両手をアイシングして痛みに耐えながらも明るく質問に答えた鈴木(C)RIZIN FF
2022年3月6日(日)都内某所で『RIZIN LANDMARK vol.2』が開催され、Exciting RIZINほか全9社でPPV配信された。
そのメインイベント、フェザー級(66.0kg)5分3Rで平本蓮(ルーファスポーツ)と対戦し、判定3-0で勝利した鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)が試合後インタビューに答えた。以下、その全文。
骨が折れようが死なない限りは戦い続ける
「平本選手強かったですよ。キックボクサーだったっけ? ってくらい総合だなって思いました。MMA選手と試合しているんだなって思って本当に強かったです」
――どこが試合前に想定したところと違った?
「予想通りの試合展開だったんですけれど、予想以上に打撃が上手かったので思うように形がとれなかったですね。それこそ元々K-1選手だったのでヒジとか使ったことないんだろうなって思ってそこまで警戒していなかったんですけれど、凄いヒジを使ってきてやりにくいなって思いましたね」
「意地ですね。やられたので同じ技でやってやるよって思って。(作戦では)なかったです。やられたからやってやるよって。あと近距離が多いので、近距離はストレートよりヒジの方が有効だなって試合の中で学びました」
――いま冷やしている両手は?
「両手折れましたね。ボクシンググローブだとクッション性があるんですけれど、オープンフィンガーグローブだと自分の威力の骨が耐えられないんですよね。パワーがありすぎて(笑)」
「めちゃくちゃ痛かったです。でも試合で骨の1~2本はくれてやろうと思っていたので、しょうがないです。これは勝利への代償だと思って。折って負けたら最悪ですが、折って勝ったからいいです」
――KOしたかった?
「本当は倒してテイクダウンしてパウンドで行こうと思っていたんですけれど、本当に(平本が)MMA選手になっていたので。四つレスリングとかそれこそタックルも入ってきたので、完全にアメリカ修行へ行った成果が出ているんだなって思って。でもその分、僕もちゃんと練習していたので。そんな感じっすかね」
――最後のマイクで朝倉未来選手の名前も出ていたが、今後戦いたい?
「そうですね。SNSで返信したんですよ。『勝てるよ』みたいに言われて、任せてくださいって。それに格闘技ファンが『媚びた』とか『同階級なのに媚てんじゃねえよ』って声がけっこうあったんすよ。でもその日戦うのは朝倉選手じゃなくて平本選手なので、激励はもらって、いつか戦う時に勝てばいいと思っているので」
――今後の展望は?
「二刀流を体現するには王者になること以外ないので。対戦相手を決めるのはファンとRIZINの方々だと思うので、用意された相手を倒します」
――左右の拳(親指の付け根部分だという)はどの辺りで痛めた?
「平本選手の眼窩底付近がけっこう腫れていたと思うんですけれど、あそこへのストレートと左右フックを打った時に、多分これ折れたな、みたいな感じで(笑)。序盤ですね。開始早々の打ち合いだと思いますね」
――そこから痛みに耐えつつパンチを出したり組んだりしていた?
「めちゃくちゃ痛かったです。でも、その覚悟で僕はやっているので。骨が折れようが死なない限りは戦い続けるんで」
――今日はいつものフックではなくストレートが出ていたが、真っ直ぐ打つ練習をしてきた?
「あの、元々打てるんですよ(笑)。ただフックの打ち合いでいつも試合が終わるだけで、引き出しはあるんですよ」
――いつもは出さないのに今日出せたのはなぜ?
「そこが空いてたからですね。ガードが真ん中が開いていたらストレートを打つし、左右が空いていたらフックを打つって感じなので。相手を見てそこが空いてたので打ちました」
――平本選手はフックを警戒していたと思うが、そこでストレートを出して意外性を狙った?
「そうですね。本当はフックで突き通そうと思っていたんですよ。フックをバンバン打って倒そうと思っていたんですけれど、あまりにもガードがしっかりしていたので、じゃあガードの上からじゃなくて直接生身に当てないとダメだなと思ったので、そこでシフトしてストレートに変えました。グローブだったらガードの上からでも倒せるんですけれど、オープンフィンガーだとなかなか振動を伝えられないので、と思います。試合の中で学びましたね」
――試合が終わってこれから何をしたい?
「一応レントゲンを撮って、折れてないようだったらまた次戦へ向けてすぐ練習を再開しようと思っていますね」
――いつもの試合だと鈴木選手がプレッシャーかけることが多いが、今回はかけられていた?
「いや、試合データがなかったので最初どう出てくるのか見ないと試合が作れなかったので、最初は攻め来るのかな、守りに徹するのかなというのをチェックする必要があったのでちょっと見ましたね」
――今日は全体的に落ち着いて試合に臨めていた?
「それはチームのおかげです。セコンドが冷静にさせてくれて活路をいつも作ってくれているので、チームで勝ったというところですね。僕一人ではここまで来れないので」
――終盤はテイクダウンの展開が多かったが、序盤で手が折れていたからもあった?
「それでもガムシャラに行こうと思っていたんですが、ところどころで痛くて一瞬力が抜けてしまうところがあって。言ったら言い訳になるので、とにかく全力でやりました(笑)」
――相手のパンチで効いたのは?
「なかったですけれど、ヒジですか。僕、今までヒジを受けたことがないので(キックボクシングはヒジなしルールでやっている)、こんなに揺れるんだなと。ヒジだけ『おっ!』て感じでしたね」
――OFGで拳が壊れるということは、今後の戦い方を考えないといけないのでは?
「腕を折ったらひたすら木を殴って拳を強化するしかないので。それだけですよ。昭和と一緒です。木を殴ったり鉄を殴ったりして」
――あの距離での打撃の圧力を改めてどう感じた?
「やっぱり打撃に自信を持っているんだなと。SNSとかで平本選手は本当に打撃はピカイチだみたいな凄い書き込みとかあったんですけれど、そう言われる理由が分かったですね。でも今回、打撃の勢いに飲まれなかったのは前回(1月のKNOCK OUT)戦ったタップロン選手と圧が似ていたので似てるなと思って。これはキックの試合で勉強したなと思って。だからそこまで焦らなかったですね」
――相手にダメージを与えられたのは立ち際の打撃だった。相手を抑えながら打つのは練習の成果が出ていた?
「練習の成果も出ましたが、課題もいっぱいありましたね。攻めきれない自分もいましたし、もっと練習しないと王者になれないと思ったので課題だらけでしたね」
――ブレイクが早く何回もかかって、腕がパンパンになったのでは?
「パンパンすよ。もうやべぇと思って。こんなに乳酸溜まるのかよと思って。でもそこでセコンドの声と応援の声を聞いて、俺は勝たないといけなんだって自分を奮い立たせながら戦えていたので、だから大丈夫でした」
――試合前に言っていた渡慶次幸平選手との約束は今なら話せるか?
「今年、渡慶次先輩と自分の2人で大晦日に出ることです」