2023年8月27日(日)に開催された『ROAD TO UFC(RTU)シーズン2』(シンガポール・インドアスタジアム)で、8戦無敗で決勝進出を決めた鶴屋怜(パラエストラ千葉ネットワーク)が、7月下旬にヒザを負傷していたことを明かした。
練習中に相手の身体がヒザの上に乗って、膝内側側副靱帯を損傷──朝倉海と同じ状況で、大怪我を負った。
試合まで1カ月と1週間弱。鶴屋が試合用の本格的な練習を行えたのは、「本番3、4日前だった」と、父であり、パラエストラ千葉ネットワーク代表である鶴屋浩氏は語る。本誌も7月21日の時点で、その状況を把握していたが、「負ければ終わり」のトーナメントのなか、回復に全力を注ぐ鶴屋が試合前のさまざま業務を行うさまを見届けてきた。
ほかにも、5月の1回戦では、野瀬翔平にスプリット判定勝ちしたシャオ・ロンが野瀬のヒザ十字で1Rで負傷。対する上久保も「もともと割れてる半月板が更に割れて」2Rにヒザがロックしたことを試合後に明かしている。優勝するためには欠場が許されない過酷なトーナメントに、全選手が向かっていた。
鶴屋怜は29日、SNSで、「今回試合の1カ月前に大きな怪我をしてしまい、スパーリングもあまり出来てない状態で試合に挑みました。正直不安で一時は無理かと思いましたが、周りの皆さんに助けられて、何とか勝利することができました」と、試合前の大怪我を明かした。
優勝者がUFCとの契約を獲得する『ROAD TO UFC 2』トーナメント準決勝で鶴屋は、北米LFAで活躍するマーク・クリマコ(フィリピン)と対戦。
前日の『UFC Fight Night: Holloway vs. Korean Zombie』の本戦で、中村倫也が完勝も、風間敏臣と木下憂朔がTKO負け。RTUでも中国、韓国などアジア各国の台頭もあり、重苦しい空気のなか、鶴屋は日本人トップバッターとして2日目のシンガポールインドアスタジムに登場した。
試合は、鶴屋がクリマコを圧倒しながらも、際の場面で下になることもあり、7試合連続フィニッシュ記録がストップ。試合中も「足を踏ん張ることができずにポジションを譲ることがあった」という。しかし、3Rを通しての判定勝ちは、今後の鶴屋にとって大きな経験になったのも確かだ。
鶴屋は「今、自分ができる最大の恩返しは試合で勝つことだと思ってます。決勝は万全な状態を作りUFCの切符を必ずつかみます。応援よろしくお願いします」と、年末にアジアで開催が予定される「RTU決勝」での、中国のジー・ニウシュイエとの試合に向けて、前を向いている。RTUでは、ライト級の原口伸(BRAVE GYM)とともにUFCとの契約を賭けて決勝を戦う。
21歳、8戦無敗のPANCRSAEフライ級王者は、現在UFCと契約する平良達郎、木下憂朔、中村論也、風間敏臣、魅津希、村田夏南子に続く、7人目の日本人ファイターとなるか。