キックボクシング
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【GLORY】ペットパノムルンの2階級制覇ならず、王者ベスタティにKO負け。新星オーバーメールが4連勝をマーク

2023/03/12 05:03
GLORY 842023年3月12日(日)オランダ・ロッテルダム TopsportcentrumU-NEXTにてLIVE配信 ▼第6試合 メインイベント GLORY世界ライト級タイトルマッチ 3分5R〇ティジャニ・ベスタティ(オランダ/王者)KO 4R×ペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ/GLORY世界フェザー級王者/挑戦者)※ベスタティが3度目の防衛に成功。  ベスタティは2016年からGLORYに参戦し、 ストヤン・コプリヴレンスキー、シッティチャイ・シッソンピーノン、マラット・グリゴリアンには敗れるも高い勝率で、2021年9月には王座決定戦でエルビス・ガシを破りGLORYライト級王座に就いた。同王座は2022年5月にジョシュ・ジャンシーをKO、同年10月にコプリヴレンスキーにリベンジを果たして2度の防衛に成功している。 “ペッチ”ことペットパノムルンはサウスポーで2011年にプロムエタイ協会バンタム級王者、2013年にスーパーフェザー級王者となって2階級制覇。2015年にはトーナメント戦の『トヨタ・ムエマラソン』-64kg級で優勝、2016年にWMC世界ライト級王者となった。  セクサン、サムエー、ペットモラコット、チャムアックトーンらスター選手としのぎを削って勝利を収め、2016年8月からはGLORYに参戦。  ザカリア・ゾウガリーやアブデラ・エズビリらから勝利を収めると、2018年9月に ロビン・ファン・ロスマレンに挑戦し、判定勝ちでGLORY世界フェザー級王座を奪取した。同王座は5度の防衛に成功。  また、2018年にはGLORYの“ノックアウト・オブ・ザ・イヤー”に輝いた。2021年11月にRISEに初来日を果たし、原口健飛に勝利すると、2022年8月の原口との再戦を制してRISE世界スーパーライト級(-65kg)初代王者との二冠王となった。12月の来日では山田洸誓に勝利。戦績は173勝38敗4分。  今回は2019年にアレックス・ペレイラが達成した、GLORY史上2人目の2階級同時制覇(3階級制覇としては3人目)を目指す。  この階級では異例の190cmと長身のベスタティ。一階級下のペットパノムルンは171cm。体格差は明らかだ。  1R、大きな左右フックを繰り出すペッチにベスタティは右ストレート。ペッチの左ミドルにベスタティは右カーフを蹴り返す。ベスタティは突き刺すような前蹴りからヒザ蹴り。ペッチは組み付いてのヒザを巧みに使う。強烈な左ミドルを蹴るペッチにベスタティはジャブを合わせる。ペッチは組み付いてきたベスタティを首相撲で投げ飛ばす。ベスタティが左右フックの連打から顔面へ突き上げるヒザ。ペッチが左ストレートを放ったところでラウンド終了。  2R、左ミドルを蹴っていくペッチだがベスタティは長いリーチで左フックを合わせに行く。ベスタティの右フックがクリーンヒット。ペッチが左ミドルを蹴ると左右のフックを合わせるベスタティ。  下がりながら距離を取るペッチは前蹴りを多用してベスタティの前進を食い止める。ペッチは左ミドルが出なくなった。  3R、左ミドルから左ストレート、そこから組み付きに行くペッチだがベスタティは組ませない。逆にミドルを蹴ると左右ボディも打つ。ベスタティは首相撲からのヒザも連打する。  ペッチは左ミドル、左ロー。ベスタティは前へ出ていくがペッチは左ミドルと前蹴りで入らせない。ベスタティも右ミドル。ベスタティは前へ出て圧をかけていくも、両者とも手があまり出なくなった。  4R、両者とも足を上げ下げして蹴りのフェイントをしつつ、ベスタティは右フック、左ボディを打つ。ペッチが右前蹴りを出すとベスタティは右フック、もらったペッチは笑みを浮かべる。  ベスタティは突き刺すような前蹴りを連打、ペッチもボディを打つが、ベスタティの突き刺す右前蹴りにペッチはゆっくりとダウン。そのまま立ち上がることが出来ず、ベスタティのKO勝ちとなった。  3度目の防衛に成功したベスタティは「みんな結果は分かっていただろう?何も驚くことはなかった。毎試合毎に自分が成長しているのが分かる。まずは休暇を取ろうかな」と話し、コーチの息子が最近亡くなったことからこの勝利を捧げたいと語った。 [nextpage] ▼第5試合 セミファイナル ライトヘビー級 3分3R〇タリク・カバベ(モロッコ/オランダ/同級3位)TKO 2R 2分48秒 ※セコンドからのタオル投入×ダニエル・トレド(スペイン)  ヘビー級で活躍し、ライトヘビー級に転向したカバベは2022年10月の『GLORY COLLISION 4』でセルゲイ・マスロボイエフ(リトアニア)とGLORY世界ライトヘビー級王座決定戦を争ったが、敗れて戴冠ならず。2014年SUPERKOMBAT Qualificationトーナメント優勝、2015年SUPERKOMBATワールドグランプリ優勝の実績を持ち、ONE Championshipでは4連勝で2019年11月にONEライトヘビー級キックボクシング世界王座決定戦に臨んだがロマン・クリクリアにTKO負けした。2021年からはGLORYに参戦もリコ・ヴァーホーベンやアントニオ・プラチバットに敗れ現在4連敗中。戦績は47勝(26KO)10敗1分。  トレドはMMAとの二刀流でMMA戦績は13勝10敗、キックボクシング戦績は17勝5敗。今回がGLORY初参戦となった。  1R、左右フックで前に出るカバベにトレドは右カーフ。左右フック、左ローでトレドをコーナーへ追い込むカバベだが、それほどヒットはない。身長で優るトレドはカバベに距離を詰められるが、頭を振っカバベのパンチをかわす。トレドがワンツーを放ったところへ、カバベが左フックを命中させる。  2Rも前に出て左右フックを放っていくカバベがまたも左フックを命中。さらにロープを背負わせてボディを攻めていく。体を丸めるトレドにジャブ、右アッパー、ヒザを顔面へ突き上げる。トレドは防戦一方で明らかにダメージを感じさせるが、カバベがコーナーへ詰めて左右フックで倒しにかかるとトレドも左右フックで打ち合う。カバベの右フックからの片手でロープをつかんでの左ハイでロープの間からエプロンに落ちてダウンするトレド。  再開後、倒しに行くカバベだったが、トレドのセコンドからタオルが投入された。納得がいかず自分のセコンドに抗議するトレド。連敗をストップしたカバベはコーナーへ登り、勝利をアピールした。試合後のマイクでは「アベナ、戦おう」と現ライトヘビー級王者に挑戦をアピールした。 [nextpage] ▼第4試合 ウェルター級 3分3R〇ジェイ・オーバーメール(オランダ/同級2位)TKO 2R×ジェイミー・ベイツ(英国/同級4位)  オーバーメールは2017年10月に16人制のWFLウェルター級トーナメントで優勝すると、2019年2月にはWFLウェルター級王座を獲得。2021年11月にはエンディ・セメレールが保持するEnfusion世界ウェルター級王座に挑戦したが、判定で敗れた。2022年3月よりGLORY参戦を果たし、現在3連勝中(2KO)。戦績は28勝(14KO)4敗。  ベイツは4歳で空手を始め、ジムを経営していた父親の指導でキックボクシングを学んだ。2014年5月にスーパーコンバットのワールドグランプリで優勝を果たすと、2017年4月からGLORYに参戦。2020年2月にはハルト・グレゴリアンに勝利している。前戦は2022年12月にイギリスの『Victory 10』で判定勝ち。戦績は27勝(3KO)7敗と手堅く勝つタイプ。  1R、互いに速いペースからパンチからローのコンビネーション。オーバーメールが左スーパーマンパンチをヒットさせる。ベイツは後ろ蹴りを放つ。オーバーメールは左右に構えをスイッチし、ストレートを繰り出す。鋭いステップインからの連打を見せるオーバーメールに、ベイツはオーバーメールが出てくるところに右フックを繰り出す。それでも前へ出て攻めの姿勢を見せるオーバーメール。  2Rも前へ出る好戦的なオーバーメールをステップで下がりながら左フック&右ストレートで迎え撃つベイツ。オーバーメールの蹴りをステップでかわすベイツだが、オーバーメールは蹴りのフェイントをかけてのパンチを繰り出す。そしてロープを背負ったベイツへ飛び込んでの左ボディからの右フックでダウンを奪う。  オーバーメールは三日月気味の左前蹴りから左右ボディ、そしてヒザ蹴りでダウンを追加。さらにヒザ蹴りとパンチでボディへ畳みかけ、右フックをボディへ叩きj込んだところでベイツがコーナーでしゃがみ込み、3ノックダウンでオーバーメールがTKO勝利を収めた。  これでオーバーメールはGLORYで4戦全勝(3KO)の戦績に。「いいパフォーマンスが出来たと思う。ヒザをボディと顔面に入れられたのがよかった。タイトルショットを頼むよ」とタイトル挑戦をアピールした。 [nextpage] ▼第3試合 ライトヘビー級 3分3R〇フェリペ・ミケレッティ(ブラジル)判定5-0 ※28-27、29-26×3、30-25×ノルディン・マヒディンヌ(フランス)  マヒディンヌはフランス国内の大会でキャリアを積み、2016年2月に『K1 Event 8 Tournament』で8人トーナメント優勝。2016年7月には『Partouche Kickboxing Tour』のヘビー級トーナメントでも優勝している。2017年4月にピーター・アーツ、2019年6月にはGLORY初参戦でアントニオ・プラチバットと対戦するがいずれも敗れている。その後は2連勝し、2020年12月にはプラチバットにリベンジ成功。前戦は2022年8月にシハド・ケペネに初回KO負けを喫したが、試合後にケペネが禁止薬物の陽性反応を示したため無効試合となった。戦績は27勝(12KO)14敗。  ミケレッティは南米のWGPでアレックス・ペレイラ(現UFCミドル級王者)ともキャリア初期に対戦し、2013年3月にはWGPスーパーコンバットヘビー級トーナメント優勝。2014年9月にはWGPのブラジル -94kg王者、2016年8月にはWKN世界K-1ルール・スーパークルーザー級92.5kg級王座を獲得。2018年3月にはWAKOプロ世界ローキックルール94.2kg王座も獲得した。2018年10月よりGLORY参戦を果たし、2勝をあげたが以後は3連敗。前戦は昨年10月にドネギ・アベナに判定負け。戦績は16勝(5KO)10敗。  1R、前へ出るのはマヒディンヌ。ミケレッティは右フックから組んでのヒザ蹴りで迎え撃つ。鋭いジャブを顔面とボディへ打つマヒディンヌ。ミケレッティはフットワークを使って動くが、マヒディンヌが左右フックでコーナーへ詰めていく。ボディから顔面のコンビネーションを回転させるマヒディンヌだが、ミケレッティは首相撲からのヒザでそのコンビネーションを止めていく。  2Rも前に出るのはマヒディンヌでワンツー、左フックで攻めていく。ミケレッティは下がりながら右ローを蹴り、首相撲からのヒザに持ち込む。ミケレッティの右ローにバランスを崩すマヒディンヌ。まるでタックルのようにミケレッティに組み付く。ミケレッティは首相撲からのヒザを多用し、マヒディンヌを削って行く。マヒディンヌは思い切り右フックを繰り出すが空振り、逆にミケレッティの左右フックが当たり始める。軽快なフットワークからジャブ、右フックのミケレッティは、マヒディンヌが接近してくると首相撲からのヒザ。さらにミケレッティの左右ボディでマヒディンヌは明らかにボディを嫌がる顔を見せた。  3R、ミケレッティの放った右ヒザでマヒディンヌがダウン。前へ出て左ボディを打つミケレッティにマヒディンヌはダウン。前へ出てミケレッティが左右ボディ、右アッパー、さらに首ヒザ、左ミドルとボディを攻めまくるミケレッティ。顔面からボディ、さらに首相撲からのヒザと一方的に攻めていく。右フックからの左フック、首ヒザ。しかし、この猛攻を凌がれてミケレッティは攻め疲れたか、急にペースダウン。今度はマヒディンヌが前へ出て攻めていく。フットワークで逃げるミケレッティだが、前へ来るマヒディンヌにボディへの飛びヒザ蹴り。逆転を狙ってマヒディンヌが右を放つが、ミケレッティはフットワークを使って逃げ切った。  判定は5-0でダウンを奪ったミケレッティが勝利した。 [nextpage] ▼第2試合 ミドル級 3分3R×エルトゥールル・バイラック(トルコ/同級3位)判定0-5〇マイケル・ボアペア(ガーナ/同級7位)  バイラックは現在ミドル級3位。2011年11月にプロデビュー。2015年A1 WCC 86kg級トーナメント準優勝、2017・2018 WFL -86kgトーナメント2連覇を達成し、2018年8月からGLORYに参戦。当時11戦無敗だったドノバン・ウィッセ(現ミドル級王者)に初黒星を付け、2戦目もヤコブ・スタイベンに勝利。しかし、2019年12月のGLORY世界ミドル級タイトルマッチではアレックス・ペレイラにKO負け。2022年3月の前戦でもセルカン・オズカグラヤンに判定で敗れて連敗中。  ボアペアは現在ミドル級7位で戦績は13勝(6KO)3敗1分。GLORYでは2022年8月にフロリアン・クレーガーに判定勝ちしたが、10月にはセルゲイ・ブラウンに判定負け。普段は棺桶作りの職人。  1R、バイラックはパンチから蹴りの対角線コンビネーションをスピードある回転力で放つ。ボアペアは前へ出て右ローを蹴りながら左フック。スピードはないがよく見てしっかり当てていく。コンビネーションを回転させるバイラックにボアペアが重そうな左フック。しっかりジャブも突いていくボアペア。スピードや回転力はバイラックの方が上だが、ボアペアは命中率が高い。  2R、バイラックの左フックに左フックを合わせるボアペア。長いジャブを突くボアペアにバイラックはヒザと左ボディで対抗するが、またもボアペアの左フックをもらう。左フックが全く見えていないようだ。バイラックは右カーフを蹴って右フックから左フック、左ボディ。ボアペアは右アッパーを突き上げる。  3R、ボディを攻めていくのはバイラック。ボアペアはガードを固めて潜り込むようにしていく。鋭いヒザを突き刺すボアペアが前へ出る。互いにボディを攻め、ローを蹴るが押していくのはボアペア。特に左のボディストレートが決まる。ワンツー、左フック、右アッパーでバイラックをコーナーで釘付けにするボアペア。バイラックもヒザと左右ボディで反撃するが、大振りの右フックを空振りしたところへボアペアの右アッパーをもらう。  試合終了のゴングが鳴ると、ボアペアはコーナーに駆け上って雄叫びをあげる。判定は5-0でボアペアが上位ランカーを破った。勝利者インタビューでは「この階級にいるヤツらは気を付けろ」と宣戦布告した。 [nextpage] ▼第1試合 ヘビー級 3分3R×ナビル・ハチャブ(モロッコ/同級9位)判定0-5 ※28-29×2 27-30×3〇ソフィアン・ラドウーニ(フランス) “ザ・タンク”ことハチャブはバダ・ハリと同門で戦績は25勝3敗1分。ラドウーニは34勝(17KO)21敗。コール時、ラドウーニにはブーイングが浴びせられる。  1R、ラドウーニはサウスポー。前に出るハチャブが左右フックを繰り出して積極的に攻める。ラドウーニは右カーフを蹴り、左ミドルで迎え撃つ。ラドウーニは蹴りでハチャブを止め、左ストレートを打ち込む。左右フックに右アッパーでラドウーニにロープを背負わせるハチャブ。しっかりとボディにも打ち分ける。ラドウーニは左テンカオを突き刺すがハチャブの前進は止まらない。日本の採点なら前へ出て手数を出していったハチャブのラウンドだっただろうが、距離を取ってしっかりと攻撃を当てていったラドウーニのラウンドとなった。  2R、ジャブでけん制するラドウーニは左ミドル、テンカオで前へ出るハチャブを迎え撃つ。ロープ伝いに動くラドウーニへ左右フックを叩き込む。ラドウーニはワンツーからテンカオ、そしてジャブで距離を取る。二段跳び蹴りをハチャブのその腹へ。前へ出るハチャブに左ストレートが連続ヒット。ハチャブはなかなか近付けない展開となった。  3R、前へ出るハチャブにラドウーニの左フックがクリーンヒット、ハチャブの腰が一瞬落ちる。ラドウーニは左の三日月蹴りも突き刺していく。ハチャブの距離に入る前に、ラドウーニは蹴りまたはワンツーでそれを防ぐ。それでも前へ出て左右フックを放つハチャブ。攻撃を当てては離れるヒット&アウェーのラドウーニ。ハチャブの突進も虚しく、ラドウーニのテクニックを崩すことは出来なかった。  判定は5-0でラドウーニがランカーのハチャブを降した。 [nextpage] ▼プレリム第2試合 ウェルター級 3分3R〇チコ・クワジ(オランダ)TKO 2R ※右ヒザ蹴り→レフェリーストップ×ステファン・オルザ(ルーマニア) ▼プレリム第1試合 ヘビー級 3分3R×デビッド・トゥイトポウ(ニュージーランド)判定0-5 ※28-29×3 27-30×2〇ストラヒニャ・ミトリッチ(セルビア)
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