MMA
インタビュー

【RIZIN】4の字ロックからのツイスターで難敵ガーダムに一本勝ちした後藤丈治「“vs世界”で海外の強豪を倒して、のんびりしている選手は介錯する」

2023/06/27 12:06
 2023年6月24日『RIZIN.43』第3試合バンタム級(61.0kg)5分3Rにて、北海道出身で修斗世界同級4位の後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)が、豪州のトレント・ガーダム(Tiger Muay Thai & MMA)にツイスターで一本勝ち。バンタム級で「のんびりしている選手もいなくはないと思うので、そういう選手たちを介錯していきたい」「ウチのジムは“vs.世界”でやっているので、海外の強豪とか倒していけるようにしたい」と語った。  後藤は、空手と柔道をバックボーンに、地下格闘技では6戦5勝1敗(5KO)、プロMMAでは修斗を主戦場に15勝6敗1分。魚井フルスイングやダイキ・ライトイヤー、加藤ケンジらに勝利するも、2022年11月の修斗前戦では須藤拓真に内ヒールフックを極められレフェリーストップにより一本負け。今回は、地元北海道でRIZIN初参戦。  対するガーダムは、ムエタイとMMAの二刀流ファイター。タイのタイガームエタイジムで研鑽を積み、2018年8月にRIZINデビュー。現UFCのビクター・ヘンリーに一本負け後、2020年2月のRIZIN.21でUFC帰りの井上直樹に判定負け。約2年半ぶりの参戦となった22年10月のRIZIN.39では梅野源治とキックルールで戦い、カーフキックでTKO負けを喫している。その間、ローカル大会で勝利しているが、RIZINでは勝ち星に恵まれていない。  試合は、1R、ともにサウスポー構えから。シングルレッグのガーダムにニンジャチョークを狙う後藤。外したガーダムがギロチンチョークを仕掛けるなど組み技で噛み合うなか、後藤は得意の左のオーバーハンドをヒット。ダウンしたガーダムはゴングに救われる。 2Rに、すぐにシングルレッグテイクダウンを奪うガーダム。左手で首を巻き、ハーフからパス、マウントで絞めるガーダムだが、リバーサルする後藤に、下のガーダムはアームインギロチン。クローズドの中に入れて絞るガーダムだが、頭を抜いた後藤が上からパス、バックから4の字ロック。  ボディトライアングルで胴を絞り、左足をガーダムのヒザ裏にかけようとする後藤。ガーダムは左で脇を差して正対を狙うが、そこに右でオーバーフックした後藤は、4の字ロックのままガーダムに正対させず、頭を抱えて手前に引き寄せるツイスターで極めてタップを奪った。  地元で勝利した後藤は、「こんなもんじゃない。こっから俺もTRIBEも狼煙を上げていくんで、よろしくお願いします」と挨拶。セコンドの長南亮代表と石井逸人と記念撮影に収まった。  キャリア最大のチャンスをモノにした後藤のフィニッシュは、通常のトラックポジションなどのシングルバックではなく、四の字バックからのツイスター。  いわゆるコブラツイストの形ではなく、片手はオーバーフックから、足も胴を三角に挟んで、さらに途中まではおたつロック気味にヒザ裏に添えて、正対を許さなかった。  このモデファイドツイスターは、グラップリングでも使用されており、MMAでは2015年の修斗時代の松本光史が藤巻優を相手に「ネックストレッチ」とコールされた形に近かった(写真上)。  正対時に「ヒザが動かなかった」と悔やんだガーダムに、後藤は「練習では使っていて、試合では初めて。ちょっと崩れていて、和田竜光さんのオタツロック完成版じゃないですが」と振り返っている。  難敵ガーダムに一本勝ちした後藤は、今後バンタム級でどんな相手と戦っていくか。後藤とガーダムとの一問一答全文を下記に紹介したい。 [nextpage] 後藤「東京から札幌に戻って来た瞬間に『ああ戦いに帰ってきたのは最高だ』と」 ──後藤選手、トレント・ガーダム戦後の率直な感想をお聞かせいただけますか。  「何とか生き残れたなという感じです」 ──それは、対戦相手がしぶとかったという印象でしょうか。 「というよりも何かこう、初めて彼に会ったときもそうなのですが、次もRIZINに続けて出られるかどうかや、格闘技のキャリアがかかった覚悟を感じて、そういう選手からの圧っていうのをすごく感じていたということですね」 ──ガーダム選手の印象は、試合前にイメージしていたものと戦った後では違うところはありましたか。 「戦う前はすごいリラックスしていて。で、戦う後というか、入場に入る時にすごい声を上げていたので、自分を奮い立たせているんだなという印象で。試合中も奮い立たせて、絶対やってやろうという、そういう覚悟が伝わっていました」 ──1R最後にいいパンチが入り相手がダウンした瞬間は、そのまま行ければ倒せたと思いましたか、それともいったん様子を見ようと思ったのでしょうか。 「いつも自分は練習とかでもそうですけど、あんまり打ち込むという感じよりも、本当に握らない感触で、当てたら倒す。気づいたら倒れているっていう感じだったので、その流れで“あ、倒れた”と思って、今回追撃も焦っていかないと決めていたので、冷静にいきました」 ──今回RIZIN初参戦かつ地元・北海道大会となりましたが、RIZINの舞台の印象を教えていただけますか。  「正直、入場した時に、何て言うんですかね……、みんなが興奮してるのと、ここで殺し合いが今日行われるという2つのことを感じて、結構自分もゾワゾワっとして興奮していました」 ──今回見事な一本勝ちでした。今後の展望・目標を教えてください。 「彼みたいに人生かけて戦ってくる選手と斬り合いたいなというところと、あとはまあ、RIZINという大きな舞台で、地位とか名誉とか名前とかそういったものをもらって。まあ、のんびりしている選手もいなくはないと思うので、そういう選手たちを介錯していきたいと思っています」 (C)RIZIN/Sachiko Hotaka ──フィニッシュについて、オタツロックからのツイスターの認識でいるのですけれども、和田竜光さんから教わったもので、それをセコンドからの声で掛けたというイメージでした。ご自身としては最初から頭には少しでもあったのか、全く頭になく、セコンドに言われたからやったのでしょうか。 「どっちかと言うと、その時ライブで感じて“行ける”と思ってやってみたという感じですが、実際は和田竜光先輩に日々あの技かけられて学んでいたので“いけるな”と思ってやりました」 ──同じ場面について、シングルバックではなく4の字で極めていたようでしたが、あの形でのフィニッシュは初めてですか。 「試合では初めてです。練習ではちょこちょこという感じです。あれが竜光さんのオタツロックなので。オタツロック完成版じゃないですけど。ちょっと崩れていました」 ──地元、北海道での開催はプラスになりましたか?  「プラスでしかないですね。23歳まで本当にこの空気吸って生きていたので東京から札幌に戻って来た瞬間に“ああ戦いに帰ってきたのは最高だ”と思いました」 ──RIZINでも試合を重ねていくと思いますが、次にどこで戦いたいというのはありますか? 「開催場所ですか? それこそスケジュールにはハワイ大会とか入っていたじゃないですか。ああいうのもいいと思います」 ──バンタム級で戦っていくとのこと、目標や戦いたい選手はいますか? 「結構飛躍していると思われると思いますが、上にいる朝倉(海)選手や(フアン・)アーチュレッタ選手とか、ウチはTRIBE TOKYO MMAというジムで、“vs. 世界”という形でやっているので、そういう海外の強豪とか倒していけるように、まだまだケツが青いので修行したいと思います」 [nextpage] ガーダム「RIZINの舞台で結果が出ない。自分の何がいけないか突き詰めて考えてみたい」 ──後藤選手との試合後の率直な感想をお聞かせいただけますか。  「今は自分の実力にただガッカリです。リング上で自分の技術のレベルを見せたいと本当に思っていたのに、示すことができず、とにかくもっと改善する努力が必要で、それがうまくいってくれれば、いつか、日本で活躍する選手にもなれるんじゃないかと思っています」 ──対戦相手の印象は試合前にイメージしていたものと戦った後では違うところはありましたか?  「特に何か違ったというのはなかったのですが、自分の反応や自分の体の動きが良くなかった。後藤選手はいい選手だと思いますが、自分のほうが技術や引き出しがあると信じていますし、精神的な部分で今日はやられてしまったと思います」 ──試合を終えたばかりですが今後の目標・展望を教えてください。 「いつかまた日本に戻って来れて、RIZINで勝利を掴むことができたら、と願っていますが、今現在は、何がいけなかったか考え自分の頭の中を整理しなくてはいけません。トレーニングでもジムでも減量中も調子が良くて、試合でも2Rに入る中でも疲労もなく調子が良かったですが。試合中に肋も痛めていたようで、どこでそうなったのかはわかりませんが。とにかく見ていかなくてはいけません。(涙しながら)PRIDEを観ていた子供の頃に夢見た舞台で勝てないこと、自分がなりたかった自分をみなさんに見せられないということが、すごく辛いんです」 ──フィニッシュの、ボディロックからのツイスターについては、かけられたときに想定していたのか、反応が遅れたとか、どう捉えていたのか教えてください。 「普段はバックテイクされたときに回ってトップになって相手と向き合うという技術は得意としていてできていたのですが、井上直樹戦と似た状況があり、バックを取られてから向き合おうとした時にヒザを固定されてできなかった。その時はすぐ戻ったのですが、今回は力づくで向こうとしている時に動けなくなってしまって、非常にやりづらいポジションになって止まってしまい極められてしまった。無理に向き合おうとせずバックで勝負すればよかったのかもしれない。  我々の競技はひとつのミスが命取りで試合が終わってしまいます。誤った選択をするのは基本的には完全に自分のせいであり、素晴らしいコーチ、素晴らしい仲間、ファン、そういう素晴らしい人たちに囲まれて練習していて、ジムではとてもうまくいくのですが、RIZINの舞台では難しく結果が出ません。どうしていいかわからない状況になっていて、スポーツ精神科にでも行って、自分の何がいけないか突き詰めて考えてみたいと思っています」
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