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インタビュー

【RIZIN】榊原CEO、スダリオ剛のダフィーとタイトルマッチアピールに「“何じゃ、それ”という話で成立しない」、逆転TKO勝ちの荒東は「気持ちでしかない」

2023/10/03 23:10
 2023年10月1日(日)の『RIZIN LANDMARK.6』(ドルフィンズアリーナ)のヘビー級2試合について、榊原信行CEOが総括。スダリオ剛の大晦日タイトルマッチについて、時期尚早とした。スダリオ剛と貴賢神の兄弟参戦が初実現した名古屋大会。 ▼第11試合 120.0kg契約 5分3R〇スダリオ剛(HI ROLLERS ENTERTAINMENT / PUREBRED)[3R 2分10秒 TKO]×イム・ドンファン(TEAM STRONG WOLF) ▼第5試合 ヘビー級(120.0kg)5分3R×貴賢神(フリー)[2R 4分49秒 TKO]〇荒東“怪獣キラー”英貴(パラエストラ大阪)  当初、9月24日の『RIZIN.44』に来日予定だったトッド・ダフィー(米国)がパスポートトラブルのためスライド出場が決定していた『RIZIN LANDMARK.6』にも来日出来ず。緊急参戦のミドル級ファイターのイム・ドンファン(韓国)に3R TKO勝ちしたスダリオ剛が試合後、「社長、今回、今回来なかったやつ(ダフィー)と、年末にベルトを賭けてよろしくお願いします。そうすれば逃げないと思うので」と、王座戦をアピールした。  しかし、大会後、榊原CEOは、「ヘビー級はスダリオ剛がベルトを、と言っていたけど、トッド・ダフィーとタイトルマッチと言われても“何じゃ、それ”という話で成立しない」と否定。  続けて「ヘビー級のベルトはもちろん作りたいけど、もう少し顔と名前が一致して激しく戦う試合を見せないと。“この2人で初代ヘビー級王者を飾ってほしい”というポテンシャルのある選手が、国内外問わず出てきて、ヘビー級選手たちに存在感を示してもらった、その先に(ベルト創設)かなと思います。来年に持ち越した形で」と年内のヘビー級王座制定は無いとした。  そんななか、存在感を示したのは、打撃の進化を見せた貴賢神に2R、逆転KO勝ちしたGRACHAN王者の荒東“怪獣キラー”英貴だった。  榊原CEOは、「荒東はほんとうに良かったなと思います。(ポテンシャルのある選手の)荒東はその一人かと思います」と評価した。  しかし、その荒東も、貴賢神の右アッパーにダウンを喫してからの逆転勝ちで、『RIZIN.44』でヤノス・チューカスに外ヒールフックで一本勝ちしたシビサイ頌真、K-1参戦中の上田幹雄、ボンサイ柔術の関根シュレック秀樹らのなかで、誰が抜けるかという混戦状態だ。  名古屋でヘビー級戦士たちは何を語ったか。一問一答全文は以下の通りだ。 スダリオ剛「ダフィーとは条件付きじゃないと怖いのでタイトルマッチで」 ──試合後の率直な感想を。 「とりあえずホッとしています」 ──日程や対戦相手など色々と変更が続いた中で、今回の対戦相手はいかがでしたか? 「まずスケジュール変更と対戦相手の変更で、正直けっこう気持ち切れかけてて、試合直前になって、気合いって言うんですかね? 大変だったのですけど、何とか“今日は楽しもう”と思って楽しんでやれたので良かったです。相手のイム・ドンファン選手は、気持ちが強いので、北米の黒人選手とかでも、弱い人は途中で諦めモードになるんですけど、今日のイム・ドンファン選手は常に気持ちが切れずに、常にどこかで狙っているというのがあってやりづらかったです。印象通りです、本当に気持ちの強い選手でした」 ──今後の目標・展望を教えてください。 「リングの上で言ったのですけど、ちょっと条件付きじゃないと(試合に臨むのが)怖いので、次こそちゃんとできるように、トッド・ダフィーに、ちゃんと社長からプレッシャーかけてもらって、来てもらえるのであれば、本当に、彼もKSWでタイトルマッチを、敗れていますけどやったりしているので、だったら、できればRIZINでタイトルマッチでやらせてもらえたらと思っています」 イム・ドンファン「ミドル級やライトヘビー級にチャンピオンはいますか?」 ──試合後の率直な感想を。 「まず今回、直前のオファーにはなりましたが、RIZINのほうで、選手を色々な面でケアをしっかりしてくださったと思います。準備時間もそうですし、今日も選手のケアをしてくれて、僕自身もちゃんと準備ができたかなと思います。今回はヘビー級での試合となり実際やってみましたが、次の機会があるなら、ライトヘビー級かミドル級でぜひしっかり試合をしたいと思いました」 ──実際にスダリオ選手と対戦して、戦う前のイメージと印象が変わったところがあれば教えてください。 「試合前に今までの試合映像などを見て自分なりに研究をしてみました。4日間くらいでしたが、自分が元々映像を見てジャブやキックで攻めてくると思ったので、それに対して準備をすれば自分が勝てるとは言わないものの、ある程度耐えられる、あるいは1発くらいはお見舞いできるのではないかと。すぐには負けたりはしない姿を見せることができると思い臨みました。実際強いことは分かっていましたし、今回は挑戦する気持ちで相対しました。実際に対戦して、強いけれども自分ももう少し準備をすれば、もうちょっと耐えられたのではないかと思います」 ──初参戦のRIZINの舞台はどんな印象でしたか。 「RIZINに参戦して実際に経験して、本当に選手のことをすごく考えて準備してくれている感想です。スダリオ選手はRIZINにおいてヘビー級1位と自分も認識していますが、今回4日間で準備して対戦しましたが、1R、2Rで容易く倒されることはありませんでしたので、次は時間をかけて準備をして来たいと思いますので、ミドル級あるいはライトヘビー級で是非参戦したいと思います」 ──今回は準備期間が短かったですが、もともと相手を抱え込んで、相手にパンチを当てて相手を倒すタイプだと思いますが、今回のプランはどのようなものでしたか。 「まずはじっと立ったままではいないでおこうということでした。キックなども混ぜて相手に対しようと思いましたが、距離も遠かった印象があります。できるだけ中に入ってキックも混ぜながら攻撃を試みようと思いましたが、なかなかうまくいかなかったようにも思います」 ──スダリオ選手は足を引きずっていました。イム選手のキックの効果があったでしょうか。 「そうでしたか。そうですね、スダリオ選手も足を引きずっていたなら効果があったのではないでしょうか。僕も足を引きずっているのでお互い様だと思います」 ──次はミドル級かライトヘビー級で来たいということでしたが、対戦したい相手はいますか? 「特にはいません、どんな方であっても、戦いたいと思います。では僕からも質問していいですか? 今現在、ミドル級やライトヘビー級にチャンピオンはいますか?」 ──ライトヘビー級はイリー・プロハースカ選手が持っていましたが(UFCに移籍し)、現在は空位です。ミドル級のベルトはありません。 「じゃあ僕が、ぜひその階級でチャンピオンベルトを狙いたいと思います」 [nextpage] 荒東 怪獣キラー 英貴「(逆転KO勝ちは)気持ちでしかない」 ──試合後の率直な感想を。 「ただ、“勝ったぞ!”しかないですね、はい」 ──かなりの激闘だったかと思います。1R最後の場面はかなり危なかったように見受けられました、どのように思っていましたか。 「いやもう皆さん思った通り、“止まった”と思いましたよ僕も。あれもうゴングじゃなくて、止められたストップの方や思うて、“うわっ俺負けた”と思ったら“もう1回やれ!”みたいな感じだったので“それはそれで地獄やな”と思いましたけど、その分、腹括りましたね」 ──今回戦った貴賢神選手について、戦う前の印象と違ったところはありましたか。 「めちゃめちゃジャブ上手なっとって。あれ? と思いましたね。なんか、はじめは俺がやられたし、あれ? と思いながら、“まあやるしかねえな”と思いながらやっていました」 ──RIZIN LANDMARKという舞台はどんな印象でしたか。 「でっかい興行出て、前々日から色々、接待じゃないですけどやってくれて、“うわっすげえ、日本最大興行って夢あるやん!”と思いました。試合以外で、LANDMARK自体で言うと」 ──試合後のマイクで「俺が本物だぞ」と? 「なんかね、YouTubeとか、皆さん上げてくれて、“強いやつには勝てないよ”とか。そうですね、“何とかガイド”とかってやつにも『スタミナが……』とか色々書かれてたので、まあスタミナはめちゃめちゃあるほうじゃないけど、今日僕がずっと動いとって、僕がプレッシャーかける構図だったので、そういういろいろ跳ね返したいものがいろいろあったので、それができたので、この結果が『弱い奴しかやってない』じゃなくて、これが本物の10勝やぞと、この厚みにお前らついて来れんのかっていう意味で『本物じゃ』と言いました」 ──勝利したばかりですが、今後の目標・展望を教えていただけますか。 「願わくばRIZIN大阪大会、ナンバーシリーズですけど、出られたら幸せだなと。今回も来てくれたので嬉しいですけど、やっぱ地元で皆さんにお披露目できたらこの上ない幸せかなとは思います」 ──貴賢神選手を倒して、次はスダリオ選手とやりたいという気持ちも? 「今日の内容でそんな発言権ないと思っているので。はい、ちょっと。ただ決まったらやったるぞと。まあファイターはね、自分で、人シバき合いで生きていくって決めてこの世界にいるので、嫌とは言わないですけど、もうちょっといろいろやることあるかなとは素直に思ってしまいました、自分で」 ──次戦とは言わないまでも長い目で見れば? 「ここ2、3戦で組まれへんやったら、そうじゃない人、あの人もちゃうとこ行ったほうがいいと思うし、僕にこだわらんでもええんちゃう? って素直に思ったりしますけど、はい、言われたらナンボでもやります、誰とでもやります」 ──相撲の中でもかなり活躍されたトップアスリートの貴賢神選手の打撃は実際に受けてみてどんな衝撃でしたか? 「一番衝撃やったのは“プッシング強っ!”と思ったんですよ。“これが突っ張りか”と思いました。くっついてボーンと押されたときに、“うわっ、やっぱ相撲の人はすごっ”と思いましたね。多分、左手の張り手みたいなのが1回胸に来たんで 、別にパンチはなんかエグ! とかではなかったですね。皆さんが見ていた通り、“あっ、大丈夫やったんや”というのと“僕の大丈夫じゃなかったんや”というのが全てやと思ってます」 ──逆に、荒東選手の打撃が当たっても倒すところになかなかいたらなかったタフネスぶりは? 「それで言うたら俺のほうがもらてるから、俺の方がタフネスあります、って思います。でもこれタフネスじゃなくて気合いなんで。タフネスじゃないですね、僕の方が絶対効いてます、これは気合いです。勝ちたいか、勝ちたくないかの思いの強さが形に出たと思っています」 ──1R最後の方で押された時、“止められたのではないか”と思ったということでしたが、あの状態がもしあと15秒、20秒続いていたら危なかったですか? 「15秒、20秒だったらできたけど、1分あったら死んでいたかと思いますね(苦笑)」 ──下からも殴って凌げた? 「そうですね、あの時間ぐらいから、“あ、止められんやったら動かなな”っていうのも思ってて、僕、記憶が飛んでないので、そんな風に思いながらやっていました」 ──RIZINにヘビー級の試合が組まれるのは毎回1、2試合と、なかなかハードルが高いと思いますが、そこにどんなところでアピールして参戦を掴んでいきたいですか? 「選手の数が少ないの分かっていて、僕はこの体型でヘビー級でやっているので。そうですね、みなさんが言うようにちょっとスタミナがない、とか大味な試合というイメージがありますよね? ヘビー級の試合って。ちゃんとやってない人が多いので、言い方が悪いけど。積んでないというか、アマチュアやってたとかじゃなくて、鳴り物入りでね、その人たちに魅力がないってことじゃなくて、鳴り物入りでやれてはる人が多いので、そら、そうなりますよねっていうのは当たり前のことやし。  でもそこを、僕この体格=チビ・デブ、あと “暴言タンク” なので。タンクみたいな身体でもこんだけやれんねんぞって見せられたので、その意味でも、僕は本物かなって。本物の強さちゃんと練り上げて作ってここに臨んできたので、そういうところ見てもらえたら、誰とやってもちゃんといい試合するぞ、俺はっていう。そういう意味で、僕が日本代表じゃないかと自負しています」 ──外国人の、自分より大きい相手とも……。 「はい、やります。やるの前提で入っているので、分かっててやっているので、その技術を磨いてきて、今日は全部ダメやったんで、北方(大地)さんにボロカス言われたので、多分次の試合はもっと凄いことになっていると思います」 ──勝手ながら、ヘビー級だからこそ技術を見せてほしいというところと、でもそれ以上に、気持ちが見たいとも思っているのですけれど、ちょっとその通りの内容になって、技術と気持ち、どちらをよく見せられたと思いますか。 「気持ちでしかないですね。でもみなさん、見てください。僕ボディとかうまいこと打ってるんですよ。僕ボディ下手くそなんですけど、北方大地が『打て、打て』と言うから打ったら、なんか感触ええな言うて、三日月蹴りもバンバン入ってて、おお感触ええなって。技術もありながら、僕もしんどかったけど、めげずに手を出した。向こうが鬼ごっこしはったから僕が追いかける形になったですけど、ずっと動いてたの僕なので、皆さん、ちゃんと見てくださるから心配はしていないですけど、そこは出せたので、技術も出したんですけど、やっぱり気持ちが大事だったと思いました」 ──鬼ごっこということですが、追いかけるから対戦相手のパンチも喰らった。そこで、“待って来いよ”とは考えませんでしたか。 「だって“僕、負けてますもんね”っていう気持ちで、プラスあれ追いかけっこしてたからパンチ効かなかったんですよ、“もらってもええやん”っていうか、僕もう失うものもなかったんで、(1Rで)止められたと思っていたので、完全にダメージを取られたから、あそこで技術コチャコチャやる気はなかったです、“取り返すために何するねん、まあ行くしかない、殴るしかない、触るしかない”、足でインローちょんちょん! とか、ミドルをポン! じゃないなと。ミドル嫌がってたけど、そこまでの感覚はなかったので、そこはもっと圧かけて圧かけて、一生追いかけ回したろ、と思っていました」 ──この試合内容だったら、(指導を受けている)吉鷹(弘)先生からはどう言われると思いますか。 「殺されると思ってます(苦笑)。だからこそ“どうしたらいいですか”っていうのは食い下がって聞こうと思っています」 ──貴賢神選手のジャブが思ったより打ってくるというところで、ゲームプランはある程度、1R凌いで2R以降になると? 「ジャブ伸びるな、まず触らな始まらへんな思て、まあそうですね、僕プランとかなかったんですよ、北方さんに『お前、行けよ』と言われて“行くぞ”と思ったら(ジャブで)“入りづら!”しか思ってなかった。ここからちょっとレスリングやって、“どうしようかな、どこから探っていこうかな、でも触らな始まらんな、近づいたら触られるな、まあでも気合い入れていくしかないな”で、逆に1Rほぼフィニッシュしてくれたので、腹括ったので、それが良かったのかなと思っています」 ──2R特に、相手はボディを嫌がっていたようでした。手応えはありましたか? 「そうですね、途中で三日月で『うっ!』って言ってたので。ちょっと待って、またポンポンポン!って感じでしたね」 ──最後は相手の心を折ったような形でしっかり決めきれたと? 「まだ、あれから25分くらい試合できそうやったので、全然。ファイターなんで、決めるまで動くのは当たり前なので、気持ち折ったろとは思ってないけど、まず手を出そう、手を出そう。僕がパワーないのは分かってるので。でも、それでも仕留められるのは証明できたのかなとは思っています。 ──2Rに相手がペースダウンをしたと? 「そうですね、テイクダウンできたし“あそこで決められない俺アカンな”とめっちゃ思いましたね。まあ、でも、あれが普通のヘビー級じゃないですか? 僕普通じゃないんで」 ──それだけ話せるということは、ダメージはあまりないのですか。 「かもしれませんよー!?」 [nextpage] 貴賢神「1R目に決まったと思って出し切ってしまった」 ──試合後の率直な感想を。 「悔しいです」 ──1R最後、貴賢神選手のラッシュで試合が終わるかと思いましたが、ご自身はどのように思っていましたか? 「正直1Rの最後で決まったと思っちゃいました」 ──でも止められなかったので続けた。という感じでしたか。 「そうですね。1R目に勝手に決まったと思って出し切ってしまいました。力も全て」 ──対戦相手の印象は戦う前と後で変わりましたか? 「変わったところは特にないですね。イメージ通りです」 ──2R以降に切れてしまっていたのは、気持ちのスタミナの方でしたか? 「気持ちのスタミナ?」 ──1R終わって、気持ちが途切れてしまったのでしょうか。 「いえ。というよりも、1発、1R目の最後というか後半に、1発右ストレートが入ったときに相手がグラっと揺らいだのがすごい感触的に伝わったので、ここで出し切る! っていうところで、持っているスタミナというか、力を全て出し切ってしまったというところですね」 ──1Rの展開で、前手のジャブだったりフェイントだったりとすごく成長しているように見えました。手応えは? 「まあそうですね。前回のMMAの2試合を考えたら本当に冷静に、相手の打撃も見えていましたし、でももっと本当に限界を超えた限界の練習、トレーニングがもっと必要かと思います」 ──今後の目標・展望を教えてください。 「もう1回、練習しながら、ちょっと自分と向き合う時間を作っていきます」
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