MMA
インタビュー

【RIZIN】堀口恭司と対戦する金太郎「やるもやられるにも覚悟を決めて、やりあおうって腹を決めている」=9月25日(日)『RIZIN.38』

2022/09/22 13:09
 2022年9月25日(日)さいたまスーパーアリーナで開催される『RIZIN.38』のバンタム級(61.0kg)5分3Rで、堀口恭司(アメリカントップチーム)と対戦する金太郎(パンクラス大阪稲垣組)。 「日本MMA史上最高傑作」と言われる堀口と対戦する金太郎は、2021年6月のRIZINバンタム級ジャパンGP1回戦で伊藤空也に判定勝ちしたものの、GP二回戦で井上直樹に判定負け。2021年12月の元谷友貴戦でも判定負けと2連敗中だ。  対する堀口は、右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷の手術を経て、2020年の大晦日に朝倉海と再戦し、1R TKO勝ちでRIZIN王座を奪還。2021年12月に、怪我で返上していたBellator王座の奪還も目指し、当時の王者・セルジオ・ペティスに挑戦し、4Rまで圧倒しながらも、スピニングバックフィストを受けてKO負け。2022年4月の『Bellator 279』では、バンタム級ワールドGPに参戦し、パッチー・ミックスのバックコントロールに判定負けで、世界の強豪相手に2連敗を喫している。  朝倉戦以来、1年9カ月ぶりの日本での試合でBellator2連敗からの再起戦に臨む堀口を、日本で迎え撃つことになった金太郎に、本誌で単独インタビューした。  地元大阪での練習、さらに東京への出稽古も敢行してきた金太郎は、TRIBEでの若松佑弥らとの練習、さらに同門の木下憂朔がUFCとの契約を勝ち取ったラスベガスでの戦いにも刺激を受け、「やるもやられるにも覚悟を決めて、やりあおうって腹を決めている」と語る。 [nextpage] 最悪の状況でも、絶対に気持ちを折らさないように戦う ──いよいよ堀口恭司選手との大一番に向け、コンディションはいかがですか。 「怪我も無く順調でコンディションはバッチリです。減量も問題なくいつもと同じペースでやっています」 ──4月の「TRIGGER 3rd」では、倉本一真選手と対戦予定だったのが、試合前々日にぎっくり腰で欠場。今回の減量ではその部分の対策はいかがですか。 「あのときは、朝起きた瞬間に、腰に激痛が走ってギックリ腰になって。その日に東京入りして、夜から減量の水抜きをする予定でしたが、体に力が全く入らず、一歩も動けなくなってしまって。今回の試合に向けて、ぎっくり腰もかなり治療をやってきたので、今回は絶対に大丈夫と思ってやっています」 ──この試合に向けてどのような環境で練習を行ってきましたか。 「大阪で週3回。東京で週2回から3回を行ったり来たりして、だいたい火・水・木は東京にいますね」 ──毎週移動して、なかなか大変ですね。 「そうですね。でも、試合が決まった時期だけなんで、そんなに大変ではないかなと。1日中練習しているわけじゃないですし、ポイントポイントで集中してやってる感じですね。 ──そもそも大阪と東京を行き来して練習しようと思ったのは? 「大阪やといろんな自分がやりたい練習っていうのを限定してやるというか、たとえば立ち技のスパーリングをやりたかったらキックボクシングのスパーリングに行ったりとか、グラップリングやったらグラップリングって、こう、分けてやっていて……総合格闘技の練習というか、“総合格闘技のスパーリング”をするところがちょっと少ないというか。そういう意味で東京で、TRIBE TOKYO MMAとかだと選手がすごい多いので、そこに出稽古させてもらっているという感じですね。いい練習が出来ています」 ──それはシチュエーションスパーですか? 「そうですね。がっつり強めのスパーっていうよりかはこう、打撃はちょっと軽めで組み技みたいなのをやったり、あとはポジション別のスパーがあったり。長南(亮)さんが考えてやっている練習に従ってやっている感じです」 ──とくに組む相手は? 「TRIBEの木曜日のプロ練に参加させてもらっているんですけど、いろんな強い選手がいっぱい集まってきていて、誰と練習してもやっぱりすごい強い。そういうなかで練習していたら自信にもなるというか。若松佑弥選手とか上久保周哉選手とかとも練習させてもらってます」 ──若松選手はONEフライ級でタイトルマッチを行ったばかり、上久保選手はONEバンタム級で現在6連勝中ですね。「いい練習」というのも頷けます。 「えっ? 若松選手はフライ級やったんですか」 ──PANCRASEではフライ級で。でも現在のONEでは水抜き禁止のONEフライ級なのでリミットは61.2kgです。 「マジすか、全然……そうなんすか。普通に同じ階級(バンタム級)かと思ってましたね、力の強さとか」 ──でも出稽古では、新たな相手と組むのは金太郎選手にとっても緊張した状況になるのではないですか。 「そうですね。練習も慣れてないっていうのもあるし、やっぱり手の内とか分かっていないメンバーでやったりしているので、周りは自分の動きが分かっているかもしれないですけど、僕は出稽古で行っているから初めて組む選手がいて。でも『試合』ってたいてい初めて、初見でやるから、メンタル面でも技術面でも、練習になるなっていう。行く前に緊張して練習行くって、もうあんまり大阪やとないんで。緊張して行ける環境も自分にとってはプラスになります」 ──大阪では稲垣組のほかにプロ練習や、CARPE DIEM芦屋などにも? 「関西では、(萩原)京平が海外に行く前によく練習したりしてましたが、最近はCARPEもあまり行けてなくて、あれやって、これやってっていうのを少し止めて、ずっと前から行っている正道会館本部で、湊谷(秀文)先生に見てもらいながらスパーリングをして、湊谷先生の教えているメンバーに混ぜてもらって打撃を練習しています」 ──山田洸誓選手らもいるなかで湊谷トレーナーから指導を受けてきたと。湊谷トレーナーは選手をうまく追い込んでくれると聞いたことがあります。 「自分の場合は、週1回スパーリングを見てもらっている感じですね。そこで良いところ、悪いところを指摘していただいています」 ──関西ではパート別に練習となると、グラップリングは? 「いろんなグラップリングの練習会があって。たとえば僕がやっているグラップリングでは、それこそ練習が決まっていないときに『誰々できますか?』とか、いろんなメンバーに声をかけて、何人かいる寝技がしっかりした選手と、時間を合わせてもらって融通きかせてもらって、その人たちのジムに行ってやらしてもらってるっていう感じです」 ──そうして東京と関西を行き来してファイトキャンプを組んできたと。 「そうですね。結構、自由に格闘技やってるんで、誰かにやらされてとかいう環境ではないので、ある意味、自分に厳しくいろんなところでやっていく必要があって、心切らさずやってるって感じですね。だから練習環境的に、良いのか悪いのかちょっとまだ今は分からないんですけど、大阪にもいいところがあって、東京にもいいところがあるから行き来しているって感じですね」 ──そんななか、同門の木下憂朔選手が、ラスベガスのUFC登竜門である「DWCS」でKO勝利、UFCとの契約を勝ち取りました。 「はい。ちょうど木下の打撃のトレーナーが僕と一緒で、17歳から見てもらってる佐藤栄二トレーナーについていて……」 ──元A級プロボクサーで、中谷正義選手や帝尊康輝選手、キックの大野聖選手、川畑直輝選手らを指導している方ですね。 「フリーでパーソナルジムSLUGGERZで一般的にはパーソナルでお客さんを指導していて、僕がずっとそこで打撃をやっているので、稲垣組の選手もそこに行き出して、木下も今そこで打撃をやって、今回のコンテンダーシリーズのセコンドにもついていたんです。木下もああいう勝ち方をして、練習していたことがしっかり、作戦も聞いていたので、しっかりそれを実行しているから、僕もこう、自分がやってたことは間違っていなかったなとそこで確認できたし、それはね、僕が勝負に対して、練習していることが出せてないから今まで負けているんだなっていうふうに再確認した試合でしたね」 ──試合で練習してきたことが出せていないと。木下選手は2Rの途中で左足を痛めていたのに、3R、相手の左を左にかわして、左ストレートでKO。その直後に動けなくなっていましたね。 「だから、そこはアイツの肝のすわり方がやっぱり異常なんやろなって。気持ちがすごい強い試合でしたよね。最後まで気持ちは折れたらアカンなって、自分も再確認しました」 ──金太郎選手は前戦、大晦日の元谷友貴戦で、序盤は左の攻撃を当てたものの、中盤からカーフや前蹴りをもらい、持ち味をいかせない距離で戦う時間もありました。 「元谷選手との試合に関しては、井上直樹線で勝てなかったのがすごく悔しくて、必ず勝ちたい気持ちが変に出てしまった。やっぱりポイントで当てたクリーンヒットの打撃では押していると試合中に思ってしまったんですよ。試合中に。そこが冷静じゃなくて、負けていることに気づかず、で、終わってみたら判定で負けてしまったので、井上戦みたいに明らかに負けてるって分かっていたら、もう行くしか無いって覚悟ができたと思うんですけど、元谷戦に関しては勝ってると勘違いしてしまって、それが負けに繋がったなっていう。だからやっぱりフィニッシュを狙う試合をしないといけない。もう結局、判定で勝とうとしても勝てないなら、フィニッシュを狙うしかないなという風に切り替わったという」 ──なるほど。フィニッシュするための積み重ねが必要な試合もあります。今回は……。 「もう、僕のなかでは相手も相手なので。(堀口は)やっぱ技術面とか場数というか、向こうはメジャーでずっと経験積んでやってる選手なんで、普通に勝とうとか、たぶん、その作戦をしっかり考えることとか、そういうことじゃなくて、もうそれこそさっき言ってた気持ちとか、やりあう覚悟というか、もうビビったらアカンなっていう、それが自分のなかのテーマですね。もう覚悟を決めて、やるもやられるにも覚悟を決めて、やりあおうって腹を決めている感じですね」 ──これまで、堀口恭司選手に敗れた日本人選手たちはどうして負けたのと思いますか? 「多分、想像より強かったんやと思うんですよ。目の前で体感したことない動きであったり、映像で見ている速さと、いざ目の前に立ったときの速さと違って、多分試合でビックリしてしまっているのが多いんやろうなって。あとは組み力が異常なぐらい強い。打撃が強いって思ってると思うんですけど、なんやったら、組みを混ぜた方が100パーセントの選手なんやろうなって見ていて思います。セルジオ・ペティスとの試合とか見ていたら、判定やったら、たぶん堀口選手が勝っていたと思うので、そういうの見たら、世界のああいうトップ選手にあそこまで勝負できるっていうのは、おそらく技術的にも日本人にもないほどの技術があるんやろうなって感じました」 ──その堀口選手を相手に、金太郎選手はストレスを感じさせる何かが必要となるかもしれません。 「ああ、もう、それは用意しているんで」 ──堀口選手の飛び込み、飛び込んでからのボクシング、ケージレスリング対策も含め、湊谷トレーナーや佐藤トレーナーから対策は授かっていると? 「2人のトレーナーに、一緒に仮想・堀口恭司じゃ無いですけど、そういう風に戦略を練ってもらって、それに練習パートナーとして、伝統派空手の動きが出来る選手もいるので、そういう選手に協力してもらい、目の前で動いてもらって、色々自分なりのやれることはやってきましたね。  試合ではいろんな──最悪のこともいっぱい考えているので。自分の良いイメージだけじゃなくて、最悪のケースもいろいろ考えているので、そうなったときに“絶対に気持ちを折らないように”っていうのがテーマですね」 ──ハファエル・シウバ戦では、格上を相手に怖いもの無しの試合で追い込みました。 「アレが本当の僕なんで。最近は“ちょっと勝てるかも”とか、“これ普通に戦ったら勝てるやろな”って思う相手には勝ちに徹してしまうところがあった。そういう相手よりも“これはもう行かなあかんな”って思う相手のほうが僕の良さが出ると思っています。1Rから見逃さないでほしいです」 ──あの時と違うのは、よりMMAの怖さを知った上でそれが出来るかどうか。 「そうですね。今回も、相手が堀口選手だからといって特にあまりデカく考えていないです。いつも通りに試合をしようと思っているので、特別な気持ちはないです。ここ2試合は、難しく考え過ぎたんだって思います。元谷選手とも井上直樹選との試合でも。だから、次は後悔ない試合をしたいと思っています」 ──「対世界」も意識しますか。 「堀口選手がBellatorやUFCでも戦ってるんで、自然と堀口選手とやることで、世界から注目が集まると思うんですけど、しっかり勝って、海外の強い選手ともやって、海外にも名前を売っていきたいと思います」
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