2022年11月27日(日)東京・後楽園ホールで開催された「プロフェッショナル修斗公式戦 2022 Vol.7」の第7試合にて、衝撃的な一本決着が起きた。
修斗初参戦の“レッグハンター”須藤拓真(X-TREAM EBINA)と、バンタム級世界ランカーの後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)がいきなり激突。RIZINで渡部修斗を下している須藤が、修斗でも後藤をヒールフックに極めて、レフェリーストップのテクニカル一本勝ちを収めた。いかに須藤は後藤を極めたのか?
須藤は6勝のうち足関節での一本勝ちが実に5回を数え、足を捉えたら最後、どこからでも一本を狙ってくる“極め”主体のファイトスタイル。
2022年4月の『RIZIN TRIGGER 3rd』で渡部修斗を相手にヒールフック、ヒザ十字と攻め込み、判定勝ち。続く8月の『Fighting NEXUS vol.28』 では、バンタム級王者・河村泰博に挑むもダースチョークでレフェリーストップ負け。今回が再起戦となる。
対する“左の殺し屋”後藤は、開始から終了まで常に動きながら打撃を中心に打ち込んでいくファイトスタイル。
2022年は3月にダイキライトイヤーに判定勝ち、9月に加藤ケンジに2R TKO勝ちと2連勝中。「超足関節特化型」vs.「超打撃特化型」の対決で、黄金のバンタム級がさらに熱くなる。
▼第7試合 バンタム級 5分3R×後藤丈治(同級世界5位/TRIBE TOKYO MMA)[2R 2分01秒 ヒールフック] ※レフェリーストップ、テクニカル一本勝ち〇須藤拓真(X-TREME EBINA)
1R、サウスポー構えの後藤はキャッチされにくい左ハイをガードの上に当てる。オーソから右インローは須藤。キック歴4年の経歴も持つ須藤は、右ミドルを返す。須藤の右の蹴りの打ち終わりに速い左ハイでアゴをかすめる後藤。
須藤は滑り込んでロールの動きを見せるが、深く入らず。まずは牽制。すぐに立ち上がる。左ボディストレートを突く後藤。間合いでかわす須藤は、右ハイも空振り。須藤の右ストレートに後藤は右前蹴りでストッピングする。
遠い間合いから足の戻しの速い左ハイは後藤。左ボディストレートは遠い。須藤も右ハイを打ち返すが届かない。右から歩いて左の蹴りで牽制し、さらに踏み込んで左ミドルを当てる須藤。
後藤も左ハイをブロック上に返す。須藤の右の蹴りと後藤の左の蹴りが交錯も、そのまますぐに左右のワンツーも打ち込む後藤。
須藤も右の蹴りを半身気味にダブルで上下に突く。その蹴り足を外に払いながら掴む後藤は片足立ちの須藤に右を狙う。金網に詰めて左ボディ打ちは後藤!
金網づたいに右に回る須藤にさらに左ミドルハイは後藤。右にサークリングする須藤は、前足を取りに行くが、頭を押さえ、足を上げて抜いて離れる後藤。
そのままシッティングガードで尻をマットに着けて近づく須藤。いったん立ち上がるとさらにロールして滑り込みも遠い。
ならばと、須藤は後藤の左ストレートの踏み込みに右のアリキック! 片ヒザを着いてバランスを崩した後藤の足を取りに行く須藤だが、ここは足を掴ませない後藤。
シッティングガードで近づくも立ち上がる須藤。立ち合いになると後藤は左ハイをガード上に当てて左ストレート。ブロックする須藤は右足をスナップを効かせてジャブ代わりに。
近づいたところで後藤の左右に対してガードを固める。後藤の左の蹴りの打ち終わりに左右を狙う須藤だが空振り。最後に互いに右の蹴りを打ち込みブザー。
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須藤はいかに内ヒールをセットアップしたか
2R、左サイドキツクで牽制する須藤。右ローを打つ後藤。右のダブルから左ストレートを突く須藤にバックステップでかわす後藤。須藤の前蹴りに左ハイを合わせて前に。
どっしり構え、圧力をかける後藤にセコンドの長南亮代表は「(金網)背負ってるから行っていい」と声。須藤のストッピングの左前蹴りを掴むと、左ストレート! すぐに右も突くが頭をかすめる。
さらに左ボディにも繋ぐ速射砲の後藤だが、そこにシングルレッグは須藤! ヒザをマットに着きながらも右前足を掴むと右に捨て身気味にいったん巻き込みながら後転で後藤を引き込むと、後藤は手を着いて転倒。
回りながら右で脇を差し、右足を股の間に差し込んでいる須藤。後藤の左足にインサイド三角で組んで自身の左足とヒザ裏でロック! さらに後藤の左足を左脇に挟むと、肩抜き後転。
対角の足を取られうつ伏せにさせられる後藤はいったん仰向けに戻し、須藤の腕を掴みクラッチを緩めようとするが、その手を切る須藤はなおもサドルロックを組んだまま足首を捻り内ヒールフックで腹ばいに!
後藤は組まれた足を押して左ヒザを抜こうとするが、横回転して後藤の左ヒザより上で左足をかける須藤に、なおも後藤は正対して踵を捻られながらも両足の三角の間に左手を差し込むが、右足は須藤の左足に制されて突っ込めず。
すでに後藤の踵は、ヒザとは真逆に向いており、捻るたびにケージサイドには「バキッバキッ」と音が聞こえる。通常のヒールから持ち手を変えて拳で捻る須藤。
左脇で足首を固定している須藤はレフェリーの顔を見て「止めないのか」という表情。さらに絞ると、レフェリーが間に入った。後藤はタップしなかったものの、須藤の内ヒールによるテクニカル一本勝ち。
ABEMAのゲスト解説を務めた元環太平洋バンタム級王者の根津優太は、「エグいな、コレ」とフィニッシュシーンのリプレイに思わずつぶやき。
元ONE世界ライト級王者の朴光哲も「うわ、これは見たくなかったなぁ……これ放送していいんですかね?」と心配するほどの衝撃決着に。
歩けず、セコンドに抱きかかえられてケージを後にする後藤。
Fighting NEXUSから修斗に初参戦。22歳でいきなりバンタム級4位の後藤を下した須藤は、「やったぞ!」と咆哮。「どうですか、この会場。ワールドカップより盛り上がってますかね?」と、同時間帯の日本代表戦を思い出させる禁句を口にすると、「まだワールドカップには勝ってないと思うので、俺からワールドカップを越していくぞ!」と大胆なマイクアピールでケージを降りた。
ストライカーvs.グラップラーの構図ながら、来ると分かっていても極められる強さを持つ須藤拓真は、バンタム級でどこまで駆け上げるか。
1Rは打撃で支配しながら、足関節をセットアップされた後藤は、SNSで「どんなにださくても必ず這い上がる。」「強くなってケージに戻ります」と復活を約束。
須藤も「2Rヒールフックで一本勝ちしました。初参戦なのに選手代表挨拶までさせていただいたり、ランカーと試合を組んでくださり、修斗の関係者の皆様には本当に感謝しております。対戦してくださった、後藤選手ありがとうございました! これからも精進していくので応援お願いします」とさらなるステッアップを語っている。