2019年7月12日(金)マレーシア・クアラルンプールのアクシアタ・アリーナで開催されるONE Championship「ONE: MASTERS OF DESTINY」に、RISEフェザー級(57.5kg)2位の森本“狂犬”義久(BRING IT ON パラエストラAKK)が出場する。森本はONE初参戦。オープンフィンガーグローブでジョシュ・トナー(オーストラリア)とヒジ無しのキックルールで対戦する。
森本とONEの契約は2018年8月の時点で発表されていたが、森本が11月に予定されていた篠塚辰樹戦前の練習中に腕を骨折。治療後、2019年5月19日のRISE後楽園大会で篠塚と仕切り直しで対戦し、延長戦におよぶ激闘の末、森本が判定勝ち。満を持してONE初参戦の運びとなった。
森本は空手出身のアグレッシブファイターで、パンチ、ハイキック、ヒザ蹴りとどの技でも倒せる破壊力の持ち主。15勝のうち10勝がKOで、この数年間RISEを盛り上げてきた主力選手の一人だ。
対するトナーは元ISKA世界フェザー級王者。K-1でも活躍した豪州のベン・エドワーズらが所属していたブルドッグジムでキックボクシングを始め、現在はstockade training centreで練習に励む。
トナーは、2016年11月のK-1 WORLD GP初代フェザー級王座決定トーナメント一回戦で小澤海斗に1RでKO負け後、ONEに参戦。2018年7月にペッダムに2RでKO負けも10月にはジョセフ・ラシリに判定勝ち。2019年1月のONEでは秋元皓貴に判定負けしたが、秋元の左ミドルに右フックを合わせてダウンを奪っている。
決戦を直前に控えた、森本に話を聞いた。
オープンフィンガーグローブでやり合いするなんてマジ楽しみ
――ONE初参戦が間近に迫ってきました。今の心境は?
「まあ、楽しみっすね。第1試合でめちゃめちゃ前座で悔しいから、一番盛り上げてやろうって感じっす」
――5月の『RISE 132』での第1試合、篠塚辰樹(TEAM TEPPEN)戦も凄まじい盛り上がり方でした。
「俺は第1試合に向いていますよ。第1試合好きだし。バッと会場に入ってバッと試合して終わりじゃないっすか。ラクで好き」
――どっちなんですか(笑)。今回はオープンフィンガーグローブ(以下OFG)着用のキックボクシングルールですね。OFGを着けて試合をしたことはありますか?
「ないっすけれど、練習はしていますよ」
――元々は総合格闘技をやっていましたよね。
「練習はしていたけれど試合はないっすよ」
――OFGとボクシンググローブの違いは感じますか?
「だいぶ違いますね。ハンドスピードがワンテンポ速くなりますし、ボクシンググローブならブロックしたなと思うパンチがすり抜けてくるから。そこが怖い。だから止まってはいられないです。イメージとしては動き続けるってこと。ビビッていたら負けるからね。思いっきり行きますよ。思いっきり打ち込んで、思いっきりぶっ倒す。だからもし俺がやられる時も、ぶっ倒れているんじゃないっすかね」
――OFGで試合をするのは楽しみですか?
「楽しみっす。あんなのでやり合いするなんてマジ楽しみじゃないっすか。俺、向いているなって思うんですよね」
――ディフェンス面が心配されますが、逆に言えば自分の攻撃力も上がるわけですからね。
「そういうことっす。攻撃力で言ったら相手よりも俺の方があるから。多少もらっても一発強いのを打ち込んでやろうかなってイメージっすね」
――篠塚戦の時はパンチで危ない場面もありました。
「でも効いたパンチはなかったっすよ、正直。ただ、あいつのパンチは速いからもらったらヤバいなって思って。それで何発かもらったのが何回かあったんですよ」
――外国人選手のパワーで、しかもOFGでとなるとパンチをもらってしまうのは篠塚選手よりも危険では?
「多分、そんなにもらわないと思いますけれどね。篠塚のパンチはマジ速かったですよ。今までやった中でも一番速かったから。だから今度の相手にはそんなにもらわないっすよ」
――怪我からの復帰1戦目でしたが、前よりも落ち着いて戦っていたように見えました。自分で変わったと思うところはありますか?
「今回は作戦を立てたんですよ」
――今まで立てていなかったんですか!?
「今までは大して立てていなかったか、作戦を立てていたにも関わらず最後までできなかったんですよ。それが自分の心の弱さだったんですかね…。それが今回はずっと同じことができていたから、それがキックボクサーとしてはレベルアップしたんじゃないかって思いますね。俺はムキになったら本当に良くないんですよ。いつも判定で負けるのは当たらなくて倒せなくてムキになった時だから。それが嫌でね。負けた後って何をしていてもマジつまらないんですよ。とりあえず勝つ。勝ちたいっすね」
――では今回の作戦もバッチリなんですね。
「作戦……」
――あれ? 怪しい顔をしているじゃないですか。
「実は今回、作戦をあまり明確に立てていないんですよね。試合の映像を見たら、ガンガン前に来るのは変わらないんですけれど、相手がオーソドックスになったりサウスポーになったりしているから。ちょくちょく戦い方が変わるから、下手に作戦通りやるよりはって感じなんです。意識している動きはありますけれどね」
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俺の試合は万国共通です。間違いないっす
――対戦相手ジョシュ・トナーの印象は?
「特にパンチが強い選手じゃないけれど、ガンガン来るから噛み合うし、ファイトスタイル的には好きな選手ですよ。あれは俺と噛み合う」
――今回はケージではなくリングだそうですね。
「できたらケージでやりたかったっすね。勝ってケージに上がっている選手ってカッコよくないっすか? あれ、やってみたかったんですよ。だからリングって聞いた時はかなり萎えました。しかもロープが5本らしくて、入るのが大変そうじゃないですか」
――そこが心配するところなんですか! 異国の地で初めて試合をすることについては?
「それも楽しみっすね。誰も俺のことを知らないだろうし。でも沸かせますよ。俺の試合は万国共通です。間違いないっす。つまらない選手にはなりたくないですからね」
――海外の会場って観客のノリがよくてやたらと盛り上がりますよね。
「青木真也さんが『ジャブで会場が沸くぞ』って言ってたんですよ。ジャブで沸いちゃうんだったら、俺が試合をやったらヤバいだろって。楽しみっすよ。ONEって、UFCのファイト・オブ・ザ・ナイトみたいなのないんすかね? あれば絶対に俺が獲れる自信あります」――アウェイでの試合は日本とは何もかもが違うじゃないですか。気候も環境も違いますし。その心配は?
「全くしてないです。対戦相手もそこに住んでいるわけじゃないから、同じ条件じゃないっすか。そこは何も考えてないです。ただ思いっきりやるだけっすね」
――ONEとRISEの違いで不安に思うことはないですか?
「俺もルールをまだちゃんと把握できてないんですけれど、首相撲が3秒間あるんですよね。それがちょっと邪魔かも。俺はガンガン行くから、首相撲で逃げられたらちょっとめんどいなってくらいですかね。あとはいつもとそんな変わらないんで」
――昨年6月、森本選手に勝ってRISEフェザー級王者となった工藤政英選手が先にONEへ出場して苦戦を強いられています。
「あいつの試合、あんまり見てないんですよ。帰ったら見ます(笑)。最初にやったシントンノーイなんておっさんじゃないっすか。そんなヤツにあいつが負けたなんてショックっすよ。ペッダムは強いからまだいいけれど」
――そうは言ってもシントンノーイは5年前に梅野源治選手に判定勝ち、4年前には森井洋介選手にハイキックでKO勝ちしていますよ。
「そうなんすか? じゃあ、強いんだ。でもジジイに負けているようじゃダメだね(笑)。あいつはだらしないっすよ。あいつがチャンピオンになったけれど、フェザー級が全然盛り上がってなくないっすか? 全然つまらないんだもん」
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ONEで勝ったら、次は工藤をチャンピオンから引きずり下ろしたい
――ONEにおいて今後目指したいところはありますか?
「やっぱりキックボクシングルールでチャンピオンになりたいっすね。早く工藤を倒したペッダムをぶっ倒してやりたいっすよ」
――タイ人ですか…噛み合わないような気もします。
「そんなに強いっすか? ムエタイだったら多分勝てないかもしれないけれど、キックボクシングのルールだったらそんなに脅威を感じないですけれどね。大丈夫。考えてやるので」
――狂犬が考えて戦うんですか。
「割と考えられるようになってきたんですよ。あと、みんなが代わりに考えてくれて、教えてくれます(笑)。それを落ち着いて俺が遂行するだけっすね。でも喧嘩するところは喧嘩をする。行く時は行くんですよ。それを俺は一番大事にしています」
――サウスポーは得意ですか?
「サウスポーは超苦手(笑)。クッソ苦手なんですよね。でも、サウスポーになった時の相手のディフェンスが脆い気がするんですよ。だからサウスポーになったらガンガン前へ出ます。嫌になった時にサウスポーになっているイメージなんですよね。だからそれが俺の攻め時だと思って行きますよ」
――外国人選手とやった経験は…
「コブシットってタイ人とやりましたよ(2017年3月=判定勝ち)。でもあいつは身体が小さかったし、しかもタイ人だったから。次の相手はオーストラリア人で、身体が強そうじゃないっすか。そこがちょっと心配なんですよ」
――例えば、ジムの会員さんに外国人がいてパワー差とか身体の強さを感じたことはないですか?
「ああ、あるわ。そうかそうか。外国人ってすぐにキレますよね」
――そうなんですか?
「そこでバーンと思い切り強いのを当てると、今度はショボーンとしてしまうイメージがありますね。でも今思ったんですけれど、そんなの関係ないっすね。相手の方が身体がデカいわけじゃないし、軽量級だし。喧嘩で身体がデカいヤツに負けたことがないっす、マジで。身体のデカさはあんまり関係ない。デカいヤツの方が気持ちが弱いイメージがありますね」
――工藤選手に限らずONEのキックボクシングでは日本人選手が苦戦を強いられているので、森本選手にかかる期待も大きいと思います。
「うん、そこもかなり燃えているので見ててよって感じ。やってやる」
――AbemaTVで生中継されることについては?
「嬉しいっすよ。みんな会場へは来れないだろうしね。みんな見るよって言ってくれているので。日本からも何人か応援団が来てくれるし」
――外国人の観客を試合内容で味方につける自信は?
「あるある、超ある」
――今回のONEで勝って、工藤選手とのタイトルマッチを思い描いていますか?
「うん、できたら超いいなって感じっすね。あいつをチャンピオンから引きずり下ろしてやりたい」
――今後の展開はどう考えていますか?
「RISEのベルトを獲って、ONEのベルトも獲ることっすね。そうすれば金も地位も全てついて来るんじゃないっすか。総取りしたいですね。男としてそこは目指さないといけない。俺は格闘家だし、この拳で稼げればめちゃカッコいいじゃないっすか。そこを目指すし、そういうステージを用意してもらっているし、ここはもう行くしかないねえよって感じっす。自分次第でしょう。チャンスは逃したくないっすね」
■『ONE Championship クアラルンプール大会』概要放送日時:7月12日(金)夜7時~放送チャンネル:格闘チャンネル、AbemaGOLDチャンネル視聴URL:https://abema.tv/channels/fighting-sports/slots/E2TMJeK5Ye5s8K