RIZINで5試合連続一本勝ち(MMA6試合連続一本勝ち)のクレベル・コイケ(ボンサイ柔術)が6月4日、米国フロリダのアメリカントップチーム(ATT)で1カ月間の海外修行を行うことを明かした。
ジムに向かう前に、自身のYouTubeで「めっちゃ大事な練習がこれからある。いまちょっと新しいジムでの練習で緊張している。でもまあ面白いかもしれない。勉強になるから。それが一番大事。英語喋れないからちょっと大変。家族もいないから寂しいけど頑張るよ。押忍」と心境を語ったクレベル。
ATTの前に立つと、「これからコナン社長と話して、いまから1カ月ここで練習できるのが嬉しいです。すごい勉強になるよ」と紹介した。
コナンとは、マーカス・コナン・シウヴェイラHCのこと。1997年12月の「UFC Japan」で桜庭和志と対戦したコナンは、2001年にダン・ランバートのもとマルセロ・シウヴェイラ、ヒカルド・リボーリオらと、ATTを起ち上げている。
「トップチーム」の名の通り、ATTは、プロのトップファイターが集うチームで、そこには基本的に所属選手の紹介が無いと練習することが出来ないという。
クレベルは、UFCバンタム級10位のペドロ・ムニョス(ブラジル)の紹介で今回、ATTでの練習に合流することが可能となった。
「1人だけの練習はヤバいけど、ここで練習できるのがめっちゃ嬉しいです」というクレベルに、さっそく援軍が現れた。
RIZINバンタム王者の堀口恭司だ。
「クレベルさんがATTに練習に来たので、これから一緒に練習していきます」と、笑顔で迎え入れた堀口に、クレベルの緊張も和らいでいる。
ブラジリアン・トップチームから派生したATTは、コナンヘッドコーチのほか、ブラジル人ファイターも少なくない。
ライト級のヘナート・モイカノ、フライ級で堀口の盟友アドリアーノ・モラエス、アレッシャドリ・パントージャらが在籍していることから、クレベルがチームに馴染むのに時間はかからなさそうだ。
また、ダスティン・ポイエー、かつてクレベルが対戦したマテウス・ガムロ(欧州練習中)、期待の超新星ムハマド・モカエフ、モフサル・エフロエフらも練習に励む同ジムでは、レスラー、ストライカー、グラップラーと様々なベースを持つファイターが揃っている。
渡米前に、「一番大事なのは勉強。“安全”じゃない。私は常に改善して進化していないといけない。そのためにも外に行く必要がある。なぜなら外での練習は“安全”じゃないから。外には家もなく助けてくれる人もいない。そのように一度、何もない状態にする必要がある。それがすごく大事」と語っていたクレベルは、現地入りして、ジムを視察し、「バチバチで心のトレーニングになる」と、強くなるための確信を深めている。
本誌の取材に、ブルテリア・ボンサイジムを主宰する坂本健代表は、今回のクレベルの海外武者修行について、「試合に向けて、自らをより厳しい環境に置こうとすることが素晴らしいと思います。そして、彼は、自分のためだけじゃなく、ボンサイチームのみんなのためにも様々なことを吸収してきたい、と言っていました。自身が海外の最先端の練習を体験することで、技術や練習を後輩や次世代に還元できる。これまでもクレベルはタイガームエタイなどで海外出稽古を行ってきましたが、そこで強さを増し、周囲も強くすることで強い練習パートナーを作って来た。僕らもクレベルが何を持ち帰ってくるのか楽しみなんです」と、期待を寄せる。
「次の試合が大事なタイトルマッチ。7月か9月か分からないけど、強い練習をしてもっと勉強をしたい。チャンピオンになるために」と語るクレベル。1カ月後、柔術の鬼神がどんな進化を遂げるか、注目だ。