MMA
インタビュー

【RIZIN】難病再発から2年8カ月ぶり復帰の征矢貴「待ってくれている人たちがいたから戻ってこれた」=4月16日(土)『TRIGGER 3rd』

2022/03/31 17:03
 2022年4月16日(土)にケージで行われる『RIZIN TRIGGER 3rd』(武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ)で、2年8カ月ぶりに試合に復帰する征矢貴(パラエストラ松戸)が3月31日、公開練習。  難病を抱えながら、中務修良(NOMAD)との57kg契約(5分3R)戦に臨む思いを「ジムの仲間やファンからの『待っている』という声がなかったら復帰にこれほどやる気がでなかった。次の試合が最後になるかもしれないし、この試合に勝つことだけを考えている」と語った。  復帰戦まであと2週間、征矢は「大きな怪我もなく体調を崩すこともなく、寝技・打撃としっかりMMAが出来ているのでコンディションはいいですね」と語る。  難病であるクローン病との闘病を続けながら、2019年6月の『RIZIN.16』で2年ぶりの試合に臨み、川原波輝を相手に1R KOによる復活勝利。その2カ月後には、村元友太郎も2R TKOに降すなど連勝を飾ったが、病気が再発。今回の試合まで2年8カ月の時間を要した。 「口から肛門までの消化器官のいずれかに原因不明の炎症が起きる病気で、小腸とか大腸とかが多くて、内臓に炎症起きると熱が出たり、体がだるかったり、ご飯が食べられなくなったり、お腹が痛くて、1日何何回もトイレに行く必要があったりします」というクローン病の症状のなか、再発したときは、「練習どころか、日常生活もままならない状態でした。38度や39度の熱が毎日続いていて、仕事も休んでずっと家で療養していました。良くなったり・悪くなったりを繰り返すので、あの病気に『完治』という概念はないんですけど、いま現在は落ち着いて、『寛解』と『再燃』を繰り返す病気で、いまは寛解の状態です。現在は練習に影響ないです」と、闘病生活からの練習復帰を振り返る征矢。 「練習を始めたのが半年前で、ものすごく弱くなっていたので、練習についていくのが精一杯で。体重も落ちてしまったので体重を戻さなくてはいけない。まずその身体作りが大変でした」と、練習が出来る身体に戻すことから始めたという。  今回の試合は、前戦から2kg軽い57kg契約。現在が「61kgちょっと」という征矢は、「はっきり言って2年前と比べると通常体重は減っているんですけど、それでも減量が楽ということを見れば、それはそれでいいのかなと自分では思っています。クローン病というのは脂質の摂取に制限があるので、食べ物をとり辛い。いくら炭水化物を取っても練習で消費してしまうので、なかなか身体作りが大変だというのはあります」と、増量からの減量が難しいものの、通常体重がキープできていると前向きにとらえている。  現在は、「断薬して生活を完全に格闘技をやるためだけの生活を送ることで、体調はいい状態で管理できています」と語る。  再発に苦しみながら、復帰を決めたきっかけは、周囲からの声が力になったという。 「やっぱり入院した時はほんとうに落ち込んだんですけど、ジムの仲間からいっぱい動画が送られてきて、鶴屋(浩・代表)さんが声をかけてくれたと思うんですけど、『仲間がジムでまた待っている』と、たくさん声をかけてくれて、それでまたもう一度、その場所に戻りたいなと思って。ジムの仲間は特別な存在なので、その時によし、戻ってやろうと思いました」  練習では、パラエストラ千葉ネットワークの先輩・後輩たちの活躍が刺激になっている。昨年末から、ステージ4のがんと闘病中の高須将大が千葉ネットワーク入り。直近では、『ONE X』で3連勝をマークした仙三も練習仲間として切磋琢磨している。 「高須選手は正式にパラエストラ千葉ネットワークの一員になって昼間よく練習しています。仙三さんとも毎日一緒に練習していますけど、試合での気持ちの強さを見ると、かなり刺激をもらいます。自分もそういう試合をしたいなと感じます」  2年8カ月ぶりの試合に向け、実戦勘の不安を問われ、「RIZINに初めて出させていただいたときも、たしか2年くらい期間が空いていて、そのときも自分の動きはしっかり出来ていたので、今回も2年8カ月ぶりの試合ですけど、“練習も本番の覚悟を持って”やっていれば、試合でブランク感じることもないと思っています」と、普段の練習から試合を意識しているという。  対戦相手のNOVこと中務修良は、サウスポー構えでリーチも長く、組み技での一本勝ちも多い。2019年1月のGRACHANフライ級王座戦では5分5Rを戦うスタミナも見せている。  征矢は「レスリングもやっていたというバックボーンもあるので、その長い手足の打撃とタックル、5分5R、戦い抜いている映像も見たので、粘り強い、気持ちで後半まで攻め続けられる選手だなと感じます」と印象を語る。  その中務に対し、「もちろんベストで勝つのはKOになるんですけど、KOを狙っていくよりは、しっかり自分が5分3R攻めて戦い抜くという思いで練習はやっています。その結果がKOになればいい」という征矢は、「とにかく自分から攻めること。MMAは難しい競技なので、KO狙うという簡単な言葉じゃなくて、15分間攻め続けて、派手な試合というか……ほんとのほんとうの本気の必死な姿は、人の心を動かすと思っているので、(内藤)のび太さんだったり扇久保(博正)さんだったり、決してストライカーじゃない、バチバチの試合じゃなくてもあれだけ人の心を動かす試合が出来るので、僕も攻めて、そういいう試合をしたい。攻め続けるのがテーマです」と、試合でも楽をせず、しんどい試合も辞さない構えで、勝利を掴むとした。  RIZINフライ級戦線では、GP開催も予定されているが、今後について問われた征矢は、「もう正直、こんなこと言ったらアレですけど、次の試合が最後になるかもしれないし、10年後もやってるかもしれないし、ほんとうにそこは体調のこともあって分からないですけど、とりあえず今回の試合をすること、この試合に勝つことだけを考えています」と、いまを生きることに集中している。  最後にファンに向け、「3年弱待っていただいたファンの皆さま、ほんとうに待たせしました。たまにtwitterとかで発信すると、『試合を待っている』と、休んでいる間もたくさんいただいて、ファンの皆さんの声がなかったら、こんなにやる気にはならなかったなと思っているので、復帰できるのはファンの方がいてこそなので、楽しみにしていてください」と、復帰戦を心待ちにしたファンに試合を届けたいと語った。
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