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インタビュー

【PANCRASE】難病のなか防衛戦の王者・北方大地「気にせずガンガン首狙ってきて」×挑戦を望んだ宮澤雄大「北方選手と戦って、勝ってベルトを獲りたかった」=12月12日(日)最後のスタジオコースト大会

2021/12/12 10:12
 PANCRASEにとって最後のスタジオコースト大会となる2021年12月12日(日)『PANCRASE 325』にて、ストロー級タイトルマッチ(5分5R)が行われ、王者の北方大地(パンクラス大阪稲垣組)が2年5カ月ぶりにデカゴンに帰還。同級ランキング1位の宮澤雄大(K-PLACE)を相手に初防衛戦に臨む。  11日の計量後、調印式および会見に臨んだ北方は「この日、ライト級とバンタム級のタイトルマッチもあります。フェザー級にもISAO選手がいて。僕は、ライバルは他の階級のチャンピオンやと思っています。他の階級のチャンピオンに負けないような内容と強さを見せたいです」と意気込み。  宮澤は「いつも通り戦えばベルトは巻けると思うので、平常心で戦って試合を楽しみたいと思います」と戴冠に自信を見せた。  挑戦者は、前山哲兵、リトル、佑勢乃花相手に3連勝後、高島俊哉にRNCで一本負けしたものの、2020年10月に井島裕彰にTKO勝ち、2021年5月の前戦の「ストロー級次期挑戦者決定戦」で八田亮に判定勝ちし、挑戦権を得た。  王者は宮澤について、「前戦を見るのを忘れちゃってて、ヤバいヤバいと思って映像を見たんですけど、僕は八田選手ともやっている(2017年4月に3R ギロチンチョークで一本勝ち)ので大体どんな感じか分かっていたし、それを踏まえながら見ていて普通に面白くなかったから、途中で見るのを止めちゃったんです。それしか言えないです、という印象です」  対する挑戦者は、北方を「試合映像とか見ても、何でもできて非常に強い選手だと思います。パンチも強いし、タックルとかもできるので、強いイメージがあります」と評した。  北方は1年ぶりの試合、57kgで戦ったRIZINと異なり、52.2kgのストロー級王者として、2年5カ月ぶりのホームケージに戻って戦う。その間、結婚して父となるも、国が特定疾患難病に指定する「頸椎の後従靭帯骨化症(OPLL)」を発症した。 「もちろん発祥当初は不安はあったんですけど、一番不安だったのは、やるのかやらんのか悩んでいた時ですね。やるって決めてからは、不安は一切なかったです。実際、身体もパフォーマンスも過去最高まで仕上げられたので。やっぱり覚悟一つやなということを再認識しましたね」  丁寧なケアのなかでの試合に向けた練習中、再び痛みが発生することはなかったという。 「今回、僕はいろんなチャレンジをしていると思っています。この病気を発症していることにおいて、本当はやってはいけないことばかりやっているから“そういう角度から、そういうことができるんだ”と。(この病気で)格闘技ができたら何でもできるだろうと僕は思っているので。そういったところも、PANCRASEを通じて同じ病気を抱えている人たちの何らかの支えになれればと思っています。だから宮澤くんも、気にせずガンガン首狙ってきてね(笑)。全然、大丈夫やから」と、宮澤を向いた。  うなずいた宮澤は「北方選手の一番のストロングポイントは打撃だと思います。そういう面でも戦う場面が出てくると思うので、退かずにしっかり、相手のストロングポイントでも戦うっていうのをイメージしています。もちろん組み合っても自信があるので、そういうところでも戦えるかなって思います」と、打撃戦で組みの展開になっても勝負できる準備があることを語る。  迎え撃つ北方は「僕のストロングポイントは組み技なんで、その組み技を武器に有利に進めて行こうと思います」と、オールラウンダーらしく打撃のみならず組み技こそが武器だと語った。  今大会は、最後のスタジオコースト大会となる。2019年7月に北方が砂辺光久を5Rの激闘のうえ、TKOに下し戴冠したのもコーストだった。  北方は「コーストは結構やりやすい、愛着のある会場やったんで。今回メインイベントじゃなかったですけど、最後にタイトルマッチ、しかも防衛戦をできるのは嬉しいです。試合は作品として残るので、PANCRASEの記憶に残る良い作品を残したいなと思っています」と、最後のコーストについて語り、デビュー後、ZSTからPANCRSEに参戦した8戦すべてがコーストだった宮澤も「コーストで始まって、コーストに育ててもらいました。もちろんPANCRASEに育ててもらったんですけど。僕の中でも思い入れのある会場なので、しっかり勝って感謝の気持ちを伝えられたらなと思います」と思い入れ深い会場とした。  試合が決まるポイントを問われた両者。  宮澤は「『他の選手と』(王座戦を)という話もあったんですけど、正直、その人たちとやっても面白くないなと思いました。現チャンピオンの北方選手と戦って、勝ってベルトを獲りたいなというのが僕の思いでした。(指名したのは北方に勝つ自信があったからか?) そうです。それに応援してくれている人や、チームの仲間の支えがあってここまで辿り着けたと思っているので、僕のワンシーズンの締めくくりを、ストロー級のチャンピオンである北方選手と戦えるというモチベーションもありますし、僕はチャレンジャーとして戦う、そこが全てです」と今年も2試合を戦ってきた挑戦者は語った。  北方は「一番大きい要因は息子たちですね。息子たちが、チャンピオンである僕が勝っている姿を見たがっているから。子どもが見たがっているものを見せたいっていうのが父親の気持ちなので。本当は、あまりPANCRASEに迷惑をかけてはいけないと思って、『ベルトを返上しましょうか』と提案したんです。でも、『もう少し待って』、と。宮澤選手が、『やれるんだったら北方選手とやりたがっている』と聞いて、“可愛いやっちゃな”と(笑)。“だったら(防衛戦を)やろうかな”と。“じゃあ急ぎます”ということで、すぐにセカンドオピニオンの病院に行って。だから、僕も防衛戦は宮澤選手とやりたかった。だから、いい試合になると思うし、いい作品になると思う。楽しみです」と、病のなか、望まれ、自身も望む相手との防衛戦に勝利する姿を子供に見せたいと語った。  最後のコーストで試合後にストロー級のベルトを巻くのは、北方か宮澤か。
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