2022年5月21日(土)東京・後楽園ホールで開催された『Krush.137』。大会終了後、中村拓己K-1プロデューサーが総括を行った。
まず、新美貴士(名古屋JKファクトリー)から玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス)に王座が移動したメインイベントのKrushフェザー級タイトルマッチについて、「タイトルマッチらしい緊張感のある展開で、判定の通り、僅差の勝負だったと思います。ああいう展開になったら新美(貴士)選手が強いと思ったんですけど、最終ラウンドでああいう(ポイントをとる)展開に持っていったのは玖村(修平)選手がどれだけ厳しい練習をしてきたか。ベルトにかける想いがあったからかなと思います。玖村選手は一度ベルトを獲れなかったり怪我もあって苦しいキャリアだったと思いますが、新美選手からベルトを獲って、そこはあっぱれだなと思います」と、3度の防衛を果たしている新美から王座を奪取した玖村を称える。
続けて「敗れた新美選手も僕は評価しているというか、チャンピオンになっても積極的に防衛を重ねて、戦うチャンピオンとして素晴らしいキャリアを築いたと思います。試合前のコメント、前日会見の『命がけで戦って倒しに行くのがチャンピオン』という言葉、煽り映像の『危機感を持って防衛戦に臨む』など…ああいう発言や試合に対する姿勢は他の選手は見習うべきものがあると思うし、立派なプロファイターだなと思います。ベルトは失いましたが、フェザー級トップの一角であることは変わらないと思います」と、前王者となった新美も高評価。
「玖村選手がここでチャンピオンになって、フェザー級はK-1・Krushともに動いていくと思います」と、新王者の誕生によってフェザー級に変動があると予測し、新王者・玖村については「本人が言うリベンジロードはK-1の選手たちなので、K-1での試合になるのかなと。Krushについてはどんどん新しい選手が出てくるので、そういう挑戦者を迎え撃つ形かなと思います。新美選手もそうやってチャンピオンのキャリアを積んできたので、選手層が厚いからこそこそ色んな展開やテーマを考えたい」とした。
セミファイナルで、元ヘビー級の植村真弥(WSRフェアテックス幕張)を神保克哉(K-1ジム目黒TEAM TIGER)がKOした試合については、「神保選手はK-1で試合を重ねて大きくなってKrushに帰ってきたな、と。入場した時の雰囲気でも、それを感じました。試合としてはあのままいってKOにならないかなと思っていたところで、倒しきったのはさすがですね。植村(真弥)選手は試合までの減量・体重もふくめて盛り上げてくれて。試合でも重量級時代と変わらぬ動きで沸かせてくれたと思います」と、これも両選手を称える。
神保が提唱する75kgの新階級については「もちろん新設を考えているところで、今日のように神保選手がKO勝ちで魅せてくれて、松倉(信太郎)選手や植村選手のように75kgの選手が増えて来ています。改めて階級新設を考えていきたいです」と、新設へ向けてかなり前向きなコメントを残した。
第8試合の稲垣澪(K-1ジム大宮チームレオン)vs.寺田匠(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)のフェザー級無敗対決は「メイン同様に僅差の試合だったと思います。2人はまだキャリアも浅いし、アマとプロで1戦ずつやっていて、僕はこの先キャリアのどこかでまたやると思っています。格闘代理戦争・Krushからライバルストーリーが続いていくと思います」と、今回は寺田が勝利したが2戦目もあるだろうと予測。
第6試合と第4試合で行われたスーパー・バンタム級の2試合は「倉田永輝・永坂吏羅選手がKO勝ちで、試合内容も含めて良かったですね。去年Krush、今年K-1で王座決定トーナメントを組んだのですが、その本戦には絡んでいなかった選手たちが頭角を現してきたなと。この階級は金子晃大・玖村将史・璃明武が3トップですが、そこに下から選手が出て来て、まだ階級全体の様相が変わってくると思います」と、新世代の台頭を予感させたという。
また、永坂にKO負けを喫したが第6代Krushバンタム級王者・吉岡ビギン(team ALL-WIN)についても「初めてスーパー・バンタム級の体重を作っての試合で、僕は計量を見てコンディションはいいかなと思いました。彼もまだ若いですし、この階級で試合を重ねて洗練されていくと思います。今回はスーパー・バンタム級の事実上一発目、ここからキャリアをつくっていけばいいと思います」と、今後の可能性に期待した。
さらに「あとは新興ムエタイジムさんから参戦した大田拓真選手。前回はエイワスポーツジムさんの選手がKrushにチャレンジしてくれて、ムエタイ系のジムさんがK-1ルールに挑戦してくれることで、K-1・Krushにとってもいい刺激になると思います。大田選手もラウンド重ねるごとにルールにアジャストして、センスがあるなと思いましたし。K-1 JAPAN GROUPで純粋培養されてないジムから、K-1ルールに挑んでくれる選手がいることで、いい技術革命になるんじゃないのかなと思います」と、K-1ルールで純粋培養された以外の選手が出場することによって、技術革命が起きるのではないかとした。
翌日の22日に行われた一夜明け会見で、中村Pは「負けた選手も個性、いいところが光った大会になった。K-1・Krushともに上のメンバーが固まっている中で、キャリアが浅いながらも上の選手の存在を脅かす選手が出てきた大会だったと思います。彼らが上の選手にどう噛みついていくかを期待させる試合だったと思います」と、新世代の台頭についてコメントしている。