2023年6月24日(土)フランス・パリ ゼニスアリーナ『Impact In Paris』にて、ベイリー・サグデン(英国)を5R2分59秒、左ハイキックでKOしISKA K-1ルール世界ライト級王座に就いた武尊(team VASILEUS)が、29日(木)都内にて凱旋会見を行った。
以下、会見での質疑応答。
――可能であれば次にロッタンとやりたいですか?
「そうですね。僕は準備できているのですぐにやりたいですね」
――左ミドルが凄く走っていましたが、あれは右膝を手術したから蹴りの威力が戻ってきたからですか?
「膝はパンチにも全部に影響が出るんですけれど、踏ん張りがきくようになったたので変わったと思います。あといつもだったらパンチで倒すのでパンチを打つんですけれど、今回グローブが分厚くていつもと違うグローブを使ったので、これはパンチだと倒れないというのがあって途中で蹴りに作戦を切り替えました。なので後半は蹴りが多くなったかなって感じです」
――今回の試合を見て、意外と5Rルールが向いているのではとの声があります。自分ではどう思いましたか?
「向いているのは向いていると思います。スロースターターなので後半上がっていくし5Rはいいかなっていうのがありますけれど、けっこう疲れますね(笑)。今まで3Rでやっているので。5Rペースの戦いをやっていれば5Rの戦いが出来るんですけれど、僕はスイッチが入ると3Rでペースでやってしまうので、手数的にも3Rのペースで1Rからやっていて。4・5Rは気合いで集中力を保たせてやっていました。練習量も今回3カ月追い込みをやったのでスタミナが切れなくて、5R戦えるなって。多分、あと2~3Rいけるなって思いました」
(C)AbemaTV,Inc.――今日フランスから帰国したんですか?
「いえ、帰国してそこからいろいろと挨拶回りをしていてさっき帰ってきました」
――次にもロッタン選手と戦いたいということですが、それが叶わなかったらどんな選手と戦ってみたいか。今後どのようなスパンで試合をしていく予定ですか?
「とりあえず今はロッタン選手しか見てないし、僕はこれからの格闘技生活は自分に正直に生きたいし、自分が戦いたい選手と実現するためにやりきろうと思っているので今はロッタン選手しか見てないです」
――試合に向けてアメリカなどでファイトキャンプをしていましたが、その中で成長につながったことは?
「今回は実戦練習を外国人選手とのスパーリングを増やしたのもあって、フィジカルが強い相手との戦い方みたいなのをけっこう練習しました。あとは手術明けだったので手術して筋力のバランスが崩れたり、全身の筋肉も相当落ちたのでそれを戻すのが大変だったので、そこに重点を置いてやっていましたね」
(C)AbemaTV,Inc.――ファンからはONEのムエタイルールでオープンフィンガーグローブの戦いを見たいとの声もありますが?
「ルールも違ったり環境も違うのは団体が変わるとしょうがないかなって思います。一番は戦いたい選手がいるからONEと契約したのでルールはこれから調整ですが、一番いい形でみんなが見たい試合が出来るんじゃないかなと思っています」
――そもそもロッタンとやりたいと思うのはなぜですか?
「一番は天心選手に負けてリベンジしたい気持ちが凄いあったんですけれど、天心選手はボクシングに行って違う階級で頑張っているので、違う形でのリベンジじゃないですけれど、自分の中で格闘家をやり続けるにあたって誰かに負けたまま終わるのは許せない。一番を目指さないなら格闘家は辞めていると思います。誰に勝った選手に勝ったからとか言い始めたらきりがないので、そういうことではないんですけれど自分の中のけじめとしてロッタン選手にKOで勝てば僕自身が納得できるのかなという気持ちでやりたいと思っています」
――天心vs.ロッタンはどう見ていましたか?
「凄くいい試合だったし、僅差の試合だったと思うので、判定は審判団が決めることなので、僕はそれが正しいと思っていますし、天心選手が勝ったのは間違いないと思っているのでそこはどうこういうつもりはないです。天心選手は延長で判定で勝ったのを僕がもっと早くKOで倒せば、自分が天心選手より強いということではなく、それをすることで僕自身が納得できるっていうか。格闘家を続けていいという自分への合格点じゃないけれど、そこしか僕は格闘技を続ける理由が今ないと思っています」
――ロッタン選手の強さはどういう部分?
「パンチも上手いし、フィジカルも強いし、技術もある。何よりも気持ちが強い。オールマイティーな選手でお客さんも沸かせられる。ああいう選手って世界でもなかなかいないと思うので、そこが強さでもあり魅力でもあると思うので僕がそれを超えたいと思っています」
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パニック障害の症状はたまに出る
――ロッタンが最終目標ではないんですね?
「最終目標ではないんですけれど、とりあえず今はそれ以外の目標は作らないようにしていまう。そこに全集中しないと勝てない相手だと思っています。チャトリさんはいろいろ言ってますけれど、僕はロッタン選手のことを認めているし、リスペクトしているので、たたそこを超えたいという気持ちだけですね」
――ONEに縛られることなく、ヨーロッパの団体に目を向けることもありますか?
「それも終わってからその時の気持ちで考えると思うし、戦いたい選手がいる所に行くと思います。ただONEと契約もしているので、ONEの中にロッタン選手を倒した後に戦いたい選手がいればそこで戦うと思います」
――自分の中で納得が出来るまで戦いたいという感じですか?
「そうですね。正直、身体も手術をしましたけれど100%ではないし、壊れていく部分があるのは正直なところなので。だからあと何戦できるのかなっていうのが自分の中にあります。今回の試合もいい練習が出来たけれど、いい練習が出来ると身体も消費されていく部分が凄くあるので、だからこそ1日でも早くロッタン選手とやって早くそこを乗り越えたいという気持ちはあります」
――ハイキックでKOというのは自分の記憶の中にありますか?
「ないんですよ(笑)。空手やってキックボクシングやってムエタイやってきましたが、ハイキックでダウンをとったこともないですね。初だと思います」
――新たな自分の可能性を見つけた?
「自分でもこんなこと出来るんだって。練習では出来るんですが試合では出来ないので、新しい可能性を自分でも見つけたし、こういう倒し方も出来るんだなって。それは5Rだったからというのもあって、自分の引き出しを3Rの試合だったら出さなくてもよかったのを5Rになると相手も攻撃を読んでくるし、違うパターンを作らなければとなった時にこのパターンでも倒せるんだなっていうのはいい収穫になりました」
――那須川天心選手の試合後に記者会見で、パニック障害と戦っていることを告白されましたが、いま心身の状況は?
「あれから休養を発表させてもらって1~2カ月くらいですかね、練習以外のことをなるべくやらない生活をして通院をしながら、だいぶそこでちょっと良くなって次の試合をやろうと決めたんですけれど。でもこの病気を抱えている人たちみんなが思うことなんですが、完治がないというか。1回なってしまうとまたフラッシュバックして戻ってきたり。身体に負担がかかったり、ストレスがかかってくると症状は大なり小なり出てきてしまう病気だと思うので、そことは上手く付き合いながらと言うのがあります。いま自分がやりたいことを充実出来ていることもあるし、格闘技以外のこともなるべく心に負担がないようにセーブも出来るようになって昔よりかはコンディションもいいかなと思いますが、多少は症状はたまに出たりします」
――最後にファンへメッセージを。
「たくさん応援してくれた皆さん、本当にありがとうございます。この試合が僕の新しいスタートになったし、この試合がきっかけでまた格闘技界、日本の格闘技界だけではなく世界の立ち技格闘技をもっともっと盛り上げて行こうと思うので、この業界が盛り上がるにはファンの皆さんの力が必要だし、みんなの力でまた盛り上がる格闘技界を作っていけたらと思うのでこれからもよろしくお願いします」