MMA
インタビュー

【RIZIN】浅倉カンナと対戦、修斗王者・SARAMI“普通に戦う”強さ──「いつか自分の番が来ると思ってやってきた」=4月17日(日)『RIZIN.35』

2022/04/13 12:04
 2022年4月17日(日)東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで開催される『RIZIN.35』にて、スーパーアトム級(49kg)で浅倉カンナ(パラエストラ松戸)と対戦する、修斗女子世界スーパーアトム級(50.0kg)世界王者・SARAMI(パンクラスイズム横浜)が12日、所属ジムで公開練習を行った。  現在のコンディションは「バッチリ」と笑顔を見せたSARAMIは、北岡悟代表を相手に、MMAのマススパーリング。四つ組みではなく鋭いダブルレッグテイクダウンからパウンド、パスガード、リアネイキドチョークあるいは足関節、マウントからのヒジ打ち・パウンドなどを披露した。  質疑応答では、RIZIN初参戦のSARAMIに、先輩の北岡が横からささやき大将ならぬ堂々と代理で返答を誘導。SARAMIが苦笑しながら答える場面も見せた。  試合のテーマを問われ、SARAMIはしばし長考。隣りの北岡から「普通に勝つ、当たり前に!」の声に「いつも通り戦って勝つというだけです」と笑顔で答えた。  柔道をバックボーンに2012年にプロMMAデビュー。DEEP JEWELSから、海外強豪との対戦を求め、韓国Road FCやグアムPXC、シンガポールONE Warrior Seriesなどに参戦も、コロナ禍でシリーズが消滅。  2021年11月に、黒部三奈と3度目の対戦でフルマークの判定勝利で修斗のベルトを掴んだ。黒部の打撃をステップでかわし、前蹴り、ジャブ・ストレート、柔道&ムエタイの足払い、組んでも首相撲&ヒジ・ヒザと技術で王者を完封。それは、5Rの熱戦を「無になって」、セコンドの北岡・川村亮の指示通りに動いた=指示通りに動くことができた修練の賜物だった。  対する浅倉は、2017年にRIZINの女子スーパーアトム級トーナメント決勝でRENAに一本勝ちし、優勝。ときに“飛び級”的な抜擢で得た知名度に、自身が追いつくように研鑽を積み、2021年3月、4連勝で同級王者・浜崎朱加に挑戦。しかし、判定負けで戴冠ならず。続く10月の大島沙緒里戦でもスプリット判定で敗れ、2連敗を喫した。  SARAMIがプロでやっていく覚悟を問われ「やります」と答えて10年。地元から離れ、北岡悟が起ち上げたばかりのパンクラスイズム横浜に移籍し、いまも仕事をこなしながら格闘技に取り組んでいる。RIZIN参戦は、「専業格闘家」になるための舞台でもある。 [nextpage] 普通に戦って自分の試合ができれば「持っていく」ことができる  カード発表会見では、浅倉に対し「全部自分が持っていく」と語った。「彼女はもう、充分いい思いをした」という言葉には、「この数年間、いつか自分の番がくると思ってやってきたので、やっと来たな」という、待ち望んだ正当な評価のときを迎える思いがある。 「試合内容で全部持っていくというよりは……(※北岡から再び「普通に勝つ」の声に苦笑しながら)まあ、普通に戦って自分の試合ができればそれで“持っていくことができる”と思う。試合の技術や動きを見てもらえれば(自分の実力は)わかるので(※北岡から「わかるやつにはわかる」の声に笑顔)“ここを見てください”というのは無いですね。試合を見てください」と、自信をのぞかせる。  カルペディエム三田や東中野のトイカツ道場、ムーブメントトレーニングも継続、そしてマスタージャパンの女子練習にも参加している。それはすなわち3度対戦した黒部三奈と練習を再開していることになる。  限られる女子MMA選手との練習。同階級のライバルとも練習し、試合で拳を交えることは当たり前。そうすることで、日本の女子MMAファイターたちは切磋琢磨し、鎬を削ってきた。  マモル塾で得たムエタイ首相撲と柔道の足技の融合は、浜崎朱加に崩され、大島沙緒里にもこかされた浅倉にとって脅威となるが、SARAMIは「打撃を特に強化してということはないです。いつも通り、打撃も寝技もフィジカルも強化したトータルで作っています」とMMAとして「普通に」強化してきた一環だとする。  一部では、「柔道vs.レスリング」の勝負とも言われるが、その局面での勝負もあるものの、その先があるのがMMAだ。 「相手がどうというのにはあまり興味がない。関係がない。(柔道vs.レスリングになる?)自分もあまり柔道・柔道していないので、あまり気にしていないです」というSARAMIは、「何をぶつけるか、というよりその瞬間、自分の持っているものを出すだけで、特にRIZINだからだとか、今までの……ということは抜きにして、その1試合に集中するという感じです」と語る。 [nextpage] ルールの制限が無いので楽しみです  ケージを使った組みは見られないが、四角いリングでの打撃のカットオフ 、テイクダウン・クリンチの攻防、そして、グラウンドでの頭部・顔面への攻撃が認められたRIZINルールは、SARAMIにとってどう影響するか。 「たぶん向いているのかなと思っています。攻撃力に関しては自信があるので、そういうのをたくさん出せる。ルールの制限が無いので楽しみです。必殺技? パウンドですね。パウンドで決めるということではありませんが、ちゃんとパウンドします」と、近年、引き出しも増えた「攻撃力」が、RIZINルールで活きるとした。  同大会では、浜崎朱加と伊澤星花による、RIZIN女子スーパーアトム級の再戦にして王座戦も組まれている。修斗のベルトで通行手形を得たSARAMIにとって、コンテンダーの1人である浅倉を降すことは、RIZINのベルトへの扉も開くことになる。  SARAMIは、「(浜崎の防衛戦は)普通に楽しみだなという感じです。どういう試合になるのかな、と客観的に見ています。いずれ戦うことになるのかなと思って見ています」と注視している。  とはいえ、1歩1歩、着実に階段を上るのが信条で、その地道な作業を諦めなかったことで、修斗のベルトが腰に巻かれているSARAMIにとって、「あんまり自分がRIZINを引っ張るとか、女子格闘技を引っ張るとか、そういうのは言えないんですけど、これからもRIZINで試合をして、色んな人に何かを感じてもらえるような試合が出来ればいいと思っています」と、安易な感情に流されない強さを見せたいという。 「私はこれが好きでずっとやり続けて、あまりうまくいかないときもあったんですけど、でも諦めずにやってきたからここまで来たということを、たくさんの人に見てもらえたらなと思います」  それでも格闘技が甘くないことは、十分理解している。それぞれに思いがあるなかで、「普通に試合をする」強さが、浅倉相手に出せるか。注目の女子スーパーアトム級戦だ。
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