蹴り足をキャッチして流し、体勢を崩して攻撃する妙技を見せていた大沢(右)
2023年1月21日(土)東京・後楽園ホールで開催された『Krush.145』を、中村拓己K-1プロデューサーが総括した。
「今日は2023年K-1 JAPAN GROUP最初のプロイベント、Krush後楽園大会でした。たくさんのお客さんにご来場いただき、最後まで満員の会場で大会を開催できたことをうれしく思います。KO・ダウンも多く、判定決着の試合でも高度な技術戦があり、今後の大会にも勢いがつく大会だったかなと思いました」と、2023年のいいスタートが切れたとする。
「スーパー・ライト級王座決定トーナメントは過去の対戦経験などを踏まえてカードを組んだのですが、カードを組んでみて20代vs.30代という図式になっていて。結果的には20代の選手たちが勝ち上がったのですが、30代・ベテラン選手たちの意地やチャンスにかける意気込みを感じました。勝ち上がった4選手にとっては、そういう選手との一回戦を乗り越えたことはいい経験になったと思います。
もしワンマッチだったら、もっと差がついた展開だったかもしれないですし、トーナメント1回戦だったかこそ、ここまで厳しい試合になったかもしれない。若い選手はそこをクリアする強さを見せてくれたし、敗れた選手たちも評価できる戦いぶりだったと思います。勝った選手たちはここを乗り越えてどうチャンピオンに相応しい選手になるかが試されるし、敗れた選手には次のチャンスを考えたいです」と、勝者も敗者も王座決定トーナメントにふさわしい試合をしたと評価。
1回戦を終えての現時点での優勝候補はと聞かれると、「一回戦の内容と結果で言えば稲垣柊選手ですね。技の多彩さ、ダウンを取り返されたあとの冷静な戦いぶり、そして最後に倒しきったところ。そこを見ると一回戦の試合内容では稲垣選手が一番ベルトに近いかなと思いました」と稲垣の名をあげた。
メインイベントで行われた王者・大沢文也(ザウルスプロモーション)と挑戦者・里見柚己(team NOVA)のKrushライト級タイトルマッチについては「大沢文也選手の“らしさ”が随所に出ていたと思う。本人は『俺は試合がつまらない』と言いますが、明確にポイントをとってやられないように戦うファイトスタイルで。彼にしかできないチャンピオン像というかベルトを持っている人間の難攻不落っぷり・曲者っぷりが出てきたなと。里見選手はその壁を越えられなかったと思うし、これからKrushライト級のベルトを狙う選手はあの大沢選手を超えなければいけないことが分かったと思います。Krushにああいう曲者チャンピオンがいても面白いんじゃないかなと思いました」と、大沢の試合は“アリ”だとした。
【写真】大沢がダウンを奪った右フック、蹴り足は完全に放している
SNSでも物議をかもした、大沢がダウンを奪った右フックの前に蹴り足をキャッチして流したことについては、「まずレフェリーが(キャッチの時点で試合を)止めなかったという点で、試合はそのまま流れていたと思います。もし足をキャッチしたまま攻撃したり、レフェリーがブレイクを命じたあとに攻撃したら明確な反則だったと思います。リプライを見ると、大沢選手は一度キャッチした足を離して攻撃していたので、そういうレフェリングもある展開かなと思いました。あと、これは僕の個人的な考えですが、格闘技はレフェリーが試合を止めない限り試合は続くものだと思うので、ああいうこともありうると解釈してます」と、試合の流れの中で一瞬あったもので、明確な反則ではないという見解を示した。