キックボクシング
インタビュー

【イノベーション】潘隆成vs橋本悟、前回ドローの決着戦にして王座決定戦&対抗戦の大将戦「ガンガン前に出て気持ちのいい試合になるでしょう」

2019/07/15 05:07
【イノベーション】潘隆成vs橋本悟、前回ドローの決着戦にして王座決定戦&対抗戦の大将戦「ガンガン前に出て気持ちのいい試合になるでしょう」

イノベーション軍の大将・橋本(左)vsレベルス軍の大将・潘は前回ドロー、決着戦は王座決定戦で行われる

2019年7月15日(月・祝)東京・新宿FACEで開催されるJAPAN KICKBOXING INNOVATION主催『Join Forces-14』。

 立ち技格闘技界の交流が活発化して各大会で団体対抗戦が行われているが、今大会でも「INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦」が行われる。その大将戦で対戦するのは、INNOVATIONスーパーライト級2位・橋本悟(橋本道場)vs同級1位・潘隆成(クロスポイント吉祥寺)。両者は2018年2月の『REBELS』で対戦しており、3分3R戦ってドロー。今回が決着戦となると同時に、INNOVATIONスーパーライト級王座決定戦としても行われる。

取材・文:JAPAN KICKBOXING INNOVATION広報部

潘 隆成「自分もバージョンアップしているのでそこを見せたい」

――試合に向けての調整はいかがでしょうか?

「ここ数試合の中でも一番いい仕上がりになっています。去年は、練習でやってきたことが試合ではまりませんでした。あまり詳しいことは言えませんが、今までのベースを活かして新しくスタイルチェンジをした練習をしていたところ、結構はまってきました。それが試合で出せれば負けないと思います」

――それは前回の試合、4月のポーンパノム・イハラジム戦でも出せたのでしょうか?

「前回とは違うスタイルなのですが、ベースは変わりません。戦い方、考え方も変えているので変わった自分を見せられると思います」

――それまでの不調が原因でスタイルチェンジを?

「そうですね。不調が原因で模索している中、トレーナーから『こういうのはどう?』と新しいスタイルを提案されて、練習で取り入れてみたらいい感じではまったので試合でもやることになりました。ちなみに練習仲間もそのスタイルは良いと言ってくれています」

――今回はイノベーションとの対抗戦のメンバーに選ばれて心境はいかがですか?

「前回は新日本キックとの対抗戦のメンバーに選ばれましたが、相手はタイ人でした。日本人が相手だったら盛り上がっていたのになと思っていた中で18年2月に対戦し引き分けていた橋本悟選手との再戦になるので、自分の中で燃えるものがあったのでモチベーションはかなり高いです」


――団体の看板を背負って戦うとなると、普通のワンマッチとは違いますか?

「REBELSが最強だと証明しないといけません。しかもINNOVATIONスーパーライト級王座を懸けての試合になるので、前回とは違う自分の成長した姿を見せないといけませんね」

――橋本選手についてはどのような印象がありますか?

「一度対戦してから凄くリスペクトしているファイターです。試合ではガンガン前に出てきて男気溢れるファイトをするじゃないですか。人としても凄くいい人なので、そこもリスペクトしています。ですが、負けないように自分もバージョンアップしているのでそこを見せたいと思います」

――一度対戦した時よりも、ここ数戦の橋本選手は強くなっている印象はありますか?

「そうですね。KNOCK OUTで毎回盛り上がる試合をしていてあれから強くなっているのは感じます。お互いに次こそは決着を付けたいという気持ちは凄くあると思うので、ガンガン前に出て気持ちのいい試合になるでしょうね」

――橋本戦をクリアーしたら、その後見据えているものはありますか?

「先輩たちもKNOCK OUTで活躍しているので、ここで橋本選手に勝って、REBELS、KNOCK OUTを引っ張っていける選手になりたいです」

――ファンにメッセージをお願いします。

「僕の試合はメインイベントになりました。前回の試合は歓声が凄かったので、さらにこの日一番盛り上げて最後に僕が勝ってベルトを巻きます。向こうは打ち合いに来ると思いますが、自分もバッチリ準備しているのでそういうところも見せていきます」

リングネーム:潘 隆成
フリガナ:パン リュンソン
所属:クロスポイント吉祥寺/REBELS/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1993年8月2日(25歳)
出身地:岡山県
身長:180cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2013年5月6日
戦績:31戦20勝(6KO)8敗
ステータス:INNOVATIONスーパーライト級1位、元WPMF日本スーパーライト級王者、NEW RAIDERS TOURNAMENT 2013 63kg 優勝

橋本 悟「熱い男の魅せあいってな試合になるんじゃないっすかね」

――メインイベントでタイトルマッチ、団体対抗戦の大将戦、以前に対戦し引き分けた潘選手との再戦……様々な要素が加わった一戦ですが、今年1月16日の北川“ハチマキ”和裕戦(2ラウンドKO勝ち/KNOCK OUT)以来、半年ぶりの試合となります。

「アゴやっちゃい(骨折して)まして。1月のハチマキ戦の次は、KNOCK OUTで4月29日、松本芳道戦が決まっていたんですけど、4月に入って悪化して申し訳ないことに試合を流してしまい、今回が再起戦です」

――顎の骨折は4月に向けての練習中に?

「いえ、クリスマスの夜に(笑)」

――12月25日ですか? するとハチマキ戦の約3週間前ということになりますが?

「ええ、実はそうなんです」

――骨折と言っても様々ですが「顎の付け根を痛めていた」といったなんとか試合が許される程度ですよね?

「いや、アゴの先端の横がガッツリ割れていました。ただ、ズレてはいなかったので即手術ということではなく絶対安静で済みまして。まあ、安静はしないわけですが(笑)」

――いや、笑い事ではありません。足の指や肋軟骨が折れたままリングドクターに内緒で試合を強行するといった根性話は時々聞きますが、どう考えても戦うに致命傷、顎が折れたままなんてケースは初耳です。選手育成に定評のある名門・橋本道場でそんなことが許されるのでしょうか?

「いや、師範(橋本敏彦会長)には内緒です。そんなの報告したら即欠場です! 練習中も『ちょっとアゴを痛めたので』とスパーを避けたりしながらなんとか誤魔化して(汗)」

――橋本会長は、試合前も試合後も知らなかった?

「えー、試合はなんとかKOで勝てたので、リングエプロンに上がってきた師範にハグをして、その場でツーショット写メを撮っていただいて、そこから『実は~』と告白したんです」


――絵に描いたような「結果オーライ」な無茶です。もし負けていたらどうなっていたのでしょう?

「誰にも言えなかったですねー。試合で骨折したことにしてショゲていたことでしょう(笑)」

――相手の北川選手は、2012年10月7日に初対戦(当時のリングネームは「ハチマキ」)で敗北している強敵だけにノーダメージで勝つことなど想定できるものではないのでしょうか?

「けど、『やらなきゃ!』って。試合キャンセルする気なんか毛頭なかったっす。メインイベントだったし、試合3週間前ってだけじゃなく、年末年始を挟んで代打なんてなかなか見つかるもんじゃないだろうし、(強行出場を)迷うことなんかなかったですよ。倒すのも倒されるのも仕事ですから」

――実際、試合中にアゴはどうだったのでしょうか?

「一発ヒジをもらって、試合中『メチャクチャ痛てぇーっ!』ってピンチだったんですけど、ハイキックがガツンと入って、ほぼその一発で勝負が決まった感じで立て続けにダウンを奪えてKO勝ちになって助かりました(笑)」

――北川選手は、山口裕人、水落洋祐、小川翔など名立たる強豪に勝利してきた名王者で、橋本選手としても大勝負だったのでは?

「最初にやった時、1ラウンドからダウンを取られて試合中に「これは勝てないな」って思ってしまって、そんなこと感じたのはそれ以来一度もないんですけど、その後にもう1度倒されて判定30-25のボロ負け。再戦でも1ラウンドが終わって『相変わらずウンメーなー(上手いな)コイツ』って、ちょっと脱帽でしたよ」

――そんな際どい試合をものにしながら、負傷を悪化させて次の試合を流してしまったと?

「いや、順調に治りかけていたんです。それが突然腫れ上がって酷いことになって……(強引に北川戦を強行した)罰があたったかな?(笑)」

――“激闘大魔神”と呼ばれる強面ながら人当たり優しく常識人の印象がある橋本選手ですが、このクレイジーエピソードには驚きました。

「あはははっ(照)」


――そして、今度も大勝負、2018年2月18日の初対戦以来の再戦です。

「潘君は、俺の気持ちに応えてくれるファイターだと思うので熱い男の魅せあいってな試合になるんじゃないっすかねー!」

――前回は、橋本選手がパンチでグラつかせながら、潘選手はコツコツとローキックを返し、首相撲からのヒザ蹴りで巻き返すパンチ対キックの典型的な展開となりました。

「前は3回戦でしたけど、今回は5回戦だからハッキリと決着がつけられるんじゃないっすかね」

――パンチャーは短期決戦の3回戦を好む傾向がありますが、5回戦は問題ない?

「スロースターターっていうのもありますけど、5回戦の方が全然好きっす」

――前試合でドロー判定が出た瞬間、レフェリーに手首を掴まれながら腰を下ろして顔を歪められていました。あれは勝利を確信していたのに勝てなかったから?

「判定に不服があったわけでも怒っていたわけでもないです。きっちりと倒せなかった俺が悪いし、「ああーっ、またダメかーっ」って自分への脱力です。あの時、しゃがみながら笑っていたんですよ。とにかく悔しさが溜まっているのでリングで爆発させます!」

――INNOVATIONと橋本道場の看板選手である橋本選手は、33歳、キャリア37戦のベテランですが、どこまで闘い続けて、何を目指しているのでしょう?

「色んな試合をしてきましたけど、まだ「やりきったなー」って思いはないんです。終わったらすぐにまたリングに上がりたくなる。練習でも「齢だなぁ」って限界を感じてもいないし、弱くなってるところも微塵もない。アゴが割れたりしたけど、ちゃんと治って闘えるわけで、まー、やめる理由がないんですよねー」

――今回、INNOVATIONタイトル二階級制覇、三冠目のベルトがかかったタイトルマッチです。

「ベルトが増えるのは嬉しいですけど、それが目的じゃない」

――INNOVATION×REBELSの団体対抗戦で大将でもあり、メインイベンターです。

「正直、そんなに気にはしません。ですが、INNOVATIONは、俺の実家なので、どこよりもここを盛り上げてお客さんに満足して帰っていいただきたい。それが一番大きいかな。うん、INNOVATIONを熱くしたいなって」

――今後、どんなリングで誰と戦いたいなど希望は?

「あのベルトがほしい、あそこに上がりたいはもうあんまないっす。誰だれとやりたいってのもない。ただ、試合が面白くなりそうな相手であってほしいっす。正直、とんでもなく強いタイ人とかとやって激闘になりようもない試合とかはいらない。最強は目指していないので。同じINNOVATION所属の山口裕人選手みたいなイケイケととことんやりたいっすね。弟の侑馬選手には2回もやられているからもういいや(笑)。兄貴の方が弱いことなんてないだろうけど、INNOVATION内の“ハズレなし”カードとしてここぞという時にバシっと組んでいただければ、見てる方もやってる方も気持ちいー試合します!」

――INNOVATIONへ思い入れもありながら、強いキックボクシング愛を感じます。

「俺、これしかないっすからね!」

リングネーム:橋本 悟
フリガナ:ハシモト サトル
所属:橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1986年3月18日(33歳)
出身地:東京都西多摩郡日の出町
身長:172cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2012年7月1日
戦績:37戦19勝(10KO)15敗3分
ステータス:MuayThaiOpenスーパーライト級王者、元INNOVATIONライト級王者

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