2022年10月28日(金)東京・後楽園ホールで開催された『Krush.142』の試合後、中村拓己K-1プロデューサーが大会を総括した。
前日に行われた記者会見では、隣に座った問題児・堀井翼(K-1ジム五反田チームキングス)から「(会見席の)一番端に南雲がいることと、中村Pがいることがすごく不快です」「そういえば、この試合が決まったときの記者会見に中村Pいなかったんだけど、何してんの? あまりにも俺にビビっちゃってこなかったのかと思ったんだけど、その辺は違うんすか?」などと絡まれ続け、最後には「いちいち突っかかって来るなよ、おい! いいから明日ちゃんと試合しろ!」とブチギレた中村P。
その堀井は第1試合でSATORU成合(K-1ジム総本部チームペガサス)を負傷させて2RにTKO勝ち。第1試合の役割を果たしたわけだが、中村Pは総括で「彼のキャラとか人間性はさておき、試合としてはダウンの応酬があって、最後はTKOでしたけど、第1試合の仕事や役割は果たしたと思います」と評価。
しかし、及第点を与えられるかと聞かれると「まだまだですね。あれだけ会見でデカいことを言って、プロモーターにつっかかってくるくらいですから。(試合になったら)『もっとやれよ!』という気持ちはありますけれど…少なくとも今日は第1試合として、よかったかなと思います」と、厳しい意見だった。
「今回はメインに尽きる、特にそう思う大会でしたね。6月のK-1女子大会以来、K-1JAPAN GROUPとして初の女子の試合で注目されたと思うんですけど、菅原美優選手とチャン・リー選手にメインイベントを任せて。勝った菅原選手には賞賛ですね。6月の初代K-1女子アトム級王座決定トーナメントの決勝でパヤ―フォン選手に負ける悔しい思いをしたと思いますが、それをきっかけにパンチで倒せるスタイルに進化して。
菅原選手がすごいのはファイトスタイルが試合ごとに洗練されて新しい武器を憶えるところ。ただ勝って戦績をよくする以上に内容の濃い勝利で、日々の練習でテーマを持ってレベルアップするためにやっているファイターだなと感じます。ビジュアルやメディア露出がクローズアップされがちではありますが、競技者・アスリートとしてK-1という競技に真摯に向き合って練習している選手だと思います。その姿勢は男子女子関係なく素晴らしいですね。
あとは挑戦者がチャン・リー選手だったこともよかったです。もともとチャン・リー選手は他のジムでデビューして、それからK-1・Krushのベルトを目指してK-1ジム五反田に入って仕事も辞めて。格闘技に専念して勝ち星を一つずつ積み重ねたチャレンジャーだったので、何が何でもベルトを巻くという覚悟や執念を感じました。
結果は菅原選手のKO勝利でしたが、2人の倒スタイル・前に出る気持ちがあったからKO決着になったと思うし、2人とも僕たちが目指しているK-1・Krushの戦いが何か理解して戦ったからこそ、ああいう試合になったと思います。本当にメインイベントに相応しい試合でした。女子大会をやったことも含めて、女子再開の一発目がああいう試合になったことで『K-1・Krushは女子も面白い!』ということを伝えられたと思うし、11月以降も女子の試合を組んでいるのですが、その選手たちにもいい刺激になったと思います。
あとはバンタム級の松谷桐vs白幡太陽ですね。12月にK-1で初代王座決定トーナメントがあるなかで、KO決着ではなかったですがスピーディな展開・テンポの良い試合をしてくれて、あれはバンタム級にしかないものだと思いました。12月に期待を持てるような試合だったと思います。
今回のKrushは勝ち負けがシビアな試合が多く、勝ったら上に行く・負けたら脱落という凌ぎ合い・せめぎ合いが多かったと思います。K-1のようにトップ選手同士が戦う試合とは違う、Krushらしさ・後楽園らしさがあったかなと。負けた方には残酷な結果だけど、それをかけて戦う、気持ちと気持ちをぶつけ合う、そういうものが詰まっていた大会だったと思います。K-1 JAPAN GROUPはK-1、Krush、Krush-EX、K-1アマチュアと色んな大会をやっていますが、Krush・後楽園でしか見せられないものを見せられた大会だったと思います。
(第1試合の堀井翼について)彼のキャラとか人間性はさておき、試合としてはダウンの応酬があって、最後はTKOでしたけど、第1試合の仕事や役割は果たしたと思います。(及第点?)まだまだですね。あれだけ会見でデカいことを言って、プロモーターにつっかかってくるくらいですから。(試合になったら)『もっとやれよ!』という気持ちはありますけど…少なくとも今日は第1試合として、よかったかなと思います。
(パヤーフォンの挑戦者候補は菅原になる?)ダイレクトリマッチになるより、他の試合がいいかなと思います。同じ階級に菅原選手の首を狙う選手も出てくるでしょうし、K-1で海外選手も招聘している中で、そういう相手も面白いかなと思います。菅原選手にはvsパヤーフォンだけでなく、何かテーマがある試合をやるのがいいかなと思います。
(Krushアトム級の今後は?)K-1フェザー級の軍司泰斗選手と同じで、今日の結果で菅原選手が頭一つ二つ抜けたと思います。なので、Krushでは誰が勝ち星を重ねて挑戦者になるか? というテーマがはっきりしたと思います。菅原選手には菅原選手で、K-1ではKrushにないテーマの試合を組んで、Krushでは誰が菅原選手の挑戦者になるのか?という試合を組む。そういう方向性が見えたと思います。リング上で菅原選手と話した時にパヤーフォンに負けたことがむちゃくちゃ悔しかったと言っていて、菅原選手はパヤーフォンへのリベンジが大きな目標だと思いますし、それにつながる試合を考えていきたいです。
(パヤーフォンの今後の試合は?)K-1で試合を組むことにになりますが、彼女は現地では大学生なので学校のスケジュールと合わせて試合を組まないといけないんですね。12月の大阪大会はほぼほぼカードが決まっているので、3月の『K'FESTA』以降、早いタイミングで試合を組みたいです。
(昇也が元ライト級王者の瓦田脩二に勝利したが?)ライト級は選手が多くて、8月・12月のK-1でもたくさん試合を組んでいます。元王者の瓦田選手に勝ったからすぐ挑戦というより、他にも色んな選手がいるなかで、そこから挑戦者に相応しい選手が出てくると思います。タイトル挑戦に向けて前進する大きな勝利でしたが、タイトル挑戦についてはそれも踏まえて考えたいです」