2023年9月10日(日)豪州シドニーで開催される『UFC 293: Adesanya vs. Strickland』でマネル・ケイプと対戦予定だったカイ・カラ・フランスが、練習中の脳震盪により、同大会を欠場することをSNSで発表。3連勝でフライ級5位のカラ・フランスとの試合を決めていた10位のケイプは、代わりにUFCデビューながらMMA7戦無敗1NCのフェリペ・ドス・サントス(ブラジル)と対戦することになった。
【写真】平良が対戦するドボジャークに判定勝ちしているケイプ
UFCでのカード変更がなんと「7度目」となるケイプは、7週間前にUFCとの契約更新にサインしたばかり。
「僕は今、UFCと新しく大きな契約を結んだところだ。この契約は、この会社が僕の才能と仕事をどれだけ評価し、大切にしてくれているかを意味している」と満足気に記していたが、今回の試合19日前の対戦相手欠場の報には、やるせない気持ちを吐露。
カラ・フランスが欠場を語る動画を自身のストーリーズにアップすると、2023年3月のアレックス・ペレスの計量後の欠場のニュース写真を添えてアップし、「試合直前に棄権した選手には罰則を与えるべきだ。ランキングを落とすとか、金銭的なものだ。このような罰則があれば、下痢の症状はすぐに治まると信じている」と、毒づいた。
朝倉海を2R TKOに下し、RIZINベルトを手土産にUFC参戦を決めたケイプだが、オクタゴンデビュー2試合連続のキャンセルを経ての1戦目と2戦目で、現王者のアレッシャンドリ・パントージャと現6位のマテウス・ニコラウに判定負け。その後、オデー・オズボーン、ジャルガス・ジュマグロフにいずれも1R TKO勝ちで勢いにのった。
しかし、2022年4月のスム・ダルジ戦は、ケイプが禁止薬物トリナボル使用に絡み、3日前に中止。6月のホジェリオ・ボントリン戦は、ボントリンの減量中の体調不良によるドクターストップで試合中止となっており、1年ぶり復帰となる2022年12月の前戦で、ダビッド・ドボジャーク(※10月14日に平良達郎と対戦)に判定勝ちで3連勝をマークした。
その後、アレックス・ペレス、デイブソン・フィゲイレード、カイ・カラフランスら強豪が立て続けにケイプ戦をキャンセルしており、4連勝を目指すケイプにとっては、元タイトルコンテンダーとの試合は、王座挑戦に近づくマッチアップだったが、直前の試合中止となっていた。
22歳のドスサントスはアグレッシブファイター
(C)Felipe dos Santos
カラ・フランスの代役は、8月22日の『Contender Series(DWCS) 2023: Week 3』に出場予定だったドス・サントスに決定。DWCSでは、対戦相手のルチアーノ・ペレイラが欠場し、ケイプの相手として、22歳のドス・サントスに白羽の矢が立った。
ブラジル・サンパウロのシュートボクセ・ディエゴ・リマに所属するドス・サントスは、プロMMA7勝無敗で、2022年11月の前戦『LFA 146』では、ユーゴ・パイヴァに判定勝ち。序盤から最後までアグレッシブな試合運びで、オーソからの高い打点の前蹴り、左ミドル、ヒジ・ヒザからのテイクダウンなど、テイクダウンを9度も決める動きを見せている。一方で、テイクダウンディフェンスは強くないものの、7勝中2KO・TKO、3つのサブミッション(三角絞め、腕関節、ギロチンチョーク)の5試合をフィニュシュしており、29歳で18勝6敗とキャリアで優るケイプを相手に、フレッシュな動きを見せることができるか。
ケイプにとってはランク5位から、侮れないグリーンボーイ相手に変更と、上位陣からことごとく嫌われた形となったが、オクタゴン4連勝で、今度こそ上位陣との対戦を決めるか。
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UFCフライ級ランキング(2023年8月22日 時点)
【写真】UFC世界フライ級の頂点は、堀口恭司の盟友パントージャ。堀口がBellatorで戴冠すれば、ATTに2本のベルトが揃うことに。
王者 アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)※ケイプ、ロイヴァル、ペレス、7月にモレノを下し、戴冠1位 ブランドン・モレノ(メキシコ)※フィゲイレードと2勝1敗1分。7月にパントージャにスプリット判定負けで陥落2位 デイブソン・フィゲイレード(ブラジル)※モレノと1勝2敗1分。ケイプ戦をキャンセル、バンタム級転向?3位 アミル・アルバジ(イラク)※UFC5連勝中。6月にカラフランスにスプリット判定勝ち4位 ブランドン・ロイヴァル(米国)※モレノ、パントージャに敗れるも、ボントリン、シュネル、4月にニコウラにTKO勝ち5位 カイ・カラ・フランス(ニュージーランド)※UFC3連勝後、モレノにTKO負け、アルバジにスプリット判定負け。9月のケイプ戦をキャンセル6位 マテウス・ニコラウ(ブラジル)※UFC4連勝後、4月にロイヴァルにTKO負け7位 アレックス・ペレス(米国)※2022年7月にパントージャに一本負け、2023年3月のケイプ戦をキャンセル8位 マット・シュネル(米国)※ス・ムダルジに一本勝ち後、ニコラウに2R TKO負け、2023年6月のドボジャーク戦はキャンセル9位 ティム・エリオット(米国)※ニコラウに判定負け後、ウランベコフ、アルタミラノに判定勝ち。10月にモカエフと対戦10位 マネル・ケイプ(アンゴラ)※ニコラウにスプリット判定負け後3連勝。9月にドス・サントスと対戦11位 ムハンマド・モカエフ(英国)※UFC4連勝で10月にエリオットと対戦12位 ス・ムダルジ(中国)※エンボーFC出身。UFC3連勝から2022年7月にシュネルと大激闘の一本負け13位 タギル・ウランベコフ(ロシア)※2022年3月にエリオットに判定負け、11月にネイト・マネスに一本勝ち14位 スティーブ・エルセグ(豪州)※6月にドボジャークに判定勝ち15位 コディ・ダーデン(米国)※8月にジェイク・ハドリーに判定勝ち。
平良達郎がランキング入りを目指すフライ級では、上記のランキング以外では、15位にいたダビッド・ドボジャーク(チェコ)が、6月にエルセグに判定負け後、注目コディ・ダーデンの台頭でランク外に。そのドボジャークと日本の平良達郎が10月14日に対戦する。そのほか、平良が判定勝ちしたカーロス・カンデラリオに三角絞めで一本勝ちしたジェイク・ハドリー(英国)、そのハドリーに判定勝ちしているアラン・ナシメント(ブラジル)ら強豪が控えている。