大宮司代表の持つミットに磨きをかけたパンチを打ち込む菅原
2023年3月12日(日)東京・国立代々木競技場第一体育館『K-1 WORLD GP 2023 JAPAN ~K’FESTA.6~』にて、K-1 WORLD GP女子アトム級タイトルマッチ3分3R延長1Rで王者パヤーフォン・アユタヤファイトジム(タイ)に挑戦するKrush女子アトム級王者・菅原美優(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)が1日(水)都内所属ジムで公開練習を行った。
菅原はパンチのみのミット打ちを披露し、ジャブ、右ストレート、ワンツーを中心に繰り出し、終盤は左フックもミットに叩き込んだ。
コンディションは「ちょっと花粉にやられていますがいい感じです」と、鼻声ながら順調に仕上がっていると菅原。
2022年を3勝1敗で終え、「一番勝負の日に結果を出せなかったので、その1敗が1年を通して悔いが残ります。最後はいい勝ち方しましたけれど、それでもよかったと思えないくらい大きな1敗でした。でも、成長にはつながった1年だったと思います」と、王座決定トーナメント決勝戦でパヤーフォンに喫した1敗がずっと悔いとして残る1年だったと振り返る。
約9カ月でのリマッチとなったが「正直、自分では早いと思っていて。中村プロデューサーと話をして、1~2戦挟むっていう会話をしていたので話が違うと思ったというかビックリしたというか(笑)。でも、私には決定権はないと言うか、まだ自信がないので後でやらせてくださいと言える立場ではないのでやります。そこまでにしっかり合わせようという感じで受けました」と、内心はもう1~2試合やってからの再戦を想定していたとする。
しかし「試合当日までに、自信がないところを自信満々でリングに上がれるようにするのが自分の仕事なので、それは順調に進んでいます」と、試合当日は自信満々でリングに上がれる準備が着々と進んでいるとした。
今回の試合で、菅原は「相手が得意とする蹴りで勝ちたい」とのテーマを掲げており、公開練習で蹴りを見せなかったのはそのためかと聞かれると「特に何も考えてなかったです(笑)。さっきボクシングのスパーリングをしてきたのでパンチでやろかなと思って」と、そういうわけではなかったと笑う。
ボクシングジムへの出稽古で格段に進化したパンチについては「パンチは1~2年前からずっと力を入れてきましたが、パンチに頼ろうとは思っていないし、相手の得意な部分で勝った方が自分も嬉しいし、スッキリすると思うので全然こだわってはないです」と、あくまでも蹴りで勝ちたいとの考えがあるとする。
改めてパヤーフォンの印象を聞くと「キャリアを感じたというか、自分より若いですけれど経験値が高い選手なので強いなと思います」とし、日本での試合後にタイで行った試合については「見ましたけれどムエタイルールなので何とも言えない。組みが多いムエタイなので、でもしっかり圧倒して勝っていたので強いなって。ワイクルーもカッコよかったですね」とあまり参考にはならなかった様子。
勝つイメージは出来ているかとの問いには「僅差でもいいから。技術とかはやってきたレベルが違うので。向こうは小さい頃から蹴り込んできたので、そういうところはメンタルでカバーしたい。そこは負けない自信はあります」と、技術的に劣る部分はメンタルでカバーするという。
ムエタイの選手は1度対戦すると相手の情報をインプットするため、初戦より再戦の方が強いと言われている。そのことについて菅原に聞くと「そこまで自信はないですが、自分の中で同じ相手に2回負けるのはダメってのがあります。負けっぱなしではいられない、次に進めない。リベンジ戦をけっこう勝ってるから自信あるとかはないですが、やることをやろうって感じです」と、同じ相手に2度負けるのは自分の中で許せないとの信念を口にした。
KRAZY BEEへの出稽古も敢行し、自身の名前の由来でもある山本美憂との練習も経験した。
「最初は場所をお借りして、ボクシングのスパーリングでお世話になっている子と練習していたんですよ。私が蹴りを教えて、パンチを教わるという形で。そうしたら女子がKRAZY BEEに集まってきて、総合格闘技の選手たちも立ち技の練習をやっていて。ヤバいんですよ、レベルが。強い人しかいないんですよ。ボクシングの元世界王者とか、アマチュアでアジアで初めて金メダルを獲った人とか、世界選手権に出ているレベルの子が集まっていて。毎回首が痛いです(苦笑)。出稽古は緊張感があるのでいい練習になっていますね」
その中で山本美憂ともスパーリングをした。「美憂さんはパワーがヤバいです。美憂さんも蹴りが苦手と言うので、一緒に蹴りのマスをしたり、パンチだけもやります。相談しながら、切磋琢磨しながら出来ていますね」と、いい関係が築けているようだ。山本からは「『もうやるだけだよ、最後まで気を抜くな』と言われました。ご自身の経験から、気を抜いちゃダメだって」とのアドバイスも。
MMAファイターと立ち技のスパーをしたことで「フィジカルが付いた部分はけっこうあると思います。男の子とスパーをしてもリアルとはかけ離れている部分があって。スパーなのにマスになっちゃったりするんです。でも女子とやることで女子特有のごちゃごちゃになる状態がスパーでも生まれるんですよ。そこで組み合いしたり押し合いするので、フィジカルで押し負けなくなる。MMAの選手はデカいしフィジカルが強いので、そこもいい練習になっていますね。KANAさんがアメリカに行って戻ってきた時に『フィジカルが付いた』って言われたので変わった部分はあるんじゃないかなと思っています」とする。
今回、奇しくも菅原の試合の次がKANAの試合となり、2022年6月のK-1Venusと同じシチュエーションとなった。菅原は自分が勝ってKANAにバトンを渡し、試合後に2人でベルトを巻いて記念撮影するという目標を掲げていたが、前回は自分が負けてしまったためその目標を達成することは出来なかった。
「そこもリベンジですよね。前回はいい形でバトンタッチ出来なかったので、今回はいい形でバトンを渡していい形で試合を終えられたらなって想いがあります。なかなかこういうチャンスはないので、そこにもリベンジするチャンスをいただいたので、次こそしっかりリベンジしようと思います。チャンスは何回も来ないので」と、前回叶えられなかった夢を今度こそ実現させたいと誓った。
そして2023年の展望については「悔しい思いをして1年間過ごしてきたので、あの負けがあって良かったと思える1年にしたい。あんなしんどい思いをしたのに無駄にしたくない。そういう想いでベルトを獲って上を目指していきたいです」と、さらに上を目指していきたいと語った。