクサンドル・シャブリーの勝者とのGP決勝戦へ駒を進めた。  コメインでは、女子フェザー級で、王者クリス・サイボーグ(ブラジル)が、挑戦者キャット・ジンガーノ(米国)を1R 4分01秒、圧巻のTKO。5度目の王座防衛を果たした。  女子フライ級では、挑戦者イリマレイ・マクファーレン(米国)が体重超過で「変則王座戦」となったものの、王者リズ・カモーシェ(米国)が、カーフキックを効かせて5R 0分17秒 TKO勝ち。3度目の王座防衛に成功している。  このうち女子の2王者はともに、ケージのなかで「日本で戦いたい」とアピールした。  カモーシェは、同級3位の渡辺華奈を挑戦者に指名。サイボーグは、「RIZINの榊原サンもここに来ている。日本で戦いたい」と、日本での試合をアピールし、この日サラ・マクマンをTKOに下したリア・マコート(英国)とフェイスオフを行っている。  サイボーグが語った通り、現地には、日本からRIZIN榊原信行CEO、海外事業部の柏木信吾氏も視察に訪れた。  榊原CEOは、「#Bellator300 の視察と関係者との打ち合わせの為にサンディエゴに来ました! 最初の夜は、Bellator代表のスコット、KOTCの代表のテリー(トレビルコック)とチャーリー(柏木)でイタリアンレストランで食事しました。1990年代の格闘技界の話しで盛り上がりましたよ。もちろん、大晦日の件もガッチリ話し合って来ました。ご期待ください!」と、同日にXに投稿している。  果たして、Bellator勢の日本再参戦はどうなるか。 [nextpage] Bellatorはバイアコムが所有している。私が所有するものでも、売れるものでもない(コーカー代表)  そんななか、220名を越える契約選手を抱え、この日は32名・全16試合のファイトを組んだコーカー代表は、試合後の記者会見でBellatorの将来について、「今は不確定要素が多く、未知数な部分が多い」と語り、彼自身も解決に至ることを望んでいることを語っている。  会見冒頭で、Bellator売却の噂について、記者団から問われたコーカー代表は、「皆さんご存知の通り、2週間前には『1週間後に潰れる』と言われたり、1カ月前には行ったり来たりと、とにかくこの半年間ずっとこうだから、この先どうなるかについての推測を言いたくないし、自分としてはこの先どうなるのか、取引が成立するだのしないだのというような憶測はしたくないし、物事には時間がかかるのだ、確定するまで。自分にとっては単なる憶測にすぎないことだし、関与できない」と、事態は流動的であることを語った。  現時点の報道では、Bellatorの親会社であるパラマウント(旧バイアコムCBS)がコスト削減と様々なビジネスへとシフトさせようとしているため、Bellatorが売却される可能性があるというニュースがこの何カ月も流れてきた。  そのなかで、PFLがBellatorを買収する可能性があり、一部選手は契約を移管。そのほかの選手はフリーランスとなることが予想されている。また、元Bellator世界フェザー級&ライト級王者のパトリシオ・ピットブルは、BellatorとPFLが別団体として存続し、選手のトレードを行うという噂が上がっていることも語っている。  かつて、UFCはStrikeforceを買収し、多くの選手の契約を移管したが、今回のBellatorの場合、どうなるかの情報は、憶測の域を出ていない状況だ。  コーカー代表は、「Strikeforceの所有者は私だ。だが、Bellatorは私が所有するものではないから、それについてコメントするのは難しい。Bellatorはバイアコム(米国のメディア・コングロマリット)が所有している。彼らには彼らのプロセスがあり、やるべきことをやっている。私が所有するものでも、売れるものでも、売らないものでもない。それが真実だ」と語るにとどまっている。 [nextpage] 11.17シカゴ大会で注目カードがラインナップ。その後は──  何より、2014年6月の『Bellator121』から同団体に関わるコーカー代表にとって、この日は、9年目の300回の記念すべき大会を、無事、成し遂げた日でもあった。 「(売却の話題は)プロモーションにとって本当にアンフェアだと思うよ。だって、300回大会だ。今夜は素晴らしい大会を催した。この8、9年間、我々はいい試合を組んできた。そして、この会社はすごく成長した。今夜はそれを祝うべき日だ。だから、正直なところ最新情報はない。みんなに喜んでもらうために何か作り話をしたいけど、実際は2日前と同じ状況なんだ。願わくば──何が起こっているのか、すぐに明らかになることを期待している」  この300回大会を終えたBellatorのスケジュールは、次回大会までが正式発表されている。  11月17日(日本時間18日)に米国シカゴのウィントラスト・アリーナにて『Bellator 301: Amosov vs. Jackson』を開催予定で、2大王座戦をメインに、惜しげもなく各階級のスター選手が投入されている。  ウェルター級では、現王者のヤロスラフ・アモソフ(ウクライナ)に、6連勝中のジェイソン・ジャクソン(ジャマイカ)が挑戦。  バンタム級選手権試合として正規王者セルジオ・ペティス(米国)と、暫定王者パッチー・ミックスが王座統一戦。同級注目のラウフェオン・ストッツ(米国)vs.ダニー・サバテーロ(米国)の再戦。  さらに、ライト級GP準決勝として、パトリッキー・ピットブル・フレイレ(ブラジル)vs.アレクサンドル・シャブリー(ロシア)の準決勝もラインナップされた。  この11月の『301』大会後に、Bellatorがすべきことの一つが、300回大会で勝利したウスマン・ヌルマゴメドフと、パトリッキーvs.シャブリーの勝者による100万ドル争奪ライト級GPの決勝戦となる。  今後「Bellator」部門が何らか形で存続するのであれば、スコット・コーカー体制のなかでも、実質のオペレーション実行部隊であるマイク・コーガンとそのチームの力は必須で、買収の話が進むなか、コーガンチームはどんな選択をしていくか。 [nextpage] Bellatorが無くなることは良いことか?  同日のUFCメインイベントで、オクタゴン9戦無敗のプロスペクであるグラント・ドーソンをわずか33秒 TKOに下した“Strikeforceから移籍組の生き残り”ボビー・グリーン(米国)は、試合前に「もしBellatorが無くなったら、たくさんの選手達が戦う場を無くしてしまうからすごく悲しい事だよ。今はUFCがこの業界では一強で、皆UFC以外では戦いたくないって思ってしまっている状況も厳しい。俺がStrikeforceから来て活躍したように、ほかで戦う選手たちにも強い選手はいるはずだからね」と本誌にコメント。  そのグリーンと戦ったドーソンは、ATTの練習仲間である、Bellatorミドル級王者のジョニー・エブレンとウェルター級王者のヤロスラフ・アモソフについて、「ジョニー・エブレンは、この惑星で最高の185ポンドファイターだ。ジムでの話をしてはいけないことは知っているし、普段から厳しいルールを設けているけれど、彼はイジー(イスラエル・アデサニヤ)の前を歩いている。ジョニー・エブレンは今の地球上で最高の185ポンドファイターだと断言するよ。Bellatorが無くなるという噂があるが、そうなればヤロスラフとエブレンをUFCで見ることができるのに、と強く願っている自分がいる」と、そのポテンシャルの高さを語っている。  また、この業界のトップであるUFCのダナ・ホワイト代表もDWCS後の会見で、「Bellatorが存続することは悪いことではない、良いことだ。なぜ誰かがBellatorを買うのか、私には分からない。でもね、私に何が分かるというのか?」と、行く末を見守っていることを語った。  コストがかさむなか、ファイターたちを好待遇してきたコーカー代表は会見で、「私の仕事はアスリートをプロモートすることであり、私の仕事はイベントをプロモートすることであり、私の仕事は試合をプロモートすることだ。私にとって、これは選手のことであり、リーグ戦は確かに重要であり、リーグ戦を宣伝しなければならない。ただし、結局のところ自分が学んだことっていうのは、これは日本でK-1の石井(和義)館長のもとで仕事していたときに彼から学んだことだが、彼が言ったことというのは、『選手たちがリングに上がり、命を懸けていることを決して忘れるな』ということだった。 『だから君はファシリテーター(進行役)になるのではなく、プロモーターになるべきだ』ということで、これは非常に心に残っていることだけど、彼らには最終的にサムライスピリットというものがあり武士道精神というものがある。私は格闘技が大好きで、長い間、格闘技の道を歩んできて、格闘技の旅をしてきた。そのなかで彼らが成長し、成長していく姿を見ることができた。そういうファイターたちに心からか敬意を持っている。  彼らがケージへと向い、扉がロックされたら、そこにはたったひとりのレフェリーがいるだけの場所だ。とても独特な考え方、つまりそれは“戦士の心構え”を持っている、そういうところに、自分は彼ら戦士たち、男女ともに愛を持って、敬意を示せる。何かすごく特別なもので、それが自分にとっての格闘技であるし、自分はそうやって育った」と、ファイターファーストの思いを語っている。
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