2022年9月11日(日)神奈川・横浜アリーナにて開催された『K-1 WORLD GP 2022 JAPAN~よこはまつり~』を、中村拓己K-1プロデューサーが振り返った。
「K-1としてもよこはまつりは『K'FESTA』に並ぶビッグマッチなので、マッチメイクも含めてそれに相応しい大会ができたと思います。8月の福岡大会は選手たちみんなが『自分たちがK-1らしい試合をするんだ!』という自覚を持って戦って、すごく内容がよかったのですが、今日もそれと同じような試合が多くて内容的には良い大会だったと思います」
「スーパー・フェザー級王座決定トーナメント」については「レオナ・ペタス選手が優勝して、(第4代王者の)武尊選手が返上する前に最後にベルトを争ったレオナ選手がベルトを巻いて、武尊選手と戦ってその想いを引き継ぐチャンピオンが生まれたなと思いました。今日は(第2代王者の)卜部弘嵩選手が引退セレモニーを行って、スーパー・フェザー級はK-1を代表する花形というか注目の階級でもあり、(レオナが)その階級のチャンピオンになったことで、ここからどういう試合をするかが試されるのかなと。本人もその自覚はあるでしょうし、レオナ選手にとってゴールでもあるけど新しいスタートになったと思います。レオナ選手が試合後に『K-1最高!』と叫ぶのはセンスあるなと思ったし、いいメッセージを送ることができる選手になったと思います。これからのチャンピオンロードが大事ですね」と、レオナがこれからどのような道を歩むのか、とした。
スーパー・ライト級タイトルマッチ、大和哲也vs.佐々木大蔵については、「今K-1では『#K1NEXT』という言葉を使ってプロモーションしていて、この言葉は若い選手だけのものではなく、ベテランや中堅選手にも当てはまる言葉です。この試合も2人がこれまで培ってきたもの、このリングでどういうものを見せたいのか、ベルトへの思いなど、色んなNEXTが詰まった試合だったし、そういう意味でもK-1らしい試合だったと思います。ベルトを防衛した大和選手は山崎秀晃選手からベルトを獲って、大蔵選手に勝って防衛して。もともと大和選手はタイ人とたくさん試合をしたり、海外遠征も積極的にやってきた選手で、これからは国際戦で大和選手のNEXTを考えたいですね」と、大和の次戦は国際戦になりそうだとする。
最も“K-1 NEXT”を象徴すると言われている、スーパー・バンタム級の金子晃大・玖村将史については「玖村vs.コンペットは今日の大会でも一、二を争うハイレベルな試合で、純粋な技術の攻防とテクニカルな展開であれだけお客さんに注目させて沸かせる玖村選手はさすがだな、と。コンペット選手はK-1ルールに向いていると思っていましたが、予想以上に対応していて、ラウンドが進むごとに動きがよくなるのはさすがムエタイの超トップだと思いました。金子選手は初の国際戦できっちり倒して勝って。金子・玖村は直接対決とその後の試合でも色んな結果が出ていて、そこにコンペットが割って入ってきた。スーパー・バンタム級は金子・玖村・コンペットの三つ巴、その3人を中心に回っていくだろうなと思いました」と、スーパー・バンタム級が新たなる展開に突入したとした。
和島大海vs.メレティス・カコウバヴァスとアビラル・ヒマラヤン・チーターvs.ジョムトーン・ストライカージムの2試合が並んだスーパー・ウェルター級については、「なんと言ってもジョムトーン選手ですね。強いだろうと思っていましたが、あの強さは驚きました。日本ではチュワタナジム時代のトレーナーさんとも練習しているそうで、本気で日本に来てもトップを目指すために活動しているという本気度を感じました。スーパー・ウェルター級はちょっと階級的に重いかなと思いましたが、あの強さは本物ですね。チャンピオンの和島大海選手は、メレティスという強敵をしっかり倒して勝って。これから海外の強豪を迎え撃つことがテーマになると思います」とする。
この2階級で活躍したタイ人選手2人については「今日2人とも『この選手とやったらどうだろう?』と思わせる試合をしたと思うので、それを実現させたいですね。2人ともK-1ルールに向いていて、K-1の戦いが出来るスタイルなので、定期的にK-1に呼んでみなさんが見たいカードを組みたいです。(次戦でのタイトル挑戦の可能性は?)ゼロじゃないですね。チャンピオンのコンディション、それぞれのスケジュール調整も含めて、アイディアとしてありだと思います」と、継続参戦といきなりのタイトル挑戦の可能性もあるとした。
新階級設立を懸けた一戦、75㎏の神保克哉vs.松倉信太郎には「非常によかったです。神保選手が-75kgを作りたいとアピールして、そのための試合を続けていて。そこに松倉信太郎というライバルがK-1にやって来て、このタイミングで2人の試合を組みました。カード発表会見で『階級を創りたいという覚悟を見せて欲しい』と言いましたが、2人にもその言葉が伝わっていたと思う試合です。2人の覚悟と気合いは伝わりましたし、この試合で75㎏は面白いと思った方もたくさんいたと思います。75kgはこの2人がツートップになって、これから階級を作っていこうと思います。本当に素晴らしい試合でした」と絶賛。
なお、一夜明け会見にて神保の直訴に中村Pはその場で新階級設立を約束した。「まずは名称を含めて階級を創るところから。ベルトについては選手がどれだけ集まってくるか、いつどこでタイトル絡みの試合を組むかを前向きに考えます。正式に階級を創ることで新しい選手が出てくるだろうし、K-1に参戦する選手も増えてくると思うので、そこからベルトまでの流れを考えたいです」
最後に中村Pは「8月大会は若い選手が多い大会でしたが、今回は若い選手だけでなく、ベテラン選手、中堅選手など…色んなキャリアのNEXTが見られたと思います。これから色んな世代・キャリアの選手たちと一緒に次のK-1を創っていきたいという大会でした」と総括。
なお、興行面で達成できたところ・できなかったところはとの質問には「6月に『THE MATCH 2022』、8月に福岡、9月に横浜アリーナと、このペースで大会を開催できたのはK-1の選手層の厚さだと思いますし、その成果が出たと思います。今ちょうど選手の世代が入れ替わっている時期でもあり、トップ中のトップ選手が集まる大会に比べると、まだ数字的に劣る部分もあったかなと思います。ただこのペースで大会を重ねていくことで新しい選手が出てきますし、どう新しい選手を創っていくか。次の大会につながる可能性を感じる大会だったと思います」とした。