キックボクシング
レポート

【GLORY】オサロがプラチバットに番狂わせKOでヘビー級暫定王者に、カバベが友人のアミンを非情にKOしてライトヘビー級暫定王者に、ウィッセが完ぺきな技術でオズカグライヤンを寄せ付けずミドル級王座V2、セメリアがウェルター級王座V2

2023/06/18 02:06
GLORY COLLISION 52023年6月18日(日)オランダ・アムステルダム・アホイ・アリーナ※U-NEXTで見逃し配信あり ▼第9試合 GLORY世界ヘビー級暫定王座決定戦 3分5R×アントニオ・プラチバット(クロアチア/同級1位)KO 5R ※右フック〇タリック・オサロ(ナイジェリア/同級2位)※オサロが暫定王座に就く。  メインイベントでは、ヘビー級1位アントニオ・プラチバット(クロアチア)と2位タリック・オサロ(ナイジェリア)がGLORYヘビー級暫定王座を争う。これは8年間不敗を誇る現ヘビー級王者リコ・ヴァーホーベン(オランダ)にプラチバットが挑戦するタイトルマッチが行われる予定だったが、ヴァーホーベンは膝を負傷し、2023年後半まで欠場することになったため。  プラチバットは第1回K-1グランプリで優勝したブランコ・シカティックの弟子で、2017年11月の「K-1初代ヘビー級王座決定トーナメント」に初来日。1回戦でK-Jee、準決勝で上原誠に連続KO勝ちして決勝ではエル・ボウニに判定勝ちして初代ヘビー級王座に就いた。2018年3月の再来日ではロエル・マナートの挑戦を受けて初防衛戦を行ったが、判定負けで王座を失っている。2018年5月にはONEに参戦するも敗れ、2019年6月からはGLORYに参戦。2022年11月にラウル・カティナスを1RでKOし、現在4連続KO勝ち中。身長193cm。戦績は22勝(16KO)4敗。  オサロはサッカーからキックボクシングに転向し、2022年3月に「Road to ONE: Utrecht」ヘビー級トーナメントで優勝したが、ONEではなく5月からGLORYに参戦。2戦目でリーヴァイ・リガーズに敗れるも、GLORYで4勝(4KO)1敗の好戦績。4月のヘビー級トーナメントを2連続KOで制し、今回の暫定王座決定戦へ進出した。戦績は24勝(12KO)2敗1分。  両者はトレーニングパートナーの間柄であるが、一晩だけ友情を捨てて、GLORYヘビー級暫定王者決定戦に臨む。  1Rが始まる前、オサロは笑顔でグローブタッチしたが、プラチバットは無視。オサロは前足を上げ下げしてフェイントを入れ、左前蹴りと右ボディストレート。プラチバットはブロックを固めて前に出ていくが、オサロにローとミドルを蹴られる。プラチバットがなかなか近付けない展開が続くが、プラチバットが左右フック連打を繰り出すと場内が大きく沸く。オサロはコーナーに詰められても、ブロックを固めてディフェンスし、打ち終わりにはヒザをボディへ突き刺す。  2R、左右フックで前に出るプラチバットへオサロは右ローとヒザ。プラチバットの必殺フックをダッキングでかわし、自分の攻撃を当てていく。当てさせずに打つ、オサロがヘビー級とは思えないテクニックで立ち回る。プラチバットは強引に詰めていき、コーナーで左右フックを連打するがなかなかクリーンヒットは奪えない。ムキになったプラチバットはワンツーを連打し、ゴングが鳴っていても左右フックを連打。なんと割って入ったレフェリーに当たってしまい、レフェリーがダウンした。  3R、レフェリーがチェンジして開始。オサロは自分から前へ出てヒザ、プラチバットが前へ出てくると前蹴り。オサロの左右フックからのヒザに下がるプラチバット。動きがスローになったプラチバットのボディを攻め、頭を下げたところにヒザを頭部へ突き上げる。  4R、前に出るオサロにプラチバットはロープを背負う。コーナーへ詰めての右ボディとヒザに棒立ちに。オサロはたびたびプラチバットをコーナーへ追い詰め、ボディ責め。プラチバットはいつダウンしてもおかしくないほど動きが悪く、攻撃が出ない。  5R、オサロはプラチバットをコーナーに詰めてフック&アッパーをまとめ、顔面ヒザからの右ショートでダウンを奪う。プラチバットは立ち上がろうとするも身体が言うことを聞かず、カウント10。オサロが暫定王座に就いた。  試合後、プラチバットは1Rに左拳を骨折したことを告白。オサロは「言葉にならないよ。ヴァーホーベンとの戦いに向けて準備をしたい」と涙を流しながら勝利者インタビューに答えた。 [nextpage] ▼第8試合 GLORY世界ライトヘビー級暫定王座決定戦 3分5R〇タリク・カバベ(モロッコ/同級2位)KO 4R×モハメド・アミン(モロッコ/オランダ/同級4位)※カバベが暫定王座に就く。  ライトヘビー級王者ドネギ・アベナ(スリナム)が食中毒で体調不良のため欠場となり、挑戦者カバベは4位アミネと暫定ライトヘビー級王座決定戦を行うこととなった。両者は友人の関係にあるという。  カバベは2015年スーパーコンバット・ワールドグランプリ・ヘビー級トーナメント優勝の実績を持ち、2018年6月からは『ONE』に参戦。4連勝してONEキックボクシング・ライトヘビー級王座に挑戦したが、ローマン・クリクリアにTKOで敗れた。2021年1月からはGLORYに参戦し、ヘビー級でリコ・ヴァーホーベンやアントニオ・プラチバット、ライトヘビー級でマスロボイエフといった強豪たちに4連敗を喫したが、2023年3月にダニエル・トレドにTKO勝ち。今回の挑戦へと漕ぎつけた。戦績は48勝(27KO)10敗1分。  アミンはアベナ欠場の報を受け、すぐにInstagramにて代打出場を表明。それがメディアに取り上げられ、ファンからの後押しもあり、試合が中止されてから12時間後に代役として抜擢されることが決まったという。2023年4月にGLORYデビューを判定勝利で飾ったばかりのアミンはEnfusionでは2勝1敗。MMAファイターとしても活躍しており、2023年3月25日の『PFL』にも出場している(判定負け)。MMA戦績は5勝2敗。舞い込んだチャンスをつかむことが出来るか。  1R、サウスポーのカバベにアミンは左カーフを狙い撃ち。さらにヒザ蹴りを突き刺す。カバベの左ストレートを回り込んでかわすと逆に右ストレートを当てに行く。ワンツーからヒザのアミンにカバベは左ボディ。  2Rはカバベが前へ出て左右フックと左右ボディ。アミンは打ち終わりを狙って右フックを返す。左フックから右アッパー、そして左ローとコンビネーションを回転させ始めるカバベ。右ボディにはアミンが右フックを合わせる。カバベは右ボディを多用し、左右フックと右ローにつなげる。アミンはワンツーと右ロー。  3R、ボディ&ローで攻めるカバベにアミンは右ストレート&左フック。攻撃を的確に当てるアミンだが、カバベのボディが効いてきたか動きが鈍り始める。そこへカバベが左右フックからの右ロー、左右ボディ。カバベは本来のオーソドックスに戻ってボディを徹底的に攻め、アミンをコーナーへ詰める。アミンも左フックを返すが、ほぼカバベの一方的な展開に。ボディもローも効いている様子。  4R、前に出るカバベがアミンにロープを背負わせ、左右フック、左右ボディ、右ローとサンドバッグ状態にする。左ボディでダウン寸前となったアミンにボディ連打で畳みかけ、カバベがダウンを奪う。コーナーを出ないアミンへさらにボディで畳みかけ、左ボディでくの字になったアミンへダメ押しの右フックを叩き込んだカバベのKO勝ちとなった。  嬉し涙を流すカバベだったが「次はアベナと戦ってこのベルトを証明させてくれ」と、王座統一戦をアピールした。 [nextpage] ▼第7試合 GLORY世界ミドル級タイトルマッチ 3分5R〇ドノバン・ウィッセ(スリナム/王者)判定5-0 ※50-45×3×セルカン・オズカグライヤン(トルコ/挑戦者・同級1位)※ウィッセが2度目の防衛に成功。 ウィッセは2016年11月にプロデビューすると連戦連勝で2018年9月からGLORYに参戦。しかし、12月の2戦目でプロ初黒星を喫した(12戦目)。その後は再び連勝の波に乗り、2021年9月にユスリ・ベルガロイをTKOに破って王座を獲得。2022年8月には初防衛に成功した。2023年2月にはシーザー・アルメイダと防衛戦を行うはずだったが、アルメイダが体重超過のためノンタイトル戦に変更となり判定勝ち。戦績は18勝(10KO)1敗。 オズカグライヤンはK-1ヘビー級で活躍したグーカン・サキの従兄弟。45勝(36KO)7敗という戦績を持つサウスポー。GLORYには2021年10月から参戦し、3戦目でシーザー・アルメイダに敗れるも5戦して4勝(3KO)1敗。2023年2月にセルゲイ・ブラウンを左フックでKOし、タイトル挑戦をアピールしていた。  1R、ウィッセは左右ローを蹴っていき、右ストレートを顔面とボディに打ち分ける。オズカグライヤンは前に出てジャブ、左ストレートを打つが、前に出るところへウィッセがローやボディを合わせる。オズカグライヤンはパンチを警戒して両腕ブロックをしながら頭を下げるウィッセにヒザを高く突き上げていく。ウィッセは右ロー、左カーフ、そして右ボディストレートと完全にオズカグライヤンの出鼻を挫く。 2Rも左右ロー、右ボディストレートを当てに行くウィッセ。オズカグライヤンはジャブを出し、左ストレートや右フックを繰り出すが、左カーフでバランスを崩す。出鼻を挫かれ、前足を蹴られるオズカグライヤンは自慢の強打を出すことが出来ない。ウィッセの右前蹴りで下がるオズカグライヤンに、ウィッセはボディストレートと左カーフで追い打ちをかける。  3R、心配そうに観客席で立ち上がって見守るグーカン・サキ。オズカグライヤンの踏み込みを狙って左カーフを蹴るウィッセは、オズカグライヤンが止まるとすかさず右前蹴りと右ボディストレート。意表をつく右ハイも蹴る。オズカグライヤンは手が出なくなり、逆にウィッセは左右ロー、右前蹴りで確実にオズカグライヤンを削っていった。 4R、ウィッセはワンツーを顔面とボディへ、さらに左カーフと右ロー。攻撃を散らして確実に当てるウィッセにオズカグライヤンは手が出ない。右ボディストレートをもらって後退。強打を封じられて弱々しく下がるオズカグライヤンに、ウィッセのボディ攻めとロー&カーフが次々とヒットする。  5Rもウィッセの攻勢が続く。左カーフに大きく足を上げるオズカグライヤン。するとウィッセがパンチをまとめだし、左右フックやワンツーがヒットする。ワンツーを繰り出すオズカグライヤンだがもはや力はなく、ウィッセは左カーフを連打、さらにワンツー。勝利を確信したかのように笑みを浮かべるウィッセ。  完璧な技術と試合運びで、ジャッジ全員が50-45をつける完勝でウィッセが2度目の防衛に成功。「今日はベストなドノバンだったよ。自分のパフォーマンスに10プラスを付けたい。次はボアペアの挑戦を受けてもいいよ」と、ベストパフォーマンスを発揮できたと語った。 [nextpage] ▼第6試合 GLORY世界ウェルター級タイトルマッチ 3分5R〇エンディ・セメリア(キュラソー/オランダ/王者)判定5-0 ※49-47、47-46×2、50-49×2×ジェイ・オーバーメール(オランダ/挑戦者・同級1位)※セメリアが2度目の防衛に成功。  セメリアは2016年キング・オブ・ザ・リングトーナメントで優勝すると、2017年からはEnfusionに参戦。2017年にEnfusion -72.5kgトーナメントでジョーダン・ワトソン、ディオゴ・カラド、モハメド・カマル、そして決勝戦ではあのスーパーボン・バンチャメークに勝利して優勝した。GLORYには2022年9月に初参戦してシュコドラン・ヴェセリにKO勝ちし、11月の王座決定戦でアリム・ナビエフを判定3-2の大接戦の末に勝利して王座に就いた。4月にマーセル・グローエンハートを判定で破り、初防衛を果たしたばかりで早くも2度目の防衛戦。戦績は34勝(17KO)1敗で唯一の黒星は2019年2月にタイフン・オズカンに判定で喫したもの。  オーバーメールは2017年10月に16人制のWFLウェルター級トーナメントで優勝すると、2019年2月にはWFLウェルター級王座を獲得。2021年11月にはエンディ・セメレールが保持するEnfusion世界ウェルター級王座に挑戦したが、判定で敗れた。2022年3月よりGLORY参戦を果たし、2023年3月にジェイミー・ベイツをTKOで破り4連勝(3KO)をマークして今回のタイトル挑戦となった。戦績は29勝(15KO)4敗。  1R、ローの蹴り合いからオーバーメールが左右フックを当てて組んでのヒザを突き刺す。サウスポーにスイッチするオーバーメールが右カーフ。左右フックの応酬。セメリアもワンツーで攻め入るが、オーバーメールは左右フックで迎え撃ち右ローも蹴る。  2R、セメリアが左右フックを放つと、左ヒザを返すオーバーメール。セメリアのパンチに対して蹴りで迎え撃つオーバーメールにセメリアは攻めにくそう。さらにヒザでカウンターをとる。セメリアも左右フックの連打、ワンツーとヒットを奪った。  3R、蹴りから入っていくオーバーメールだが、セメリアは回転を早めてコンビネーションを当てていく。オーバーメールは手数を出してはいるが、ステップを使うセメリアを捉えきれず空振りが多い。逆にセメリアの返しの攻撃、かわしての攻撃が当たる。かなりテンポの早い攻防が続く。  4Rも軽快なステップで前後左右に動くセメリア。オーバーメールの攻撃には必ず攻撃を返す。右ボディストレートを当てに行くセメリアにオーバーメールも左ボディを返す。ジャブと右ストレートでオーバーメールをコーナーへ詰めるセメリア。オーバーメールのハイキックをかわしてのローキックを入れたセメリアは“どうだ”と言わんばかりの見栄を切った。  5R、左ミドルを蹴りながら前へ出るオーバーメールに回り込むセメリア。オーバーメールの右ローにはセメリアが左アッパーを返す。挑戦者らしく前へ出て攻撃を仕掛けるオーバーメールだが、セメリアが攻撃を合わせる、またはかわす。このラウンドはオーバーメールの攻撃が目立つも、セメリアはパンチをまとめて挽回。  判定5-0で試合を支配したセメリアがタイトル防衛に成功した。「とてもアメイジングだった。チェスの試合ではないけれど、とてもハードだった」と、セメリアは心理戦が行われていたと振り返った。 [nextpage] ▼第5試合 ライトヘビー級 3分3R×フェリペ・ミケレッティ(ブラジル/同級3位)判定0-5 ※27-30×2、28-29×3〇イブラヒム・エル・ボウニ(オランダ/同級5位)  ミケレッティは南米のWGPでアレックス・ペレイラ(現UFCミドル級王者)ともキャリア初期に対戦し、2013年3月にはWGPスーパーコンバットヘビー級トーナメント優勝。2014年9月にはWGPのブラジル -94kg王者、2016年8月にはWKN世界K-1ルール・スーパークルーザー級92.5kg級王座を獲得。2018年3月にはWAKOプロ世界ローキックルール94.2kg王座も獲得した。2018年10月よりGLORY参戦を果たし、2勝をあげたが以後は3連敗。崖っぷちで迎えた2023年3月のノルディン・マヒディンヌ戦で、得意のヒザ蹴りでダウンを奪っての勝利で連敗脱出した。戦績は17勝(5KO)10敗。  ボウニはメルヴィン・マヌーフの弟子で、2017年2月のK-1に初来日。当時、国内ヘビー級のトップに君臨していた上原誠に2RでKO勝ちを収めると、同年11月の「初代ヘビー級王座決定トーナメント」に参戦。1回戦でKOICHI、準決勝でロエル・マナートに連続KO勝ちという攻撃力の高さを見せつけたが、決勝ではアントニオ・プラチバットに判定負けして準優勝に終わった。その後は2018年7月から『ONE』に参戦し、初戦は勝利もタリク・ケバベス、アンドレイ・ストイカに連敗してONEを離脱。2022年6月からGLORYに参戦してマルシアーノ・ブングワンダスに勝利し、9月にはRISEで清水賢吾と1勝1敗のバダ・フェルダオスにも勝った。前戦は11月にムハマド・バリにKO勝ち。戦績は40勝(22KO)8敗1分。  1R、真っ直ぐなジャブからステップインしての右ストレートを繰り出すボウニ。ミケレッティはステップを踏みながらロー、ミドルを蹴ってパンチのタイミングをうかがう。一方のボウニは真っ直ぐに入り込むワンツーで積極的に攻める。ミケレッティは右カーフ。ボウニのワンツーには右フックを合わせに行く。しかし、ボウニのワンツーにコーナーへ詰まる場面も。  2R、ボウニの鋭いワンツーにミケレッティは右目上をカットして流血。ストップを警戒してか前に出るミケレッティにボウニは右フック。ミケレッティは右ローからのパンチを繰り出そうとするが、ボウニがジャブを先に当てに行く。攻撃を仕掛けていくミケレッティをボウニはバックステップでかわしていった。  3R、ミケレッティの右ローに右フックを合わせるボウニ。ミケレッティは右フックや左ボディで攻めていくが、ボウニはステップを使ってその攻撃をかわし、ワンツーを当てていく。左右フック、ハイキックを繰り出すミケレッティだがボウニは当てさせない。最後にボウニがワンツーで攻める姿勢を見せて印象付け、判定5-0で上位ランカーのミケレッティを破った。 [nextpage] ▼第4試合 ミドル級 3分3R〇マイケル・ボアペア(ガーナ/同級3位)TKO 1R ※レフェリーストップ×ウルリック・ボケメ(スイス/同級7位)  ボアペアはRINGS Holland Fighting Networkが主催する『Rings Gala』を主戦場とし、2022年3月には『Rings Fighting Network 2022』にてRINGSミドル級タイトルマッチを経験(ケビン・ヴァン・ヘッケレンに判定負け)。2022年8月からGLORYに参戦するも、2戦目でセルゲイ・ブラウンに判定負け。2023年3月には当時ミドル級3位のエルトゥールル・バイラックを判定で破った。戦績は14勝(6KO)3敗1分。普段は棺桶作りの職人。  ボケメはサッカーのスイス代表チームでプレーしていたが、怪我のため引退。リハビリで始めたキックボクシングでプロになることを決意したという。キャリア初期はスイスの大会で連勝し、『Enfusion』を主戦場にするとオランダやフランスで活躍。GLORYには2019年10月に参戦し、初戦では敗れるも12月の2戦目で勝利。しかし、その後はリングを離れて2022年6月に約1年半ぶりに復帰して勝利を収めている。戦績は31勝(17KO)3敗。  ボケメはいきなり足掛けからボアペアをマットに叩きつける。前に出るのはボアペアでボディからアッパーをガードの隙間にねじ込んでいく。ボアペアがジャブからヒザを突き上げ、ワンツーを打ったところでボケメが“タイム”を要求するような仕草を見せる。どうやら差し歯が外れてしまったようだ。  しかし、この勝手なストップのためレフェリーはボケメを試合放棄とみなしてゴングを要求。ボアペアのTKO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第3試合 ヘビー級 3分3R〇ナビル・ハチャブ(モロッコ/同級8位)判定5-0 ※30-27×5×ウラジミール・トクタシノフ(ドイツ)  ハチャブは“ザ・タンク”の異名を持ち、134kgの巨漢ながらよく動く。2023年2月のGLORY初参戦ではウク・ユルジェンダルに勝利も、2023年3月の2戦目ではソフィアン・ラドウーニに敗れた。バダ・ハリとは同門。トクタシノフは51勝(28KO)18敗の戦績を持つベテランで、2019年12月にはMMAにも挑戦したが敗れている。GLORYには初参戦。  1R、ハチャブはいつも通り両腕ガードを固めつつ、気合いの声を発しながらワンツー、左右フック、右アッパーを繰り出す。トクタシノフは左ボディと右ロー。ハチャブはそのアンコ型の巨体に似合わず手数が多く、攻撃の回転も早い。どんどん前に出るハチャブがパンチのコンビネーションを回転させ、右ローにつなぐ。ローもボディも攻めるハチャブにトクタシノフはワンツー、左ローで迎え撃つが、圧倒的な手数に押された。  2Rもハチャブがジャブ、ワンツー、左ボディと攻めていき、右カーフでトクタシノフが下がると一気に右カーフ&右ローでラッシュをかける。ダウンまで結びつくと思われたがハチャブは一度離れてワンツー、飛びヒザ。トクタシノフはボディへパンチを繰り出すも、ハチャブはすぐにワンツー、ヒザで反撃。肩で大きく息をするトクタシノフは右フックを放つも、すぐにハチャブの連打につかまる。  3R、パンチのコンビネーションから右ローにつなぐハチャブ。トクタシノフもワンツーから左右フックを繰り出す。かなり疲労しているトクタシノフだが、ハチャブの攻撃を受けながらも単発で返してくる。ハチャブもさすがに疲れたか、前に出てコンビネーションを繰り出すが手数は減ってきた。  判定は5-0で最後まで前に出て攻め続けたハチャブがフルマークで勝利を収めた。 [nextpage] ▼第2試合 ウェルター級 3分3R〇ディアグリー・カマラ(フランス)TKO 2R ※左ヒザ蹴り×エドゥアルド・ガフェンク(ルーマニア)  カマラは22勝(9KO)4敗1分、ガフェンク17勝(11KO)3敗で共にGLORY初参戦となる。  カマラは2019年9月にIKKC世界-86.2kg王座を獲得。ガフェンクはプロボクシングで3戦3勝の戦績を残してキックボクシングに転向し、2018年9月に第1回コロシアム・トーナメント世界スーパー・ウェルター級王座、2019年5月に同ウェルター級王座を獲得して2階級制覇。同団体では4度のパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを獲得し、『Dynamite Fighting Show』ではファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞するなど華々しい活躍をしている。  1R、長身でサウスポーのカマラにガフェンクは潜り込むようにして左右フックを繰り出していき、カマラは蹴りで迎え撃つ。カマラはロープを背負いつつ右ロー、左ミドル、ヒザ。カマラが左右ローを蹴ると、すかさずパンチを返すガフェンク。気合いの声を発しながら左右ボディ、左右フックから飛びヒザを繰り出すガフェンクだが、カマラは両腕閉じブロックをガッチリと固める。それでもガフェンクはお構いなしにガードの上からパンチを叩き込み、ガフェンクを防戦一方とさせた。  2R、前に出るガフェンクが左右フックと飛びヒザ、カマラは左右ローと左ミドルで対抗するが、ガフェンクは蹴られると必ずパンチを合わせるかリターンする。ならばと首ヒザを見せるカマラ。二段飛びヒザ蹴りも繰り出し、2段目がボディに入る。ここでカマラは急に前に出ると右の前蹴りをボディへ突き刺し、これでガフェンクが後退。最後は顔面にヒザを叩き込み、カマラの逆転KO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第1試合 ライト級 3分3R〇アンドレイ・ケドベス(クロアチア)判定5-0 ※29-28、28-27×4×マレクス・ペルチス(イギリス)  ケドベスは18勝(7KO)4敗、ペルチスは10勝(5KO)2敗で共にGLORY初参戦。  1R、前に出るのケドベス。頭を下げながら大きく振る右フックで入り込む。ペルチスはワンツーからのバックキックを見せる。さらにバックハンドブローも。左右フックでどんどん前に出るケドベスにペルチスは首ヒザで対抗。ケドベスはバックハンドブローをヒットさせる。  2Rも左右フックで前に出るのはケドベス。ペルチスがバックキックを繰り出すとバックハンドブローで反撃。ケドベスは左右フックに加えて左ミドル、右ローも蹴る。全く攻撃の手を休めないケドベスにクリンチを多用するペルチスは疲労の色を見せる。  3R、ケドベスは右カーフから左右フック、ヒザ蹴りから右ロー、右ローからバックハンドブローと変化自在の多彩なテクニックで攻撃を続ける。ペルチスはワンツーで応戦するが、ケドベスが右ローからパンチのコンビネーション。最後まで止まらずに多彩かつトリッキーな攻撃を繰り出していったケドベスの判定勝ちとなった。
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