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インタビュー

【Bellator】堀口恭司、『鈍感力』で勝つ「本当のチャンピオンは俺なんだぞってところを見せたい」。相手コーナーの平本蓮には「そんなに甘くねえよ」

2021/11/25 12:11
【Bellator】堀口恭司、『鈍感力』で勝つ「本当のチャンピオンは俺なんだぞってところを見せたい」。相手コーナーの平本蓮には「そんなに甘くねえよ」

(C)U-NEXT

 2021年12月3日(日本時間4日)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナで開催される「Bellator 272: Pettis vs. Horiguchi」にて、Bellator世界バンタム級王者セルジオ・ペティスに挑戦する、RIZINバンタム級王者・堀口恭司がリモート・インタビューを行った。同大会は日本でもU-NEXTにて生配信される。

 2020年の大晦日の朝倉海戦から約10カ月、米国及びBellatorで戦うのは、2019年6月にマジソンスクエアガーデンで同王座を戴冠したダリオン・コールド戦以来となる。

 その後、2019年11月に堀口は、右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷の手術を行い、RIZINバンタム級王座とBellator世界バンタム級王座を返上。2020年の大晦日に、約1年4カ月ぶりの復帰戦でまずはRIZINバンタム級王座を朝倉海から取り戻し、今回、Bellator王座も再び腰に巻くべく、米国でサークルケージの中で戦う。

 11月24日(日本時間25日)、フロリダのアメリカントップチーム(ATT)で調整を続ける堀口に、試合まであと10日と迫った心境を聞いた。

最後に空手をしっかりやって、試合に向かう


(C)Bellator

 UFCではフライ級で戦っていた堀口、追い込みも概ね終了し、最後の減量に向かうが「体重はもう問題ないですね」という。

 王座奪還に向け、最後の仕上げは「空手」の練習だ。

「もともと空手はベースにあって、試合前は必ずやっています。いまの環境上、試合が近づかないとちゃんとした空手の距離とかの練習ができないので、だから最後に空手をしっかりやって、あとは風邪をひかないように体調をしっかりするだけですね」

 今回は、いつもより早めに空手家である兄・健太氏がフロリダ入り。空手の打ち込みを行っている。亡き二瓶弘宇館長の三男・二瓶孔宇氏が今回は渡米出来ず。セコンドには兄と名将マイク・ブラウンらATT勢がつく予定だ。

 対戦相手のペティスのセコンドには元K-1ファイターで、昨年末にRIZINでMMAデビューを果たした平本蓮がつくことが平本のSNSで発表されている。

 セルジオとアンソニーのペティス兄弟が所属するミルウォーキーのルーファスポーツで出稽古中の平本は、「光栄な仕事をもらった」とコーナーマンとしてウィスコンシン州からコネチカット州に向かうことを明かしている。

 日本の平本蓮がコーナーにつくことについて、プレッシャーをかけるためか、セルジオ陣営は積極的に発信しているが、堀口は意に介さない。「なんでセコンドにつくくらいで、あんなに発信しているんだろう? なんのための発信なの? と思いましたね」と笑う。

 これまで日本での堀口の試合も見て来た、立ち技のプロが相手陣営につくことについても、「だから?」と疑問符をつける。これまでセルジオの試合を直に見て来ておらず、MMAファイターとしてキャリアも異なる平本が、堀口とのタイトルマッチのアドバイスをコーナーから送ることはどこまで有効なのか。

 堀口は「いやー、そこが違うから自分はアメリカに来ているんで、そんなに甘くねえよというところは見せたいですね」と、飄々と語る。

「いつもの練習を試合のようにやっている」から緊張しない

 大怪我からの復帰2戦目になるが、手術後も「これまでコンスタントに試合を重ねていたし、ちょうどいい休み期間になるかな。復活したときにベルトを取り返せばいいストーリーになるな、とクワワクしていました」という。

 RIZINのリングから、かつてのUFC時代と同じケージに戻ることも「そんなに自分は変わらない。やっていることは同じ。簡単に言うとケージの方が広くて、リングはちょっと狭くて、組み技をロープ際ですると飛び出ちゃう。ケージだと中断されずに続行できる。自分はケージの方がやりやすいなと思います」と、歓迎している。

 そのメンタルの強さを堀口は「鈍感力」と表す。

「自分はSNSとかも苦手で分かんないし、反応も気にしないです。ただ、やるぞと自分の戦いに集中していて、練習も普通にプロ練習だけを何の問題もなくやっています。不安とかもないですし、一言で言うと『鈍感力』なのかな。日本の方は細かいことが気になるでしょうけど、(ネットの声に)何にも感じないし、何にも動じない。いつものことをやれば勝てる、と思っています」

 ルーティンもゲンかつぎもしない。“鈍感”でいられるための日常の積み重ねが、堀口にはある。

「気持ちを高めるルーティンはないですね。“いつもの練習を試合のようにやっている”ので、試合でも別に緊張とかもしないんですよ」

 その「いつものこと」がATTでの複数のパート練習になる。

 打撃やレスリング、柔術など各ジャンルのコーチたちが「連携」して、堀口恭司をMMAファイターとして強くしている。そして練習仲間として、UFC世界バンタム級ランカーのペドロ・ムニョス、ONE Championship世界フライ級王者のアドリアーノ・モラエスら、トップファイターたちがともに凌ぎを削り合って、MMA最前線を戦っている。

 現王者のセルジオ・ペティスについて、堀口は「キックボクシング系で割と近くに立ち、柔術もできる選手、下からの柔術テクニックが怖いかなと思います。穴が無くてバランスがよく、どこの局面でも脅威になる」と評価。

 堀口が怪我を負って戦った朝倉海との第1戦を研究してくることも想定済みで、「ペティスはカウンターが上手いので、狙ってくるのかなとは考えています」と冷静に分析し、「相手も強いファイターなので、一瞬の気のゆるみが勝負を分けるかなと」、気の抜けないヒリヒリとした戦いになる、という。

 そして、朝倉海との2戦目でカーフキックが勝負を決めたように、対ペティス用の秘策も「何個かはありますね。しっかりフィニッシュは狙っている」と、新たな引き出しも用意している。

「相手も強いのでなかなか“圧勝”という感じには──結果なるかもしれないですけど──しっかりと戦略を、勝てるプランを組んでいます」

自分がチャンピオンベルトを巻いている姿を見てください!

 現時点で、UFCとBellatorに日本人世界王者は存在しない。そのために日本の格闘技のレベルが低いと見られている状況を、払拭したいという。

「絶対に勝って、俺が本当のチャンピオンなんだぞって、しっかり日本にベルトを持ち帰りたいです。自分が怪我で(防衛)出来なくてベルトを返しちゃったことで、申し訳ない気持ちもありますけど、やっぱり“本当のチャンピオンは俺なんだぞ”ってところをちゃんと見せたいなと思います」

 ダブルチャンピオン返り咲きは、自身の願いであり、日本の未来のファイターたちへの架け橋にしたいという。

「子供達に夢を与えたいなと。日本の方ってあまり夢を語らず“いやあ、俺には無理だよ”とか、子供や後輩にも“オマエには無理だよ”って教えるじゃないですか。自分が今回勝って、“俺もああなりたい、なれる”という夢を持たせたいんです」

 自身が活躍することで、若い選手が「世界」に出ることのへの後押しをするつもりだ。「注目の選手」を問われ、修斗王者の平良達郎、西川大和、DEEPで活躍する鶴屋怜の名前を挙げ、「負け無しで、動きも多彩ですごく強くなるんじゃないかなと思います」と、日本の若手選手にも注目してほしいとした。

 そして、ボクシング転向を表明している那須川天心には、「やっぱりやるからには頂点を取ってください、頑張ってください」とエールを送る。

 自身の今後については、米国を主戦場としながらも、日本でも戦いを見せられたら、と語る。

「気持ち的には1回、Bellatorが日本でやったような試合とかがあってもいいのかなと思います。そこらへんは(BellatorとRIZINの)代表同士が決めることなので、自分の意見というだけじゃ難しいですけど。できればなるべくコンスタントに試合をやっていきたいなという思いはあります。ただ、身体とコーチと相談しながらになりますけど」と、対世界の第2章を描いている。

 格闘技を盛り上げるために、「初めて見る人にも、“人間ってこういう動きができるんだ”と、ほかのスポーツにない動き、迫力を見てほしい」と、格闘技ファン以外の人にも、世界王座戦を届けたいと願っている。

 最後に堀口は、「まずはしっかり目の前のベルトを獲り返すこと。RIZIN代表として、しっかりと世界レベルの戦いを見せたいと思います。セルジオ・ペティス選手、すごく強い選手なので、自分とセルジオですごくいい戦いになると思います。自分がチャンピオンベルトを巻いている姿を見てください!」と、2本目の王座奪還を宣言した。

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