2021年9月19日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催される「Yogibo presents RIZIN.30」にて、RIZIN女子スーパーアトム級(-49.0kg)で浜崎朱加(AACC)と対戦する、藤野恵実(トライフォース赤坂)が8月31日、公開練習を行った。
ともにトライフォース赤坂で指導を行っている堀江圭功(ALLIANCE)と2人同時で囲み取材に応じた藤野。堀江は「藤野選手の試合を見たことがあるんですけど、気合がすごくて根性で前に出て、凄いファイトをする」と印象を語るが、公開練習では試合での“相撲”ばりの押し込みとは一変、軽やかなステップで、津田勝憲が持つミットにパンチを打ち込んだ。
現PANCRASE女子ストロー級(-52.2kg)王者の藤野にとって、今回の浜崎戦は、階級転向のチャレンジとなる。
気になる体重は、試合まで19日前で「もう実はあと4kgくらいまで落ちています。よほどここから何かが無い限り大丈夫だろうと。今回、いつもより減量期間をかなり長めにしたので、普段だったら、これで計量前日のプラス幅なので、このまま気を抜かずに過ごしていけば問題ないと思います」と、順調に減量が進んでいるという。
2004年にSMACKGIRLでプロMMAデビューした藤野と、2009年にプロ修斗を経てJEWELSを主戦場とした浜崎。2012年12月にはJEWELSで対戦したが、現在は練習仲間でもある。
今回のオファーに「即答だったか?」と問われ、「『やらせていただきます』と答えました。いま日本でこの階級で一番強い選手は浜崎選手だと思いますし、その選手と試合をできる機会は──お互いにそんなに試合ができるわけではないので──最後のチャンスかなと思い、やることにしました」と、決意を語った。
練習中もライバルではあるが、実際のところ再び試合をすることは「想定していなかった」という。
「もともと(浜崎と)試合をするとは思っていませんでした。戦っている団体も階級も違いますので。想定は全くしていませんでしたが、今回、いろいろな事情で、海外の選手が来日できなかったり、自分が階級下げるということもあって、このチャンスは逃がしたくないなと思いました」
試合を控え現在は、ともに練習することは避け、グラップリング、ストライキングそれぞれのパートで女子のトップファイターたちと出稽古を繰り返している。
「もともと女子選手と練習しているので、おのずと出稽古が多くなります。女子選手で同じ階級で集まって練習することが多いです。みなそれぞれ試合が近かったりしたので、いい練習ができています」
「女子格闘技」と言われていた頃からやっていた
2012年の初対戦では、パワフルな藤野の打撃に浜崎が後退し、ギロチンを仕掛けられる場面もあったが、マウント&パウンドなどポジショニングで上回った浜崎が判定勝利している。
MMA22勝3敗。これまで対日本人に無敗の“絶対王者”について、藤野は「強いですね。極めも身体も気持ちも強い。同じ格闘技選手として尊敬しています。ほぼ負けが無い絶対王者、完璧な選手だと思います」という。
勝算を問われ、「もちろん勝つつもりで練習しています。お互いすんなりとはいかないと思っているので、結構、ドロドロとした削り合いの勝負になるのかなと思っています。そこで絶対に負けたくない。簡単に勝てるとは思っていないですけど、“厳しいところで勝ち切りたい”。自分のやってきたことを出せるように試合をします」と、決意を見せた。
MMA25勝11敗1分けの藤野は、これまで一本負けが無い粘り強い選手だ。
最後に「勝ち切る」ために必要なのは、「まず極められないことが一番だと思うんですけど、もしグラウンドになっても、自分がポジションを取って、打撃も当てて、すべての局面で上回っていければなと思います。(減量しても)パワーもストローでやっているときから全く落ちていないですし、余分なものが無くなってすごく動きやすい。浜崎選手はずっと下の階級でやっていて、私はずっと上の階級でやってきたので、その差がたぶん当日、分かるんじゃないかなと思います」と、ストロー級でベルトを巻いた自負を語る。
スーパーアトム級で“フィジカルモンスター”の強みもより発揮できるか。
「浜崎選手も絶対に退かないと思っているので、結構、バッチバチの打ち合いになるのかなとは覚悟しています。そこでウチもぶつかり合いなら負けないですし、お互いに一歩も退かない試合になると思います」と、藤野は死闘も辞さない構えだ。
JEWELSライト級タイトルマッチで浜崎と対戦したときは、初の金網戦で、いま無きディファ有明でフルラウンドを戦った。女子のMMAの試合が定期的に開催されるようになって12年目の大会だった。
「試合は生モノなので、どうなるかやってみないと分からないですけど、やっぱり面白い試合、ですね。年齢とか性別とか関係なく、それでもやれるんだよということを見てもらえれば。“女子格闘技”と言われていた頃からずっとやっていたんですけど、こうして大きい舞台で10年前に対戦した──そのときはガラガラの会場で試合をしていたんですけど──浜崎選手と対戦することで、男女関係なく、すごい面白い試合を、“こんな試合出来ないよ”っていうくらいの試合が出来たらいいなと思います」
約9年ごしのマット上での再開。「最後のチャンス」と語った藤野は、なにものかへのリヴェンジを果たすことが出来るか。