サウスポーで戦い方も似ていることから“天心二世”とも呼ばれた田丸(C)RISE
2022年4月24日(日)東京・後楽園ホール『RISE 157』にて、「RISEフライ級(51.5kg)初代王座決定トーナメント」準決勝で空龍(空修会館)と対戦する田丸辰(TRY HARD GYM)が11日(月)神奈川の所属ジムで公開練習を行った。
田丸は2分間のミット打ちを行い、ワンツー、左ミドルなどでジムに快音を響かせた。ストレート系のパンチもミドルも、やや近い距離で打っているようにも見えた。
初代RISEスーパーフライ級王者である田丸は一階級下げての2階級制覇を狙う立場。「あまりスーパーフライ級の時と減量の辛さは変わらない。一階級下がることでよりパワー重視、他の選手よりもパワーがあるなと思います」と、パワー面で差が出るのではと見ている。
フライ級(-51.5kg)とスーパーフライ級(-53kg)には1.5kg差があるが「減量は長めにやっていてダイエット感覚で制限しているので全然平気。元々53kgの選手とは身体つきが全然違うので、そこで差は出てくると思います」とした。「実際に試合をしてみないと分かりませんが スピードも落ちずにパワーも変化なく練習の段階では出来ています」とも。
スピード面では元々フライ級の選手の方が速いのではと聞かれると「どの階級を通しても自分が一番速い。自分より速い選手は見たことがない」というほどの自信を持つ。
「ずっと試合のことだけを考えて毎日やっています」と田丸。初戦の相手となる空龍については「上手くて強い選手だと思いますが、今回は相手どうこうより自分がどういう試合をしてどういう勝ち方をするかがテーマ。そこを見て欲しい。相手どうこうではなく自分自身の戦いと言うか、チームと一緒に勝利を取りに行きたいです」とする。
試合は2021年7月の政所仁戦以来9カ月ぶり。この期間が空いてたのは「怪我の完治とかもありますが、自分を見つめなおす期間と言うか、前回負けて2連敗したりとかそういうのを見つめなおす期間にしました」とのこと。
「そもそもずっと無敗だったんですが、最近は勝ったり負けたりで連敗したりして、何がいけないんだろうって凄い考えていました。いろいろな意見もあるけれどそれは関係なく自分自身の問題だと思うし、何が足りないかを見つめなおしてきました。試合に出てベルトを獲る気で毎日やっているので、今回はそこもバッチリです」
RISEに参戦してからスーパーフライ級王者になるまで、田丸の勢いは凄まじいものがあり“那須川天心二世”と呼ばれることもあった。それに急ブレーキがかかった理由について田丸は「今までは誰にも負ける気はしなかった。ただガムシャラにやっていたんですが、鈴木真彦選手に負けてから…いやベルトを獲ってからは負けない戦い方になっていた。勝ちに行くのではなく守りの戦いになっていて、負けない戦い方をしていたから」だと自覚している。
連戦連勝中は「生意気だ」と言われるようなことも口にしていたが、最近は大人しめ。「もう20歳になったので」と笑う田丸は、記者会見で自分を挑発してきたトーナメント出場メンバーである数島大陸、塚本望夢に「『言ってるな』って思っていました(笑)。自分も16くらいの時はそう思っていたし、それを本当に思って口に出していたので彼らもそうだと思います。懐かしいなって思っていました」と“大人の余裕”。
しかし内心は腹がたっていたのでは、と聞かれると「経験として自分の方が上だし、やってきた相手もそうだし、経てきた環境だとかが全然違うので、同じ土俵に立っていないと思っているので気にも留めないです」と言い放つ。
「今回のトーナメントも、全員強いのはもちろんなんですが、それでも田丸vs誰々ではなく自分の試合を見てもらえるような気でいます。このフライ級も僕がいることが魅力だと思っているので」と、あくまでも主役は自分だとする。
田丸はフライ級でベルトを獲ってもそこで収まるつもりはなく、「正直、今はベルトを獲ることしか考えていませんが、51.5kgでやりつつ53kgでもやりたいヤツとは結果を残して試合を組んでもらえればと思います。ずっと51.5kgの看板選手で51.5kgの選手とだけやるとは考えてないです」と、黒星を付けられた大﨑一貴、政所仁にはリベンジするつもりだ。
また、「RISEに来たのは那須川天心を倒すため」と幼き頃から兄弟のように仲が良かった那須川と戦うことを目標に掲げていたが、その夢は叶うことはなかった。それについて田丸は「連敗したこともそうですが、ずっと目標としていたことがなくなって…。そこも自分が今回試合期間が空いた理由で、目標がなくて何をモチベーションにして頑張ればいいかと凄い考えました。新しい目標として進んで行かないと話にならないし、天心と戦って超えることは出来なかったけれど、天心から教えてもらったことや背中で見せてくれたことがたくさんあるので、そこを自分が引き継いでRISEを背負っていければと思っています」との決意を語った。