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インタビュー

【Bellator】渡辺華奈、危うし!? UFC史上初の女子戦をロンダ・ラウジーと戦ったリズ・カモーシェが、ロンダの元柔道コーチと特訓「カナには限界を感じる」

2021/06/24 22:06
 2021年6月25日(日本時間26日)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナにて開催される「Bellator 261」のコ・メインイベント(セミファイナル)で、MMA無敗の渡辺華奈(日本/10勝0敗1分/3位)と対戦するBellator女子フライ級2位のリズ・カモーシェ(米国)が23日(日本時間24日)、同地にてリモート共同インタビューに応じた。  カモーシェは、米国ルイジアナ州ラファイエットで生まれた後、海兵隊員だった父親の仕事の都合で幼少期に日本の沖縄県で過ごし、沖縄クリスチャンスクールインターナショナルを卒業。20歳の時に自身も海兵隊に入隊し、航空電気技師として5年間任期を務めた経験を持つ。  2010年3月のプロデビューから11年間で15勝7敗。マルース・クーネンが持つStrikeforce女子ウェルター級王座、ロンダ・ラウジーが持つUFC世界女子バンタム級王座、ヴァレンティーナ・シェフチェンコが持つUFC世界女子フライ級王座に挑戦も、戴冠ならず。  無冠のウェルラウンダーとして2020年9月にBellator参戦。ディアナ・ベネットを3R、リアネイキドチョークで極め、2021年4月にはヴァネッサ・ポルトを判定3-0で下すなど、Bellator2連勝中だ。また、2019年4月の「QUINTET」では、10th Planetチームとして来日し、優勝の立役者の一人として活躍したこともある。 【写真】ロンダ・ラウジーのコーチだったジャスティン・フローレスが現在のカモーシェのコーチだ。  今回の渡辺華奈との試合を前に、偶然にもカモーシェは、かつてUFC史上初となる女子の試合を戦った相手ロンダ・ラウジーの陣営にいたジャスティン・フローレスをコーチにつけている。  柔道家であるだけでなく、柔術黒帯であり、デヴィジョン1レスラーでもあるジャスティンコーチのもと、カモーシェは、「柔道を私なりの試合のなかで活かせるように練習してきた」と、渡辺最大の武器である、柔道の投げや寝技についての対策は「万全」とした。  そして、対戦相手の渡辺について、「実のところ彼女の試合を見てると随所に限界、制限を感じる」と、弱点があることを指摘。「彼女が持っている良い武器を使えないようにしっかり封じ込んでペースを握れば、私が彼女をフィニッシュ出来る」と言い切った。  カモーシェには、幼少期からの格闘技のバックボーンは無いが、軍隊でのキャリアを経て、どの競技にも初心者として取り組んだことで、よりウェルラウンダーとしてあらゆる局面で戦える、という。  渡辺が得意とする投げや崩しをコーチとともに研究し、たとえ投げられても10th Planet仕込みのグラウンドテクニックや、スクランブルも可能。さらに、MMAは必ずスタンドから始まるため、組む前、組もうとする「動きを利用することで私の試合へと持ち込んでいく」と自信を見せている(一方で渡辺は「私とロンダはスタイルが違う」と発言している)。  女子フライ級2位のカモーシェ(米国)はなぜ、3位の渡辺との対戦を受けたのか。  7月16日(日本時間17日)の『Bellator 262』では、「Bellator世界女子フライ級選手権試合」として、ジュリアーナ・ヴェラスケス(ブラジル/王者)と、同級4位のデニス・キーホルツ(オランダ/挑戦者)のタイトルマッチが決定済みで、ヴェラスケスに敗れて王座陥落した現1位のイリマレイ・マクファーレンは、カモーシェの練習仲間でもある。  マクファーレンが一歩後退したいま、女子フライ級(125lb/56.7kg)の次の挑戦権獲得を狙うカモーシェにとって、「最後の挑戦」は、女子フライ級とバンタム級(135lb/61.2 kg)の二階級同時制覇を狙うことだという。  そのためにも、渡辺華奈との試合で「圧倒的な方法で試合を終わらせ、彼女のファイター人生に初めての黒星をつける」と、カモーシェは語った。 [nextpage] 私の辞書に「停滞」という言葉はない ──リズ・カモーシェ選手が、ロンダ・ラウジー、ミーシャ・テイト、ジェニファー・マイアといった真の強者たちと戦ってきた経験は、次の試合で優位だと思いますか。 「もちろん、その通りで、今挙がった選手だけでなく、ヴァレンティーナ・シェフチェンコであったり、ベルトと紐づいた強い相手との対戦経験によって、いかなる対戦相手に対しても準備ができるという点で確実に金曜に活きると思っています」 ──対戦相手の渡辺華奈選手の印象を教えてください。 「タフな対戦相手である、ということ。10勝0敗という戦績に、初めて私が黒星をつける」 ──タイトルショットを見据えて、今回の試合はどうあるべきだと考えていますか。 「圧倒的なフィニッシュを決めて、タイトルマッチを獲得するつもりです。お互いに判定にはしたくないと思っています。私が彼女をノックアウトしても、彼女を斬り裂いても、あるいはグラウンド&パウンドでも、あるいは彼女を極めてタップさせるとか、とにかく圧倒的な方法でこの試合を終わらせるつもり。彼女のファイター人生に初めて敗戦を与えたという記録にも残るでしょう」 ──MMAプロデビューから10年を越えて、カモーシェ選手にとって満足のいく最終章というのは、やはりメジャープロモーションでノンタイトルということはあり得ないと考えていますか。 「全くそのとおり」 ──新たなトレーニングキャンプを教えてください。 「ケージでの戦い方のアジャストメントをはかり、新しいキャンプで、新しいコーチと、新しい専門的なトレーニングをたくさん積んできました。コーチたちとよいコミュニケーションがとれて、感覚としても良いです。私を新しいレベルに引き上げるために素晴らしい貢献をしてくれて、今すごく調子がいいです」 ──再び観客の前で戦えることについて、どのように感じていますか。 「ファンの皆さんの前で戦い、あのエネルギーを再び感じることが出来るのは、本当にエキサイティングです。ケージに足を踏み入れると、私と相手だけになります」──試合毎に対戦相手によって気持ちの違いというものがあるでしょうけど、この新たな無敗の対戦相手と向き合うにあたって、たとえば“私が教えてやる”というような感じであるのか、どういうマインドセットでしょうか? またもし、この試合の結果の先がタイトルマッチとならなかったら? 「カナ・ワタナベは10勝0敗という素晴らしい戦績を持つタフな選手です。でもこの試合は、彼女の記録とは関係ありません。挑戦権を得るためにも、完全にドミネートし、フィニッシュを狙う。コントロールし続けてパウンドアウト、あるいはサブミッションでフィニッシュします。圧倒的なパフォーマンスを見せて、この階級のチャンピオンに相応しい理由を示さなければなりません。 Bellatorに来たとき、私はランキングを一気に上げたいと思っていたし、それは私がやってきたことであり、これからもそうしていくつもりです。だからこそ、この試合の先にはタイトルショットとなって然るべき、そうあるようにしたいと思っています」 ──このインタビューの冒頭でロンダ・ラウジーの名前が出ました。それ以来、あなたにはジャスティン・フローレスという柔道コーチがいて、ハイレベルな柔道家と対戦するにあたって、より持っている武器が研ぎ澄まされている、万全、という感じでしょうか。 「もちろん。私にとってのコーチの存在というのは自分自身の成長のためであり、カナと戦うかもしれないなんてことはそこには想定としては無かったわけですが、ファイターとしてより進化し成長したいと思って取り組んできたことが積み重なって、活用する機会へと繋がっていく。ジャスティン・フローレス(204年パンアメリカン選手権-66kg級銅メダル、元ロンダ・ラウジーのコーチ)は素晴らしいコーチで、彼を通して学び取ったことは、確実にこの試合に活きてくるでしょうね」 ──柔道家であり、柔術黒帯であり、デヴィジョン1レスラーでもあるジャスティンから学んだことは何でしょうか。 「もちろん、私は常に自分が練習した新しいツールであったり技術であったりというものを皆さんにお見せできるように進化をし続けています。彼の教えにおいて、柔道を私なりの試合のなかで活かせるようにするという意味で、金曜にそれを披露できると思います」 ──カナの試合にはさせない、と? 「多くの可能性があると思っていて、実のところ彼女の試合を見てると随所に限界、制限を感じますね。だから彼女が持っている、よい武器を使えないようにしっかり封じ込んで、またそこを利用することで私の試合へと持ち込んでいく。そうすれば素晴らしいパフォーマンスを見せて私が彼女をフィニッシュ出来ます」 ──あなたは女性のMMAの開拓者と言えます。いま突出してきた才能、クラレッサ・シールズであったりケイラ・ハリソン、クリス・サイボーグも、そういった選手たちが名を挙げていることについて、どう感じていますか。 「それは、Bellatorのような団体が、そういった女性のファイターたち、つまりもの凄い実力を持った人をしっかり引き上げて、彼女たちの物語を構築していってくれるからに他なりません。そして持っているスキルを存分に発揮する。より良いパフォーマンスが出来るようにとしっかりとケアしてくれる。それこそBellatorのような組織が成し遂げてくれていることでしょう」 ──UFC史上初となる女子の試合となったロンダ・ラウジー戦は2013年でしたが、MMAデビューから振り返って、あなたのMMAという産業における、競技者としての発展・進化のキーになったものは何でしょうか。 「私が成長に対してハングリーであるということでしょう。私の辞書に“停滞”という言葉はない。それは私の軍人としての経験というものも影響しているのかもしれないのですが、常により良いものへと進化していきたい、そしてそのための規律と教訓というものをファイターとしてのキャリアに活かし、コンスタントに成長を遂げてきました。  私がよく人に言うのは、その人たちに子供がいるとして、いまやキッズは4歳からトレーニングして18歳にプロデビューが可能。その14年は私がやれてきたことよりも長いわけで、私は常に、自分が先頭に立って、私を倒せるような赤子がどんどんと出てくることに対して、いつもしっかりと練習していないといけないということです」 ──7月16日(日本時間17日)の『Bellator 262』では、「Bellator世界女子フライ級選手権試合」として、ジュリアーナ・ヴェラスケス(ブラジル/王者)と、同級4位のデニス・キーホルツ(オランダ/挑戦者)のタイトルマッチが決定しています。どちらが勝つと考えていますか。 「タイトルマッチはどちらも突出しているから、ここがどうと言って勝敗予想をするのはすごく難しい。タイトルコンテンダーとしてもファンとしても楽しみな試合です」
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