UFC世界女子フライ級の“絶対女王”ヴァレンティーナ・シェフチェンコ(キルギス)が2023年1月末からコーチとともに来日。パラエストラ柏でファイトキャンプを張り、浅倉カンナ、扇久保博正、鶴屋怜、征矢貴ら男女のトップファイターたちと連日トレーニングを続けている。
2023年3月4日(日本時間3月5日)米国ネバダ州ラスベガスのT-モバイルアリーナでの『UFC285』で行われる女子フライ級王座8度目の防衛戦(vs.アレクサ・グラッソ=メキシコ)を前に、3週間から1カ月の予定を組んでのキャンプとなる。
今回が初来日というシェフチェンコは、大事なタイトルマッチを前になぜ日本でトレーニングキャンプをすることにしたのか。2月7日の練習後、王者がインタビューに応じてくれた(取材・文/堀江ガンツ=WOWOW UFC解説者)
シェフチェンコ「私に選択肢はないです。私は相手より強くなくてはいけない、相手を倒さないといけない」
──今回、なぜ日本でトレーニングキャンプを張ろうと思ったんでしょうか?
「日本に来る前、まず私の母国である中央アジアのキルギスタンにいて、そこでトレーニングをしていました。母が向こうでムエタイ協会の会長をしていて、練習相手となるプロMMA選手もたくさんいるので。そのトレーニング中、3月4日にラスベガスで行われる『UFC285』でのタイトルマッチが決まって、そこから東京に行くことを決めて、今ここにいます。
日本にはずっと来てみたかったんです。日本の事は以前から本で読んだりしていました。伝統的な格闘技も日本で継承されています。例えば空手や柔道、総合格闘技も。そんな思いもあってずっと来てみたい国でした。幸運なことにすべてがうまくいって、パラエストラジムで先生や強い選手たちと練習できています。もう試合まで8週間なので準備に入っています。ここではレベルの高いスキルあるパートナーに恵まれました。これ以上のトレーニングキャンプはないです」
──いつから日本に来られているんですか?
「1週間前からです。今日から2週目に入りました」
──これまでのトレーニングキャンプと内容は違いますか?
「試合前とはいえ、練習内容はすべてやり慣れたことです。今回一緒に日本に来て、これまでずっとコーチしてくれているパヴェル・フェドートフは指導歴30年。基本的には同じことでも、対戦相手も違うので内容を変えています。日本でトレーニングができてとても嬉しいです。性別を問わずレベルの高いファイターがたくさんいて、いつものルーティーンをやっていても練習相手が違うので、同じにはならないので」
──タイトルマッチ前の大事な時期に違う環境でトレーニングをすることは、これまでもあったんですか?
「旅が多いのはそもそも私のライフスタイルなので、行く先々のジムでトレーニングをするのには慣れています。今はベースがアメリカなので、あちらで過ごす時間が多いですが、キルギスタン、タイ、南米、韓国、中国などに行ったことがあります。そこで新しい文化に触れられるのが嬉しいです。
私は小さい頃からさまざまな格闘技に取り組んでいてバックグラウンドはさまざまです。空手だけをとっても極真会館をはじめ、いろんな流派を経験しました。そして柔道も。なので日本に来るのは初めてですが、この国の文化や伝統についての本を読んで知っていました。もちろん美味しい食べ物も! 私にとっては真新しいものではない感覚です。ずっと前から知っていた気がしています」
──実際に日本に来てみて抱いていたイメージとの違いはありましたか?
「初めて行く国では、自分の中で固定観念を作らないようにしています。あらゆることにオープンでいたいので。東京や柏は安全で美味しいお店もたくさんあっていいですね。清潔だしみんな優しいです。日本での滞在とトレーニングを楽しんでいます」
──トレーニング以外で何かされたことはありますか?
「普段、トレーニングは午前中にやっています。ハードな内容を1日1回です。そして午後は、この美しい国を散策しています。いろんなところに行きましたよ。東京湾で観覧車に乗ったり、お寺に行って大仏を見たり、観光もしています。食事も昨日はお肉のグリルを食べました。えーと、なんて呼ぶんでしたっけ?」
──鉄板焼きですかね、それとも焼肉?
「そう、ヤキニク! とても美味しいお肉でした。わたしは偏食ではないので、ここではうどん、ラーメン、寿司……すべてとても美味しかったです」
(C)Getty Images
──今回の日本でのトレーニングはタイトルマッチにも役立ちますか?
「日本に来てから毎日違ったトレーニング・パートナーと練習をしています。今日も男女のファイターが来てグループでトレーニングができました。一人ひとりスタイルが違うので、わたしはそれぞれに合わせていかなくてはいけません。これこそが試合におけるアドバンテージになるでしょう。なぜなら日々同じパートナーと練習しているのとは違い、その人のペースに慣れることがないから、毎回違ったテクニック、パンチが飛んできます。素早く切り替えることが求められるんです。ここではスイッチだ、この相手はこのスタイルじゃダメ、と毎回違った戦略が必要になります。だから新しい環境で新しいパートナーと練習することが、アドバンテージになるんです」
──次のタイトルマッチ、対戦相手のアレクサ・グラッソ選手の印象と試合への意気込みを聞かせてください。
「今回の相手は手強いです。メキシコのアレクサ・グラッソ。現在4連勝中の選手で、だから挑戦権が与えられました。過去の防衛戦同様、私にとってもチャレンですから、全力で準備しています。私はチャンピオンですから、何があっても相手を上回らなければいけません。私に選択肢はないです。私は相手より強くなくてはいけない、私は相手を倒さないといけない。それだけです」
──最後に日本のファンに向けたメッセージをお願いします。
「こんにちは。日本の皆さんにメッセージを送れて嬉しいです。日本は美しく素晴らしい文化のある国です。来ることができて嬉しく思います。今は『UFC285』でのタイトルマッチに向けて準備をしているところです。3月4日にラスベガスで開催されます。Watch me on WOWOW!! 格闘技の美をぜひご覧ください」
『生中継! UFC‐究極格闘技‐ UFC284 in オーストラリア フェザー級王者ヴォルカノフスキー、マカチェフが持つライト級王座に挑戦!』2023年2月12日(日)豪州パース パース・アリーナ
2月12日(日)午後0:00[WOWOWライブ]※生中継(WOWOWオンデマンドで同時配信)
2月15日(水)午後1:00[WOWOWライブ]※リピート(WOWOWオンデマンドで同時配信)
『生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC285 in ラスベガス ジョン・ジョーンズ、いよいよヘビー級降臨! vsシリル・ガーン』3月5日(日)米国ネヴァダ州ラスベガス T-Mobile Arena午後0:00[WOWOWプライム]※生中継(WOWOWオンデマンドで同時配信)
【放送カード】ヘビー級王座決定戦/ジョン・ジョーンズ vs シリル・ガーン女子フライ級タイトルマッチ/ヴァレンティーナ・シェフチェンコ vs アレクサ・グラッソ