MMA
インタビュー

【UFC】試合中止前に、平良達郎が語っていたこと「“全然ランカー食えるぞ”って気持ちしかないから──」

2023/06/24 09:06
 2023年6月24日(日本時間25日)のUFCフロリダ大会(U-NEXT・UFC Fight Pass配信)に出場予定だった平良達郎(Theパラエストラ沖縄)の試合が、対戦相手のクレジソン・ホドリゲス(ブラジル)の3ポンド(1.3kg)体重超過により、中止となることが、UFCおよび平良陣営から発表された。  Theパラエストラ沖縄代表の松根良太氏は、24日未明、「6/24(日)平良達郎のUFC4戦目は相手選手が3ポンド体重超過の為、マネージメントのイリディアム代表ジェイソンハウスと(平良)達郎、松根、岡田(遼)、チームで相談し、次戦、志し高い選手との試合をUFC側に希望し、今回は出場を見送る決断をしました。応援して下さる皆様、平良達郎の次戦にご期待下さい!」とSNSに投稿した。  今回、ホドリゲスは129ポンド(58.51kg)と、フライ級の125ポンド+1ポンド許容の126ポンドから、3ポンドオーバー。UFCでの体重超過は2試合連続となる。  MMA13勝無敗、23歳の平良は、2022年5月のUFCデビューから3連勝中で、今回の試合で日本人選手として堀口恭司以来、6年半ぶりの4連勝を目指して、計量を126ポンド(57.15kg)でパスしていた。  本誌では平良が現地ジャクソンビルに到着後の21日に取材。計量の模様とともにインタビューをアップする予定だった。  試合前のもうひとつの試合ともいえる、最後の水抜きに向かう前に、平良は何を語っていたのか。読み返すと、試合が流れたいま、計量をパスした平良の悲痛な思いを想像せざるをえない言葉が並んでいる。ここに紹介したい。 [nextpage] 「I'm Happy」というより「I'm Hungry」って感じです ──ファイトウィークに入ってからの大変なインタビューを受けていただきありがとうございます。今日(※21日)の取材はほかにも? 「今日は4本ですね」 ──注目度が高まっているとはいえ、試合前に申し訳ないです。 「いえいえ、注目度が上るのは嬉しい限りですから」 ーーさて、今回はここまで3試合を無観客か限定観客で戦ってきた平良選手にとって有観客での試合になります。 「お客さんが入る大会でワクワクしています。自分はお客さんがいる方がいいですね。絶対。なんか、寝る前に入場する自分とか想像しています」 ──現地フロリダでは「タイラ」「タツロウ」などと声をかけられたりも? 「こちらに来て(※取材は21日)まだ、そんなに経ってないですし『タツロウ』って声はかけられてないですね(笑)。ただ、初めてのフロリダは地元の沖縄と似ているところもあって、気持ちは穏やかですし、国外で試合をすることに慣れてきたのか、パフォーマンスも上がってきています」 ──56.7kgのフライ級で、身長は170cm、リーチは178cmというフレームの大きさが特徴的な平良選手ですが、計量に向け、減量はいかがでしょうか。 「体重もうまくコントロールして、試合と試合の間もあまり増えないようにしています。“身体が大きい”と言われるので意識はしているのですが、僕自身、なんとなく落ち方だったりも把握して、今回も最後の減量まですんなりといって、あとは本当に水抜きをいかに減らすか。最後、ちょっとでも身体に負担がないように仕上げていきたいなと思っています」 ──なるほど。いまの平良選手にとって「負担のない範囲」とは、最後どのくらいの水抜きになりますか。 「通常体重をキープしている、といっても甘いものも全然食べますし、基本やっぱり練習で動いているので、そんなに太ることがあんまりないです。それでも、やっぱり減量の最後はキツイなとは思いますけど。最後の水抜きは、最高で4kgで、いまは残り3.5kgくらいなので、できるだけ最後の水抜きを3kgに近づけられたらなって思っています」 ──それでも苦しい作業には変わりないでしょうけど、ホテルにバスタブなどはあるのでしょうか。 「今回はしっかりバスタブもあって半身浴もできますし、UFCのサウナスーツもあって、水抜きも調整できると思います」 ーーそれは良かったです。この試合に向け、コロラドのエレベーション・ファイトチームから、最後は沖縄で調整されてきて、どんな手ごたえを得ていますか。 「コロラドでは本当に当たり前ですけど、練習する人がみんな“はじめまして”で、どんな選手かも分からない状態での練習だったので、自分の対応力が上がっていったなとは感じますね。カザフスタン勢、ブランドン・ロイバルとも手合わせはしました。そういったなかで、本当に自分がどこを伸ばしたほうがいいのかとか、一番優先すべき練習は何かな? とか色々考えさせられました」 ーー差し支えなければ、今後、優先すべきだと感じた練習は? 「今後はやっぱり打撃ですかね。今回は、対戦相手がストライカーなので、寝技でしっかりサブミッションを極めるとか、打撃からテイクダウンの流れとか、組んでからの練習をよくしていたのですけど、打撃から組むまで、そこの繋ぎとかもより重要だなと感じたのがコロラドの練習ですね」 ーー打撃の練習もそういう連動が意識されたと言っていましたね。今回の対戦相手のホドリゲスは、序盤にすごいパワフルで、変則的な打撃を持ってます。想定練習も? 「カポエイラベースで蹴り技が得意なので、コロラドの練習では、テコンドーのチャンピオンがいて、そのバンタム級の選手とかと最後の3Rとかでスパーリングさせてもらったんです。最後、帰る間際ですけどいい経験になりました。沖縄ではテコンドーベースの選手や蹴り技がバックボーンの人はいないので、自分なりに蹴り技の対策とか、蹴ってくることを想定した実践、スパーリングとかを行ってきたつもりです」 ーー圧力のある相手にどんな試合をしたいと? 「思い切りのいい選手なので、譲らずにハイペースで攻めていきたいと思います。あまり深く考えないようにして、気を付けるところは気をつけて、あとはもう折角の試合なので受けてみて。映像で見る限り、結構パワーはあるのでどう感じるかとか、蹴りも普段レガース無しとかで練習しないので、そういった意味でも感じてみたいなって思っています」 ーー何より実戦を欲している感じですね。 「はい」 (C)Zuffa LLC/UFC ーー練習で試したうえで、試合のなかで自信を持って出せる技は限られるかと思います。その点で自信を持って出せる技というのは、やはりどのくらい増えているのでしょうか。 「そうですね……今は何て言うんですかね。試合で出せる技は多くはないのですが、少し増えていて。ただ今後2、3カ月もう少し積み上げたら、自分の武器が広がるなという練習の目処が今立っているんです。今回の試合には間に合わなかったけど、みたいな技もありますね」 ーーなるほど。その意味では試合自体が貴重な時間になりそうですね。 「今後に向けて、本当にそうですね」 ーーさて、今回の試合で勝利すれば、2013年10月から2015年1月の堀口恭司選手の4連勝以来、日本人選手として6年半ぶり。2014年5月には水垣偉弥さんが5連勝をマークしています。先人たちのオクタゴンでの活躍をどう感じていますか。 「当時は僕、たぶん格闘技やってないんです(2016年11月にアマチュアデビュー)。水垣さんが優しそうな人っていうイメージから入っているので、当時の感覚は分からないですけど、日本国外で戦うことを当たり前のことととして、そこのコンディション作りを含めてしっかりオクタゴンのなかで5連勝って結果を出せるのは、本当に凄いなっていうのを、自分が海外で試合をして、より一層凄いって思いましたね」 ーーそれを今度は平良選手が……。 「そうですね、成し遂げます」 ーーUFC4戦目をどんな位置付けの試合にしたいと考えていますか。 「今後、ランキング戦をしたいので、本当に僕の中ではどちらかというと“落とせない一戦”という感じなので、前回もそうでしたけど、今は本当に自分自身に対しても自信がついてきて、“全然ランカー食えるぞ”って気持ちしかないので、そのステップアップのために落とせないですし、相手もいい武器を持っているので、そこを試合でどう感じるのか楽しみですね。上を取れれば、絶対に極めることができると思っていますし、進化したところを見せたいです」 ーー勝利して期待されている言葉を言わないと、っていうプレッシャーはありませんか。 「そうですね、いや、今 “I’m Happy”というより”I’m Hungry”って感じなので(笑)。ちょっと今はそこは考えてないですね」 ーーでは、日本のファンに向けてメッセージを。 「日本では、24日の夜中だと思いますが、頑張って起きていていただて、僕がアドレナリン全開にさせる熱い試合をするので、生配信から応援よろしくお願いします! 自分が成長した姿というのはもちろんなんですけど、“なんか他の選手とは違うな”って思わせたいですし、日本で見てる皆様にも、僕の強さを見てもらいたいです。ここアメリカフロリダのジャクソンビルでは、ファンの人たちに平良達郎を売り込んでこようと思ってます。今回また進化して帰ってきた自負があるので、UFC第4戦、しっかり“平良達郎やべーな”って試合するので、日本から応援、よろしくお願いします!」
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