2023年1月14日(日本時間15日)米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて、『UFC Fight Night: Gastelum vs. Imavov』(UFC Vegas67)が開催された。
メインカードの第1試合では、MMA15戦無敗で、ハビブ・ヌルマゴメドフの従兄弟、叔父アブドゥルマナプに学び、UFCでも3連勝でランキング入りを果たしたダゲスタンのウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)がバンタム級戦に登場。
UFC6勝2敗のラオーニ・バルセロスを1R 4分40秒、左跳びヒザからの左フックで失神KOに下し、MMA16連勝、UFC4連勝を決め、「俺はここにいる。準備できている。3月、俺と戦いたいやつはかかってこい。誰であろうと受けて立つ」と上位陣に宣戦布告している。
また、セコンドにつかなかった従兄弟のハビブが、MMA業界から引退を示唆している件については、「ハビブはただ慌ただしい日々を止めるだけ。ダゲスタンに戻ったら一緒に練習するつもりだ」と語った。
また、メインイベントでは、直前にケルヴィン・ガステラムが負傷欠場で、試合5日前にショーン・ストリックランドが緊急参戦。ライトヘビー級戦の5Rを得意のジャブ、ケージムエタイで戦い抜き、イマボフに決定打を与えず。判定3-0で勝利し、「UFCよ、こんなショートノーティスの試合をやったんだから、金を弾んでくれるよな。そうしてほしいというわけじゃないけど、そうしてくれるよな」と相変わらずの毒舌で締めている。
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▼ライトヘビー級級 5分5R〇ショーン・ストリックランド(米国)26勝5敗(UFC13勝5敗)204lbs/92.53kg[判定3-0] ※49-46×2, 48-47×ナッソーディン・イマボフ(フランス)12勝4敗(UFC4勝2敗)194lbs/88.00kg
ガステラムが負傷欠場で緊急参戦のストリックランドは減量が間に合わずライトヘビー級戦となった。ストリックランドはミドル級7位。対するナッソーディン・イマボフもミドル級12位。
31歳のストリックランドは2022年は1勝2敗。2月にジャック・ハーマンソンもスプリット判定で勝利も、7月にアレックス・ペレイラに1R KO負け。12月にジャレッド・キャノニアに判定負けし、キャリア初の連敗を喫した。
ダゲスタン出身でフランス在住のイマボフはMMA FACTORY所属で27歳、コーナーマンにシリル・ガーヌがつく。MMA12勝4敗でUFC戦績は4勝1敗。ジョーダン・ウイリアムズに判定勝ち後、フィル・ホーズの組みに判定で敗れたが、その後、3連勝。イアン・ハイニッシュ、エドメン・シャバージアンをいずれも2R TKOに下すと、2022年9月の前戦でホアキン・バックリーに判定勝ちを収めている。
88.00kgで計量のイマボフに対し、ストリックランドは92.53kgと4.5kg差での前日計量となった。
1R、ともにオーソドックス構え。出入りのイマボフはジャブを上下に突く。歩くように近づくストリックランド。イマボフの右を顔を後ろに傾ける。ワンツーの横からの右フックには耳を赤くしたストリックランドがいったん後退。押し戻すと、両手でムエタイの組み手争いをしながら左を突く。
イマボフは左から右アッパー。かわすストリックランドは右を当てると詰めてワンツーにイマボフは後退。追うストリックランドにサークリング。ストリックランドの大きな右が空振りとなる。左ジャブを当てるストリックランドは右も。互いに右狙い。ストリックランドが右で詰めてブザー。
2R、右ローから入るイマボフ。圧力をかけるストリックランドに左回りのイマボフ。右で差して押し込み組むストリックランドは、「グローブを掴んでる」と抗議。離れたイマボフに、ストリックランドは詰めて右も、ここで押し戻したイマボフが前に。そこでボディロックテイクダウンはストリックランド。
小外がけを合わせてテイクダウンもすぐに金網まで動いて立ち上がるイマボフ。若干のの疲労か、ストリックランドのパンチが大きくなる。ストリックランドは左で差して押し込み。イマボフは腕を中に入れて左ヒジ!
右から左を突くイマボフ。ストリックランドは組むが、離れ際のヒジはイマボフ。ストリックランドは右を突く。
3R、ストリックランドの左フック、右ストレートが顔面に。ジャブを返すイマボフ。ストリックランドは打ち終わりに左フックを振る。左フックの飛び込みはイマボフ。低いシングルレッグに入るが切るストリックランド。ワンツーをこつこつ突くストリックランド。左ミドルから左も。
足が動かなくなったイマボフ。ストリックランドも足を止めてのジャブ。イマボフの右に返しの右を打つ。右オーバーハンドのストリックランド。左差しの組みはイマボフが切る。
4R、両者のスタミナはどうか。5R経験があるストリックランドだが、緊急参戦でもある。左前蹴りを腹に突くストリックランド。イマボフも左の蹴り、さらに右で前進し組むが、ここは離れるストリックランド。ジャブを突き、前手を使ってイマボフにジャブ、右ヒジ。イマボフのワンツーに返しの右左、右を突くとイマボフはシングルレッグへ。これを潰そうとしたストリックランドに持ち直して立つイマボフ。
詰めて右で差して組むストリックランド。金網背にするイマボフは体を入れ替えて右を突いて離れる。ストリックランドはジャブをヒット。右オーバーハンドがヒット。互いに中央で足を止めて上体だけでかわすが、イマボフはブザーに金網に手を着いて疲労を見せる。
5R、ジャブを突くストリックランド。飛び込んでの右を狙うイマボフ。ワンツーで前に出るイマボフに、ストリックランドは右で差して組んで金網まで押し込み。左差しにするストリックランド。オーバーフックするイマボフは右ヒジ! しかし組むストリックランドは金網まで押し込み。手打ちながら左右のストリックランド。詰めて左差しのクリンチ。イマボフは体を入れ替え離れ。ストリックランドのパンチは軸がぶれるが、クリンチで押し込み。
右で差して押し込みヒジ。イマボフの打ち返しにクリンチで潰す。バックヒジを見せるイマボフ。右で飛び込むイマボフだが、決定打は与えられず。身体を泳がせながら左右で前に出るのはストリックランド。ブザーにイマボフは尻をマットに着いた。
判定は3-0(49-46×2, 48-47)でストリックランドが勝利。
オクタゴンのなかで「接戦だったけど自分の勝ちだ。2位と3位の選手を倒したんだ。今ここにいるのはバッド・ジャッジのせいだ。彼が自分に打撃を当てることができたのは、自分が試合を終わらせたかったからだ。仕留められなかったのはみんなには申し訳ない。ちょっと自分のカーディオが不安になるところはあったんだけど、(股間を指して)大きなナッツがあるってことを思い出した。勝ったけどビッチみたいな戦いだった。フィニッシュしたかったけどできなかった。多分ちょっとビビっていたし、自分のカーディオに問題があった。とにかくフィニッシュできなかったということだけ。UFCよ、こんなショートノーティスの試合をやったんだから、金を弾んでくれるよな。そうしてほしいというわけじゃないけど、そうしてくれるよな」と相変わらずの毒舌で締めた。
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【コ・メイン】
▼フェザー級 5分3R〇ダン・イゲ(米国)16勝6敗(UFC8勝5敗)145.5lbs/66.00kg[2R 4分30秒 KO] ※左フック×デイモン・ジャクソン(米国)22勝5敗(UFC5勝3敗)145.5lbs/66.00kg
フェザー級13位のイゲと、ノーランカーながらUFC4連勝中のジャクソンが対戦。
イゲはUFCで6連勝したこともあったが、現在3連敗中。相手はチャンソン・エメット・エフロエフ。バックボーンはレスリング(大学時代はD-3)・柔術(黒帯)。ライト級から落としてきたエジソン・バルボーザには判定勝ちしたが、フェザー級ランカーとの対戦ではここまで4戦全敗。
ジャクソンはUFC再契約後5勝1敗で、現在4連勝で初のランカー挑戦のチャンスを得た。22勝中、15の一本勝ちがある。絞め技での勝利が多い。前戦はUFCデビューから4連勝中のパット・サバティーニから1RバックマウントからのパウンドでKO勝ち。
1R、ジャクソンの入りに前蹴り、近づけばクリンチアッパーを入れるイゲ。ジャクソンの右ハイにすぐ右ミドルハイを返す。ジャクソンはシングルレッグに入るが片足立ちのイゲは切り、突き放すもその指がアイポークと判断され、中断、再開。
詰めるイゲにサークリングのジャクソン。サウスポー構えにスイッチし左ミドルを当てるイゲ。ジャクソンはワンツーの右、入りにヒザを当てるが、ボディ打ちのイゲは終了間際にダブルレッグでテイクダウン。
2R、右オーバーハンドを先に打つジャクソン。さらに右もブロッキングのイゲ。右ボディストレートの打ち終わりにリーチを活かし左右を突く。イゲは右アッパーを見せて組み。ここは離れるジャクソン。右ハイをガード上に当てる。
ジャクソンの入りに右を当てるイゲ。左額から出血し後退。サークリングするジャクソンを追って左ボディ打ちはイゲ。今度は顔面を狙う。右ミドルはジャクソン。イゲは右アッパーで入る。さらにジャクソンの左フックに右ボディから左フックでアゴを打ち抜くと、ジャクソンはヒザを折って後方に倒れてダウン! イゲが追打せずウォークオフKOを決めた。
イゲは3連敗からの復活勝利。ジャクソンはUFC4連勝でストップとなった。勝者は「本当にいい気分だよ。この2年間、勝利がなかったからね。このスポーツに人生をかけているから、勝つことが自分のアイデンティティなんだ。家族のため、息子のため、勝利のためなら何でもする。ただ良いロールモデルになりたいだけなんだ。何度も何度も立ち上がり続けていくよ」と語った。
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▼バンタム級 5分3R〇ウマル・ヌルマゴメドフ(ロシア)16勝0敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝 135lbs/61.24kg[1R 4分40秒 KO] ※左フック×ラオーニ・バルセロス(ブラジル)17勝4敗(UFC6勝3敗)135lbs/61.24kg
バンタム級11位のウマル・ヌルマゴメドフは27歳。ハビブ・ヌルマゴメドフの従兄弟。叔父アブドゥルマナプに学び、MMA15戦全勝でUFCでも3連勝でランキング入りを果たした。
2021年1月にUFCデビューし、セルゲイ・モロゾフをリアネイキドチョークで絞め落とすと、2022年3月にブライアン・ケレハーにもリアネイキドチョークで一本勝ち。2022年6月の前戦ではUFC3勝無敗だったネイト・マネスをテイクダウンからドミネートして判定3-0で勝利してる。
対するUFC6勝2敗のバルセロスは35歳。柔術とブラジル王者となったレスリングがバックボーン。RFA王者から2018年7月にUFCデビューし5連勝。2019年12月にはサイード・ヌルマゴメドフにも判定勝ちしている。
ティムール・ヴァリエフとビクター・ヘンリーに連敗したが、2022年10月の前戦ではDEEPで大塚隆史に勝利しているトレヴィン・ジョーンズに判定勝ちで再起を遂げた。
オッズは-850と圧倒的にヌルマゴメドフのフェイバリットのこの試合。
1R、ともにオーソドックス構えから。右の前蹴りで牽制し、スイッチしての蹴りを見せるヌルマゴメドフ。オーソドックスに戻して左前足の蹴りからサウスポー構えになるヌルマゴメドフ。右をかすめて左で飛び込むバルセロス。左はかわすヌルマゴメドフは右を合わせに行く。
スイッチを繰り返すヌルマゴメドフは前足で左ハイ、右ロー、右前蹴り。バルセロスは右ハイをガード上に当てる。サウスポー構えから右前蹴りを腹に突くヌルマゴメドフ。左インローも。詰めてきたバルセロスに、右ジャブを当てるヌルマゴメドフ。
圧力をかけるバルセロスは、右ハイ。ブロッキングするヌルマゴメドフ。右ジャブを打つが、かわしたバルセロスは左ローを前足にヒット。右ミドルハイのバルセロスをブロックしてヌルマゴメドフの左の蹴りを打ち返しはかわしたバルセロス。
そのままオーソドックス構えになるヌルマゴメドフ左ジャブから左ミドルを腹に当てると、バルセロスは右を振るがかわしたヌルマゴメドフ。右前蹴りを突いて、そのまま前に着地しサウスポー構えになるヌルマゴメドフに、右から左で飛び込むバルセロス。
バックステップでかわすヌルマゴメドフは、サウスポー構えから右から左のワンツー。左ミドルハイをブロック上に当てる。右を振って、いったん腰を触るヌルマゴメドフだが、ここは組みに行かず。
離れ際、今度はバルセロスからシングルレッグで組みに行くが、その左手を小手に巻いて差し上げたヌルマゴメドフは突き放し、右手人差し指を上げて、頭に当たったとアピール。
喧嘩四つで前手を当て合い、右ジャブを刺すヌルマゴメドフ。右前蹴りを胸に押すと、バルセロスも押し戻して右ミドルを手に当てる。
右ジャブが鋭いヌルマゴメドフは、右の前蹴りを腹に。オーソドックス構えにスイッチすると、左ハイで牽制。左ローからすぐに踏み込んでの高い右前蹴り。そのまま右足を前に着地させてサウスポー構えから左ストレート!
これで腰を落としたバルセロスは、下がらず詰め直すと右ハイ。これを手で払ったヌルマゴメドフは金網を背にバルセロスの左フックの飛び込みをかわす。
中央に戻るヌルマゴメドフはオーソドックスに構えて左ジャブ、左ミドル、左インローの同側攻撃。バルセロスは素早い左インローを当ててヌルマゴメドフの左足を飛ばすが、そのままサウスポー構えになるヌルマゴメドフは前手の右フック。
かわしたバルセロスは前に。ヌルマゴメドフは左の蹴りで押し戻す。喧嘩四つの前手争いから、ヌルマゴメドフは左の跳びヒザで飛び込み、着地と同時に左フック! 後方に倒れたバルセロスは首も後ろに落ちて失神。そこにヌルマゴメドフは右の鉄槌1発で追打はせず。バルセロスを心配してから、離れて雄たけびをあげた。
バルセロスはUFCで初のフィニッシュ負け、KO負けもキャリア初。16連勝を決めたウマル・ヌルマゴメドフは、白のパパーハをかぶり「最後は見えてなかったけど、とにかく腕を振り下ろして打ち込んだだけ。クレイジーだ。自分でもよく分からない。どうやってこれを達成したのか。俺はここにいる。準備できている。3月、俺と戦いたいやつはかかってこい。誰であろうと受けて立つ。父、兄弟、叔父、ヌルマゴメドフスクールに感謝したい」と語った。
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▼ミドル級 5分3R〇ロマン・コピィロフ(ロシア)10勝2敗(UFC2勝2敗)185lbs/83.91kg[2R 3分19秒 TKO] ※左ミドル→左右ラッシュ×プナヘレ・ソリアーノ(米国)9勝3敗(UFC3勝3敗)185.5lbs/84.14kg
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▼女子バンタム級 5分3R〇ラケル・ペニントン(米国)15勝8敗(UFC12勝5敗)※UFC5連勝[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×ケトレン・ヴィエラ(ブラジル)13勝3敗(UFC7勝3敗)
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【プレリム】
▼バンタム級 5分3R〇ジャビッド・バシャラート(アフガニスタン)14勝0敗(UFC3勝0敗)136lbs/61.69kg[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×マテウス・メンドンサ(ブラジル)10勝1敗(UFC0勝1敗)134.5lbs/61.01kg
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▼ミドル級 5分3R〇アブドゥル・ラザク・アルハサン(ガーナ)12勝5敗(UFC6勝5敗)185.5lbs/84.14kg[2R 0分28秒 KO] ※右フック×クラウディオ・ヒベイロ(ブラジル)10勝3敗(UFC0勝1敗)185.5lbs/84.14kg
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▼ライト級 5分3R〇マテウス・レベッキ(ポーランド)17勝1敗(UFC1勝0敗)155.5lbs/70.53kg[判定3-0] ※30-27×2, 30-26×ニック・フィオーレ(米国)5勝1敗(UFC0勝1敗)155lbs/70.31kg
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▼フライ級 5分3R〇アラン・ナシメント(ブラジル)20勝6敗(UFC2勝1敗)125.5lbs/56.93kg[1R 3分16秒 リアネイキドチョーク]×カルロス・ヘルナンデス(米国)8勝2敗(UFC1勝2敗)125lbs/56.70kg
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▼フェザー級 5分3R〇ダニエル・アルグエタ(米国)9勝1敗(UFC1勝1敗)146lbs/66.22kg[判定3-0] ※30-27×3×アイザック・ダルガリアン(米国)5勝1敗(UFC0勝1敗)145.5lbs/66.00kg
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▼フライ級 5分3R〇チャールズ・ジョンソン(米国)13勝3敗(UFC2勝1敗)126lbs/57.15kg[1R 4分33秒 TKO] ※パウンド×ジミー・フリック(米国)16勝6敗(UFC1勝1敗)126lbs/57.15kg
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【中止】▼女子フライ級 5分3R-プリシラ・カショエイラ(ブラジル)12勝4敗(UFC4勝4敗)-シジャラ・ユーバンクス(米国)7勝7敗(UFC5勝5敗)※「体重管理の問題」により計量することなく試合が中止に。