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レポート

【修斗】魂の激戦制し、黒部三奈が初代女王に! 環太平洋は安藤達也が田丸1R TKOで新王者に

2020/08/01 08:08
◆プロフェッショナル修斗公式戦PROFESSIONAL SHOOTO 2020 Vol.5 Supported by ONE Championship2020年8月1日(土)後楽園ホール[開場]17:30[開始]18:00※当日券は16時より後楽園ホール1F当日券売り場にて販売 2020年8月1日(土)後楽園ホールにて有観客&ABEMAライブ配信で「プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2020 Vol.5 Supported by ONE Championship」が行われた。  オープニングの挨拶で黒澤亮平が選手を代表して「『一冊の本、一本の映画によって、あるいは一曲の歌によって、人生の道筋が決まり、あの年齢のときに触れていなければいまの自分はいないはずだ』─これはある作家の言葉です。僕たちにとってそれは格闘技でした。応援、よろしくお願いします」と語った。 ▼メインイベント 第5試合 THINKS INTERNATIONAL Presents 修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント決勝戦 5分3R○黒部三奈(マスタージャパン)50.0kg[判定3-0] ※30-27×3×杉本 恵(AACC)49.8kg※黒部が初代王者に。  修斗史上初となる女子初代王者を決める「THINKS INTERNATIONAL Presents 修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント決勝戦」が、修斗の歴史上初めて女子の試合のメインイベントとして行われる。  ここまで勝ち上がったのは、2019年に行われたインフィニティリーグ2019をぶっちぎりで優勝し、5月31日のトーナメント準決勝でも中村未来(マルスジム)を相手にリアネイキドチョークで一本勝ちを決めた杉本恵(AACC)。  そして、今トーナメント大本命と目され、修斗参戦以来、KO、一本の山を築く決定力に加え、自虐的マイクにも磨きがかかる“女王”黒部三奈(マスタージャパン)の2人だ。トーナメント開催時から、本命、対抗との呼び声が高かった両者がいよいよベルトが懸かった決勝戦で相対する。  修斗の歴史上、初めての女子王座が制定される記念すべき最高の舞台で「初代王者」として修斗史に名前を刻むのは、黒部か、杉本か。   5月31日大会で、レスリング巧者の杉本は序盤の中村の腰の重さと柔術的な仕掛けに若干の戦い辛さを見せながらも、最後は中村の立ち際にバックに回りリアネイキドチョークを極めている。  一方の黒部は、スロースターターと言われながらも大島沙緒里戦で、序盤から首相撲&ヒザ蹴り・ヒジで優位に立つと、中盤以降は持ち前のスタミナも発揮し、大島の組みを切り、マウントからヒジ・パウンド連打でKO勝ちを収めている。  MMA4勝1敗の杉本は、14勝5敗の黒部に比べ、MMAのキャリアで劣るが、全日本学生選手権2位など圧巻のレスリングテクニックを誇る。さらに、黒部と対戦したAACCの大島を通してその力量もはかり、対黒部策を練ってくるだろう。  黒部はプロ8年のキャリアを活かし、スタンドからフィニッシュまで「MMA」としての進化をいまなお見せている。  準決勝を勝ち上がり、杉本を前に「何とかベルトまであと一個まで来ました。私は、ケージに入るときは試合に勝つか負けるかは考えません。生きるか死ぬかで入ってきています。ここで死んでもいいやと思っています。杉本さんにその覚悟はありますか?」と問いかけた43歳の黒部と、「あります」と即答した30歳で二児の母でもある杉本。勝負の行方は?  1R、ともにオーソドックス構え。黒部は左ロー、右ローから右を当て、細かい左右で詰めるが杉本も回って離れる。右足前にスイッチする杉本。そこに押し込む黒部だが右に回っていなす杉本。追う杉本。黒部は右を当てて前に、さらにクリンチっしてきた杉本に右アッパーも。下がる杉本もジャブを返すが、右を打ち頭が下がる杉本にヒザを突く。  どんどん詰めて右を当てる黒部。首相撲からヒザ! 嫌った杉本は離れる。左ジャブを突く杉本。しかし黒部は左右で前に。杉本も右フックをかぶせるがここで前に出るのは黒部。しかしラウンド終了間際、右フックを当てる杉本。クリンチアッパーで詰める黒部は左を差すが、サークリングして外した杉本が連打で当ててブザー。  2R、オーソドックス構えの杉本。時折スイッチする杉本に右を当てて前に出る黒部。杉本も体を入れ替え離れ際に右。杉本の前蹴りの打ち終わりに黒部は詰めて足を触りに行くが、ここは杉本が切る。ダブルレッグに入る黒部。足を開いた杉本が切る!  なおも前に出る黒部は首相撲からヒザ。しかし杉本も押し返すが、黒部の前進は止まらない。右アッパーも突いてボディ打ち、ヒザ。しんどい試合を休まず前に足を運ぶ黒部は右ストレート! さらに連打で前に。ノンストップの動きに杉本は後退。しかし体を入れ替え、右を当てる杉本! 黒部は左で頭後ろをつかみ右ボディ! 離れる杉本は右を相打ちで当てるが右クロスは黒部! さらに右オーバーハンドで前に。ブザーに杉本は片ヒザを着く。  3R、目線をすえて右ストレートで前に出る黒部。杉本も右のスーパーマンパンチ! 左右フックで前に出る黒部。杉本も下がりなら右を当てるが黒部も前進を止めず。右を振る黒部に打ち返す杉本。ともに覚悟を決めた魂の打ち合いに。杉本の打ち終わりに右をスイングする黒部! 右に回る杉本。右の三連打からシングルレッグは黒部!  小手に巻きこれを切る杉本だが、詰める黒部はなおもクリンチボクシング。ここは杉本も互角。前に出る黒部は左&右をヒット! あごが上がる杉本はついにシングルレッグへ。しかし、初めての組みも差し上げた黒部は首相撲からヒザを突き上げブザー。杉本は両ヒザをマットに着くなか、黒部はコーナーへ。  判定は3-0(30-27×3)で黒部が勝利。初代女王に輝いた。  ベルトを腰に巻いた黒部は、「修斗初代女王の黒部三奈です。やっぱりみんなベルトにかける思いは強くて、杉本さんもそうだったと思います。ほんとうはかっこよく勝ちたかったんですけど、泥試合になってしまいました。ここが終着点ではないので、もっと上を目指して、43歳ですけど、まだまだ出来るなというところを見せたいと思います」と戴冠の挨拶。  続けて、「最後に一言だけ。初代女王を抱きたい漢の中の漢、出てこいや! 宛先はこちらです(笑)」と語り周囲を和ませた。 [nextpage] ▼セミファイナル 第4試合 環太平洋バンタム級チャンピオン決定戦 5分3R×田丸 匠(同級1位/NASCER DO SOL)61.1kg[1R 3分23秒 TKO] ※パウンド○安藤達也(同級3位/フリー)61.2kg※安藤が新王者に。  バンタム級では、5月大会で岡田遼(パラエストラ千葉)が世界バンタム級暫定王者となり、空位となった環太平洋王座を巡る一戦が早くも決定。  待望のタイトルショットを迎える“天才”田丸匠(同級1位/NACSER DO SOL)と“怪物”安藤達也(同級3位/フリー)による環太平洋バンタム級王座決定戦が実現する。  天賦の才と岐阜NASCER DO SOLのチーム力で戦い抜いてきた田丸匠だが、その才能をすり減らすかの様な度重なる減量苦との戦い。そして階級変更。ここまで紆余曲折はあったものの、それでも田丸の格闘技センスは色褪せることなくバンタム級に転向後も3連勝を挙げており、デビュー5年目にして初となるベルトを懸けた一戦に挑むこととなった。  1月の前戦ではALLIANCEの藤井伸樹を相手にタイミングの打撃と、組んでもギロチンからのめくりスイープというクレバーな戦いで判定勝利しており、レスリング強者の安藤相手にどんな戦い方を見せるか。  その田丸と対するのが“怪物”安藤達也だ。2019年9月には岡田遼が保持していた同タイトルに挑み、一進一退の攻防の末、あと一歩及ばずドローという結果に終わっている。チャンピオンシップを経験し、飢えたモンスターが未だに底の見えないポテンシャルを更に覚醒させるのか? それとも田丸が華麗にモンスターハントするか? “柔”の田丸と“剛”の安藤。最激戦区バンタム級が更に加速する。  当初、3月29日(日)後楽園ホール大会で安藤は手塚基伸(総合格闘技道場コブラ会)と対戦予定だったが、大会は新型コロナの影響で中止に。3連勝中の手塚の動向も気になるところだ。  1R、オーソドックス構えの田丸は右前蹴りで牽制。サウスポー構えの安藤は左で差して押し込むが突き放す田丸。今度は田丸が左で差して押し込む。そこから小外がけで崩してテイクダウンも捨て身気味になり上は安藤。 しかし下の田丸は腕十字狙い。かついでパスした安藤のリアネイキドチョーク狙いにすぐに腰をずらして上になる田丸。すぐに立つ安藤だが、スクランブルの展開で両者スタミナを使う。  左を伸ばす安藤に右の長い蹴りは田丸! さらに左から右!右から左も田丸が当てるが、右前蹴りで詰めたところに、金網背に安藤はカウンターの左!  ダウンする田丸に鉄槌&パウンドの安藤。下から草刈をする田丸を突き放し、パウンドを打ち込む安藤に田丸が亀になりパウンドを浴びる。さらに連打にレフェリーが間に入った。  1R3分23秒、衝撃的なTKOで勝利した安藤は「ヤーマン! 結構最近いろいろあって、前回の試合も流れて、たくさんの人が支えてくれて今日やっとベエルトを巻くことが出来ました。いろいろ遠回りして、もっと早く辿りつけるかと思ったけど、今回こうして巻いてついてるんで実感しました」と挨拶。  ムラがあると言われ続けた“怪物”がついに覚醒したか。退場際に環太平洋新王者は、リングサイドにいた世界王者の岡田と視線を合わせ、タッチした。 [nextpage] ▼第3試合 フライ級 5分3R×木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(世界ストロー級7位/和術慧舟會GODS)[1R 0分24秒 KO] ※右フック○黒澤亮平(世界ストロー級8位/パラエストラ松戸)  新型コロナウイルスの影響で中止となった3月31日の後楽園ホール大会からスライドとなる元世界ストロー王者・黒澤亮平(パラエストラ松戸)と木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(和術慧舟會GODS)の仕切り直しの一戦。  木内は2018年11月に安芸柊斗に1R、ギロチンチョークで一本勝ち後、2019年3月に楳沢智治にスプリット判定で勝利し2連勝も、前戦2019年6月に飯野タテオに判定負けしている。  黒澤は2016年7月の澤田龍人戦のKO勝ちから、2019年1月の復帰戦で児玉勇也にリアネイキドチョークで一本勝ち。5月にはジェロム ワナワンにも1R KO勝ちし、3連勝を飾るも、前戦の2019年9月大会で本田良介にスプリット判定で敗れている。  ランカー同士、互いに再起戦を勝利で飾るのは?  オープニングの挨拶で黒澤は選手を代表して「『一冊の本、一本の映画によって、あるいは一曲の歌によって、人生の道筋が決まり、あの年齢のときに触れていなければいまの自分はいないはずだ』──これはある作家の言葉です。僕たちにとってそれは格闘技でした。応援、よろしくお願いします」と意気込みを語り、試合に臨む。  1R、ともにオーソドックス構え。右ミドルから入る木内。左インローを当てる黒澤。左ジャブを突き、その手応えを得て、遠い間合いから素早い入りで右フックをスイング! 後方に倒れた木内にレフェリーが間に入った。  わずか24秒で勝利した黒澤は「1回流れて、ずっと準備してきて爆発できてよかったです。すごく強くなっているんで、箕輪(ひろば)チャンピオンに繋がる試合をよろしくお願いします」と王座戦への道をアピールした。 [nextpage] ▼第2試合 インフィニティリーグ2020 バンタム級 5分2R△石井逸人(勝ち点2/TRIBE TOKYO M.M.A.)[判定0-0] ※19-19×3△小野島恒太(勝ち点2/CombatWorkoutDiamonds)  修斗の名物企画「インフィニティリーグ」がリスタート。  2020年はバンタム級で開幕した同リーグだが、新型コロナウイルス感染拡大の波を受け、2試合を消化した時点で一旦中止に。188日ぶりに観客を入れて開催される今回の後楽園ホール大会から再開される。  リスタートの口火を切るのが石井逸人(勝ち点2/TRIBE TOKYO M.M.A.)と、小野島恒太(勝ち点2/Combat Workout Diamonds)の一戦。早くも優勝候補の2人が激突する。  バンタム級転向以来、快進撃を続ける石井だが、同日にはフライ級からのライバル・田丸匠が安藤達也との環太平洋バンタム級王座決定戦が行われる為、ここで負ける訳にはいかない。まずはリーグ戦を全勝で制し、チャンピオンシップへのアピールに出来るか。  対する小野島は2012年に行われたインフィニティリーグ以来2度目の参戦となり、前回は本戦でドローとなるもエキストララウンドで僅差の判定で優勝を逃しており、今回は何がなんでも優勝したいところだろう。  共にグラウンドでのトップキープから相手をドミネートする展開を得意としており、勝敗のカギを握るのはどちらが先にテイクダウンを奪うか。非常に高いレベルの組みの展開が繰り広げられる事が予想される。  リーグ序盤で優勝候補筆頭の2人の激突となるが、両選手共に判定勝ちが多いのが気になるところだ。ここで2勝目を挙げることは後半戦に向けて大きなアドバンテージとなる事は間違いないが、インフィニティリーグは「より早く相手を倒す」のが醍醐味だ。1ラウンドでKOか一本をとれば勝ち点4ポイントが入る為、他の3選手にもまだまだチャンスはある。  1年を通して行う全選手総当たりの過酷なインフィニティリーグ。2020年はコロナの影響で通常は年末に行われる最終戦が来年3月に行われることとなった。コロナでの延期が吉と出るのは誰だ? そして、優勝に大きく近づくのは石井か、それとも小野島か。  1R、ともにオーソドックス構え。巧みに距離を取り、左右を振り一気に詰める小野島。石井は左カウンター狙うが、右で差す小野島。左手は右足を抱える。石井は金網背左で小手の巻く。ダブルレッグに切り替える小野島は尻下でクラッチし、持ち上げてテイクダウン。そこにギロチンを狙う石井だが、すぐに石井は首をほどき金網背に立つ。  体勢を入れ替え肩パンチは石井。離れ際にバックフィストを狙う。小野島はすぐに間合いを詰めて金網まで押し込みダブルレッグへ。右で差して頭を着ける小野島に対し、しかし石井も金網背に立ち続ける。  2R、間合いを詰めて再び右で差して押し込む小野島。石井はギロチンを極めて体を入れ替えヒジを突く。小野島も腹にパンチ。突き放す小野島に右を振る石井。ローを当てる小野島。またも右で差して押し込みハイクラッチでテイクダウンするが、石井はすぐに立つ。  右ミドルは石井。石井の右、バックフィストの打ち終わりに小野島は右を振ってダブルレッグへ。ここはブレークに。石井の跳びヒザに右フックを当てる小野島! さらに小野島が左右を振り押し込み、シングルレッグに入りブザー。  判定は19-19×3でドロー。両者勝ち点3となった。 [nextpage] ▼第1試合 ウェルター級 5分2R△宮路智之(パラエストラ松戸)[判定0-0] ※19-19×3△飯田健夫(フリー)  重量級の一戦。2019年11月にジョナタン・バイエスに1R KO勝ちした宮路は、2020年3月の渋谷大会でもヨシイノウエを1R リアネイキドチョークで極めるなど2連勝を飾り勢いを増すベテランだ。  対する飯田は、修斗では2016年7月のSASUKE戦のドロー以来、4年ぶりの参戦。GRACHANでマックス・ザ・ボディに判定勝ち後、前戦では植田豊にスカーフホールドアームロックに敗れており、今回が再起戦となる。  1R、サウスポー構えの宮路にオーソドックス構えの飯田。前足に右ローは宮路。ニータップでテイクダウンは飯田。宮路は足を効かせてシングルレッグから立つ。詰める飯田は四つに持ち込むがヒザを突く飯田。右ローも。宮路は左ストレートを当てる。  ボディから顔面に突く宮路。飯田は右で差して組むが首を抱えて投げられず。離れたところで左ストレート、右ジャブを突く宮路はボディロックから小外でテイクダウン。下の飯田は蹴り上げから立つ。  2R、再びニータップでテイクダウン奪う飯田がバックテイク。背中見せる宮地にバックマウント奪うと立つ宮路を引き込みバックからリアネイキドチョーク狙い。正対する宮路に細かいパウンド、ヒジ。亀から立ち上がる宮路は後方の飯田を背負いながら立つと飯田を前方に落とすが、飯田は後ろ三角から足も引き寄せスロエフストレッチに。  しかし足を抜き腰をずらして脱出した宮路はすぐにスタンドでバックへ。アームロック狙いで切り返す飯田だが、腕を抜いた宮路はサイドからバックテイク。4の字ロックを組んで背後からパウンドでゴング。  判定は優劣つかず19-19×3のドローとなった。 ABEMA プロ修斗中継情報
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