2023年3月17日(金)タイ・ルンピニースタジアムにて『ONE Friday Fights 9』が開催される。
ムエタイの殿堂ルンピニースタジアムで毎週開催される『ONE Friday Fights』シリーズ。9回目を迎える今大会は、メインイベントでライト級ムエタイ世界タイトルマッチが行われるほか、タイのスーパースタークラスがズラリと並ぶ豪華な大会として行われる。
メインイベントのONEライト級ムエタイ世界タイトルマッチは、王者レギン・アーセル(スリナム)がシンサムット・クリンミー(タイ)の挑戦を受けての初防衛戦。
アーセルは15歳でムエタイを始め、プロに転向するとすぐにオランダ国内には敵がいなくなり海外へ相手を求めた。2016年11月に『Lion Fight』にて世界スーパーミドル級王座をTKOで奪取すると3度の防衛に成功。2017年5月には『Mix Fight Gala』の78.5kgトーナメントでも優勝している。ONEには2018年4月から参戦し、2019年5月にニキー・ホルツケンに判定勝ちでONEキックボクシング世界ライト級王座を獲得。その後、4度の防衛に成功すると2022年10月にはONEムエタイ世界同級王座決定戦で勝利、キックボクシングルールとムエタイルールの統一王者となった。最後に黒星が付いたのは2016年3月で、7年間無敗・20連勝中。
挑戦者のシンサムットはムエタイジムを営む過程に生まれ、4歳から練習を開始。兄は海外で活躍し来日経験もあるスッドサコーン。ジムにはヨックタイ、ランバーなど有名なムエタイ選手のほかWBCとWBAの世界王者もいたという。7歳でパタヤのバーにて初めての試合を行い、プロムエタイ選手として活躍。21歳で徴兵されるとボクシングでナショナル王者にも輝き、2019年の国際ミリタリースポーツカウンシルでのトーナメントではオリンピックボクサー2人から勝利を収めた。兵役を終えてムエタイに復帰すると2022年3月にONE初参戦を果たし、ニキー・ホルツケンをカウンターの右でKOした。
両者は2022年10月のONEムエタイ世界ライト級王座決定戦で対戦し、5Rフルに戦ってアーセルが判定2-1の僅差で勝利して王座に就いた。今回はダイレクトリマッチでのタイトル戦となる。
コ・メインの第10試合では、バンタム級ムエタイでクラップダム・ソー・チョーピャッウータイ(タイ)とムアンタイ・PK・センチャイ(タイ)が激突。
クラップダムはサウスポーのファイタータイプで、左ストレートを決め技とする元ルンピニー2階級制覇王者。2018年にはプロムエタイ協会ライト級王者の肩書を引っ提げて初来日。REBELSのリングで梅野源治とルンピニースタジアム認定ライト級王座決定戦を争い、4Rに強打で梅野を2度ダウンさせてのTKO勝利を収め、日本のムエタイファンにも強烈なインパクトを残した。ONEには2019年9月から参戦し、2020年のONEバンタム級ムエタイトーナメントでは決勝へ進出したが、ロードレックに敗れた。2022年8月と10月に連敗を喫するも2023年1月の『ONE Friday Fights 2』でセンマニー・PK・センチャイに勝利した。
“エルボーゾンビ”ことムアンタイは2020年1月にONEでブライス・デルヴァルに判定勝ち後、タイでフェラーリ・フェアテックスに判定負け。その後2年のブランクを経て、2022年4月にリアム・ハリソンと5度ダウンの奪い合いの大激闘を演じたが最後はTKO負けを喫している。今年1月の『ONE FRIDAY FIGHTS 1』ではマブルド・ツピエフに判定勝ち。
クラップダムの剛腕か、ムアンタイのエルボーか。激闘の予感が漂う組み合わせとなった。
第9試合にはサムエー・ガイヤーン・ハーダオ(タイ)が登場。ライアン・シェーハン(アイルランド)と対戦する。
サムエーはルンピニースタジアム認定スーパーバンタム級とスーパーフライ級の2階級、プロムエタイ協会ではスーパーバンタム級・スーパーフライ級・フェザー級の3階級を制覇。2011年にはルンピニー・ファイター・オブ・ザ・イヤーとスポーツライターズ・フレンズ・ファイター・オブ・ザ・イヤーの両方を受賞しているムエタイレジェンド。
2018年1月にONE最初のムエタイの試合を戦ったサムエーは、ONEフライ級ムエタイ世界王者にもなったが、2019年5月にジョナサン・ハガティに判定負け後、10月にストロー級転向。ダレン・ローランドにKO勝ちすると、12月にはワン・ジュングァンに判定勝ちし、新設されたONEキックボクシング世界ストロー級王者となった。さらに2020年2月、ロッキー・オグデンを破りムエタイ世界同級王座も獲得して二冠王に。2020年10月にはジョシュ・トナーに2RでTKO勝ちし、初防衛に成功するも、2021年7月にパジャンチャイに敗れて王座を失った。その後はラジャダムナンで2戦2勝、ONE出場はパジャンチャイ戦以来となる。戦績は371勝48敗9分。
対戦するシェーハンは2016年6月にISKAムエタイ欧州バンタム級王者として新日本キックに初来日。志朗が保持するISKAムエタイ世界バンタム級王座に挑戦したが、ドローとなった。2017年5月の再来日ではRISEにて、那須川天心が保持するISKAオリエンタルルール世界バンタム級王座に挑戦したが、1RでKO負け。この試合はテレビ東京の人気番組『YOUは何しに日本へ?』でも密着で放映された。その後も世界各国で試合を行い、なかなか勝ち星には恵まれなかったが、2022年4月にはISKAムエタイ世界バンタム級王座とWBCムエタイ世界スーパーバンタム級王座のダブルタイトルが懸かった試合で勝利し、世界二冠王となっている。
第8試合は54.9kg契約で女子ムエタイの一戦。ペッディージャー・オーミークン(タイ)がファニ・ペロンピ(ギリシャ/アルバニア)と対戦する。
ペッディージャーは7歳でムエタイを始め、「男の子を打ち負かす少女」として有名となり、10歳で100戦以上を戦い、そのうち70回以上は男子選手との戦いであった。有名になりすぎてテレビで試合が放送されるようになると、タイの法律によって男子選手との試合は禁止に。2016年2月には『ムエタイオープン』に初来日し、小林愛三と対戦して判定負け。2017年11月にはシュートボクシングに再来日するとMIOに判定負けを喫している。ムエタイで順調に勝ち星を重ねる中、アマチュアボクシングのタイ代表として選ばれ2018年AIBA女子ユース世界選手権48kg級銀メダルになるなど活躍。2022年8月にはプロボクシングデビューも飾っている。ムエタイでの獲得タイトルは、WPMF世界ミニフライ級王座、WMC世界-45kg級王座、2021THAI FIGHTクイーンズカップ-51kg級優勝など。
第7試合に登場するチャーンゴ・ジットムアンノン(タイ)は、ロッタンを擁するジットムアンノンの期待の新鋭。18戦全勝で全てがKO勝ち、そのうち14勝は初回KOという戦績を持つ。2月の『ONE FRIDAY FIGHTS 4』に初参戦すると、カンボジア人選手に1RでTKO勝ちした。入場時にアフロのカツラを被っているのがトレードマーク。
第6試合の63.5kg契約ムエタイには、セクサン・オー・クワンムアン(タイ)が再びONEに登場。シルビュー・ヴィテズ(ルーマニア)と対戦する。
セクサンはタイのビッグマッチには欠かせないムエブー(アグレッシブに前へ出てムエタイの全ての技を使って戦うタイプ)のスター選手の一人。2015年9月のラジャダムナンスタジアムにて梅野源治を迎え撃ち、勝利を奪って梅野の進撃をストップした。同年にはラジャダムナンスタジアムの年間MVPにも選ばれている。『RISE WORLD SERIES 2019』に初来日し、-61kgトーナメント1回戦では大雅を破ったが、準決勝では白鳥大珠に敗れた。その後はロッタンやヨードレックペットを相手に連敗が続いたが、2022年は8戦して5勝1敗2分と盛り返してきている。1月の『ONE FRIDAY FIGHTS 1』で初参戦すると、タイソン・ハリソンに判定2-1で勝利。その激闘ぶりにボーナスも支給された。
対するヴィテズは2018年6月のK-1に初来日。「第2代K-1フェザー級王座決定トーナメント」の1回戦で芦澤竜誠に初回KO負けしている。その後はスペイン、メキシコ、タイで多数の試合経験を積み、2022年2月には那須川天心を苦しめたフレッド・コルデイロに勝利。今年1月の『ONE Friday Fights 2』に初参戦するも、ヨードレックペットにヒジ打ちでTKO負けを喫した。ヨードレックペットに続いてセクサンと対戦するという大役を務める。
第5試合の63.5kg契約ムエタイには、ヨードレックペット・オー・アッチャリア(タイ)が2度目の登場。サマン・アシュリ(イラン)と対戦する。
ヨードレックペットはラジャダムナンスタジアムでライト級(2015年と2017年)とスーパーライト級(2021年)の2階級制覇、ルンピニースタジアムでも2017年にライト級王者となり、2大スタジアム王座を同時に保持した。2015年にラジャで梅野源治と対戦してTKO勝ちしたが、2016年10月の日本での再戦では判定で敗れラジャ王座を奪われた。2018年4月のKNOCK OUTでは初代王者・森井洋介にTKO勝ちしてKNOCK OUTライト級王座を奪取。同年にはタイのスポーツ界で権威のあるサイアムスポーツ社認定のタイ・スポーツ大賞のムエタイ部門でMVPを獲得している。
2019年4月にはKING OF KNOCK OUTライト級アジアトーナメントで優勝するとともにKING OF KNOCK OUTライト級王座の初防衛にも成功した。その後はロッタンやヌンラーンレックに敗れるなど急激に黒星が増え始めるも、セクサン、クラップダム、センマニー、ルンキットには勝利。2022年12月にルンキットにローキックでKO勝ちしている。パンチ&ローで攻めるファイタータイプでタイで絶大な人気を誇り、今年1月の『ONE Friday Fights 2』に初参戦するとシルビュー・ヴィテズをヒジでTKOに葬った。
また、第1試合でチェン・ジャーイー(中国)と対戦するナックロップ・フェアテックス(タイ)はK-1に来日経験があり、2022年9月に朝久裕貴と対戦してKO負け。タイのテレビマッチで活躍し、激しい試合をするムエタイ選手として知られている。初参戦となった今年1月の『ONE Friday Fights 2』では、シャーゾット・カブトフを相手に打ち合いを見せ、パンチ・ヒジ・ヒザの猛攻でダウンを奪って勝利している。
日本でも知られる選手、タイのトップスーパースターたちが多数出場するこの『ONE Friday Fights 9』は、本日21:30よりABEMAにてLIVE配信で観ることが出来る。